16 / 215
目的
しおりを挟む
いつもの浮遊感の後、僕の部屋のベッドの上で目覚める。
時刻は20時15分。
大分ジンと話し込んでしまった。情報が多過ぎてもうこのまま寝てしまいたい気分だ。だが両隣から「ぐ~~」と腹の音がし僕を寝かせてはくれないみたいだ。
「お兄ちゃん、おなかすいたぁ。ぎゅーってしてぇ」
「不思議な感覚ね。さっきあんなに食べたのに。やーちゃん私にはちゅーして?」
さて起きてご飯の支度をしないとな。ブーブー言う2人をほっといて先に一階へ降りカレーを温める。
そういえばジンってAIなんだよなぁと不意に思う。人、建物、料理、全てがプログラム。試しにメニューと呟く。
当然何も起きず少し恥ずかしくなる。
あれはゲームであってゲームじゃなかった。全てが本当に存在してるようか感覚がした。全てがリアルだった。爺さん達はあの世界を作って何がしたかったのかな。
……良い人生を、か。
爺さん、貴方方が作った世界は凄かったよ。まだ始めたばかりだけど。
爺さん達の分まで楽しまなきゃな。孫の香織さんや千紗に心から楽しんで、喜んで貰えるように努力するのが僕が爺さんに出来る恩返しかな。
「お兄ちゃん!鍋、鍋!!噴いてる!!」
慌てて火を止め中をかき混ぜる。良かった。底は焦げてないみたいだ。
「もう、やーちゃん火を使ってるときは目を離しちゃダメでしょ」
「そうだよ!ボーッとしてたらカレーの前にお兄ちゃんを食べちゃうよ!!」
ユイは何言ってるかわからなかったが火は気おつけよう。
既にテーブルにはサラダや飲み物などが並んでいた。
いつの間に……。
「「「いただきます」」」
「ん~美味しい!ジンの料理もよかったけどやっぱりお兄ちゃんの方がいい!」
「そうね。味はあるのにお腹にたまらない感覚は奇妙だったわね。私もやーちゃんの方が好き」
お世話でも嬉しい。ユイはスプーンを持ったまま手足をバタバタしない。はしたないわよ。
「んー内容の濃い三時間だったなぁ」
「本当ね、流石情報屋って感じだったわ」
僕らは1時間半くらい話し込んでいた。
「決めたよお兄ちゃん!!私勇者になって聖剣を手に入れるよ!!」
スプーンをビシッとこちらに向け宣言する。
「あらいいわね。私は浮遊城に行ってみたいわ」
ジンとの会話はとても有益な情報が多かった。
初代国王はとある理由から世界を救った時使っていた聖剣を何処かにおいてきた。しかし未だ見つかっていない為ジンはシークレットゾーンにあるのではと考えている。
シークレットゾーンとは地図上にはない場所、魔力塊とある一定の条件で現れる。世界の様々な場所にあり、特に魔力溜りと呼ばれる魔力が濃いところに現れるそうだ。僕らはジンの知ってる6箇所全て教えてもらった。
香織さんの交渉術によって。
……エロ怖かったとだけ言っておこう。
ジンはああ見えてMの様だ。まぁ、香織さん曰くこの世の男は皆Mだそうだ。千紗と姉さん、ユイも頷いていた。怖いなぁ怖いなぁ。
話を戻そう。
シークレットエリア二つは意外と近くにあるらしい。海の上と廃協会に。満月の夜に廃協会の中にあるステンドグラスの一枚が光り、その中に入れるそう。海の上はある場所に岩が3箇所ありある条件が揃うと濃い霧が発生。その中に地図にない島があるそうだ。
浮遊城はその名の通り浮いてる島の上にある城らしい。
なんともファンタジーな世界だ。
余談だがジンは昔ギルとパーティを組んでいたらしい。
幼少期実家の料理屋で働いていたジルは客の冒険者の噂話を聞くのが大好きだったそうだ。そこへ駆け出しのギルと出会い料理のできないギルはジンを誘った。ジンは戦闘はあまり得意ではなかったが斥候、食事、情報収集を得意としていた。
そして名を轟かせ、リーダーのギルはギルドからこの街のギルマスを頼まれパーティは解散。今の店を出した。まぁ要するに料理が趣味の噂好きのおっさんってわけだ!と笑いながら話してくれた。
「お兄ちゃんは何したい?」
「んーそうだなぁ。どの話も魅力的だったからなぁ。僕はユイや姉さん、千紗や香織さんと一緒にあの世界を見てまわりたいかな。いろんな人と話したり色々なもの食べたり冒険したり。とにかく爺さんの作った世界を楽しむ事が目的かな」
「そっか。やーちゃんらしいわね」
「あはっ。確かに!お兄ちゃんらしいかも!!」
そうかな。なんだか少し恥ずかしくなる。
その時携帯が鳴る。
「弥生!どこまで行った?俺たちは森の入り口まで行ったぜ!ユリがウサギは可愛そうだってさわぐから大変だったぜ!」
タクがいきなり頭の悪い話を始めた。
「そうか。僕たちはゆっくり食事してたよ」
「もったいねぇなぁ。俺たちは一番にエリアボスを倒して王都に向かうつもりだ!道わかるか?東の草原のおくの森を抜けて街に出るから北に行く道と王都がある。後山を越えて直接行く道もあるがそこはやめとけ!かなり強いらしい!じゃ俺はもう行くぜ!」
ップーップーップー……。
……落ち着きのないやつだ。
「タク?なんだって?」
「あぁ。まぁ向こうも元気でやってるみたいだ」
「あはは!タクさんらしいね!」
ゲームの話で盛り上がり楽しい食事が終わり、少し食休みをした後再びダイブする。
僕らは浮遊感を感じALOの世界へ旅立った。
