会長様はいちゃつきたい!

槇瀬陽翔

文字の大きさ
9 / 66

みんなでクリスマス

しおりを挟む
「大ちゃん、ゆいちゃん、いらっしゃ~い」
そうにこやかな笑みで出迎えてくれたのは神田先生。


今日は大我と一緒に神田先生の家に来ていた。神尾先生に迎えに来てもらってここまで来たんだけどな。

「あー、大ちゃんとゆいちゃんだ~」
嬉しそうに劉くんが駆け寄って来て大我の足に抱き着く。
「おう、劉は今日も元気だな」
大我はヒョイっと簡単に抱き上げる。

「うん、僕はいつも元気ですよぉ」
劉くんは嬉しそうに大我の首に抱き着いて笑う。


うん、可愛いなぁ。


「ほら、そんなところで遊んでないで早くおいでよぉ~。せっかくの料理が冷めちゃうよ~」
神田先生の言葉に俺たち三人は小さく笑って先生の方へと向かった。後から神尾先生もやってきた。


「クリスマスの料理なんて作ったことないから味に保障ないけど召し上がれ」
神田先生が少し照れたように言ってくれた。俺たち5人はそれを合図に雑談しながら楽しいひと時を過ごした。


「ごちそうさまでした。煌太さんって腕上げたんじゃないですか?すごく美味しかったですよ」
大我がそんなことを言う。そういえば以前食べた中華も美味しかったなと思う。
「そう?よかった。ゆいちゃんはどうだった?」
大我の言葉を聞き俺にも聞いてくるから
「美味しかったです」
俺も素直に大我と同じ言葉を返した。先生はすごく嬉しそうに笑った。


「おし、劉これは俺とゆいちゃんからのプレゼントだぁ!」
なんて大我は遊びながら劉くんに俺と一緒に選んだクリスマスプレゼントを渡してる。
「わぁ~。ありがとう大ちゃん、ゆいちゃん」
劉くんは本当に嬉しそうに笑ってプレゼントを受け取って大我に抱き着き、その後で俺にも抱き着いてきた。

「二人で頑張って選んだから喜んでくれるといいなぁ」
俺は劉くんを抱きしめながら言った。
「ありがとう、ゆいちゃん」
劉くんは本当に嬉しそうに言ってくれて俺も嬉しかった。


「ゆいちゃん、実はね、ゆいちゃんに渡したいものがあるんだ」
神田先生が急にそんなことを言う。
「俺にですか?」
劉くんから離れて先生を見れば

「劉、出来るよね?」
劉くんに何かを話しかけてる。
「うん、大丈夫」
「じゃぁ、お願いね」
劉くんの返事を聞き先生は何かをお願いしていた。劉くんはそれを聞き何処かへ行ってしまう。そして、にっこにっこの笑顔を浮かべて何かを持って戻って来て、

「メリークリスマスゆいちゃん。ゆいちゃんに素敵なプレゼント」
サンタの袋の中から小さな箱を取り出し俺に差し出してきた。
「えっ?えっ?」
わけが分からないまま立ち尽くしていたら

「ほら、もらってやれよ。劉が困ってるぞ」
大我にそう言われて俺は
「劉くんありがとう」
慌てて劉くんからプレゼントを受け取った。

「ゆいちゃん、僕ゆいちゃんの為のサンタだよぉ」
なんて劉くんが言って笑う。それでもう、俺はダメだった。
「っ、ありが、とう。うれ、しぃ、」
ずっと我慢してた涙が零れ落ちた。

「ゆいちゃん、どっか痛いの?大丈夫?」
劉くんが心配そうに俺の顔を覗き込む。俺はそんな劉くんを抱きしめて
「大丈夫、痛くないよ。これはね、嬉し泣き。すっごく嬉しくて、泣けちゃった」
涙の訳を話す。

「僕も嬉しいよ。ママも、パパも、大ちゃんも、ゆいちゃんも一緒のクリスマス。ゆいちゃんも一緒だね」
劉くんが嬉しそうに言ってくれる。先生たちや大我だけじゃなくて俺も一緒で嬉しいって言われてまた涙がこぼれた。

「ママぁ、どうしよう。ゆいちゃんがまた泣いちゃったぁ」
劉くんがオロオロしながら先生を呼ぶ。
「大丈夫。ゆいちゃんはね劉から一杯プレゼント貰って嬉しくて嬉しくてどうしようもなくなちゃっただけだよぉ。ねぇ、大ちゃん」
劉くんを抱き上げながら神田先生が大我の名を呼ぶ。

「そうだな。劉が可愛いサンタだから嬉しくて仕方がないんだって」
俺の頭を撫でながら劉くんの頭まで撫でてる。
「そっかぁ、良かったぁ」
劉くんが安心したように笑う。

「ごめん、大我ぁ、とまん、ない」
俺は自分ではどうしようも出来なくて大我に助けを求めた。
「わかってる。行こう」
大我は俺の手を掴み、みんなのいる部屋を出て違う部屋へと入った。


「ここなら誰も見てないから好きなだけ泣け」
俺を抱きしめて大我が言ってくれる。俺がなんで泣いてるか大我はその理由を知ってるからの言葉。
「ごめ、ん、ありが、とぉ、っ」
俺は大我の服を掴みその胸に顔を埋めて大泣きをした。



『ゆいちゃん大丈夫?』
『あぁ、大丈夫だ。泣き疲れて寝てるだけだから』
『本当に良かったのか?』
『あぁ、ゆいを喜ばせるのが目的だったから大丈夫だ』


誰かの話声でふわふわと意識が浮上してきて眩しさに目が覚めた。


「っ、俺って…」
小さく呟けば
「泣き疲れて寝ちゃったんだ」
大我が頭を撫でながら教えてくれる。

「あっ、そっか。大泣きしたんだっけ…」
身体を起こして座れば少し心配そうな顔をした先生たちがいた。
「大丈夫?」
「無理しなくていいんだぞ」
2人が心配そうに聞いてきて俺は驚いたけど、小さく笑って
「大丈夫。本当に嬉しくて止まらなかっただけだから」
ムリはしてないとだけ伝えた。


本当に嬉しかったんだ。俺が初めて経験することだから…。


俺の言葉に二人はホッとした顔になった。
「ゆいちゃん、大丈夫?」
大我の脇からひょっこりと劉くんが顔を出す。
「うん、大丈夫。可愛いサンタさん俺にプレゼントありがとう」
劉くんの頭を撫でて俺は小さく笑った。劉くんも同じように笑った。



この日、俺は大我と一緒に先生の家に泊まって次の日に寮に帰ってきた。


寮の戻ったら大我からのプレゼントが待ってて俺はまた大泣きすることとなった。



ホント、こんなサプライズ嬉しくないわけないじゃん。もう、これ以上俺を大我に惚れさせてどうするんだよぉ。

大我から離れられなくなるじゃん。離れるつもりはないけどさ…。


先生の家でもらったプレゼントは大我とのペアウォッチだった。で、大我から貰ったのは俺の好きなブランドの服だった。


ホント、嬉しすぎてこの後が怖いよ。


夢じゃないかって…。また、同じ思いをするんじゃないかって…。


そんなことないとは思うけどさ…。



Fin


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

司祭様!掘らせてください!!

ミクリ21
BL
司祭が信者に掘られる話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

処理中です...