貴方の傍に…

槇瀬陽翔

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act26

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ここはどこだろう?

すごく暖かくてそれでいて消毒くさい場所?

うっすらと目を開けてみればそこには物すごく怒った顔をした遙とすごく心配そうに見ている真澄さんと喜一さん。
俺の腕には点滴。俺はどうしたんだっけ?

「このバカヤロウが!こんな真冬にしかも雪まで降ってるってのに公園なんかで寝てやがって、てめぇは死にてぇのか!バカヤロウ!」
いきなり遙がそう怒鳴ってきた。あぁそうか俺公園のベンチで寝てたっけ。
「遙ここは病院だよ。静かに。それと菫君。君はもっと自分の行動に責任を持ちなさい。君が起こす行動でどれだけの人に迷惑がかかるか考えなさい」
真澄さんに静かに言われた。
「はい。すみませんでした」
俺は謝ることだけしかできなかった。

結局俺はどこへ行っても邪魔者…。

「もう少し発見が遅ければ本当に死ぬ所だったんだよ。でも無事に目が覚めてよかったよ。しばらくは手足の感覚が麻痺してるだろうけどそれも時期が経てば治るから心配ないよ」
喜一さんが説明をしてくれる。

どうせなら死ねばよかったのに…

「あの…見舞いに来なくていいですから…」
俺はそう呟いていた。
「菫君?」
真澄さんが聞き返してくる。俺は小さく息を吐き
「皆さん忙しいでしょ?真澄さんは理事長をやってるし喜一さんは会社の事もあるし遙さんは生徒会長だし…みんなそれぞれ忙しいのにわざわざ俺のために時間を作ってまで見舞いに来なくていいです。俺は一人で大丈夫ですから」
そう告げる。誰も何も言わない。俺のわがままだってわかってる。でも…
「わかった。菫君がそれでいいならそうしよう。目覚めたばかりだし無理もいけない僕らは帰ろう」
真澄さんは溜め息をつきそう言い出口へと向かっていく。喜一さんも。遙は何か言いたそうな顔をしていたが無言で出て行った。

代わりに入ってきたのは看護師だった。俺が目覚めたからだけどね。検温とか脈拍とか測ってすぐ出て行ったけど…

外はまだ雪が降っていた。あの雪の中で死ねたらよかったのにな…

凍傷を負っていた身体は次第によくなり一人で立つ事もできるようになっていた。

一人きりの病室。凄く静かだった。

色んなことを思い出したり考えたり一人でいる時間が長い分そうなのかもしれない。
嫌な事、ほんの少しでも嬉しかったこと、幸せを感じられたこと…

時間が過ぎるのが凄く長く感じた。

俺が入院して1週間。学校は冬休みに入っていた。あの学院は長期休みになると必ず実家に帰るのが決まりだらしい。
俺も3日後には喜一さんの家に戻ることになる。本当は戻りたくないけど…

夕方、眠くなってうたた寝してて、ふと目覚めたらそこには遙がいた。
「どうして?…忙しいんじゃ?」
俺は聞いてみる。だって遙はスーツ姿だから…遙が実家に帰らないのは会社を幾つか任されているからそれを休みのうちに全て回るからだって喜一さんに教えてもらった。

遙はベッドに腰掛け、
「これが俺へのクリスマスプレゼントだって言うならお前が付けろ」
遙が俺に差し出したのは俺が送ったペンダント…俺はそれを受け取り本当につけていいのか考えてしまう。でも遙はその場から動かない。
俺は戸惑いながら金具を外し、遙の首に腕を回した。俺が何かを言う前に、遙に力強く抱き締められていた。
なんで? わからないまま俺の身体は勝手に遙の背に腕を回し、遙の服を掴んでいた。その途端もっと力強く抱き締められていた。
遙は何も言わない。そのまま二人の時間が止まっていた。でも動いたのは遙だった。
「明日はちゃんと家に帰れよ」
俺を離しそう告げてくる。俺は小さく頷いた。
「じゃぁな」
遙は言うだけ言って出て行ってしまった。なんだったんだろうか?

ふと足首に違和感があり、布団を捲ってみたら右の足首に三連チェーンのアクセサリーがはまっていた。所々に赤い石。俺の誕生石。一体誰が?
普通なら気味が悪くて外す所なんだけどなぜだか外せなかった。だって誰からもらったかわからないものだぜ?普通なら外すよな?
でもこれだけはなぜだか外せなかった。外したくなかった。
心のどこかで淡い期待があった。もしかしたら遙からなのだろうかって…でも聞けなかったけどね。

俺は次の日、迎えに来た喜一さんに連れられ喜一さんの家に戻った。

あの忌まわしい場所と同じ空気を感じさせるようになってしまったあの家に…

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