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第6話
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ユリアーナがリオンたち騎士団たちとレジアナ王国の公爵家を出てからゆうに1ヶ月が経った。その道中、何も起こらなかったわけではない。何者かが送った刺客がユリアーナの乗る場所に奇襲をかけたのだ。
その度に、ナイルたち騎士団が応戦し、事なきを得ていた。
「やはり、宿に泊まらずに来て正解でした。ユリアーナ様にはご不便をおかけして申し訳ありません」
常にユリアーナの傍で護衛をしているリオンが外の様子を見ながらユリアーナに謝る。
「そんな、私なら平気です。皆さんに護ってもらってますから」
そんなリオンに慌てて答えた。それでも、ユリアーナは考え込んでしまう。
『前世ではここまで酷かったかしら?余程、私を消したいのね…』
前世でも道中で何度か襲われた記憶はあるが、ここまで酷くなかったはずだとユリアーナは考えていた。そして、第一騎士団が手練れなのを身をもって実感したのだった。奇襲を受けているにもかかわらず、ユリアーナは一度も馬車から外に出ることなく、ことが終わるまでのんびりと座って終わるのをリオンと一緒におしゃべりをしながら待っているだけだった。前世では小さな傷を受けたことも何度かあったのだ。
「団長、もう少しで国境です。レジアナ王国を抜けます」
窓越しに騎士団の一人が声を掛ける。
「わかった、国境を越えてレジアナ王国を出るまで全員、気を緩めるな。トール様の元へユリアーナ様を無事にお届けるぞ」
団員の言葉を聞きリオンは外にいる団員全員に聞こえるように声をかければ
「はい」
その言葉に答えるように返事が返ってきた。
「ナイル、国境を越えたら当初の予定通りに頼む」
リオンは常に傍で馬に乗って護衛してるナイルに声を掛けた。
「わかった。2人にはもう一度指示をしておく」
ユリアーナはそんな2人のやり取りを静かに見守っていた。ユリアーナにはわからないことなので、聞くのも違うと思ったからである。
『それにしても、どうして前世と違うことが起きてるのかしら?トール様もどうして第一騎士団たちを寄こしたのかしら?謎だらけだわ』
2人の様子を見ながらユリアーナは前世とは違うことが起こっていることが不思議で仕方がなかった。
「ユリアーナ様、国境を抜ければトール様が待つ屋敷まで2週間ほどで着きます。自国に入れば安全ですので、宿で休むことができますよ」
いつの間にかナイルとの会話を終えたリオンが教えてくれるが、ユリアーナは少し考え、
「リオン様、宿に泊まらずに向かうことは可能ですか?」
尋ねてみた。
「それは可能ですが、よろしんですか?」
リオンは驚きながらも答えた。
「えぇ、今まで野宿だったんだもの、ここに来てから宿でなんて気にしなくてもいいわ。それに、早く旦那様になるトール様にお会いしたいなって…」
ユリアーナはトールに早く会いたいと本気で思っていたのだ。
「あぁ、でも、こんな私の姿じゃトール様はお会いしてくれないかもしれないわ…どうしましょう…」
ユリアーナはトールに会いたいと言いながらも自分の姿を思い出し青ざめた。妹のおさがりで、サイズの合っていないよれたドレスを纏った自分は見苦しいものだ。会ってはもらえないかもと真剣に思った。
「大丈夫ですよユリアーナ様。トール様はユリアーナ様にお会いするのを楽しみにしてますから」
一人で青ざめているユリアーナを微笑ましく見ながらリオンは大丈夫だと告げる。
「本当に?」
ユリアーナはリオンの言葉に本当に大丈夫なのかと確認してみた。
「はい、大丈夫です。ユリアーナ様との婚約が決まってからお迎えに来るまでの半年間、トール様はユリアーナ様の為に色々と準備をなさってました。それもこれも、ユリアーナ様に会いたいがためですよ」
リオンはトールの様子を思い出しながら答えた。
実際、トールはユリアーナとの婚約が決まってから、ユリアーナが不自由なく過ごせるようにと色々と決めて、必要なものを集めていったのだ。
「リオン様ありがとう。少しだけ不安が和らいだわ」
ユリアーナはリオンから聞いたトールの様子に少しだけ不安が和らいだ。死に戻りしてから不安だったのだ。もしかしたら、トールとの婚約自体無くなるのではないかとか、会ってはもらえないのではないかとか、最悪なことを考えてもいたのだ。だが、リオンの言葉を聞きそれは杞憂なんだと知った。
「それでは、ユリアーナ様のご希望通り宿屋にはよらず、屋敷に向かうことにしましょう」
