会長様は別れたい

槇瀬陽翔

文字の大きさ
6 / 42

6話

しおりを挟む
いつもの様に生徒会室で会長としての仕事をしていた。出来上がった書類に不備がないかを確認して、完成済み書類ボックスに書類を入れて、ふと目に留まったカレンダーに動きが止まった。

カレンダーの日付を確認して、溜め息が零れた。


先月、17歳の誕生日を迎えた。誕生日当日は平日ってこともあり、大我だけがお祝いをしてくれたが、その週の週末は大我の実家で、盛大にお祝いをしてもらった。プレゼントもてんこ盛りにもらって、持って帰れないって悲鳴を上げたのは記憶に新しい。
いや、だって、ホントに多かったんだもん。

ぼんやりとそんなことを思い出しながら卓上カレンダーを手に取りページをめくり考え込む。


今後のことをちゃんと考えないと時期が来たんだなと一人納得をして、もう一度溜め息をついた。カレンダーを元の場所に戻して作業を開始しようとしたら
「カレンダーを見て何かあるのか?」
そんな大我の声がして驚いて顔を上げれば書類を持った大我が立っていた。
「あっ、イヤ、帰ってからでいいんだけど相談したいことがあるんだ。いいかな?」
この場所で話す内容じゃない。だけど大我には相談がしたい。そういう意味を込めて聞いてみる。
「それは構わないけど、風紀の方は少し遅くなるぞ?それでもいいか?」
書類を俺に渡しながら返事をしてくれる。
「あぁ、それは大丈夫。今日がダメなら明日でもいいんだ」
そこまで急いでるわけじゃないんだ。
「わかった。なるべく早く戻るようにする」
それだけ言い残し大我は出ていった。
「そこまで急いでるわけじゃないんだけどなぁ…」
1人呟きながら俺は大我の持ってきた書類を確認し始めた。



自分の部屋でやることやってボーっとソファに座って考え事してたら、メールの着信を知らせる音がして、確認したら
『帰ってるから、来るなら来いよ』
って、大我からの連絡だった。俺は携帯と部屋の鍵だけ持って自分の部屋を出て大我の部屋へと向かった。


部屋の扉をノックすれば
「開いてる」
って返事がするから後は勝手知ったるなんとやらで扉を開けて中に入って鍵を閉めた。部屋の中に漂う美味しそうな匂いにぐぅってお腹が鳴った。
「食べるか?」
って聞かれて素直に頷いた。だって、大我の作るご飯はどれも美味しんだ!
「座って待ってな。あー、その前にこれ運んでくれると嬉しい」
大我に差し出された皿を受け取り俺はいつもの場所に行って座った。
「軽くでいいやって思ったから、簡単にできるもんで済ましたから悪いな」
同じように皿を持ってきた大我の言葉に
「なんで俺も食べるって思ったんだよ」
って聞いちゃった。
「愚問。唯斗は一人でいるときは食べないからな。だからこっちに来れば食べると思ったんだ」
大我の言葉は否定できない。
「ホントよく見てるな大我って」
自分でも情けない。全部大我にはお見通しのようだ。
「取り合えず食べよう。その後で話は聞くから」
小さく笑いうながら大我に言われて俺は小さく頷いて、大我の作ってくれたご飯を食べた。他愛もない会話をしながらご飯を食べ終え、片付けも大我がやってくれて、俺は小さく息を吐いた。
「で?相談したいことってのは何だ?風紀として聞かなきゃいけないことか、俺個人としてか、それとも唯斗の恋人としてか?」
俺の前にコーヒーの入ったカップを置きながら聞いてくる言葉に色々と選択肢があったんだなんて考えちゃった。
「えっと、恋人としてかな」
うん、これは風紀の話じゃないし、個人的な相談じゃない。恋人としての相談だ。
「わかった。風紀での相談じゃないなら一先ずいいな。で、俺に相談しなきゃいけないってことは深刻な話なのか?」
それは俺にとって深刻なことが起きてるのか?という確認だ。
「そこまで深刻じゃない。俺が施設育ちなのは大我も知ってるだろ?」
話してあるから知ってるよな?的な意味で聞けば不思議そうな顔をしながらも頷く。
「施設って、18歳までしかいられない決まりなんだ。で、俺先月17歳になっただろ?」
ここまで言えば大我は俺が何を言いたいのかわかるはず。
「連絡がきたのか?」
うん、相変わらず頭の回転が速いですね大我さん。
「ううん。その連絡は来てない。多分、来年になったら言われると思う。定期的に施設にはちゃんとやってるからっていう連絡はしてるし」
まだ、その連絡は来ていないと答えた。
「唯斗は施設を出てからどうしようかって悩んでるのか?」
大我の言葉に俺はコクリと頷いた。


だって、俺が相談したかったことだもん。


卒業後、どうしようか悩んでるから…


大我はどう考えてるか知りたかったんだ…


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

夜が明けなければいいのに(洋風)

万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。 しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。 そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。 長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。 「名誉ある生贄」。 それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。 部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。 黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。 本当は、別れが怖くてたまらない。 けれど、その弱さを見せることができない。 「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」 心にもない言葉を吐き捨てる。 カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。 だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。 「……おめでとうございます、殿下」 恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。 その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。 ――おめでとうなんて、言わないでほしかった。 ――本当は、行きたくなんてないのに。 和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。 お楽しみいただければ幸いです。

溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん

315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。  が、案の定…  対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。  そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…  三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。  そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…   表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?

monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。 そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。 主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。 ※今回の表紙はAI生成です

転化オメガの優等生はアルファの頂点に組み敷かれる

さち喜
BL
優等生・聖利(ひじり)と校則破りの常習犯・來(らい)は、ともに優秀なアルファ。 ライバルとして競い合ってきたふたりは、高等部寮でルームメイトに。 來を意識してしまう聖利は、あるとき自分の身体に妙な変化を感じる。 すると、來が獣のように押し倒してきて……。 「その顔、煽ってんだろ? 俺を」 アルファからオメガに転化してしまった聖利と、過保護に執着する來の焦れ恋物語。 ※性描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※2021年に他サイトで連載した作品です。ラストに番外編を加筆予定です。 ☆登場人物☆ 楠見野聖利(くすみのひじり) 高校一年、175センチ、黒髪の美少年アルファ。 中等部から学年トップの秀才。 來に好意があるが、叶わぬ気持ちだと諦めている。 ある日、バース性が転化しアルファからオメガになってしまう。 海瀬來(かいせらい) 高校一年、185センチ、端正な顔立ちのアルファ。 聖利のライバルで、身体能力は聖利より上。 海瀬グループの御曹司。さらに成績優秀なため、多少素行が悪くても教師も生徒も手出しできない。 聖利のオメガ転化を前にして自身を抑えきれず……。

『定時後の偶然が多すぎる』

こさ
BL
定時後に残業をするたび、 なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。 仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。 必要以上に踏み込まず、距離を保つ人―― それが、彼の上司だった。 ただの偶然。 そう思っていたはずなのに、 声をかけられる回数が増え、 視線が重なる時間が長くなっていく。 「無理はするな」 それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、 彼自身はまだ知らない。 これは、 気づかないふりをする上司と、 勘違いだと思い込もうとする部下が、 少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。 静かで、逃げ場のない溺愛が、 定時後から始まる。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

処理中です...