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第64話 良薬は口にフュージョン 7
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姿勢を前のめりに低く構えて走り出した馬宮。
狙いは剣崎の腰、肩からぶつかって押し倒す。
「オッサンがうぜぇんだよ! オレの動画の邪魔してくんじゃねぇよ!!」
剣崎は馬宮のタックルを迎え撃つ為に、金属バットをアッパースウィングで振り上げる。
狙いは馬宮の顔面、顎から骨を砕き、ぶっ殺す。
「俺も人のことは言えたもんじゃねぇが、随分素直な反応すんだなぁ、ニィチャン」
馬宮はニヤリと口を歪めると背後に隠し持っていた金属バットを構えた。
無数に蹴散らしたチンピラの三分の一程、道路には金属バットが転がっていた。
打球痕とは違ったへこみ方をしてる金属バットを拾い上げた際に馬宮は、スポーツ用品店がぶちギレるなこれは、と昔通ってた店の店主の顔が頭に過った。
振り上げる剣崎の一撃を叩きつけるように、馬宮は横に構えた金属バットを振り下ろしぶつける。
「互いに脳筋っ! 腕力勝負と行くか、バカヤロウ!」
金属と金属がぶつかり合う音。
金属とアスファルトがぶつかり合う音。
強烈な衝撃に肩の筋を痛め苦痛を漏らす声。
「ク、ソッ──」
耐えきれず手離した金属バットが地面に跳ねる音。
「余裕!!」
馬宮はそう言うと金属バットを持ち直して、剣崎に投げつける。
剣崎は咄嗟に両腕を前に構え防御しようとするが、筋を痛めた右肩が動かなかった。
胸部を狙う軌道の金属バットが剣崎の構えた左腕を打つ。
「弱いな、ニィチャン。ヤクザの喧嘩買うなら鍛えてから出直しな!!」
金属バットをぶつけられ弾かれた左腕、肩を痛めて上がらない右腕。
防御は皆無、走りの勢いは失えど馬宮の姿勢は以前タックル狙い。
肩からぶつかる、押し倒すことを目的としたタックル。
押し倒し、マウントポジションで顔を数回殴打するのが馬宮の常套手段。
深夜の格闘技中継で学んだ喧嘩術。
「タックルの潰し方は、羽姫で何度と観たんだよ、なぁ華澄ちゃん!」
剣崎は嬉々としてそう吠え、華澄は怪訝そうに眉をひそめる。
女子と女子の格闘をどこまで真面目に捉えてるかは、選手としてバイト応募に来た女の子による。
つまりは何処まで格闘経験があるか、だ。
小学生の頃兄弟に連れられて空手をちょっとやったことあります、なんてのは優秀な部類で大抵は、アレって台本有りきですよね殺陣的な?、というスタンス。
そんな手間のかかる台本なんてないと知った未経験者が行うのが、やけくそのタックルだった。
一応パンチやキックを振ってみるものの相手に簡単にいなされて、なすすべなく身体でぶつかりにいく。
そんなやけくその対処を華澄や邦子が何度となくこなしているのを剣崎は観てきた。
背中に肘落とし、両手を手を組んで後頭部を叩く、それらは腕が動かないので無理だ。
やれることは。
肩をぶつける、その為の挙動の変化に合わせて寸前で突き上げる膝。
動画で華澄が相手の娘の顔面を突き上げた のを観たときは、容赦がないなと剣崎は感嘆したものだ。
しかしあれは手加減していたのだなと、実感する。
突き上げる膝とぶつかろうとするタックルの勢いの衝突。
馬宮の唾と血と歯が飛び散っていく。
顔を跳ね上げる馬宮の目の焦点が何処にも合っていないのを、剣崎はスローモーションで観ている錯覚に陥る。
脳内物質ドバドバだな、と自分が蹴り上げた快感の中で集中状態に入っていることを自覚する。
あの時、華澄は次にどう動いたか?
あの時、邦子は次をどう決めたか?
