Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生

文字の大きさ
47 / 215

王様との面会

しおりを挟む
 昨日はジャックと別れたあと、僕らはフェラールに出向き装備のメンテナンスにポーション類と、食材を買った。

 食材は王都よりフェラールの方が安いためだ。あとは簡単な掃除道具を買った。

 残金90G。
 いつになったら貧乏から抜け出せるのか……。

 さてさて僕らはジャックとケイトに迎えにきてもらい、仰々しく馬車で向かった。服装は流れ人である為今回はこのままでも大丈夫との事。
 門番の代わりにジャックにフェラール伯爵から貰っていた手紙は渡してある。

「わー!近くで見ると本当にでかいね!」
「本当ね。あれが浮いてるなんて考えられないわ」
「ん。壮大」
「ふふ、楽しみね」

 城は遠見ではわからなかったが鎖で地面といくつもつか流れているようだ

 馬車は門の中に入ると地面から鎖がいくつか生えてる野球グランドみたいな広場の中央にある、岩の上に立つ。すると岩が浮き鎖に沿って動き出す。天然のエスカレーターだ。

「これ、どうやって動いているんですか?」
「浮遊石は魔力が溜まると浮き、減ると沈む。あそこに立っている男の前に小さな岩があるだろ?あれで出し入れして魔力を調節して動いているんだ」

 すごい技術だ。城も多少であるなら動かせるらしい。なんでもありだな魔法。

「じゃああの石をこっそり少し盗めばアイリスも飛べるの?」
「ハハッ!残念ながら飛べないな。浮遊石は不思議な石でな。削るとただの石になるんだ。だから飛べないよ」
「ぶーー。ナイスアイデアだと思ったのに」

 頭の上の耳をぺたんと閉じすねるアイリス。

 隊長殿の前で何盗む計画してんだこいつ。


 静かに石の動きは止まる。思ったより快適だった。

「うわーー!すごい景色!!フェラール見えるかなー!?」
「はっはっはっ!流石にフェラールは見えねぇな!フェラール山脈が邪魔しちまってるからな。ほら、クロス町と小さくボーズ街は見えんぜ?あと試練の塔もな」

 そこはすごい景色だった。
 都内の展望台は何ヶ所か行ったことあるがそれとはまるで違う壮大さがある。これを見るだけでAOLをやってる価値はあるかもしれない。

 小さな城壁があり門をくぐる。

 驚いとことに城門の中に街があるまるで空飛ぶモンサンミッシェルのようだ。門をくぐり風景が見えなくなるとここが浮いた城であることを忘れてしまいそうになる。

 城の中に入るとそこには石作の壁にきれいの模様が描かれ赤い絨毯にこれでもかというくらいの大きいシャンデリアがあった。これだけでも、この国がどの程度の財力と技術があるのかがうかがえる。

「まずは、玉座の間まで来てほしい。礼儀は俺の真似をしてくれれば大丈夫だから。その後、王の応接室で、王との面会予定だ。」

 玉座の間。その言葉だけで少し緊張する。

 正面の階段を上り、正面にある豪華な装飾がしてある大きな扉の前で止まる。すると左右にいた兵士がこちらに駆け寄りジャックと何か話をする。

 まさか……。

「四番隊隊長殿、四番隊副隊長殿、流れ人のご一行の、おなーーーりーーーー!!」

 言った!!言いやがった!!本当に言うんだ!!
 アイリスは「おおーー!!」と感動している。これは仕方ない。クリスも感動している。エリザベスの、当然、という顔しているのが不思議でならない。エリーゼは興味なさそうだ。

 ゴゴゴゴゴゴ、と左右の扉が開く。

 中は今までで一番豪華な装飾、赤いじゅうたん。シャンデリアが何個も続いている。というか王様遠いな。

 左右には兵士や貴族が並んでいた。一番奥にはアレクサンドラ第二王子、アメリア第一王女もいる。

 絨毯の上を7割ほど進むとジャックたちが止まったので僕らもマネする。

「ヘンリー・エレクトリカル王様、イザベラ・エレクトリカル女王様、おなーーーりーーーー!!」

 いやぁ、声出てるなーー。しかもイケボやん自分。

 全員が右手を左胸に添え、左足を半歩下げ膝をつく。

 僕らも慌ててマネをする。

 チラッと正面を見ると白いマントに金髪をオールバックにしてかなりイケメンの王様と、白いドレスを身にまとい、サラサラなウェーブの金の髪をした女王様が玉座に座った。

 存在感が半端じゃない。もしかしたら言われなくても体が勝手に膝をついてしまうかもしれない。

 王様と目が合うと、微笑みながらうなずいてくれた。緊張がほぐれていく。いい王様なのかもしれないな。

「面を上げよ」

 低い声で、それでいて決して大きな声を発しているわけでもないのによく遠る声で王様はしゃべる。

 政治家は声質としゃべり方が大事だと聞いたことがあるがまさにその通りだと、今実感する。

「四番隊隊長ジャック、そして副隊長ケイト。ご苦労じゃ。そして流れ人の方々よ。よう来てくれた。わしがヘンリー・エレクトリカルじゃ。そしてこっちがわしの妻イザベラ・エレクトリカルじゃ」

 イザベラは軽く会釈する。

「さて、今回は我が子らが迷惑をかけた。そしてよう救ってくれた。そのことに対し深く謝罪と、そして感謝をしたい」
「四番隊隊長ジャックと副隊長ケイトおぬしらもようやってくれた」

「「はっ、もったいないお言葉」」

 誰だ君たちは。僕の知ってる二人はそんなまじめな感じではなくただの酔っぱらいだ。

「二人には後日‬褒美を取らせる。よいな?」

「「はっ、ありがたき幸せ」」

「そして流れ人諸君。君たちにもささやかながら褒美を用意した。受け取ってくれ」

 王の後ろにいた女性の一人が板の上に何かを載せてくる。

「まず袋には一人につき10万G入っている。収めてくれ」

 ありがたい。今残金が90Gしかないんだ。ありがたくもらっておこう。

「それとわしのサインが入ったカードを受け取ってくれ。それはわしが信頼できる人物にしか渡さない。そのカードの説明は後程、四番隊隊長ジャックからあるだろう」

「次に諸君についてはフェラール伯爵から手紙を貰っておる。おぬしらは、始まりの森のボスを倒し娘の大事なものを届けてくれた、と」

 ゲコタの話ね。あったね。そんなこと。

「伯爵からおぬしらは信頼できる人物であると書いてある。わしらは今腕の立つ冒険者を集めている。理由は魔物の大繁殖に関係している。そこでギルドと連携し、ギルドカードに魔物を倒した数を記載させ、その数におおじた報酬を出している。もちろんこちらから直接素材の依頼などもしている。その協力をしてほしいのだ、受けてくれるか?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー
クエスト、【魔物を大量討伐しよう】

大国外、内に限らずモンスターを大量に討伐せよ。

数により報酬が変わってくる。

100体ーー10000G
1000体ーー50000G
5000体ーーミスリル鉱石、10000G
10000体ーー…………

・・・・・・・・・・・・


このクエストを受けますか?

1、謹んでお受けいたします
2、申し訳ありません、お断りします
3、いゃー、めんどくさいっすよ、かえっていいっすか?
4、そんなことよりイザベラさん、パンツ見せていただけませんか?
5、そんなことより、おなーりーーってもう一回やって!おなーーーりーーって!!!

