17 / 66
17話
しおりを挟む
『大ちゃんじゃないとダメなんだよね。あのツンデレ』
ある日、煌太さんから連絡が来たなと思ったらこの言葉だった。
あぁ、やっぱりか…。
なんて俺は思う。勉強したいことは色々あるけれど、肝心の話は先生や身内じゃダメだという。そいう所は融通が利かない神谷らしいところだ。
「ごめんね、大ちゃん。今回のことで色々と問題を抱えてるのはわかってるんだけどね。あの子はどうしても、永尾くんや今後のことの話になると口を噤んじゃうか、大ちゃんとじゃなきゃ話し合えないっていうんだよね。顧問の2人も何度か足を運んで彼と話をしてるんだけどさ…」
俺が時間を調整しながら煌太さんの元へと出向いたら苦笑気味に言われた。
「後藤先生と呉崎先生も神谷に会いに行ってたんですか?」
それに関して俺は知らなかった。
「うん、あの2人は顧問だからね。やっぱり気になることもあるし、聞いておかなきゃいけないこともあるみたいだからねぇ」
煌太さんは溜め息交じりに教えてくれる。
「でも、ちゃんと神谷とは話し合えなかったってことですか」
神谷のことだから頑なに話さなかったんだろうな。
「そう、顧問の2人がね行くと神谷くんは黙っちゃうからね。全然、話せなくて、顧問2人がお手上げ状態。僕たちも彼とは普通の事しか話せないから、大ちゃんにしか頼めないんだ」
ごめんねって謝れる。
「いや、大丈夫。神谷が誰にも話さないのは予定通りだから」
俺は溜め息交じりに答えた。
「なんか大ちゃんがまた化け物扱いされちゃうね」
煌太さんが小さく笑う。
「化け物にならないと聖が守れないから。神谷とは、俺も話し合わないとダメだと思ってるから明日にでも行ってくる」
俺は神谷に会いに行くと告げる。
「うん、ごめんね。ゆいちゃんはやっぱり、ちょと不安定になってるね。発情が終わった後でまた少し不安定になってるけど、会うつもりはないんだよね?」
煌太さんが聖の状況を教えてくれる。
「そうですね。不安定になってる聖をほっておくことはできないけど、今俺があいつに会えば永尾を刺激することになりかねないんで会えないですね。聖だけじゃなく、小泉や絹笠に被害を行くのを防ぐには永尾を刺激ないことが第一ですから。会ってやるのが一番なんだけど…」
自分の中にある複雑な思い。
聖が不安定になってるのはわかってるだから本当はゆっくりと会ってやった方がいいのはわかってる。
だけど、俺が聖と会っていれば永尾を刺激するのもわかる。
神谷に会うなといった俺がのうのうと聖と会っているなんて永尾がったらキレるだろう。
そうなったら、あいつは自棄になって聖や生徒会にいる小泉と絹笠にまで八つ当たりしかねない。
それを防ぐために俺は聖に無理を言って学校以外では会わないと告げたのだ。
あいつが寂しさと不安で精神的に不安定になるのをわかっていながら…。
「大ちゃんも決めたことは頑として譲らないからね。しょうがないかぁ」
苦笑しながら言われる言葉に
「こればっかりは、どうしても譲れないですね。聖を守る為なら俺はどんな手も使いますよ。もう少しだけ聖をお願いします。あいつに家族の愛情を与えてやって欲しい。俺が傍にいられない分だけ…」
自分はどんな手を使ってでも聖唯斗を守ると告げれば少しだけ驚いた顔を見せたが
「やっぱり大ちゃんは大ちゃんだねぇ」
なんて笑われた。
「俺は何も変わっちゃないですよ。やっと本当の意味で手に入れたあいつを自分から手放すつもりはないし、この件が終わったら俺はあいつがもうヤダって音を上げるぐらいには甘やかしてやる気でいるんで」
そう、今回の一件が終わったら俺は聖唯斗を目一杯甘やかしてやるって決めている。俺がずっとあいつに寂しい思いをさせてきたお詫びじゃないけど、あいつの気持ちをちゃんと聞いてやるためのことだから…。
「ゆいちゃんがまた大ちゃんから抜け出せなくなちゃうね。でも、ゆいちゃんの不安定が治るのは大ちゃんの傍にいるときだけだもんね。終わったらちゃんと甘えさせてあげるんだよぉ」
俺の言葉に笑いながら煌太さんは言う。発情の暴走前から聖を見てきたからわかることだ。他人に興味を持たないあいつが俺にだけくっ付いてる理由をこの人は自分で気が付いた。あいつの心の問題が俺に関係してると。
「変に発情が起きないことだけを願いますよ俺は…」
あいつの精神的不安で暴走に近いときがあるからそれだけは避けたいと思う。が、きっと無理だろうなと思う自分もちゃんといる。
「う~ん。それは多分、無理だと思うから諦めた方がいいよ。薬はちゃんと用意しとくからね」
なんてやっぱりあっさりと言われた。もう笑うしかない。
「明日、神谷に会って話をします。神谷の所に行ったら伝えてください。今後のことを話そうと…」
俺は時間を確認して煌太さんに告げると
「わかった。ちゃんと伝えとくよ。ごめんね忙しい時に」
そう返事をしてくれた。
「いや、大丈夫。じゃぁ、戻るから聖の事お願いします」
俺はそう頭を下げて本当に風紀委員室に戻る為に部屋を出た。
神谷ともだが、永尾とも話をしないといけない。
だが、永尾はいまだに冷静さをかけてる。
まったくあのバカはいつになったら本来の自分を取り戻すんだ…
俺は今後のことも考えながら大きく溜息をついて風紀委員室へと戻る為に足を進めた。