時刻は20時15分。
大分ジンと話し込んでしまった。情報が多過ぎてもうこのまま寝てしまいたい気分だ。だが両隣から「ぐ~~」と腹の音がし僕を寝かせてはくれないみたいだ。
「お兄ちゃん、おなかすいたぁ。ぎゅーってしてぇ」
「不思議な感覚ね。さっきあんなに食べたのに。やーちゃん私にはちゅーして?」
さて起きてご飯の支度をしないとな。ブーブー言う2人をほっといて先に一階へ降りカレーを温める。
そういえばジンってAIなんだよなぁと不意に思う。人、建物、料理、全てがプログラム。試しにメニューと呟く。
当然何も起きず少し恥ずかしくなる。
あれはゲームであってゲームじゃなかった。全てが本当に存在してるようか感覚がした。全てがリアルだった。爺さん達はあの世界を作って何がしたかったのかな。
……良い人生を、か。
爺さん、貴方方が作った世界は凄かったよ。まだ始めたばかりだけど。
爺さん達の分まで楽しまなきゃな。孫の香織さんや千紗に心から楽しんで、喜んで貰えるように努力するのが僕が爺さんに出来る恩返しかな。
「お兄ちゃん!鍋、鍋!!噴いてる!!」
慌てて火を止め中をかき混ぜる。良かった。底は焦げてないみたいだ。
「もう、やーちゃん火を使ってるときは目を離しちゃダメでしょ」
「そうだよ!ボーッとしてたらカレーの前にお兄ちゃんを食べちゃうよ!!」
ユイは何言ってるかわからなかったが火は気おつけよう。
既にテーブルにはサラダや飲み物などが並んでいた。
いつの間に……。
「「「いただきます」」」
「ん~美味しい!ジンの料理もよかったけどやっぱりお兄ちゃんの方がいい!」
「そうね。味はあるのにお腹にたまらない感覚は奇妙だったわね。私もやーちゃんの方が好き」
お世話でも嬉しい。ユイはスプーンを持ったまま手足をバタバタしない。はしたないわよ。
「んー内容の濃い三時間だったなぁ」
「本当ね、流石情報屋って感じだったわ」
僕らは1時間半くらい話し込んでいた。
「決めたよお兄ちゃん!!私勇者になって聖剣を手に入れるよ!!」
スプーンをビシッとこちらに向け宣言する。
「あらいいわね。私は浮遊城に行ってみたいわ」
ジンとの会話はとても有益な情報が多かった。
初代国王はとある理由から世界を救った時使っていた聖剣を何処かにおいてきた。しかし未だ見つかっていない為ジンはシークレットゾーンにあるのではと考えている。
シークレットゾーンとは地図上にはない場所、魔力塊とある一定の条件で現れる。世界の様々な場所にあり、特に魔力溜りと呼ばれる魔力が濃いところに現れるそうだ。僕らはジンの知ってる6箇所全て教えてもらった。
香織さんの交渉術によって。
……エロ怖かったとだけ言っておこう。
ジンはああ見えてMの様だ。まぁ、香織さん曰くこの世の男は皆Mだそうだ。千紗と姉さん、ユイも頷いていた。怖いなぁ怖いなぁ。
話を戻そう。
シークレットエリア二つは意外と近くにあるらしい。海の上と廃協会に。満月の夜に廃協会の中にあるステンドグラスの一枚が光り、その中に入れるそう。海の上はある場所に岩が3箇所ありある条件が揃うと濃い霧が発生。その中に地図にない島があるそうだ。
浮遊城はその名の通り浮いてる島の上にある城らしい。
なんともファンタジーな世界だ。
余談だがジンは昔ギルとパーティを組んでいたらしい。
幼少期実家の料理屋で働いていたジルは客の冒険者の噂話を聞くのが大好きだったそうだ。そこへ駆け出しのギルと出会い料理のできないギルはジンを誘った。ジンは戦闘はあまり得意ではなかったが斥候、食事、情報収集を得意としていた。
そして名を轟かせ、リーダーのギルはギルドからこの街のギルマスを頼まれパーティは解散。今の店を出した。まぁ要するに料理が趣味の噂好きのおっさんってわけだ!と笑いながら話してくれた。
「お兄ちゃんは何したい?」
「んーそうだなぁ。どの話も魅力的だったからなぁ。僕はユイや姉さん、千紗や香織さんと一緒にあの世界を見てまわりたいかな。いろんな人と話したり色々なもの食べたり冒険したり。とにかく爺さんの作った世界を楽しむ事が目的かな」
「そっか。やーちゃんらしいわね」
「あはっ。確かに!お兄ちゃんらしいかも!!」
そうかな。なんだか少し恥ずかしくなる。
その時携帯が鳴る。
「弥生!どこまで行った?俺たちは森の入り口まで行ったぜ!ユリがウサギは可愛そうだってさわぐから大変だったぜ!」
タクがいきなり頭の悪い話を始めた。
「そうか。僕たちはゆっくり食事してたよ」
「もったいねぇなぁ。俺たちは一番にエリアボスを倒して王都に向かうつもりだ!道わかるか?東の草原のおくの森を抜けて街に出るから北に行く道と王都がある。後山を越えて直接行く道もあるがそこはやめとけ!かなり強いらしい!じゃ俺はもう行くぜ!」
ップーップーップー……。
……落ち着きのないやつだ。
「タク?なんだって?」
「あぁ。まぁ向こうも元気でやってるみたいだ」
「あはは!タクさんらしいね!」
ゲームの話で盛り上がり楽しい食事が終わり、少し食休みをした後再びダイブする。
僕らは浮遊感を感じALOの世界へ旅立った。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる