死に戻り令嬢は黒竜の花嫁

槇瀬陽翔

文字の大きさ
8 / 13

第7話

しおりを挟む
ユリアーナを乗せた馬車が国境を抜けてから2週間ほどでトールが待つ屋敷へと着いた。


「お待ちしておりました。トール様は執務室にいらっしゃいますのでご案内します」
ユリアーナを出迎えてくれたのは数人の侍女と執事であるギルムだった。
「お願いします」
ユリアーナは彼らに頭を下げた。
「では、行きましょう」
ギルムは同じようにユリアーナに一例をしてから、トールの待つ執務室へと向かった。その後ろをユリアーナ、そして、リオンとナイルもついていった。


「トール様、ユリアーナ様が到着しました」
ギリムは執務室の扉をノックしてから開けた。
「入ってくれ」
その言葉に従い、
「さ、どうぞ」
ギリムはユリアーナを部屋の中へと招き入れた。


『あぁ、やっとトール様に会えるのね』


ギリムがユリアーナを連れてトールの前へといく。
「トール様、ユリアーナ様をお連れしました」
ギリムが声をかければ机に向かって仕事をしていたトールが顔を上げ、ユリアーナを見た。
「ユリアーナでございます」
ユリアーナはトールに向かい挨拶をすればトールは立ち上がり、ユリアーナの前へと行く。そして
「ジュリヌエット王国、竜騎士団団長トールだ」
トールは同じようにユリアーナに挨拶をした。
「ユリアーナ嬢、レジアナ王国からの長旅ご苦労だった。ここへ来るまでに疲れただろう。今夜は長旅の疲れを取るためにゆっくり休んでくれ」
トールは長旅をしてきたユリアーナを気遣い労いの言葉をかけ休むようにと告げる。
「私は大丈夫です」
だが、ユリアーナはトールと話がしたくて、ついそんなことを言ってしまう。
「君が宿に寄らずに急いでここへ来たのは報告で聞いている。だから、今夜はゆっくり身体を休めてくれ」
トールは第一報を先発隊より受け取っており、ユリアーナが宿に寄らずにこの場所へきたのを知っていた。だから、今夜はゆっくり休んでほしいと告げた。
「わかりました」
ユリアーナはそれ以上の反論は出来ず、トールの言葉に従うことにした。
「ユリアーナ嬢、君に紹介しよう、今後、君専属の侍女長になるマールだ」
トールは一人の侍女をユリアーナに紹介する。ユリアーナの前に現れたのは前世の時、妃の教育やお世話をしてくれたマールその人だった。ユリアーナは
「はじめましてマール様、これからよろしくお願いします」
マールに頭を下げた。
「ユリアーナ様、私たちにさまは必要ありません。ユリアーナ様はここの女主人になるお方です」
「あっ、ごめんなさい。まだ実感がわかないから…気をつけます」
マールの言葉にユリアーナは前世でも同じとを言われたのを思い出した。
「マール、彼女はまだ来たばかりだまだ実感がわかないんだろう。今夜はゆっくり休めるようにしてやってくれ」
トールがマールに声をかければ
「すみません、そういうつもりで言ったわけでは…」
マールが謝る。
「あっ、マールさんが悪いわけじゃないです。私が勉強不足なだけでから…」
咄嗟にユリアーナはそう声を上げた。
「大丈夫だ、別にマールを怒ってるわけじゃない。マール、ユリアーナ嬢を頼む」
トールはユリアーナに一言言ってからマールにユリアーナを任せた。
「わかりました。ユリアーナ様、ユリアーナ様のお部屋にご案内しますね」
マールはトールに言われた通りユリアーナを連れて行こうとした。
「あっ、ユリアーナ嬢、明日、朝食を一緒に取ろう。その後で、君と今後の話したい」
急に思い出したようにトールが声を掛ける。ユリアーナは一瞬、驚いた顔をしたが
「はい、ぜひ」
嬉しそうに笑いマールと一緒に部屋を出ていった。
「リオン、ナイル、報告を頼む」
マールと出ていくユリアーナを見送ってからトールはリオンとナイルにこの道中での出来事の報告をするようにと命じた。



ージュリヌエット王国、王太子執務室ー

「ウィル様、2人が再会を果たしたようです」
机に向かい仕事をしている王太子ウィルに声を掛けたのは、彼の秘書官のジェイである。
「そうか、やっと再会を果たしたか」
書類を書く手を止めウィルが顔を上げる。
「はい、先ほど、あの男の元に数人の男が第三騎士団の手によって連れ込まれました」
ジェイは手に持っていた書類を見て答えた。
「あのサディストが喜んでるんじゃないか?」
「えぇ、不気味な笑いがこだましてましたよ」
ウィルの言葉にジェイが溜め息交じりに答えた。あの男とは王城の地下牢にいる囚人を拷問するのを得意とする男、リジェルだ。それはもう、楽し気に拷問するので、サディストとみんなに思われている。
「相手が悪かったと思うしかないだろうな」
「そうですね」
ウィルの言葉にジェイが同調する。
「さぁ、白き姫はどんな反応をするだろうな」
ウィルは窓の外を見て、呟いた。その呟きを拾ったジェイもまた同じように窓の外を見たのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...