華澄は上段回し蹴り、得意技にして決め技だ。
タックルを潰された相手にダメ押しのすんどめ。
ショーとしての試合など知らぬ存ぜぬのギブアップ狙い。
邦子は返しにタックルを一発。
タックルというのはこういうもんだと教えてやるのは流石の貫禄だと、剣崎は拍手した。
上段回し蹴りを狙うには踏み込みが足らない。
タックルを返すには体力差がありすぎて更なる反撃が恐い。
金属バットに弾かれた左腕。
弾いた金属バットは上空に舞っていて、剣崎は歯を食い縛り左腕を動かす。
突き動かした左腕が金属バットを掴み──
「チェストォォォォ!!」
剣崎は思いついた掛け声を発して振り下ろした。
酷く鈍い音、骨の折れる音。
足掻くように何とか頭部直撃を避けたものの、馬宮の左肩を金属バットが叩き潰した。
「なめんなよ、オッサン!! オレがどれだけ羽姫の試合観てきたと思ってんだ!! 戦い方ぐらい知ってんだよ、バカヤロウ!!!」
吠える剣崎は続けて馬宮にもう一撃。
強引に動かした腕が痛くて上がらないので、前蹴りで胸を一押し。
激痛に踏ん張ることも出来ず馬宮は呆気なく地面に倒された。
狙いは剣崎の腰、肩からぶつかって押し倒す。
「オッサンがうぜぇんだよ! オレの動画の邪魔してくんじゃねぇよ!!」
剣崎は馬宮のタックルを迎え撃つ為に、金属バットをアッパースウィングで振り上げる。
狙いは馬宮の顔面、顎から骨を砕き、ぶっ殺す。
「俺も人のことは言えたもんじゃねぇが、随分素直な反応すんだなぁ、ニィチャン」
馬宮はニヤリと口を歪めると背後に隠し持っていた金属バットを構えた。
無数に蹴散らしたチンピラの三分の一程、道路には金属バットが転がっていた。
打球痕とは違ったへこみ方をしてる金属バットを拾い上げた際に馬宮は、スポーツ用品店がぶちギレるなこれは、と昔通ってた店の店主の顔が頭に過った。
振り上げる剣崎の一撃を叩きつけるように、馬宮は横に構えた金属バットを振り下ろしぶつける。
「互いに脳筋っ! 腕力勝負と行くか、バカヤロウ!」
金属と金属がぶつかり合う音。
金属とアスファルトがぶつかり合う音。
強烈な衝撃に肩の筋を痛め苦痛を漏らす声。
「ク、ソッ──」
耐えきれず手離した金属バットが地面に跳ねる音。
「余裕!!」
馬宮はそう言うと金属バットを持ち直して、剣崎に投げつける。
剣崎は咄嗟に両腕を前に構え防御しようとするが、筋を痛めた右肩が動かなかった。
胸部を狙う軌道の金属バットが剣崎の構えた左腕を打つ。
「弱いな、ニィチャン。ヤクザの喧嘩買うなら鍛えてから出直しな!!」
金属バットをぶつけられ弾かれた左腕、肩を痛めて上がらない右腕。
防御は皆無、走りの勢いは失えど馬宮の姿勢は以前タックル狙い。
肩からぶつかる、押し倒すことを目的としたタックル。
押し倒し、マウントポジションで顔を数回殴打するのが馬宮の常套手段。
深夜の格闘技中継で学んだ喧嘩術。
「タックルの潰し方は、羽姫で何度と観たんだよ、なぁ華澄ちゃん!」
剣崎は嬉々としてそう吠え、華澄は怪訝そうに眉をひそめる。
女子と女子の格闘をどこまで真面目に捉えてるかは、選手としてバイト応募に来た女の子による。
つまりは何処まで格闘経験があるか、だ。
小学生の頃兄弟に連れられて空手をちょっとやったことあります、なんてのは優秀な部類で大抵は、アレって台本有りきですよね殺陣的な?、というスタンス。
そんな手間のかかる台本なんてないと知った未経験者が行うのが、やけくそのタックルだった。
一応パンチやキックを振ってみるものの相手に簡単にいなされて、なすすべなく身体でぶつかりにいく。
そんなやけくその対処を華澄や邦子が何度となくこなしているのを剣崎は観てきた。
背中に肘落とし、両手を手を組んで後頭部を叩く、それらは腕が動かないので無理だ。
やれることは。
肩をぶつける、その為の挙動の変化に合わせて寸前で突き上げる膝。
動画で華澄が相手の娘の顔面を突き上げた のを観たときは、容赦がないなと剣崎は感嘆したものだ。
しかしあれは手加減していたのだなと、実感する。
突き上げる膝とぶつかろうとするタックルの勢いの衝突。
馬宮の唾と血と歯が飛び散っていく。
顔を跳ね上げる馬宮の目の焦点が何処にも合っていないのを、剣崎はスローモーションで観ている錯覚に陥る。
脳内物質ドバドバだな、と自分が蹴り上げた快感の中で集中状態に入っていることを自覚する。
あの時、華澄は次にどう動いたか?
あの時、邦子は次をどう決めたか?
華澄は上段回し蹴り、得意技にして決め技だ。
タックルを潰された相手にダメ押しのすんどめ。
ショーとしての試合など知らぬ存ぜぬのギブアップ狙い。
邦子は返しにタックルを一発。
タックルというのはこういうもんだと教えてやるのは流石の貫禄だと、剣崎は拍手した。
上段回し蹴りを狙うには踏み込みが足らない。
タックルを返すには体力差がありすぎて更なる反撃が恐い。
金属バットに弾かれた左腕。
弾いた金属バットは上空に舞っていて、剣崎は歯を食い縛り左腕を動かす。
突き動かした左腕が金属バットを掴み──
「チェストォォォォ!!」
剣崎は思いついた掛け声を発して振り下ろした。
酷く鈍い音、骨の折れる音。
足掻くように何とか頭部直撃を避けたものの、馬宮の左肩を金属バットが叩き潰した。
「なめんなよ、オッサン!! オレがどれだけ羽姫の試合観てきたと思ってんだ!! 戦い方ぐらい知ってんだよ、バカヤロウ!!!」
吠える剣崎は続けて馬宮にもう一撃。
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