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ピエロとエヴァンナ
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次の日も学校が終わると皆で急いでダイブイン。最近はこれが日課になってきてしまっている。だが今回のクエストが終わるまでは誰も文句は言わないだろう。
「それじゃあこのまま南に向かうわよ」
山を降りムギ達に乗り込むと南にある「聖都フール」を目指して駆け出す。皆の足取りは思いのほか軽かった。理由はノアの容疑が晴れたからだろう。僕もこれから何が起きようともう迷わず戦える自信がある。
「お兄ちゃん元気になってよかったね!!」
「そうね。ウィルがあんなに思いつめるなんてめったにない事だからね」
「ん。それはそれで可愛かった」
「ふふ。でもそうね。珍しいことだわ」
「そうなのか?まぁ小さい子みたいに鼻水たらしながら泣いてたからな!!」
鼻水は垂らしていない。泣いたかもしれないが。
2時間ほど走り続けるとだんだんと遠くに大きな街が見えてくる。街は大きく城壁に囲まれて山の様に盛り上がり中心部分が一番上にくるようになっている。そしてその一番上には十字架を掲げた大きな建物が確認できた。さすが聖都と言うだけあり教会が大きい。
「さて、どうやって街に入るかが問題だな」
「そうだねー。王子達はすでに指名手配されちゃってるしー」
「ふふ。そこは私に任せて?」
「あら?もしかして……」
「ん。多分そういう事」
僕やアイリスは分からなかったがエリザベスには何かいい方法があるようだ。彼女を信じて門へ堂々と馬を走らせる。
「止まれ!!ギルドカードを提示しろ!!」
「ふふ、慌てないでお兄さん。ねえ、最近兵士が多いけど何かあったの?」
「お、お前達には、関係、ない、事だ……」
エリザベスが門番二人に近づき色仕掛けをしながら顔に触ったと思ったら、門番二人は倒れてしまった。
「な、なにをしたの?」
「ふふ。ウサギに教わった「闇魔法」よ。まだ相手に接触しながらじゃないと効果はないみたいだけど、相手を眠らせることくらいはできるみたいね」
エリザベスの色仕掛けからの攻撃か。一度食らってみたいものだ。
僕らはそのまま堂々と門から中に入り街の中心にある教会に向かう。話によるとここの教会の神官長はノアと仲が良かったらしい。もしかしたら見方をしてくれるかもしれない。
ムギ達から降り教会に入ると近くにいた神官に話しかける。
「すみません。エヴァンナさんはいますか?」
「エヴァンナさんは現在体調不良で休んでおられます」
「では急ぎアレクサンドラが来たとお伝え出来ますか?」
「アレクサンドラ様ですね?わかりました。少々お待ちください」
神官は何の疑いも持たずに奥の部屋へと入っていく。まさかここに王子が来るなんて思わなかったのだろう。
しばらくすると先ほどの神官が走ってくる。
「お待たせしました。すぐにお会いになるそうです」
神官に着いていき奥の部屋にある階段を上り、恐らく建物の上層部まで上る。大きな扉にたどり着くと神官は緊張した顔で扉を丁寧にノックする。
「エヴァンナ様。お連れしました」
「わかりました。お入りください」
扉を開けると先ほどの神官長はお辞儀をしそのまま階段を下りていく。僕らはゆっくりと部屋の中に入るとそこは寝室だった。大きなベッドに座る綺麗な女性がエヴァンナだろう。
「おお、本当に王子様に王女様。どうやってここまで?」
「こちらにいる「カンパニー」と言うクランの流れ人の皆さんに協力していただき何とかここまで来れました。お久しぶりです。エヴァンナさん」
「お久しぶり。エヴァンナ。体調うが悪いと聞いたけど大丈夫なの?」
「そうでしたか……。ええ、最近はすっかり良くなってきました。ですがまだ全快ではないため、このようか格好で失礼します」
エリザベスが横目でエリーゼに合図をすると彼女は頷きエヴァンナさんに近づいていく。
「ん。エヴァンナさん。最近食後によく体調が悪くなったりしない?」
「え?どうでしょう。でも確かにそうかもしれません」
「エリーゼ?」
「ん。ウィル。エヴァンナさんを鑑定してみて?」
エリーゼに言われた通りに「鑑定」するとエヴァンナさんの頭上には「毒」の文字が浮かび上がってきた。
「毒!?」
「ん。恐らくエヴァンナさんは毒を盛られている。恐らく食事に紛れ込ませて」
「え?そんな……」
「ん。でも大丈夫。私が治してあげる」
エリーゼはエヴァンナに向かって「オーバーヒール」を使う。
「な!?この魔法は「オーバーヒール」!?何故あなたが……」
「それについては俺から説明させてもらいます」
アレクサンドラはこれまであった事、アニの街から始まりパランケ、パライス、そしてウサギの話をした。エヴァンナは驚きながらも全ての話を真剣に聞いてくれた。
「信じられません……。しかし王子が嘘をつくとも思えない。いや、事実なのでしょう。そうですか。ブクブクはそんな方法で」
「はい。俺たちはすでにパランケ伯爵やパライスの皆さんの協力を約束してもらってます。あともう少しなんです。ここでエヴァンナさんが協力してくれるならばブクブクをうつことが出来ると思うんです。」
「そうですね。確かにそれだけの力が動けば今の国を動かすことが出来るでしょう。分かりました。協力します。しかし一つ私のお願いを聞いてはもらえないでしょうか」
「何でしょう」
「私に毒を入れた犯人には心当たりがあります。しかしそれを暴くには確実な証拠がなければならないのです。それを見つけて奴の悪事を暴いては頂けませんか?」
犯人が分かっていても証拠を、となると難しいだろう。
「その心当たりのある犯人についてお聞きしても?」
「ええ。その男はブクブク副神官長のいとこにあたるプクプクと言います。恐らく私の席を狙っての事でしょう」
プクプクか。もっとまともな名前はなかったのだろうか。絶対太っているだろそいつ。
「わかりました。その依頼「カンパニー」が引き受けました」
「エリザベス?そんなに簡単に引き受けちゃっていいの?」
「ええ、どうすればいいかはすでに答えが出てるわ。その代わりエヴァンナさん。貴方にもご協力してもらわないとなりません」
「ええ。私にできる事ならば。私は何をすれば?」
「そうですね。死んでもらいます」
エリザベスはそう言いにっこりと笑った。
「本当にこんなことしてていいんでしょうか」
「ほんと心配だわ。そんなにうまく事が運ぶかしら」
「まぁやってみよう。エリザベスが間違ったことなんて今まで一度もないんだし」
「まぁウィルさんがそう言うなら」
次の日、僕らは聖都の大道リの中心の広場で着替えていた。それもずっとインベントリに入っていた「ピエロのコスチューム」や執事服、メイドの格好だ。そして近くの売店で仮面を買い皆で仮装をする
因みにピエロのコスチュームを着ているのは僕とアレクサンドラだ。執事の格好をエミリアとレイが、他4人はメイドの格好だ。因みに俺とアレクサンドラはこの後どうしたらいいかは聞いてない。大通りで不思議な格好をした僕らを観ようと次第に人が集まり僕らを中心に円になっていく。もう後戻りはできない。
因みにエヴァンナはもうすぐ死ぬ予定だ。
「さぁ!!皆さま本日は我々「サーカスカンパニー」にお集まりいただきありがとうございます!!本日はこれから様々な演技で皆さまを楽しませてご覧みせましょう!!」
大きな歓声に包まれる中僕とアレクサンドラは冷汗をかいていた。何も聞いてないし、何もできないぞ僕らは。
「まず私達綺麗なメイドがこれから素晴らしい芸をご覧にみせましょう!!」
そう言うとエリザベスは器用に氷の花をいくつも作り空に放つ。それをクリスが魔法の矢で見事全て打ち抜いて見せ、観客は大歓声を上げる、つかみはいいようだ。その後はアイリスが魔法を斬ったりレイが大きな盾をぶん投げてそれにアイリスが乗ってみたりと様々なパフォーマンスをして観客を楽しませていた。
「な、なぁアレクサンドラ。君何か芸できる?」
「で、出来ませんよ。そういうウィルさんはどうなんですか?っていうかこれなんかまずくないですか?」
「まずいね。僕もできない。どんどん僕らのハードルが上がってる気がする」
エリザベス達が一通り芸をした後今度は僕らの番になる。
「さぁ!!本日のメイン!!ピエロの二人による芸です!!」
「「「「うわあああああ!!!」」」」
観客のテンションは最高潮に達し、僕らの不安も最高潮に達した。一体何をすればいいんだ。
「今からこの二人には目隠しをしてもらいます!!そしてその中我々が先ほどみせた魔法や矢を彼らに放ちます!!しかし!!彼らは目隠しをした状態でそのすべてを剣一本で全て叩き落してくれるはずです!!」
つまり無茶ぶりだった。いつもの無茶ぶりだった。僕らが何かを言う前にエリザベス達は僕らに目隠しをし、僕らを中心に輪になり武器を構える。もし僕らが攻撃を止めなければ観客に当たってしまうかもしれない。かといってすべて避けずにいたら僕らに当たって僕らは死んでしまうかもしれない。つまりただのいじめにしか思えないのだが……。
「では始めます!!皆さま!!人間業とは思えない二人の動きをとくとご覧ください!!」
観客が静かに見守る中、僕とアレクサンドラは急いで「空間把握」を発動させる。全ての攻撃を防がないと死ぬ。僕らは本気になるしかなかった。
「「アイスショット」!!」
「ん。「ライトアロー」!!」
「「かまいたち」!!」
「「乱れ切り!!かまいたち」!!」
四人は同時に僕らに攻撃を仕掛けてくる。ちょっと待てレイ、「乱れ切り」と「かまいたち」の同時使用は反則だ。
僕とアレクサンドラは背を合わせて必死に攻撃を叩き落していく。アレクサンドラが打ち漏らしたものは僕が、僕が防ぎきれなかったものはアレクサンドラが。お互いにカバーしあいながら大量の攻撃を防いでいく。
攻撃は1分ほど続き全て防ぎきった後、静寂に包まれていた辺りに大歓声が響きあたる。都かった。誰も死んでない。僕とアレクサンドラは深いため息をついたのもつかの間、今度は僕とアレクサンドラの人間業とは思えない剣の斬りあいが始まるとエリザベスは叫び、僕らは目隠しをしたまま戦うことになった。もう滅茶苦茶だ。
だがこれが思いのほか観客にはウケてピエロの格好をして目隠しをした二人が器用に剣でた戦うという奇妙な芸が始まった。
そんな時ついに事件が起こる。
「エヴァンナ神官長急死!!神官長が急死した!!これより葬儀を行う!!」
神官服を着た男が大通りで声を上げ、辺りは驚きと悲しみに包まれた……。
「それじゃあこのまま南に向かうわよ」
山を降りムギ達に乗り込むと南にある「聖都フール」を目指して駆け出す。皆の足取りは思いのほか軽かった。理由はノアの容疑が晴れたからだろう。僕もこれから何が起きようともう迷わず戦える自信がある。
「お兄ちゃん元気になってよかったね!!」
「そうね。ウィルがあんなに思いつめるなんてめったにない事だからね」
「ん。それはそれで可愛かった」
「ふふ。でもそうね。珍しいことだわ」
「そうなのか?まぁ小さい子みたいに鼻水たらしながら泣いてたからな!!」
鼻水は垂らしていない。泣いたかもしれないが。
2時間ほど走り続けるとだんだんと遠くに大きな街が見えてくる。街は大きく城壁に囲まれて山の様に盛り上がり中心部分が一番上にくるようになっている。そしてその一番上には十字架を掲げた大きな建物が確認できた。さすが聖都と言うだけあり教会が大きい。
「さて、どうやって街に入るかが問題だな」
「そうだねー。王子達はすでに指名手配されちゃってるしー」
「ふふ。そこは私に任せて?」
「あら?もしかして……」
「ん。多分そういう事」
僕やアイリスは分からなかったがエリザベスには何かいい方法があるようだ。彼女を信じて門へ堂々と馬を走らせる。
「止まれ!!ギルドカードを提示しろ!!」
「ふふ、慌てないでお兄さん。ねえ、最近兵士が多いけど何かあったの?」
「お、お前達には、関係、ない、事だ……」
エリザベスが門番二人に近づき色仕掛けをしながら顔に触ったと思ったら、門番二人は倒れてしまった。
「な、なにをしたの?」
「ふふ。ウサギに教わった「闇魔法」よ。まだ相手に接触しながらじゃないと効果はないみたいだけど、相手を眠らせることくらいはできるみたいね」
エリザベスの色仕掛けからの攻撃か。一度食らってみたいものだ。