ある日、煌太さんから連絡が来たなと思ったらこの言葉だった。
あぁ、やっぱりか…。
なんて俺は思う。勉強したいことは色々あるけれど、肝心の話は先生や身内じゃダメだという。そいう所は融通が利かない神谷らしいところだ。
「ごめんね、大ちゃん。今回のことで色々と問題を抱えてるのはわかってるんだけどね。あの子はどうしても、永尾くんや今後のことの話になると口を噤んじゃうか、大ちゃんとじゃなきゃ話し合えないっていうんだよね。顧問の2人も何度か足を運んで彼と話をしてるんだけどさ…」
俺が時間を調整しながら煌太さんの元へと出向いたら苦笑気味に言われた。
「後藤先生と呉崎先生も神谷に会いに行ってたんですか?」
それに関して俺は知らなかった。
「うん、あの2人は顧問だからね。やっぱり気になることもあるし、聞いておかなきゃいけないこともあるみたいだからねぇ」
煌太さんは溜め息交じりに教えてくれる。
「でも、ちゃんと神谷とは話し合えなかったってことですか」
神谷のことだから頑なに話さなかったんだろうな。
「そう、顧問の2人がね行くと神谷くんは黙っちゃうからね。全然、話せなくて、顧問2人がお手上げ状態。僕たちも彼とは普通の事しか話せないから、大ちゃんにしか頼めないんだ」
ごめんねって謝れる。
「いや、大丈夫。神谷が誰にも話さないのは予定通りだから」
俺は溜め息交じりに答えた。
「なんか大ちゃんがまた化け物扱いされちゃうね」
煌太さんが小さく笑う。
「化け物にならないと聖が守れないから。神谷とは、俺も話し合わないとダメだと思ってるから明日にでも行ってくる」
俺は神谷に会いに行くと告げる。
「うん、ごめんね。ゆいちゃんはやっぱり、ちょと不安定になってるね。発情が終わった後でまた少し不安定になってるけど、会うつもりはないんだよね?」
煌太さんが聖の状況を教えてくれる。
「そうですね。不安定になってる聖をほっておくことはできないけど、今俺があいつに会えば永尾を刺激することになりかねないんで会えないですね。聖だけじゃなく、小泉や絹笠に被害を行くのを防ぐには永尾を刺激ないことが第一ですから。会ってやるのが一番なんだけど…」
自分の中にある複雑な思い。
聖が不安定になってるのはわかってるだから本当はゆっくりと会ってやった方がいいのはわかってる。
だけど、俺が聖と会っていれば永尾を刺激するのもわかる。
神谷に会うなといった俺がのうのうと聖と会っているなんて永尾がったらキレるだろう。
そうなったら、あいつは自棄になって聖や生徒会にいる小泉と絹笠にまで八つ当たりしかねない。
それを防ぐために俺は聖に無理を言って学校以外では会わないと告げたのだ。
あいつが寂しさと不安で精神的に不安定になるのをわかっていながら…。
「大ちゃんも決めたことは頑として譲らないからね。しょうがないかぁ」
苦笑しながら言われる言葉に
「こればっかりは、どうしても譲れないですね。聖を守る為なら俺はどんな手も使いますよ。もう少しだけ聖をお願いします。あいつに家族の愛情を与えてやって欲しい。俺が傍にいられない分だけ…」
自分はどんな手を使ってでも聖唯斗を守ると告げれば少しだけ驚いた顔を見せたが
「やっぱり大ちゃんは大ちゃんだねぇ」
なんて笑われた。
「俺は何も変わっちゃないですよ。やっと本当の意味で手に入れたあいつを自分から手放すつもりはないし、この件が終わったら俺はあいつがもうヤダって音を上げるぐらいには甘やかしてやる気でいるんで」
そう、今回の一件が終わったら俺は聖唯斗を目一杯甘やかしてやるって決めている。俺がずっとあいつに寂しい思いをさせてきたお詫びじゃないけど、あいつの気持ちをちゃんと聞いてやるためのことだから…。
「ゆいちゃんがまた大ちゃんから抜け出せなくなちゃうね。でも、ゆいちゃんの不安定が治るのは大ちゃんの傍にいるときだけだもんね。終わったらちゃんと甘えさせてあげるんだよぉ」
俺の言葉に笑いながら煌太さんは言う。発情の暴走前から聖を見てきたからわかることだ。他人に興味を持たないあいつが俺にだけくっ付いてる理由をこの人は自分で気が付いた。あいつの心の問題が俺に関係してると。
「変に発情が起きないことだけを願いますよ俺は…」
あいつの精神的不安で暴走に近いときがあるからそれだけは避けたいと思う。が、きっと無理だろうなと思う自分もちゃんといる。
「う~ん。それは多分、無理だと思うから諦めた方がいいよ。薬はちゃんと用意しとくからね」
なんてやっぱりあっさりと言われた。もう笑うしかない。
「明日、神谷に会って話をします。神谷の所に行ったら伝えてください。今後のことを話そうと…」
俺は時間を確認して煌太さんに告げると
「わかった。ちゃんと伝えとくよ。ごめんね忙しい時に」
そう返事をしてくれた。
「いや、大丈夫。じゃぁ、戻るから聖の事お願いします」
俺はそう頭を下げて本当に風紀委員室に戻る為に部屋を出た。
神谷ともだが、永尾とも話をしないといけない。
だが、永尾はいまだに冷静さをかけてる。
まったくあのバカはいつになったら本来の自分を取り戻すんだ…
俺は今後のことも考えながら大きく溜息をついて風紀委員室へと戻る為に足を進めた。
31
あなたにおすすめの小説
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる