人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬陽翔

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今更だけど、ありがとう

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結局、俺の熱が完全に下がって、普通に動けるようになるまでに2週間近くかかった。その間、ずっと菊池が看病しながら学校に行ってた。
俺は最後の方で、少しだけ動けるようになってから、半日だけ学校に行って早退して帰ってた。半日が限界だったんだ。半日過ぎると、ふらつくか、熱を出すの繰り返しだった。
そんな状態だったから、担任にも、生徒会の顧問にも、大人しく寝てろと何度も言われた。

「動けるようになった、って言っても強制的に帰されてるんだよな俺」
半日だけ授業を受けて、強制的に担任に帰らされて、菊池の部屋で寛いでた。
「文句言ってねぇで寝てろ。今日のお前は少しだけ熱が出てるからな」
溜め息交じりに言われて、部屋の主である菊池が俺の額に冷えピタを貼る。微熱が出てて、それが高熱にならない様にって言われて、これまた強制的にベッドに寝かされたんだ。
「だって、大丈夫だって思ったんだぜ。何のさぁ」
ブツブツと言えばクシャリと頭を撫でられた。驚いて菊池を見れば
「本人は大丈夫だと思ってても心は拒絶してんだろ?今回は特に酷かったからな」
苦笑を浮かべてた。
「そうだけど…自分で情けない」
そう、本音はこれだ。あんなことでここまで熱を出して、菊池に迷惑をかけたことが自分で情けなくて、許せなかったんだ。
「そう、むくれんな。俺は戻るからちゃんと寝てろよ」
もう一度、俺の頭を撫でて俺が頷いたのを見届けてから出ていった。

パタンッと閉じた扉の音がヤケに大きく聞こえた。俺は溜め息をつきふて寝をしようと目を閉じた。


「んっ、つめた…」
ヒンヤリとした感触に目が覚めて呟いたら
「わりぃな。冷えピタを新しいのに変えたんだ」
普段着に着替えてる菊池がいた。
「あれ?学校は?」
それに驚いて聞けば
「とっくに終わってる時間だ。見事に熟睡してたんだよヒナは」
小さく笑いながら教えてくれた。
「もしかして熱が上がってるのか俺?」
冷えピタを変えたってことはそういうことなんだろうな…。
「少しな。明日、明後日と連休だし気にすることたぁねぇよ」
菊池はそういいながら俺の身体を抱き上げて、場所を変えて隣に横になり抱きしめてくれる。
「侑…ありがと…」
菊池に抱き着き呟けば
「変なこと気にしてねぇで甘えとけ。ヒナだけの特権なんだからよぉ」
ポンポンと俺をあやすように背中を叩く。
「これ以上はマジでこえぇ。けど、止められねぇ」
これ以上甘やかされたらマジで怖いと思う。だけど、もっと、もっと菊池に甘やかされたい。そう思う自分もいる。それは俺が菊池侑司に骨の芯まで依存しているから。
「安心しろ、俺はお前を捨てねぇから。逃がしてやらねぇよ」
ヒデぇ言葉だと思うが、それは俺が菊池に依存するのと同じように、菊池が俺に執着しているからこその言葉だ。
「じゃぁ、死ぬまで責任取ってもらう」
自分でもとんでもない言葉を口にしてると思う。
「そりゃ上等だ」
それでも平然と返事をくれるのがこの男だ。
「侑司、ありがとう。俺をずっと守っててくれて」
今更と思うけどまだ、お礼を言ってなかったんだ。
「傍を離れきゃなならなかったから俺が戻るのは遅くなったけどな」
俺の頭に小さなキスを落としながら言われる言葉に
「んっ、6年は長かった。でも、ちゃんと会えたし、思い出したからいい」
これも本当だ。傍にいなかった6年は長い。だけど、ちゃんとこの場所で再会して、俺は全部思い出せたんだ。だからそれはそれでいいと思ってる。時々、それが不満で文句は言うけどさ。
「まぁ、それは仕方がないな。ほら、もう寝ろ。このままでいるから朝まで寝るぞ」
俺の身体を抱きしめ直し告げられる言葉に小さく頷く。抱きしめられてるせいで、また眠気が襲って来てるんだ。きっと、菊池はそれに気が付いてるから言ったんだろうな。
「ヒナ、おやすみ。明日またゆっくりしよう」
「んっ、おやすみ侑」
菊池の言葉に同じように返事をして、俺は完全に夢の中へと落ちていった。


とくりとくりと聞こえる菊池の心音を子守歌にして、俺は次の日の昼近くまで爆睡していた。


まぁ、そのおかげた完全に熱が下がってたんで、よしとしよう。



Fin


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