Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生

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初イベント中編

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 森が騒ぎ出す…‥‥。沢山の足音が須賀との見えない敵の多さを教えてくれる。

 ぴょこっ、と一匹のオオカミが森から姿を現す。

「アオオオォォォォン!!」

 街まで聞こえる大きさで、オオカミは吠える……。

「「「「「「アオオオォォォォン!!」」」」」」
「「「「「「ニャーーーーーー!!!」」」」」」
「「「「「「クマーーーーーーー!!」」」」」」」
「「「「「チューーーーーーー!!」」」」」」」」

 森から動物たちの雄たけびが響き渡り、一斉にモンスターが襲い掛かってくる……。

 ナニコレ、メッチャコワイヤン……。

 森から一列に黒い塊が、視野いっぱいに押し寄せてくる。

 ……ナニコレ。メッチャコワイヤン。

 昔の戦争とはこういったものなのだろう。今のリアルはほとんど機械による戦争だ。まぁもちろん人間も戦うが比率は機械の方が多い。

 昔ながらの戦争スタイルのこの状況に、僕は固まってしまった……。

 だって怖いんだもん。辺り一面モンスターなんだもん。人間よりも多いんじゃないですか。こんなの聞いてませんよ。

 なあ、皆だって僕とおんなじ気持ちだろう?


「「「「「戦争じゃぁぁぁーー!!!」」」
「「「「「かかってこいやぁぁぁ!!」」」」」
「「「「歌姫にいいとこみせんじゃぁぁぁ!!」」」」」」
「「「「生き残ってあの子に告白するんじゃーー!!」」」」
「「「私はいっぱい甘い物食べるんじゃーーー」」」」」
「「「「「かっこいい彼氏つくるんじゃーーーー!!!」」」
「「「「「んと、んと、おりゃぁぁぁぁぁ!!」」」」」


 なぜ?
 皆頼もしいな……。皆の雄たけびを聞くと体の緊張はほぐれていく。良かった。頼もしい奴らがこんなにいる……。良しお前ら!!

第一陣は任せた!!行ってこい!!

「さぁ!!行くよお兄ちゃん!!」

 やだよ、怖いもん……。

「待ってアイリス。第一陣は危ないわ。一番死亡確率が高いの。最前線がぶつかり合いお互いその後ろからどんどん人やモンスターがあふれてくる。結果最前線組は挟み撃ちでつぶされるわ」
「そうね。ぶつかる波が二度ほどあって、互いの足並みが止まりかけたときに突っ込むのが効率いいわ」
「ん。それがいいと思う」

 いいこと言ったみんな!!あれが止まっていれば確かに怖くないかもしれない。いつもの戦闘になる。

「そうだぞ?アイリス。焦るんじゃない。戦いは始まったばかりだ」
「え~~。わかったよ。じゃあタイミング教えてね?」

 これでいい。

 少し焦ったがこれならいい。だんだん魔物の距離が狭まる。

「「「「「「「うぉぉぉぉおぉぉぉぉx!!!」」」」」」」
「「「「「ガオォォォォォォォ!!」」」」」」

 ガァァァァァァァン!!

 そんな大きな音を立て前線組がぶつかり合う。いたるところで人や魔物が吹き飛び宙を舞う。

 あっぶね~~。
 あそこにいたら死んでいたかも……。

 その波を押しつぶすように他のプレイヤーもぶつかり混戦状態になる。

 チームワークもないなこれは。ばらばらになっている……。

 お互いが止まり、皆バラバラになる。

「いいわ!!逝きなさい!!」

 ちゃんと生きて帰ってきますよーだ。

「いくよ!!お兄ちゃん!!」
「あぁ、あんまり離れるなよ?」

 僕らも駆け出す。

「やぁぁぁぁあ!!」
「っっはっっっ!!」

 僕らは次々とモンスターを駆逐していく。考えてもみればここは始まりの森。モンスターレベルは低いに決まっている。

 イベントの為か多少は上がっているみたいだがそれでも10~18の間のようだ。

 ほとんど僕らは無双状態になる。

 楽しく思ってしまうほどモンスターを一撃で薙ぎ払う。

 ヘイトを集めすぎたのかウルフの群れが来る。

 同時に正面から3匹飛んできたのを姿勢を低く、ウルフたちをくぐるように乱れ切りをして消す。同時に左右から来たウルフを一歩下がりスラッシュで捌く。

斜め後ろから飛んできたやつを見ずに、気配察知でしゃがんでよけ着地する前に素早く切りかかる。さらに正面の2匹を一閃。

 今の僕カッコよくなかった……?

 ちらりと隣を見る。

「あはははははは!!全然足んないよーー!!」

 アイリスは笑いながらモンスターを蹂躙していた。

 ですよねーー。

 今度は後ろを振り向く。

 エリーゼ、クリス、エリザベスの姿はなかった……。

 ですよねーーー……。

 三人は後方からの支援だ。
 パーティに関係なく危ないところに廻って戦う手はずだ。

「じゃあ僕らは?」

 と聞いたら、

 「あなたたちが危なくなるわけないじゃない」と言われたのを思い出す。

 信頼してくれているのは正直にうれしいが少し寂しい。

 とにかく戦おう。

 僕は剣を振るうい働く、馬車馬のごとく。

 僕は走りながら乱れ切りで切りすすみ働く。馬車馬のごとく……。

 駄目だ。だんだん気持ちが小さくなってきていた。

 周りの皆も同じようだ。顔つきがだんだん険しくなり、一人、また一人と消えていく……。

 まずいな、士気が下がり始めている……。

 人数がだんだん減ってきている……。

 僕もだんだん疲れが見えてきた。いったい何体倒したことだろう。ゲームなのにのどが渇いてきた気がする……。剣を古いフォレストキャットを倒す。

 次はフォレストウルフ……。次はミニベアー……。

「くっっヒール!!」

 僕もだんだん傷が多くなってきた……。だが敵の数は減っている気がしない。やはりボスを倒さなければならないな……。

 だがボスは未だに姿を現さない……。

 もう戦い始めて30分がたっただろうか……。流石に疲労を感じる……。

 ~~~~♪~~~~♪

 気づけばまたあの歌が聞こえてきた。

 しかもさっきよりも大きな声で。きっとレベルが上がったのだろう。

 ほぼ1万人近い人たちにバフをかけ続けているのだ。レベルが上がって当然だ。

 アイーダは北門、南門の方にも廻ってもらい、歌を歌ってもらっている。

「歌だ。歌が聞こえる……」
「歌姫だ。歌姫が歌ってくれている」
「まだだ!まだ俺はやれるぞ!!」
「そうだ!!歌姫ちゃんにカッコ悪いところ見せられるか!!」
「私だってまだ負けてないわよ!!」
「テメェら!!気合入れ直せー!!」
「「「「「「おう!!」」」」」」」」


 皆元気だなぁ……。

 っでもなんだか元気が湧いてきた。
 感情は人に伝わりやすいという話は本当かもしれないな……。

「アオオオォォォォン!!」

 皆が気合入れたときに大きな黒いウルフが森から姿を現す。

「きたぞ!!ボスだ!!」
「あいつを倒せばだいぶ楽になるはずだ!!」
「一斉攻撃を……くそ!!」
「なんだこいつら急に……」
「くそ!!これじゃ近づけねぇ!!」
「弓も魔法も届かないわ!!」

 フォレストウルフたちは急に固まりだし、まるでボスを守っているようだった。

 どうする……。

 早くアイツを倒して楽したい。

「おにーーちゃーーん!!どこーー??」

 ……でかい声だなアイリス。お兄ちゃん少し恥ずかしいよ。

 アイリスがこのタイミングで呼ぶってことはあれしかないな。

 ……無視しよっかな。顔見たら断れなくなるし。

「おにーーちーゃん!!神速の兄貴ーー!!」

 やめなさい。恥ずかしいでしょ。

「おい!!神速の兄貴はどこにいる!!」
「おい神速!!どいつかしらねぇがこんな可愛い妹を無視するんじゃねぇ!」
「そうだぞ!!無視すんな!!うらやましいぞ!!」
「出てこい兄貴!!一発殴ってやる!!」

「駄目だよ殴っちゃ!!アイリスの大好きなお兄ちゃんだよ?」

「「「「「「はい!!殴りません!!」」」」」」」

 ……出づれぇぇ……。

「あ、あの!ここにいますけど……!!」

「おめぇが兄貴……か?お姉ちゃん??」
「ん?女じゃねぇか!!」
「しかもかわいい……」
「いや、よく見ると男じゃない??」
「ロールプレイか??」

 やかましいわ。

「おにーーちゃん発見ーーー!」

 お前が一番やかましいな。

 アイリスは胸に飛び込んでくる。

「おぶっっっ!!??」

 ……耐えた。何とか耐えた。お兄ちゃんの威厳を保てた。

 だが今日一番痛かった。

「お兄ちゃん!!あれやろっっ??」
「っですよねーー……。」

 ということでお兄ちゃん現在お空を飛んでいます。それはもうすごい速度で。お空を飛ぶ魔法覚えても絶対に使わないでいよう。
 だって怖いんだもん。

 しかも下に口明けたウルフがたぁくさん。お兄ちゃん泣きそう。

「……ってふざけてる場合じゃねぇな」

 何とかズザザザザザと音を立てながら着地に成功し、ブラックウルフと向き合う。

 ・ブラックウルフLV28

 あんまり僕と変わんないじゃねえか……。僕はLV34。飛び越えられたウルフたちはこちらに向かってきている。
あまり時間ねぇな。

 こうして再びブラックウルフと戦うことになった……。
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