Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生

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アイーダライブ前編

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「「「おかえりなさいませ(ニャー)」」」

「ただいま。なんか久しぶりだね」
「ただいまぁー!!うぁーアンちゃんなでなでさせてぇ!!」
「ただいまクマ。リリーしっぽ触らせてクマー!!」
「ん。ただいまにゃー。にゃーにゃーさせて。ほれほれにゃー」
「ただいま。メアリー。何か変わった事なかったかしら?」

 土曜日。ここは「カンパニーホーム」

 土曜日だけど今週は戦闘ばかりだったので、今日はゆっくりする事にしていた。

 午前中は家のことに勉強。午後からゆっくりとダイブインした。

「遅いわ皆!!何していたのよ!!」

 アイーダが二階から降りて来ながら怒っている。そう言えばもう帰ってきてたんだったな。

「メアリーに聞いたわよ!!おじい様が来て皆で宴会していたんですって!?なんで私がいない時に呼んでしまうのよ!?私もご挨拶したかったわ!!それに宴会も!!私が歌ったらもっと盛り上がっていたはずなのに」

 アイーダは怒りながら泣きそうになっていた。そう言えばこの子まだ中学生だったな。

「ごめんごめん。別にアイーダがいない時を狙ったわけではないんだ。ジィジの事はAOL稼働前から誘っていたんだ。それがたまたまその日にジィジが来てくれることになって」

 よし。嘘は言ってない。本当は僕達から強くお願いしたのだけれど。そんなことを言ったらまた怒りそうだ。

「あら、そうだったの。それじゃあ仕方ないわね。おじい様にも都合があるものね!!」

 アイーダは納得した。

(ちょろいな)
(ちょろいねぇ)
(ちょろすぎよね)
(ん。ちょろい)
(この子の将来が心配だわ)

 僕らは念話で思っていたことを言い合った。皆同じ感想のようだ。

「そ、それよりライブはどうだったの?ニュースでは満席で盛り上がったって聞いたけど」

 アイーダはこの一週間母親のライブについて行っていた。ニュースでは連日世界的スターのモモリン・モンモーのニュースをやっていた。TVのモニターで大歓声を受けながら歌う姿を見ると、改めてこの子の母親が大物だと実感する。まぁうちのお隣さんほどではないが。

「すごかったわ!!やっぱりプロよね!!普段と舞台の上では全く顔つきが違うもの。普段はホゲーってしているのにライブの日はシュバッっとしているのよ!!」

 わからん。ホゲーはまだしも、シュバッっとした顔ってなんだ?試しにしてみてほしい。

「ならお兄ちゃんみたいだね!!普段はクールだけどモンスターと戦うときはシュバリン!!ってしてるもの!!」
「そんな感じよ!!一緒ね!!」

 わからん。僕シュバリンって顔してたの?気をつけよう。

「そういえばアイーダにお願いがあるのだけれど」
「ん?何かしら?私にできること?」

 エリザベスが何かお願いがあるようだ。

「じゃぶじゃぶの里でライブをやってくれないかしら?」
「じゃぶじゃぶの里で?」

 聞けば、「桜」の宿のおかみさんが最近お客さんが減ってきて困ってる、という話をしていた。エリザベスはそれがクエストの一部なんじゃないかと考えているとのことだ。

 確かにそんなこと言っていたな、よく覚えていたなエリザベス。

 ということでこれからみんなに宣伝してもらって、今晩ライブ開催しますか。僕らは装備のメンテナンスをお願いしてから行く。それと魔石をフランジェシカが欲しがっていたので渡しておく。


「あら、本当に!?嬉しいわ!」

 じゃぶじゃぶの里、旅館「桜」。今みんなでライブの交渉をしているところだった。

ーーーーーーーーーーー
シークレットクエスト発生【客引きをしよう】

しゃぶしゃぶの里は今、魔物の大繁殖期の為、最近お客さんが来なくて困っている。
何とかしてお客さんを以前のように沢山呼び、にぎやかな里を取り戻そう!!

報酬
じゃぶじゃぶの里温泉9割引券。
(この券を使いとある温泉に入ると・・・?)

呼んだお客様の数

0/100

YES/NO

ーーーーーーーーーーーーーー

 どうやらエリザベスの読みは当たったようだ。何故以前はクエストが発生しなかったのだろう?

(ん。多分以前は私たちの返事があいまいだったからだと思う)
(そうね。今回は今晩お客さんを連れてくるって言いきったものね。そこがこのクエストの発生条件だったのかもね)

 なるほどな。しかしエリーゼ達僕の心読みすぎだろ。僕にプライバシーはないのか。

 僕らは迷わずYESを押す。

「あと、こちらからお願いがあるのですが」
「あら、何かしら・私にできることがあれば何でもするわ!」

 おかみさんはノリノリみたいだ。なんかシャキンってポーズ決めてるし。相当暇なのかな?