「えぇ、お願い」
ユリアーナが言った宿に寄らぬことはお嬢様らしからぬ言葉だがリオンはそれを承諾し、トールが待つ屋敷へと急いで向かうことに決めたのだった。
その度に、ナイルたち騎士団が応戦し、事なきを得ていた。
「やはり、宿に泊まらずに来て正解でした。ユリアーナ様にはご不便をおかけして申し訳ありません」
常にユリアーナの傍で護衛をしているリオンが外の様子を見ながらユリアーナに謝る。
「そんな、私なら平気です。皆さんに護ってもらってますから」
そんなリオンに慌てて答えた。それでも、ユリアーナは考え込んでしまう。
『前世ではここまで酷かったかしら?余程、私を消したいのね…』
前世でも道中で何度か襲われた記憶はあるが、ここまで酷くなかったはずだとユリアーナは考えていた。そして、第一騎士団が手練れなのを身をもって実感したのだった。奇襲を受けているにもかかわらず、ユリアーナは一度も馬車から外に出ることなく、ことが終わるまでのんびりと座って終わるのをリオンと一緒におしゃべりをしながら待っているだけだった。前世では小さな傷を受けたことも何度かあったのだ。
「団長、もう少しで国境です。レジアナ王国を抜けます」
窓越しに騎士団の一人が声を掛ける。
「わかった、国境を越えてレジアナ王国を出るまで全員、気を緩めるな。トール様の元へユリアーナ様を無事にお届けるぞ」
団員の言葉を聞きリオンは外にいる団員全員に聞こえるように声をかければ
「はい」
その言葉に答えるように返事が返ってきた。
「ナイル、国境を越えたら当初の予定通りに頼む」
リオンは常に傍で馬に乗って護衛してるナイルに声を掛けた。
「わかった。2人にはもう一度指示をしておく」
ユリアーナはそんな2人のやり取りを静かに見守っていた。ユリアーナにはわからないことなので、聞くのも違うと思ったからである。
『それにしても、どうして前世と違うことが起きてるのかしら?トール様もどうして第一騎士団たちを寄こしたのかしら?謎だらけだわ』
2人の様子を見ながらユリアーナは前世とは違うことが起こっていることが不思議で仕方がなかった。
「ユリアーナ様、国境を抜ければトール様が待つ屋敷まで2週間ほどで着きます。自国に入れば安全ですので、宿で休むことができますよ」
いつの間にかナイルとの会話を終えたリオンが教えてくれるが、ユリアーナは少し考え、
「リオン様、宿に泊まらずに向かうことは可能ですか?」
尋ねてみた。
「それは可能ですが、よろしんですか?」
リオンは驚きながらも答えた。
「えぇ、今まで野宿だったんだもの、ここに来てから宿でなんて気にしなくてもいいわ。それに、早く旦那様になるトール様にお会いしたいなって…」
ユリアーナはトールに早く会いたいと本気で思っていたのだ。
「あぁ、でも、こんな私の姿じゃトール様はお会いしてくれないかもしれないわ…どうしましょう…」
ユリアーナはトールに会いたいと言いながらも自分の姿を思い出し青ざめた。妹のおさがりで、サイズの合っていないよれたドレスを纏った自分は見苦しいものだ。会ってはもらえないかもと真剣に思った。
「大丈夫ですよユリアーナ様。トール様はユリアーナ様にお会いするのを楽しみにしてますから」
一人で青ざめているユリアーナを微笑ましく見ながらリオンは大丈夫だと告げる。
「本当に?」
ユリアーナはリオンの言葉に本当に大丈夫なのかと確認してみた。
「はい、大丈夫です。ユリアーナ様との婚約が決まってからお迎えに来るまでの半年間、トール様はユリアーナ様の為に色々と準備をなさってました。それもこれも、ユリアーナ様に会いたいがためですよ」
リオンはトールの様子を思い出しながら答えた。
実際、トールはユリアーナとの婚約が決まってから、ユリアーナが不自由なく過ごせるようにと色々と決めて、必要なものを集めていったのだ。
「リオン様ありがとう。少しだけ不安が和らいだわ」
ユリアーナはリオンから聞いたトールの様子に少しだけ不安が和らいだ。死に戻りしてから不安だったのだ。もしかしたら、トールとの婚約自体無くなるのではないかとか、会ってはもらえないのではないかとか、最悪なことを考えてもいたのだ。だが、リオンの言葉を聞きそれは杞憂なんだと知った。
「それでは、ユリアーナ様のご希望通り宿屋にはよらず、屋敷に向かうことにしましょう」
「えぇ、お願い」
ユリアーナが言った宿に寄らぬことはお嬢様らしからぬ言葉だがリオンはそれを承諾し、トールが待つ屋敷へと急いで向かうことに決めたのだった。
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