ーーーーーーーーーーーーーー

 ちょいちょいふざけるよね。AOLって。

「「「「「謹んでお受けいたします」」」」」

「おお、そうか、よかった。では頼んだぞ。ではこれにて」

 そう言い王様は退出し、僕らは再び頭を下げる。その後僕らも退出、今度は応接室に向かう。

「では我々はここで待っている」

 とある部屋の前でジャックとケイトは待つそうだ。
 メイドが問らを開ける。

「おお!待っておったぞ!ほれ!早く座りなさい!!」

 先ほどとは違いフレンドリーな王様がいた。女王様とおじいさんが一人いる。

「おおっやはり美人ぞろいだな!!おおそこの胸の大きいの、わしの嫁に「あ・な・た?」ううん!!冗談じゃて……」

「「「「「…………」」」」」」

 勇者の血筋は巨乳好きなのか?エマさんも巨乳だったしイザベラさんも巨乳だ。


「さ、さてさっそくじゃが指輪を見せてはくれんか?」

 顔を引き締め話すが、まだ目がエリザベスの方をチラチラと見ている。

 こいつ殴ってやりたい……。

 僕が代表して指輪を見せる

「やはり本物か。文献通りじゃ。実在したのか……。」

 じっくり見たあと返される

「ありがとう。まさか生きている間に見れるとは思わなかった」

 僕らは以前聞いた、勇者の装備、鍵の存在、シークレットゾーンに存在する、これについて確認した。

「うむ。間違いない。といっても今まで存在が確認されなかった為、最近になってそうなんじゃないかという予想を立てたに過ぎない。その様子じゃ廃教会の話も聞いておろう?」

「はい。情報屋から聞きました」
「何?情報屋じゃと?もしかしてジンか?」
僕は肯定する。
「そうか。ジンを知っているか。アイツはワシの知る限りこの国で五本指に入る情報屋じゃからな。ならワシから話す事はもうないかの。それが分かっている全てじゃ。だが一つ頼みごとをしても良いか?もし装備を見つけたらよこせとは言わん。ここに持ってきて見せてはくれないか?」

 勿論構わないので承諾する。

「ありがとう。とりあえずフレンド登録しよう。その方が連絡が楽じゃ。それに代わりと言ってはなんだが何かあれば力になるぞ」

 まさか王様と友達になる日が来るとは……。
 ジィジに今度自慢しよう。

「あとは何か欲しいものは無いか?ワシに出せるものがあれば出そう。一万年見つかっていない装備の探索依頼じゃ。一つくらい何か願いを叶えよう」

 王様の願いを叶えようってどの程度が正解なんだろう。迷うな。

「はいはーい!強い武器が欲しいです!」

「うーむ、武器か。申し訳ないが今武器は城でも足りていない状態での。繁殖期に向けて兵士の数を増やしているのでの」

「ざんねーん。ならメイドさんが欲しいです!猫耳の!」
「ん。良いアイデア。猫耳のメイドがいい。」

 さっきまでつまらなそうにしていたエリーゼが反応する。
 どんだけ猫好きなんだよ……。

「ん?猫耳のメイドというと獣人ということか?それなら構わんよ。しかし戦闘出来るメイドとなると限られてくるのぉ」
「んーん!違くてホームの家事をしてくれるメイドさん!料理と掃除と庭の手入れができる人」
「ん。だから一人じゃ足りないニャ。二、三人必要ニャ」

 猫を貰うのに猫になる必要はないぞエリーゼ。
 少し落ち着け。

「そういうことなら、あい分かった。特別に3人のメイドを用意しよう。もちろん給金もこちらが払う。それで良いか?」

「わーい!メイドさんにゃ!」
「ん。やったニャ。猫がニャ。猫が三匹ニャ」

 アイリスまで……。エリーゼ来るのは獣人だからな。猫じゃニャいからニャ?

「ク、クマさんメイドは居ないのかしら?」
「ん?いたかのぉ?」
「あら、庭師に一人居たわ。その子でいいんじゃない?」
「ん。待つニャ!正気かニャ?猫三匹ニャ!!」
「何よクマー!一人くらいいいじゃないクマー!」

 もうお前らわざとだろう。あとクリス。クマーはない。

「後はいきなり人数が増えても色々困るだろうし納めときなさい。ほれ、宰相」
「はっ!こちらに10万Gございます。お納めください」

 またまたG!!

 有り難く頂戴する。

 うちの女達のマネーは下着代に消えるからな。

 こうして無事王様との面会を終え、ホームに帰るのだった。


「ニャーが二匹になってしまったニャー」
「クマー!!一クマゲットクマー!」

 帰ってもうるさかった。


ーーーーーー
シークレットクエスト【国王に面会せよ】クリア!!

報酬
10万G
メイド三人

ーーーーーー
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...