貴方の傍に…

槇瀬陽翔

文字の大きさ
14 / 32

act14

しおりを挟む
遙の行動がよく分からない。俺が暴れている間ずっとキスをしていた。まるでそれは俺を落ち着かせるようなみたいに…。俺の身体からガクンって力が抜けベッドに座ると遙は俺を抱き締め
「落ち着け。ここはお前のいた場所じゃねぇ」
いってくる。勿論、俺にしか聞こえないように…。
「いやだ…思い出したくない…何もかも…思い出したくない…」
俺は遙の腕に掴まり呟きのように言う。身体が震えてる。あの時の出来事を思い出したせいだ。
「悪い。みんな今日は帰ってくれ。こっちがこの状態じゃ会議も出来ない」
遙は後ろにいる面々にいう。
「その様だね。また明日にしよう。帰るぞみんな」
副会長なのか? 遙の言葉に答えるように、彼のその一言でみんなが帰っていく。みんなが帰った頃、遙は俺を離し部屋を出て行った。
「…いやだ…もぉ…いやだ…」
俺はもう一度、壁を殴ろうとしたら
「そんなことしたってどうにも出来ねぇだろ」
戻ってきた遙がため息交じりに言ってくる。俺が見ればその手には救急箱。あぁ、そう…俺が思いっきり殴ったから血が出てんだ…。遙はベッドに腰掛けると俺の手を取り傷の手当をしていく。前髪も上げられ少し切れた額にもバンドエイドが貼られる。そのまま額に手を当て
「やっぱり。暴れるから熱が上がってやがる」
ため息をつく。
「ごめん…もう…自分の部屋に戻るから…」
あぁ、本当に俺は謝ってばかりだ…。
「いいからここで寝てろ。夜中にまた暴れられたら迷惑だ」
ベッドから降りようとした俺を遙はベッドに押し倒し言う。なんで? なんでそんなに優しくするわけ? 俺のこと嫌いなんだろ? 変な期待持たせるようなことするなよ…。

遙は部屋を出てリビングの方の電気を消し戻ってくるとベッドサイドの灯りをつけ部屋の電気を消した。

「そっちにつめろって」
遙が布団を上げて言う。俺は言われたとおりに動く。これも全部、遙の気まぐれなんだよな・・・

はぁ…。困ったな…記憶が甦ると俺…寝られなくなるんだよ。寝るのが怖くて…いやな記憶ばかり甦って…まるで現実に起きてる感じがして…

遙は俺を抱き寄せ
「んだ。まだ震えてんのか」
そう呟く。
「う…うるせぇ…しょうがねぇだろ…」
俺はどうしていいのか分からなかった。遙は俺を抱き締め
「このままでいてやるから寝ろ。人肌に抱かれてる分少しは安心できるだろ?」
そう言ってくる。俺は躊躇いながら
「少しでいいから…服…掴んでていいか?」
聞いてみる。
「好きにしろ。俺が優しいのは今だけだ」
遙ははっきりとそう言った。あぁ。やっぱりそうだよな。俺は遙の服を掴み
「明日には…自分の部屋に戻るから…今日だけは我慢してくれよな…」
そう言い切った。これ以上、一緒にはいられない。俺の気持ちを知られたくはない。

結局俺はそのまま遙の服を掴んだまま眠りの中に落ちていった。

不思議なことにあの忌まわしい夢は見ることがなかった…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会長様は別れたい

槇瀬陽翔
BL
大我と恋人同士になり、発情の暴走も何とか収まった唯斗。ある日、唯斗の元に子供の頃にお世話になっていた養護施設から電話がかかってきて…。まるでそれが火種になったかのように起こる出来事。いつも以上に落ち込む唯斗。そんな唯斗に手を差し伸べたのは恋人である大我だった。 会長様シリーズの第3部です。時系列的には第1部と第2部の間の話になります。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

この腐った学園で生き抜くためのたった一つの方法。

田原摩耶
BL
学園の美形たちのスキャンダルを利用して小遣い稼ぎしていた新聞部員が生徒会長に目を付けられてめちゃくちゃにされる話。 品もモラルもはないです。なんでも許せる方向け。

発情薬

寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。  製薬会社で開発された、通称『発情薬』。  業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。  社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。

仮面の王子と優雅な従者

emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。 平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。 おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。 しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。 これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。

幼馴染みのセクハラに耐えかねています。

世咲
BL
性格クズな学園の王子様×美形のちょろヤンキー。 (絶対に抱きたい生徒会長VS絶対に抱かれたくないヤンキーの幼馴染みBL) 「二人って同じ名字なんだ」「結婚してるからな!」「違うな???」

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

処理中です...