15 / 66
15話
しおりを挟む
「神尾先生、神尾委員長の命により、聖会長を保護してきました」
俺を部屋の中に入れて三条が声をかける。
「ご苦労様ぁ~譲くん」
返事をしたのはコウちゃんだった。
「コウさんもいたんだ。てっきりひろさんの方かと思ったんだけど」
返事をしたのがコウちゃんだったから三条が驚いてる。
「俺もいるけどな。俺が仕事してるから煌太が返事しただけだ」
机に張り付いていたのかヒロさんも返事をしてる。
「えっと、どういう関係で?」
この2人が親しいのが気になった。
「あれ?大ちゃんに教えてもらってないんだ。僕と譲くんはねぇ、親戚になるんだよぉ」
ニコニコ笑顔でコウちゃんが教えてくれて
「えっ?えぇぇぇ!!!」
俺は驚いた。そんなこと一言も教えてもらってない!
「俺の母親がコウさんのお父さんの妹だから従兄弟になるんだ」
三条が溜め息交じりに教えてくれる。
「あっ、ごめん。聞かない方がよかったやつかこれ?」
俺はとっさに謝った。
「あっ、いや、聖に対してじゃないんだ。コウさん、いい加減に俺の事を譲と呼ぶのやめてくれ」
三条は俺に説明しながらコウちゃんに言う。
「ん?だって譲一よりも譲くんのが言いやすいもん。大ちゃんだって大我よりも大ちゃんの方が言いやすいし、ゆいちゃんだって唯斗よりゆいちゃんの方が言いやすいもん。それに僕が短く呼ぶのは僕なりの愛情表現だよぉ」
煌太さんは悪びれるわけでもなく、あっさりという。
「諦めろ三条。こいつは自分が言いやすい呼び方しかしねぇから」
なんて、ヒロさんもそんなことを言うから三条ががっくりと肩を落とし項垂れた。
「なんというか、三条ドンマイ」
俺はそれしか言えなかった。俺は呼ばれ慣れてるし、気にしてないからいいんだけどさ。
「それより、ご苦労だった。聖は確かに俺が引き受けた」
急にヒロさんが言うから、あって思った。
そうか、俺は発情期間に入るから校医である二人に引き渡されたのか…。
「委員長直々の命令なんでお願いします」
三条が頭を下げる。
「ありがとうな三条」
俺がお礼を口にすれば
「救護班総括の役目なんで気にするな」
三条は小さく笑ってくれた。
「君が救護班をまとめてくれてるから、救護班の子たちも混乱なくいつも的確に行動してくれるから校医として助かってるよ」
って、コウちゃんがいつになく真面目に言ってる。
「俺を救護班に置いたのはあの男ですからね。あの化け物の神尾大我です。神尾がいなければ今の俺たちはこうやって救護班として動くことはできなかった。だから俺は昔からずっとあいつには感謝してるんだ」
三条はそんなことをいいながら肩を竦める。
「あいつの化け物扱いは風紀の内部紛争から始まって聖に関すること全般だからな」
そんな三条の言葉にヒロさんが笑いながら言う。
「えっ?えぇぇ!!そんなときからぁ?ってかやっぱり俺が原因???」
やっぱり俺の知らないことばっかりで驚けば
「そうだな。神尾の化け物扱いが始まったのは内部紛争と会長のこと同時だったからなぁ」
苦笑を浮かべながら三条が教えてくれる。
マジか、やっぱり俺が原因だったのか…。確かにあの頃の俺は自棄になったままだったから大我に無茶難題を言ってたかも…。
「神尾にもらい受けたと報告してくれ。聖のことは責任もって部屋に届けるとな」
いつのまに書いたのか書類を三条に差し出しながら言ってるし
「じゃぁ、ゆいちゃんは移動しようか。でもこれも持ってねぇ」
ってコウちゃんは俺に小瓶の入った紙袋を渡してくれる。
「では、後はお願いします。失礼します」
三条はヒロさんから書類をもらって出ていった。
「ゆい、お前はいつもの場所じゃなくて、発情の暴走の時に使った部屋に行くぞ」
三条を見送ってからヒロさんがそんなことを言ってきてビックリした。
「へっ?なんで?」
だって普通の発情ならいつもの部屋でいいと思ったんだ。
「うん、これもね事情があってね。君1人を置いておけない理由があるから。君の身の安全のためだよゆいちゃん」
少しだけ困ったなって顔してコウちゃんが言ってくる。
「それって、永尾が関係してるってことですか?」
だから俺は素直にそれを口にした。
「そうだな。それもあるんだが、大我がな、ゆいは不安定になってるからいつもの部屋じゃなくて暴走の時に使ってた部屋にして欲しいって言ってたんだ」
「大ちゃんにしかわからないゆいちゃんの変化だよね」
俺の言葉にヒロさんとコウちゃんが教えてくれる。
いつも俺より俺のことを知ってるあの男が俺のちょっとした変化に気が付かないわけがないんだ。
俺がいつもより不安定になってることに気付かないわけがないんだ。
自分ではうまく隠してるつもりだったんだけどなぁ…。
あの男は本当にどこまでも俺よりも先に考えて行動をしていく。
そして、そんなあの男の行動に俺はいつも助けられてるんだ。
俺は2人に連れられて暴走の時に使った部屋へと連れていかれた。
決して呼んでも大我が来ないのを寂しいと思いながら俺は一人であの部屋で過ごすんだ…
俺を部屋の中に入れて三条が声をかける。
「ご苦労様ぁ~譲くん」
返事をしたのはコウちゃんだった。
「コウさんもいたんだ。てっきりひろさんの方かと思ったんだけど」
返事をしたのがコウちゃんだったから三条が驚いてる。
「俺もいるけどな。俺が仕事してるから煌太が返事しただけだ」
机に張り付いていたのかヒロさんも返事をしてる。
「えっと、どういう関係で?」
この2人が親しいのが気になった。
「あれ?大ちゃんに教えてもらってないんだ。僕と譲くんはねぇ、親戚になるんだよぉ」
ニコニコ笑顔でコウちゃんが教えてくれて
「えっ?えぇぇぇ!!!」
俺は驚いた。そんなこと一言も教えてもらってない!