 この人聞けば50歳を超えているらしい。見た目は30代前半なのに。接客業やってる人ってなんだか若く見えるよな。

「できれば割引みたいなことをやってほしいんですが・・・。例えばライブに来た人限定で一度だけ温泉2割引き、とか。ただライブをやっただけではお客さんは帰ってしまうかもしれないじゃないですか」
「なるほどね。それでライブチケットを持っている人は、それが割引券になっていればそのまま温泉に入ってくれるって事ね!!いいアイデアじゃない!!乗ったわ!!」

 おかみさんはノリノリだった。これで50歳越えか。ぴょんぴょん跳ねてるし。女性の年齢は見た目ではわからないものだ。

「チケットは任せて!!ほかの旅館の人たちに話せば乗ってくれるはずだわ!乗らなければぶっ飛ばしてでも乗らせるわ!!任せておきなさい!!」

 おかみさんはノリノリだった。シャドーボクシングをしている。出来れば暴力はなしな方向でお願いします。旅館を尋ねたら皆の顔がボコボコになっていたらお客さん逃げてしまいます。どんなホラー旅館だ。

 しかし本当に暇なんだろうな。
 宣伝頑張ろう。


 今のプレイヤーの数は6万5千人。しかし5万人は昨日初ダイブインだ。ここまでは来れていないだろう。そう考えると残り1万5千人の中で何人来てくれるか、ということになる。まずは姉妹クランの皆に連絡だな。

「そういうことならドンと任せろ!!名前が「ドン」なだけにな!!「カンパニー」には色々情報提供してもらっていて借りが多いからな!!大船ならぬ筋肉に乗った気分でいろ!!特に広背筋にな!!ガッハッハ!!」
「わ、わかったわ!!広背筋がどこかはわからないけどお願いするわ!!」

 ここは「カンパニー」ホーム。まずは「鋼鉄の騎士団」のドンが時間あるからと来てくれていた。しかし不安になるな、この人と話すと。あとアイーダは乗るんじゃない。

「筋肉に誓って必ず成功させよう!さぁ一緒に!!マッスル!!」
「よ、よろしくね!!こ、こうかしら?ま、まっする」
「違う!!もっと上腕二頭筋を意識するんだ!!はぁぁ!!マ~~ッスル!!」
「は、はぁぁ~!まっする!!」
「ちっがーう!!ウンンマァァァッスル!!」
「うんん、まぁぁぁする!!」

 マッスルどうでもいいわ。さっきからポーズ変わってんじゃねぇか。しかしアイーダまじめだな。ほんとに将来騙されないか心配になってきたな。こうしてドンは帰っていった。まぁ普段からアイーダに協力しているから平気だろう。


「兄貴!!なんかキングスライムと戦ったらしいじゃないですか!!」
「なんで誘って誘ってくんなかったんですか!?」
「兄貴にとって俺たちはそんなもんな関係だったんすか?」
「寂しいっす。シークレットゾーンも誘ってくれてないし」
「最近出番が少ない気がします」
「ただでさえお誘いが少ない僕たちなのに」
「女子からのお誘い「カンパニー」以外からは絶対ないんです!!誘ってくださいよ!!」

 こいつらうるさいな。

 まずはエリーゼ達の10m以内に踏み込んでからしゃべれ。

「だから今回は誘ってるだろ。ライブの宣伝だ」

「ちっがーう!!全然わかってないぜ兄貴!!」
「そうだぜ兄貴!!俺たちは兄貴たちと一緒に熱いバトルがしたいんだ!」
「「ふっ、あとは俺に任せて下がってな」て言いたいんです!!」
「「この戦いが終わったら話があるんだ。」って言いたいんです!!」
「いっそ「この戦いが終わったら結婚しよう。」って言いたい!!」
「「ふ。相手にとって不足なし!!」ってやりたい!!」
「戦闘後に「君の瞳に乾杯だ。って打ち上げがしたい!!」


 全部死亡フラグじゃねぇか。しかし最後のやつセンスないな。

「わかった。わかった。次何かあったらお前たちを最初に誘うよ」

「絶対っすよ!!」
「嘘ついたら許さないっすよ!!」
「嘘つかれるのはつらいな。特に女の子に」
「誘ったら「この後バイトあるんだ」ってバイトしてない子から言われるみたいに」
「17時にメールしたら「ごめん、寝ちゃってた。」って次の日返ってくるメールみたいに」
「12時にメールしたら次の日学校で「ごめん。充電切れてたって言われるみたいに」
「告白したら「仲のいい友達でいよう。」って言われたのに陰で「あれはない。」って気持ちがられたときみたいに」

 お前らはいちいち自分を気ずつけないと気が済まないのか?
 ドM なんだな?それと最後の。それはつらいな。

 こうして「悪魔結社」「鋼鉄の騎士団」の協力は得られた。

 「ダブルナイツ」は今、新人の育成で手が離せないらしい。まぁ仕方ない。だがこれでライブの宣伝は大丈夫だろう。他力本願だが。

 だが僕らは僕らで、ステージ場所とアイーダの衣装の準備などをして大忙しだった。
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