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第89話 グライムに教えられる 9
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砂埃を起こしながら地面に倒れるティホン。
とりあえず敵っぽい大男に飛び蹴りを当てて、着地してから周囲の状況を確認する香澄。
邦子、平家、馬宮の三人が見知らぬ顔のチンピラ集団と混じる様に倒れている。
「大丈夫ですか、皆さん!?」
香澄の呼び掛けに三人は僅かながらに反応する。
すぐ様起き上がるには厳しい状態だが、まだ気を失ったわけではない。
「……私達のことはいいから、その大男に集中しな」
顔を動かすこともままならぬ、仰向けに倒れる邦子はぼんやりする頭で何とか言葉を発した。
見えはしないが、ティホンの倒れる音と香澄が着地した音だけが聞こえたので、ティホンの暴走に巻き込まれずに済んだ残りのチンピラ達は相変わらず棒立ちで状況を窺ってるのだろう。
観客に徹するならば、今は構ってる余裕は無い。
飛び蹴り一発で大男がノックダウンするとは到底思えないからだ。
邦子の予想通り、ティホンは起き上がる為に動き出した。
のっそりと動き出す様を、香澄は警戒しつつ見ている。
初撃は奇襲としてまともに入ったが、邦子達三人を相手取る実力を考えたら、二撃目は慎重に相手の動きに合わせないとならないだろう。
迂闊な追い討ちは、相手の間合いにただ無防備に入る間抜けな行為だ。
地に手をつき、足で地を踏みつけ、その大きな身体をゆっくりと起こしていくティホンは、反撃の機会を窺ってわざと遅く動いていたが、香澄が攻めて来ないと判断すると再び地に手をつき叩いた。
「オンナコドモガマタフエタ、ココハアソビバカ?」
地面を叩いたのは、テレビで見た相撲の最初の動きを真似てのこと。
しかしティホンはその動作の意味までは理解していなかったので、地面を叩くことで反動を得て低い姿勢の体当たりに繋げていく。
大男の体当たり、真っ直ぐと直線的な動きを香澄は軽やかに横へ避けた。
当たったならひとたまりもないな、と香澄が危機感を抱いていたら、ティホンは体当たりを急ブレーキさせて身体を捻った。
体当たりを当てること自体が目的ではなく、その巨体を生かした暴力的な間合いの詰め方。
そう香澄が気づいた時には、ティホンの右パンチが吊り鐘をつく撞木のような動きで下から振られる。
体当たりを避けた姿勢から次のステップへの移行は遅れをとり、ティホンの右パンチは香澄の左肩を捉えた。
ごんっ、と肩を叩かれる衝撃と痛み。
「痛っっっっ!」
苦痛に漏れる声。
痺れる左肩。
当てることだけを目的とした振り切らないパンチは、引きの動作を意識したもの。
今度は逆に身体を捻るティホンは、続けて左足を振り上げようとしていた。
体幹おかしくない?、と香澄は次の攻撃を察知して、文句とどう対処するかを瞬時に考え始める。
思考と違い身体はまだ巨大なパンチの衝撃を受けている最中だ。
肩から左半身へと伝わっていく衝撃、反撃に転じるのは無理だと冷静に判断する香澄。
ならば、迫り来るティホンの左足には避けの一手しかない。
香澄の頭の高さで振られるティホンのミドルキック。
香澄は迫り来るその左足に沿うように、側転気味の後方宙返りをする。
宙へと跳ねる香澄の頭の下、背中の下をティホンの蹴りが通っていく。
崩れた姿勢から跳ねた為、軌道が甘くなった宙返りは一回転といかず地に手をつかざるを得なくなってしまう。
痺れた左手でちゃんと地面を叩けずに、香澄は逆立ちの状態から俯せに倒れた。
ずさぁっ、と砂埃を上げながら顔と服を擦ってしまう。
ミドルキックを振り切ったティホンはその勢いに乗って、身体を更に捻り回転させ、地面に俯せになる香澄を踏みつけに、軸足を交代させて今度は右足を振り上げた。
顔面の痛みに耐えながら、香澄は右手で地面を叩いて横に転がった。
ドンッ、と重い音が香澄が直前までいた場所で響く。
痺れる左手も歯を食いしばりながら動かして、慌てて身体を起き上がらせる香澄。
視界に映るのは、まだ舗装されていない地面を深く踏みつけたティホンの姿。
大男の体重が乗せられた踏みつけ、まともに踏まれていたら一体どうなっていただろうか?