「俺の母親がコウさんのお父さんの妹だから従兄弟になるんだ」
三条が溜め息交じりに教えてくれる。
「あっ、ごめん。聞かない方がよかったやつかこれ?」
俺はとっさに謝った。
「あっ、いや、聖に対してじゃないんだ。コウさん、いい加減に俺の事を譲と呼ぶのやめてくれ」
三条は俺に説明しながらコウちゃんに言う。
「ん?だって譲一よりも譲くんのが言いやすいもん。大ちゃんだって大我よりも大ちゃんの方が言いやすいし、ゆいちゃんだって唯斗よりゆいちゃんの方が言いやすいもん。それに僕が短く呼ぶのは僕なりの愛情表現だよぉ」
煌太さんは悪びれるわけでもなく、あっさりという。
「諦めろ三条。こいつは自分が言いやすい呼び方しかしねぇから」
なんて、ヒロさんもそんなことを言うから三条ががっくりと肩を落とし項垂れた。
「なんというか、三条ドンマイ」
俺はそれしか言えなかった。俺は呼ばれ慣れてるし、気にしてないからいいんだけどさ。
「それより、ご苦労だった。聖は確かに俺が引き受けた」
急にヒロさんが言うから、あって思った。
そうか、俺は発情期間に入るから校医である二人に引き渡されたのか…。
「委員長直々の命令なんでお願いします」
三条が頭を下げる。
「ありがとうな三条」
俺がお礼を口にすれば
「救護班総括の役目なんで気にするな」
三条は小さく笑ってくれた。
「君が救護班をまとめてくれてるから、救護班の子たちも混乱なくいつも的確に行動してくれるから校医として助かってるよ」
って、コウちゃんがいつになく真面目に言ってる。
「俺を救護班に置いたのはあの男ですからね。あの化け物の神尾大我です。神尾がいなければ今の俺たちはこうやって救護班として動くことはできなかった。だから俺は昔からずっとあいつには感謝してるんだ」
三条はそんなことをいいながら肩を竦める。
「あいつの化け物扱いは風紀の内部紛争から始まって聖に関すること全般だからな」
そんな三条の言葉にヒロさんが笑いながら言う。
「えっ?えぇぇ!!そんなときからぁ?ってかやっぱり俺が原因???」
やっぱり俺の知らないことばっかりで驚けば
「そうだな。神尾の化け物扱いが始まったのは内部紛争と会長のこと同時だったからなぁ」
苦笑を浮かべながら三条が教えてくれる。
マジか、やっぱり俺が原因だったのか…。確かにあの頃の俺は自棄になったままだったから大我に無茶難題を言ってたかも…。
「神尾にもらい受けたと報告してくれ。聖のことは責任もって部屋に届けるとな」
いつのまに書いたのか書類を三条に差し出しながら言ってるし
「じゃぁ、ゆいちゃんは移動しようか。でもこれも持ってねぇ」
ってコウちゃんは俺に小瓶の入った紙袋を渡してくれる。
「では、後はお願いします。失礼します」
三条はヒロさんから書類をもらって出ていった。
「ゆい、お前はいつもの場所じゃなくて、発情の暴走の時に使った部屋に行くぞ」
三条を見送ってからヒロさんがそんなことを言ってきてビックリした。
「へっ?なんで?」
だって普通の発情ならいつもの部屋でいいと思ったんだ。
「うん、これもね事情があってね。君1人を置いておけない理由があるから。君の身の安全のためだよゆいちゃん」
少しだけ困ったなって顔してコウちゃんが言ってくる。
「それって、永尾が関係してるってことですか?」
だから俺は素直にそれを口にした。
「そうだな。それもあるんだが、大我がな、ゆいは不安定になってるからいつもの部屋じゃなくて暴走の時に使ってた部屋にして欲しいって言ってたんだ」
「大ちゃんにしかわからないゆいちゃんの変化だよね」
俺の言葉にヒロさんとコウちゃんが教えてくれる。
いつも俺より俺のことを知ってるあの男が俺のちょっとした変化に気が付かないわけがないんだ。
俺がいつもより不安定になってることに気付かないわけがないんだ。
自分ではうまく隠してるつもりだったんだけどなぁ…。
あの男は本当にどこまでも俺よりも先に考えて行動をしていく。
そして、そんなあの男の行動に俺はいつも助けられてるんだ。
俺は2人に連れられて暴走の時に使った部屋へと連れていかれた。
決して呼んでも大我が来ないのを寂しいと思いながら俺は一人であの部屋で過ごすんだ…
31
あなたにおすすめの小説
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる