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54話
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「明日1日休んで終わりだな。明後日からは普通に出校しても大丈夫だ」
あれから3日経った昼過ぎからヒロさんが来て俺と大我を見て言ってくれた。
「わかった。いろいろ助かったよ。ありがとう」
大我がそう言ってるのを見ながらふと思った。
「アレ?コウちゃんは?」
そう、いつもなら一緒に来てくれてるコウちゃんがいない。
「あー、教えてなかったのか?」
「変な心配させるよりはいいかなって思ってさ」
ヒロさんと大我はそんな会話をしてる。ん?なんだよ俺だけ知らないのかよ。
「今コウは入院してるんだ」
俺がムッとしてるのに気が付いて、ヒロさんが教えてくれる。
「へっ?なんで?もしかして俺のせい?」
そう言われて急に不安になった。
「なんでゆいのせいになるんだよ。そうじゃないから心配しなくてもいい」
ヒロさんはそう言って笑ってくれるけど不安になった。
「ゆい、心配しなくても大丈夫だって。あの人、劉の時も同じ時期に入院してるんだ。だからゆいのせいじゃないんだ」
苦笑しながら大我が俺の頭を撫でてくれた。
「理由…聞いても平気?」
そんな大我に聞いてみる。答えてもらえないかもしれないけどさ。大我が確認のためにヒロさんの方を見た。ヒロさんが頷いたのを確認してからゆっくりと大我が口をひらいた。
「煌太さんが兄貴の前から消えてからボロボロの姿で帰ってきた話は覚えてるか?」
その問いにこくりと頷いた。中学の時、発情で自棄を起こしてる俺にヒロさんがキツク当たっていた理由がコウちゃんが関係してたっていうのを教えてもらったから覚えてる。
「そん時、ちょうど今ぐらいかな、流産しそうになったんだ。劉の時はまぁ、ケンカ吹っ掛けられたりと色々とストレスになってたみたいでさ。病院に駆け込んで診察してもらったらそれがわかってそのまま2週間ぐらい入院したんだ。で、今回も気になったから病院に行ったら切迫流産で安静にってことで入院してるんだ」
「えっ?えぇぇ!!!」
大我の言葉に俺は怖くなった。劉くんの時はストレスでってことは…。もしかして今回も???
「あー、ゆい、戻ってこーい。自分の世界に舞い込むなー」
グルグルと変なことを考え始めた俺にヒロさんが笑いながら言ってくるから
「そんな!だって俺のせいでしょ!!!」
掴みかからん勢いでヒロさんを見たら
「だから、ゆいのせいじゃないんだって」
苦笑を浮かべながら俺の頭を撫でていく大我とは違う大きな手。
「でも…」
しゅんって俯いたら
「だから教えなかったんだよ。唯斗の場合は変なふうに落ち込むから」
小さな溜め息と共に大我が紡いだ言葉がぐさりと胸に刺さる。
「ゆい、今回の原因は劉とジジババにある」
ぽふぽふと俺の頭を叩きながらヒロさんが説明をしてくれる。
「どういうこと?」
意味が分からなくてヒロさんを見れば苦笑を浮かべて困ったなって顔をして大我を見るから俺も大我を見た。
「そこを俺にふるのかよ。ったく」
マジかって顔をする大我をキョトリと見たら溜め息をつき
「俺と唯斗が1ヶ月も会ってない原因が唯斗が妊娠したからじゃないのかって話になったんだよ。俺と会えてないってのを二人がポロっと口を滑らせて話したからそんな話になったんだ」
「えっ?えぇぇぇ!!!」
大我の言葉にびっくりした。マジでなんてことを言ってくれたんだこの人たち。
「やっ、でもなんでそれでコウさんが入院を?」
「ゆい、覚えてるかあの4人の両親を…」
すっごい疲れた顔をした大我の言葉にあって声を上げた。うん、納得した。
「あの4人の暴走と劉の暴走をかわしながら煌太さんってば無理な仕事してて、ちょっと動きすぎてお腹が張ってて病院に行ったら即入院。だからゆいのせいじゃないんだ」
疲れた顔をした大我と、大我の話を聞きながら盛大に溜め息をつくヒロさん。
「えっと…そんなに大変だったのか?」
だからそんなに酷かったのかなって聞いたら二人が思いっきり頷いた。
「それって…俺が本当に妊娠したらヤバいやつ?」
一応試しに聞いてみたら二人して何度も頷く。頭ふらつかないかな?ってぐらいに激しく…。
「ゆい、コウが二人目を妊娠した瞬間に狂喜乱舞だぞ。俺が本当に劉の父親になったときの劉の動画を見ただろ?あれより酷いんだぞ?それをお前までも妊娠ってなったら…止まるわけがない…」
ヒロさんの目がどんどん虚ろになっていく。あー、これは本当にヤバい奴だ。虚ろになりつつ遠くを見てる。
「あれ?でもあの日、大我ってヒロさんに何か言ってたよね?すっごい険しい顔して…」
ふっと、あの日の大我の行動を思い出した。
「だからなんでそういうことは覚えてるんだよお前」
なんて呆れながらも笑われた。
「だって…」
それを言われると何と答えていいのかわからない。
「ゆい、大我の特技は?」
なんてヒロさんに聞かれて
「化け物?半端ない洞察力。後は…嗅覚とか?」
思いつくことを口にしてあっと思った。
「もしかしてフェロモンの香りの変化?」
確か、大我はフェロモンの香りの変気に敏感だったはず。そもそもフェロモンは人によって違うし、大我は他のオメガの香りに全く反応しない化け物だ。それなのに微かな変化にも気付く。それは大我の流れる特殊な血のせいだって教えてもらった。
「当たり。一度、嗅いだことのある香りは割と覚えてる。今回も微かに変化を感じたから念のためにって兄貴に言ったんだ。そしたら入院したってすぐに連絡が来たから俺もビックリした」
なんて大我は言うけど
「あのぉ、大我さん?あなたは一体つそんなやり取りをしたんですかね?」
そんなやり取りしてる様子なんて一度だって俺は見てません。
「そんなの決まってるだろ?唯斗くんが発情して暴走して甘えて寝落ちした後にですよ」
なんてにっこり笑って言われて
「うわぁぁぁぁ!!!」
俺はそれが恥ずかしくて思いっきり顔を隠しながらしゃがみこんだ。
「相変わらずだなゆいは。まぁ、そういうことだからコウは来月まで仕事には出てこないからな。明後日から普通に出て来いよ」
クツリと笑いヒロさんは出ていった。
「さて、唯斗くん。残り二日ある休みはどう過ごしますか?」
しゃがみこんだ俺の前に同じようにしゃがみ大我が聞いてくる。それが残りの休みも一緒に過ごしてくれるということだ。
「じゃぁ、まったりと大我ともっと色んな話をしたい。もっと俺に大我のことを教えてこれ。もっともっと大我を知りたい」
なら、俺は今まで知ることができなかった大我のことを知りたい。それこそ子供の頃の話とかも含めて…。
「わかった。なら向こうに行こう」
あっさりと返事をして大我は俺を立たせると手を繋いで移動した。
2人でソファに座って時間が許す限り話し合ったんだ。
勿論、途中で大我に甘えたりしながら今後のことも含めて話し合った。
俺たちにはもっと話し合いが必要だって思ったんだ。
あれから3日経った昼過ぎからヒロさんが来て俺と大我を見て言ってくれた。
「わかった。いろいろ助かったよ。ありがとう」
大我がそう言ってるのを見ながらふと思った。
「アレ?コウちゃんは?」
そう、いつもなら一緒に来てくれてるコウちゃんがいない。
「あー、教えてなかったのか?」
「変な心配させるよりはいいかなって思ってさ」
ヒロさんと大我はそんな会話をしてる。ん?なんだよ俺だけ知らないのかよ。
「今コウは入院してるんだ」
俺がムッとしてるのに気が付いて、ヒロさんが教えてくれる。
「へっ?なんで?もしかして俺のせい?」
そう言われて急に不安になった。
「なんでゆいのせいになるんだよ。そうじゃないから心配しなくてもいい」
ヒロさんはそう言って笑ってくれるけど不安になった。
「ゆい、心配しなくても大丈夫だって。あの人、劉の時も同じ時期に入院してるんだ。だからゆいのせいじゃないんだ」
苦笑しながら大我が俺の頭を撫でてくれた。
「理由…聞いても平気?」
そんな大我に聞いてみる。答えてもらえないかもしれないけどさ。大我が確認のためにヒロさんの方を見た。ヒロさんが頷いたのを確認してからゆっくりと大我が口をひらいた。
「煌太さんが兄貴の前から消えてからボロボロの姿で帰ってきた話は覚えてるか?」
その問いにこくりと頷いた。中学の時、発情で自棄を起こしてる俺にヒロさんがキツク当たっていた理由がコウちゃんが関係してたっていうのを教えてもらったから覚えてる。
「そん時、ちょうど今ぐらいかな、流産しそうになったんだ。劉の時はまぁ、ケンカ吹っ掛けられたりと色々とストレスになってたみたいでさ。病院に駆け込んで診察してもらったらそれがわかってそのまま2週間ぐらい入院したんだ。で、今回も気になったから病院に行ったら切迫流産で安静にってことで入院してるんだ」
「えっ?えぇぇ!!!」
大我の言葉に俺は怖くなった。劉くんの時はストレスでってことは…。もしかして今回も???
「あー、ゆい、戻ってこーい。自分の世界に舞い込むなー」
グルグルと変なことを考え始めた俺にヒロさんが笑いながら言ってくるから
「そんな!だって俺のせいでしょ!!!」
掴みかからん勢いでヒロさんを見たら
「だから、ゆいのせいじゃないんだって」
苦笑を浮かべながら俺の頭を撫でていく大我とは違う大きな手。
「でも…」
しゅんって俯いたら
「だから教えなかったんだよ。唯斗の場合は変なふうに落ち込むから」
小さな溜め息と共に大我が紡いだ言葉がぐさりと胸に刺さる。
「ゆい、今回の原因は劉とジジババにある」
ぽふぽふと俺の頭を叩きながらヒロさんが説明をしてくれる。
「どういうこと?」
意味が分からなくてヒロさんを見れば苦笑を浮かべて困ったなって顔をして大我を見るから俺も大我を見た。
「そこを俺にふるのかよ。ったく」
マジかって顔をする大我をキョトリと見たら溜め息をつき
「俺と唯斗が1ヶ月も会ってない原因が唯斗が妊娠したからじゃないのかって話になったんだよ。俺と会えてないってのを二人がポロっと口を滑らせて話したからそんな話になったんだ」
「えっ?えぇぇぇ!!!」
大我の言葉にびっくりした。マジでなんてことを言ってくれたんだこの人たち。
「やっ、でもなんでそれでコウさんが入院を?」
「ゆい、覚えてるかあの4人の両親を…」
すっごい疲れた顔をした大我の言葉にあって声を上げた。うん、納得した。
「あの4人の暴走と劉の暴走をかわしながら煌太さんってば無理な仕事してて、ちょっと動きすぎてお腹が張ってて病院に行ったら即入院。だからゆいのせいじゃないんだ」
疲れた顔をした大我と、大我の話を聞きながら盛大に溜め息をつくヒロさん。
「えっと…そんなに大変だったのか?」
だからそんなに酷かったのかなって聞いたら二人が思いっきり頷いた。
「それって…俺が本当に妊娠したらヤバいやつ?」
一応試しに聞いてみたら二人して何度も頷く。頭ふらつかないかな?ってぐらいに激しく…。
「ゆい、コウが二人目を妊娠した瞬間に狂喜乱舞だぞ。俺が本当に劉の父親になったときの劉の動画を見ただろ?あれより酷いんだぞ?それをお前までも妊娠ってなったら…止まるわけがない…」
ヒロさんの目がどんどん虚ろになっていく。あー、これは本当にヤバい奴だ。虚ろになりつつ遠くを見てる。
「あれ?でもあの日、大我ってヒロさんに何か言ってたよね?すっごい険しい顔して…」
ふっと、あの日の大我の行動を思い出した。
「だからなんでそういうことは覚えてるんだよお前」
なんて呆れながらも笑われた。
「だって…」
それを言われると何と答えていいのかわからない。
「ゆい、大我の特技は?」
なんてヒロさんに聞かれて
「化け物?半端ない洞察力。後は…嗅覚とか?」
思いつくことを口にしてあっと思った。
「もしかしてフェロモンの香りの変化?」
確か、大我はフェロモンの香りの変気に敏感だったはず。そもそもフェロモンは人によって違うし、大我は他のオメガの香りに全く反応しない化け物だ。それなのに微かな変化にも気付く。それは大我の流れる特殊な血のせいだって教えてもらった。
「当たり。一度、嗅いだことのある香りは割と覚えてる。今回も微かに変化を感じたから念のためにって兄貴に言ったんだ。そしたら入院したってすぐに連絡が来たから俺もビックリした」
なんて大我は言うけど
「あのぉ、大我さん?あなたは一体つそんなやり取りをしたんですかね?」
そんなやり取りしてる様子なんて一度だって俺は見てません。
「そんなの決まってるだろ?唯斗くんが発情して暴走して甘えて寝落ちした後にですよ」
なんてにっこり笑って言われて
「うわぁぁぁぁ!!!」
俺はそれが恥ずかしくて思いっきり顔を隠しながらしゃがみこんだ。
「相変わらずだなゆいは。まぁ、そういうことだからコウは来月まで仕事には出てこないからな。明後日から普通に出て来いよ」
クツリと笑いヒロさんは出ていった。
「さて、唯斗くん。残り二日ある休みはどう過ごしますか?」
しゃがみこんだ俺の前に同じようにしゃがみ大我が聞いてくる。それが残りの休みも一緒に過ごしてくれるということだ。
「じゃぁ、まったりと大我ともっと色んな話をしたい。もっと俺に大我のことを教えてこれ。もっともっと大我を知りたい」
なら、俺は今まで知ることができなかった大我のことを知りたい。それこそ子供の頃の話とかも含めて…。
「わかった。なら向こうに行こう」
あっさりと返事をして大我は俺を立たせると手を繋いで移動した。
2人でソファに座って時間が許す限り話し合ったんだ。
勿論、途中で大我に甘えたりしながら今後のことも含めて話し合った。
俺たちにはもっと話し合いが必要だって思ったんだ。
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