予想外の俊敏さで続いたティホンの猛攻を凌いだ香澄は、反撃に転じようと息を吐いた。
しかし、そこへ更なるティホンの追撃が迫る。
踏みつけた右足を軸足にした、左足のバックキック。
後方回し蹴りと言うには振りが甘い蹴りの軌道だが、大木の様に太い脚による一蹴り、食らって軽く済むわけが無い。
死角から迫るその蹴りに香澄の反応は遅れ、まともに身体を大木に叩かれた。
勢いの乗り切らない蹴り、しかし小柄な香澄の身体は軽々と吹っ飛ばされ、地面に転がった。
とりあえず敵っぽい大男に飛び蹴りを当てて、着地してから周囲の状況を確認する香澄。
邦子、平家、馬宮の三人が見知らぬ顔のチンピラ集団と混じる様に倒れている。
「大丈夫ですか、皆さん!?」
香澄の呼び掛けに三人は僅かながらに反応する。
すぐ様起き上がるには厳しい状態だが、まだ気を失ったわけではない。
「……私達のことはいいから、その大男に集中しな」
顔を動かすこともままならぬ、仰向けに倒れる邦子はぼんやりする頭で何とか言葉を発した。
見えはしないが、ティホンの倒れる音と香澄が着地した音だけが聞こえたので、ティホンの暴走に巻き込まれずに済んだ残りのチンピラ達は相変わらず棒立ちで状況を窺ってるのだろう。
観客に徹するならば、今は構ってる余裕は無い。
飛び蹴り一発で大男がノックダウンするとは到底思えないからだ。
邦子の予想通り、ティホンは起き上がる為に動き出した。
のっそりと動き出す様を、香澄は警戒しつつ見ている。
初撃は奇襲としてまともに入ったが、邦子達三人を相手取る実力を考えたら、二撃目は慎重に相手の動きに合わせないとならないだろう。
迂闊な追い討ちは、相手の間合いにただ無防備に入る間抜けな行為だ。
地に手をつき、足で地を踏みつけ、その大きな身体をゆっくりと起こしていくティホンは、反撃の機会を窺ってわざと遅く動いていたが、香澄が攻めて来ないと判断すると再び地に手をつき叩いた。
「オンナコドモガマタフエタ、ココハアソビバカ?」
地面を叩いたのは、テレビで見た相撲の最初の動きを真似てのこと。
しかしティホンはその動作の意味までは理解していなかったので、地面を叩くことで反動を得て低い姿勢の体当たりに繋げていく。
大男の体当たり、真っ直ぐと直線的な動きを香澄は軽やかに横へ避けた。
当たったならひとたまりもないな、と香澄が危機感を抱いていたら、ティホンは体当たりを急ブレーキさせて身体を捻った。
体当たりを当てること自体が目的ではなく、その巨体を生かした暴力的な間合いの詰め方。
そう香澄が気づいた時には、ティホンの右パンチが吊り鐘をつく撞木のような動きで下から振られる。
体当たりを避けた姿勢から次のステップへの移行は遅れをとり、ティホンの右パンチは香澄の左肩を捉えた。
ごんっ、と肩を叩かれる衝撃と痛み。
「痛っっっっ!」
苦痛に漏れる声。
痺れる左肩。
当てることだけを目的とした振り切らないパンチは、引きの動作を意識したもの。
今度は逆に身体を捻るティホンは、続けて左足を振り上げようとしていた。
体幹おかしくない?、と香澄は次の攻撃を察知して、文句とどう対処するかを瞬時に考え始める。
思考と違い身体はまだ巨大なパンチの衝撃を受けている最中だ。
肩から左半身へと伝わっていく衝撃、反撃に転じるのは無理だと冷静に判断する香澄。
ならば、迫り来るティホンの左足には避けの一手しかない。
香澄の頭の高さで振られるティホンのミドルキック。
香澄は迫り来るその左足に沿うように、側転気味の後方宙返りをする。
宙へと跳ねる香澄の頭の下、背中の下をティホンの蹴りが通っていく。
崩れた姿勢から跳ねた為、軌道が甘くなった宙返りは一回転といかず地に手をつかざるを得なくなってしまう。
痺れた左手でちゃんと地面を叩けずに、香澄は逆立ちの状態から俯せに倒れた。
ずさぁっ、と砂埃を上げながら顔と服を擦ってしまう。
ミドルキックを振り切ったティホンはその勢いに乗って、身体を更に捻り回転させ、地面に俯せになる香澄を踏みつけに、軸足を交代させて今度は右足を振り上げた。
顔面の痛みに耐えながら、香澄は右手で地面を叩いて横に転がった。
ドンッ、と重い音が香澄が直前までいた場所で響く。
痺れる左手も歯を食いしばりながら動かして、慌てて身体を起き上がらせる香澄。
視界に映るのは、まだ舗装されていない地面を深く踏みつけたティホンの姿。
大男の体重が乗せられた踏みつけ、まともに踏まれていたら一体どうなっていただろうか?
予想外の俊敏さで続いたティホンの猛攻を凌いだ香澄は、反撃に転じようと息を吐いた。
しかし、そこへ更なるティホンの追撃が迫る。
踏みつけた右足を軸足にした、左足のバックキック。
後方回し蹴りと言うには振りが甘い蹴りの軌道だが、大木の様に太い脚による一蹴り、食らって軽く済むわけが無い。
死角から迫るその蹴りに香澄の反応は遅れ、まともに身体を大木に叩かれた。
勢いの乗り切らない蹴り、しかし小柄な香澄の身体は軽々と吹っ飛ばされ、地面に転がった。
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