人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬陽翔

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気が付いてたのか

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菊池に連れられて来た場所は寮ではなく保健室だった。


「野武こう、ってまたここで吸いやがったな」
保健室に入りながら菊池が言う。うん、タバコのにおいするもんな。

「うるせぇ、ここは俺の城だ。別にかまわねぇだろ」
保健医である野武は悪びれる様子なんかない。まぁ、ガキ相手にそれはねぇよな。

「ほう、じゃぁ喜多河にしっかり報告しとくからな」
「待て待て待て、話し合おうじゃないか菊池!」
菊池の言葉に慌てるのは野武だ。菊池は風紀委員長だし、喜多河は風紀委員の顧問だからな。

「一応、ここは具合の悪くなった生徒や、怪我した生徒が来るんだからよぉ、場所を選べや。吸うなとは言わねぇから」
「クソ、毎回同じこと言いやがるなこいつ」
菊池の言葉に反応する野武の言葉は常習犯なんだとわかるセリフだ。

「で、今回はどうした?」
急に話を変えるあたりさすがだなこの先生。
「あぁ、梅村の頭を見て欲しい。殴られたみてぇだからよ」
菊池のその言葉に驚いた。

「なんで?」
ポツリ出た言葉に
「普段、捕まらずに逃げ切ってるやつが捕まってるってことは不意を突かれたか、後ろを狙われたってことだろうが」
菊池が説明してくれるが、それだけ俺のことを見てくれてるんだなと思った。


普段、本当にこの男は俺のことを守らない。それは俺が自分であいつらの魔の手から逃げきることをわかっているからだ。俺自身がよっぽどミスったりドジったり、体調が悪くない限りはこの男は俺を放置している。
ただ、驚くのは俺がミスったりドジったりすると、捕まる前に現れるから不思議でしょうがない。まぁ、助かってるので文句はないけど。


「ほらこっちにこい梅村」
野武に呼ばれたから俺は溜め息をついて、ヤツの前に行った。椅子に座ればグルって回転されて後ろを向かされた。

「いてぇ、触んな」
触れられた場所が痛くて文句を言えば
「我慢しろそれぐらい」
バッサリと言い切られた。


くそぉ、痛いんだぞこっちは。


「大丈夫だ。怪我はしてない。ただ、コブが出来てるから冷やしとけばいい」
その言葉に少しだけ安心した。コブは痛いが、怪我してねぇならいいや。
「そうか、ならいい。帰るぞ梅村」
野武の言葉を聞き菊池が溜め息をつく。
「わかったよ。先生ありがとな」
俺は野武にお礼を言って立ち上がった。


「おう、ちゃんと冷やせよ」
保健室を出ていく菊池の後を追えば、後ろからそんな声が飛んできたから
「わかった」
返事だけして菊池と一緒に部屋を出た。


その後も会話というものはなくて、お互い無言で歩いてた。


で、やっぱり菊池が向かったのは寮だった。


反抗してもよかったんだけど、後が大変なことになりそうだったから止めた。


まぁ、俺も悪いからな…


Fin


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