会長様ははらみたい

槇瀬陽翔

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63話

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「あーあ、結局はこうなっちゃうんだ」
「今回のは宮池が悪い。自業自得だからな」
先輩たちに祝われ、吉沼先輩と一緒にもみくちゃになってる宮池を見て神谷と三条が呆れている。
「お前ら二人も人のことは言えないぞ。そろそろターゲットが入れ替わるからな」
そんな二人に言ってやれば
「はぁ?」
「何それ?」
ビックリした顔で俺を見る。
「みんなー!準備はいいかぁ~!!!」
急にノリノリな声で小泉がマイク越しに叫ぶ。
「待ってましたぁ~!!」
その声に反応するのは他の風紀委員たち。恭先輩たちは何のことかわからずポカンとしている。
「じゃぁ、みんな!前期生徒会長、副会長及び、前期風紀委員長及び副委員長、そして現副会長及び風紀副委員長と救護班総括を狙い打てぇ~!!!」
ノリノリなまま小泉が号令をかければ
「お前たちおめでと~!!!」
とそんな言葉と共にこの会の主役たちにみんながかき氷シロップ入りの水鉄砲を打ち始める。勿論、妊娠中の愁先輩と神谷には誰も狙わない。その代わりに三条と宮池が攻撃されることとなった。
「くそっ、お前ら、やめろ」
「あまっ、止めろクソが」
「なんで俺まで、クソ」
「それを言ったら僕たちもですよぉ」
「マジで、なんで俺まで」
「ひぃ~、止めてぇ~」
悲鳴を上げながら6人は水鉄砲の攻撃から逃げ回ることとなった。

「愁先輩と、神谷はこっちで休んでてください」
「立ちっぱなしは身体に負担ががるってコウちゃんが言ってたから」
俺と聖で二人を安全な場所へ連れて行けば
「ねぇ、これが2人の復讐?」
なんて、愁先輩が聞いてきた。
「どう思います?」
だから俺は反対に聞き返してみた。
「本当に、手の込んだ復讐だよね。こんなサプライズ、忘れられないじゃん」
愁先輩が少しだけ涙目になる。
「まぁ、それが目的ですからね。愁先輩、おめでとうございます。あなたの夢がちゃんと叶う日が来ました。今日はそんな先輩への俺と聖からのプレゼントです」
「大我と一緒に選びました。子供のモノなんで、幾つあってもいいかなって…」
聖と一緒に選んだのは子供の服。サイズは少し大きめのモノを3着。成長によってはすぐ着れなくなっちゃうかもしれないけど、海外へ行ってしまう二人には必要になると思ったんだ。
「っ、もぉ、ホント、こんなサプライズ信じらんないよ」
聖から紙袋を受け取り泣き笑いになる。
「神谷、神谷にも俺と聖からのプレゼントだ」
「神谷には本も一緒に選んだ。すでに親バカになってる永尾が選んでない本を俺たちは選んだからな」
神谷にも本と子供服を渡せば
「っ、僕もずっと迷惑かけてたのに、こんなのもらっていいんですか?」
鼻声になりながら聞いてくる言葉に
「そりゃ当たり前だろ。親友への祝いなんだから」
「神谷と永尾の為に選んだんだ。だから受け取ってくれ」
俺と聖が言えば
「ありがとう」
ポロリと涙が零れ落ちた。
「でも、お祝いはそれだけじゃないんだよな」
「そうそう」
俺の後ろから柳川と錦城がひょっこりと顔を出す。
「風紀からと生徒会から両方のお祝いがあるんだ。この会が終わったら2人に渡しますね」
絹笠が柳川たちの横から顔を出して言う。その言葉を聞きついに2人から大粒の涙が零れ落ちた。
「神尾てめぇ~!!!愁を泣かすんじゃねぇ~!!!」
それを目敏く見つけた恭先輩が叫ぶ。
「あなたがいつまでもそんなところで遊んでるからですよ」
だから俺はそんな恭先輩に向かってべって舌を出してやった。
「ホントに神尾くんは何時こんなこと計画してたの?ずっと忙しかったよね?」
愁先輩が急にそんなことを聞いてくる。
「バトルロワイアルに関しては内部崩壊の時からですよ。あの時に卒業式が終わったら決着は付けさせてやるってことで誓約書を書かせてたんで。それ以外のサプライズは聖の発情の暴走後に決めました。まぁ、神谷のことが発覚したんで、急遽予定を変更しましたけど」
あのクソ忙しい時に計画してたと思われたくなかったので、正直に話した。
「聖くん、本当?」
なんて、聖に確認してるし。
「えっと、バトルロワイアルに関してはそんなこと約束してるなんて俺は知らなかったんで、よくわかんないんですけど、このサプライズに関しては神谷の接近禁止令の数ヶ月前にはほぼ決まってました」
聖は愁先輩に説明した。まぁ、今回は俺が悪いよな。ぶっ倒れるぐらいムリしてたんだから…。
「神尾~!!」
そんな言葉と共に強烈な拳んが飛んでくる。
「おいたはやめましょう恭先輩」
俺はその拳を叩き落とし隣にいる聖の腕を掴み恭先輩からの攻撃の被害にあわないような場所に移動させた。
「恭、ダメだよ」
もう一度殴りかかろうとしてる恭先輩に愁先輩が声をかける。
「なんでだ!…それ…」
反論しかけて愁先輩が手に持ってる荷物を見て呟く。
「神尾くんと聖くんからの復讐」
愁先輩はそんなことを言いながら持っていたプレゼントを恭先輩に渡す。それを受け取り中を確認して俺と聖を交互に見てプレゼントに視線を移し、
「マジかぁ~」
その場にしゃがみこんだ。
「どうする恭、こんな復讐劇ってある?」
そんな恭先輩の頭をポフポフと叩きながら愁先輩が溜め息をつく。
「普通はねぇだろこんなの。うわぁ、マジかぁ」
恭先輩はそんなことを言いながら愁先輩を抱きしめた。抱きしめられた愁先輩はポンポンと恭先輩の背を優しく叩いていた。

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