Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~

神城弥生

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フランジェシカ中編

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「オリバーったら、あとで説教ね」
「ほんとだな。勝手に個人情報ばらまきやがって」
「自分は女ばかり追いかけてる変態なくせに」
「それなのにリタの気持ちには気づかないドン感ぶり」
「全く救いようのない奴だな」
「ええ、全くよ」

 僕らが悪態をついていると。

「え、えっと。その、オリバーとは仲悪かったのか?なんか悪いことしたか?」

 とレイはオロオロしだした。

 やはり悪い奴ではないのかもしれない。

「いいや。すみません。それで?PVPをしたいと?」
「あ、ああ!!いいのか!?」

 僕が質問をすると満面の笑みを浮かべて返事をしてくる。口は悪いが真っ直ぐな人なのかもしれない。

「まぁ一度だけなら。」
「ほんとか!?ありがとう!!」

 なんだか調子狂う人だな。真っ直ぐお礼を言われると照れる。

「ところで「俺」って。女性ですよね?」

フランジェシカは申し訳なさそうに聞いてみる。

「んん?あぁ、俺は女だぞ?昔っからこの口調だから20歳になっても治らなくてな!!あ!!リアルの年は内緒な!!あっはっはっは!!あ、でもため口でいいぞ?俺はその辺ゲームの中ではあんまり気にしないからな!!」

「「……」」

まさかの年上だった。まぁよく見れば年上か。口調が少し馬鹿っぽかったので同世代くらいかと思った。

 見れば見るほどこの人は黙っていたら綺麗なおねぇさんだ。少し肌が黒いからギャル系にみえる。犬耳をつけていることから獣人だとわかる。

「あ、じゃあやろっか。?」
「おう!!よろしく頼む!!」

 まぶしい笑顔だった。

 初めにめんどくさいから嘘ついたこと深くお詫びします。心の中で。

 僕はメニュー画面からPVPを選ぶ。

「今LVいくつ?」
「ん?25だ。だが遠慮はいらないぞ?」

 初めて5日で25はすごいな。

 これが新規プレイヤーの救済措置効果か。

 僕は自分のLVをいじる。

 PVPは様々な仕様があってLVを相手に合わせて下げることが出来る。あげることはできないが。

「おい!?何をしているんだ?」
「何ってLVを下げているんだよ、よし。これで僕も25だ」
「余計なことをするな!!年下に遠慮されたくない」
「その年下の可愛いわがままだと思ってよ」
「む。そうか。年下のわがままを聞いてやるのも、年上の務めか」

 僕の切り替えしにしぶしぶ納得する。

 訂正だ。

 この人はいい人だ。

「でもスキルはなくならないから、ハンデは大きいよ?」
「構わん!!それくらい!!」

「READY」

 レイは大盾と片手剣を構え、僕も剣を構える。

 ステータスはほぼ五分。

 恐らくスピードは僕の勝ち。パワーはレイの勝ちだろう。

「GO!!」

 レイはずっしりと盾を構えたまま、突撃してきた。

 それは悪手じゃないか?僕は側面に走る。レイは立ち止まらずそのまま横を向く。僕は姿勢を低くして突っ込み、レイの視線の死角に入ろうと盾の正面に立つ。

「シールドバッシュ!」

 レイは掛け声と共に盾を前に突っ込んでくる。

 それも悪手だ。

 僕は走っていた勢いを殺さず横に飛ぶ。そのまま腰に掛けてあったナイフを抜き、レイの左腕目掛け投げる。

「ッックッ!?」

 刺さる!!

 と思った瞬間レイは一度盾を離し、ナイフをよける。

 僕は魔力脚で大盾をけ飛ばす。

 そのまま切りかかったがレイは転がりながら盾を掴み構える。

 反射神経と、目はいいな。PSプレイヤースキルが高い。LVが上がればかなりの強敵になりそうだ。

「さすが俊足だな。速くてまで追うのがやっとだ」
「まだまだこんなもんじゃなないよ?」

 僕は体を左右に振りながら突っ込む。

「ッックッソッ!?」

 レイは今度は動かずに盾をずらしうまく剣を捌くが、攻撃には転じられないようだ。だが盾の使い方がうまい。
 僕も全くダメージを与えられない。

 試しに正面から魔力脚で蹴ってみる。

「シールドバッシュ!!」

 死角からの攻撃にも関わらずレイは攻撃を返してくる。僕は体制を崩し、一度後ろに下がる。が、素早く距離を詰められてしまう。

 この人うまいな。戦いなれている。

「おい!!なぜスキルを使わない!?私をなめているのか!?」

 レイが怒る。

「違うんだ。楽しくって。こんな戦い方がうまい人とは家族以外で久々でさ」

 僕は素直にほめる。

「そ…そうか。な、なら仕方ないな!!私も楽しいぞ!!お前は身のこなしと言い、剣捌きと言い素人ではないな!!」

 顔を真っ赤にしながらしゃべるレイ。この人20歳なのに褒められてないのかな?

「ジィジの教わったんだ」
「そうか!!お年寄りは大事にしろよ!!」

 いい人やん。この人絶対いい人やん。

 そう言いながら剣を振るってくる。今度は剣と剣のぶつかり合いだ。

 軽く4、5回斬り合う。

 うん。こっちは素人だ。なんか鉄パイプ振り回しているように見えてしまう。

「なぁ。楽しいのはわかるがそろそろ本気を出してくれないか?」

 見抜かれていたか。あんまり手を抜いても失礼だしな。

「じゃあお言葉に甘えて。家族にしか見せてない奥義を見せてあげる」
「奥義だと!?かっこいいじゃねぇか!!是非見せてくれ!!早く!!」

 子供か。はしゃぎすぎだ。

 だがこのLVで果たして何秒もつか。この技スキルLV低いとこっちもダメージあるんだよなぁ。

「じゃあ行くよ?」

 そう言い、僕は「雷神衣威」を身にまとい、かまいたちを出す。

「なっっ!?」

 レイは驚きながら、かまいたちを防ぐが盾を伝い、雷で一瞬動きが止まる。その隙に僕は先ほどと同じように死角に入り右に飛ぶ。

「その手は通じん!!「シールドバッシュ」」

 再びシールドバッシユを、今度は斜めにしてくる。

 だが僕は素早く逆に飛び、剛力で剣を振るう。レイは僕を見失っている隙に右腕が飛ぶ。

「え?うわ!!」

 レイはが驚いている隙に足払いをし、転んだ彼女の喉元に剣を突き付ける。

「まだやる?」
「やるかよ。降参だ」

 こうして僕は勝利を収めたのだった。

「いきなり絡んで悪かったな。でも楽しかったぜ!!またやろう!!」
「PVPはあんまり好きじゃないけど。まぁまた機会があったらね」

 そう言って握手し、僕らは別れた。もちろんフレ交換はしておいた。

 姉妹クラン以外で初めてのプレイヤーのフレンドだ。大事にしなきゃな。不良っぽいけど。

 そう言って僕らは森に出発するのだった。

「あったあった。これこれ。セージの葉。それと花もね。これを集めて?」

 僕はフランジェシカの指示通りのものを集める。

「これを何に使うか聞いていい?」
「もちろんこれでミドルポーションを造るのよ」

 フランジェシカはプレイヤー初のミドルポーションを造るそうだ。

 出来たら売ってもらおう。
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