僕らはそのまま堂々と門から中に入り街の中心にある教会に向かう。話によるとここの教会の神官長はノアと仲が良かったらしい。もしかしたら見方をしてくれるかもしれない。
ムギ達から降り教会に入ると近くにいた神官に話しかける。
「すみません。エヴァンナさんはいますか?」
「エヴァンナさんは現在体調不良で休んでおられます」
「では急ぎアレクサンドラが来たとお伝え出来ますか?」
「アレクサンドラ様ですね?わかりました。少々お待ちください」
神官は何の疑いも持たずに奥の部屋へと入っていく。まさかここに王子が来るなんて思わなかったのだろう。
しばらくすると先ほどの神官が走ってくる。
「お待たせしました。すぐにお会いになるそうです」
神官に着いていき奥の部屋にある階段を上り、恐らく建物の上層部まで上る。大きな扉にたどり着くと神官は緊張した顔で扉を丁寧にノックする。
「エヴァンナ様。お連れしました」
「わかりました。お入りください」
扉を開けると先ほどの神官長はお辞儀をしそのまま階段を下りていく。僕らはゆっくりと部屋の中に入るとそこは寝室だった。大きなベッドに座る綺麗な女性がエヴァンナだろう。
「おお、本当に王子様に王女様。どうやってここまで?」
「こちらにいる「カンパニー」と言うクランの流れ人の皆さんに協力していただき何とかここまで来れました。お久しぶりです。エヴァンナさん」
「お久しぶり。エヴァンナ。体調うが悪いと聞いたけど大丈夫なの?」
「そうでしたか……。ええ、最近はすっかり良くなってきました。ですがまだ全快ではないため、このようか格好で失礼します」
エリザベスが横目でエリーゼに合図をすると彼女は頷きエヴァンナさんに近づいていく。
「ん。エヴァンナさん。最近食後によく体調が悪くなったりしない?」
「え?どうでしょう。でも確かにそうかもしれません」
「エリーゼ?」
「ん。ウィル。エヴァンナさんを鑑定してみて?」
エリーゼに言われた通りに「鑑定」するとエヴァンナさんの頭上には「毒」の文字が浮かび上がってきた。
「毒!?」
「ん。恐らくエヴァンナさんは毒を盛られている。恐らく食事に紛れ込ませて」
「え?そんな……」
「ん。でも大丈夫。私が治してあげる」
エリーゼはエヴァンナに向かって「オーバーヒール」を使う。
「な!?この魔法は「オーバーヒール」!?何故あなたが……」
「それについては俺から説明させてもらいます」
アレクサンドラはこれまであった事、アニの街から始まりパランケ、パライス、そしてウサギの話をした。エヴァンナは驚きながらも全ての話を真剣に聞いてくれた。
「信じられません……。しかし王子が嘘をつくとも思えない。いや、事実なのでしょう。そうですか。ブクブクはそんな方法で」
「はい。俺たちはすでにパランケ伯爵やパライスの皆さんの協力を約束してもらってます。あともう少しなんです。ここでエヴァンナさんが協力してくれるならばブクブクをうつことが出来ると思うんです。」
「そうですね。確かにそれだけの力が動けば今の国を動かすことが出来るでしょう。分かりました。協力します。しかし一つ私のお願いを聞いてはもらえないでしょうか」
「何でしょう」
「私に毒を入れた犯人には心当たりがあります。しかしそれを暴くには確実な証拠がなければならないのです。それを見つけて奴の悪事を暴いては頂けませんか?」
犯人が分かっていても証拠を、となると難しいだろう。
「その心当たりのある犯人についてお聞きしても?」
「ええ。その男はブクブク副神官長のいとこにあたるプクプクと言います。恐らく私の席を狙っての事でしょう」
プクプクか。もっとまともな名前はなかったのだろうか。絶対太っているだろそいつ。
「わかりました。その依頼「カンパニー」が引き受けました」
「エリザベス?そんなに簡単に引き受けちゃっていいの?」
「ええ、どうすればいいかはすでに答えが出てるわ。その代わりエヴァンナさん。貴方にもご協力してもらわないとなりません」
「ええ。私にできる事ならば。私は何をすれば?」
「そうですね。死んでもらいます」
エリザベスはそう言いにっこりと笑った。
「本当にこんなことしてていいんでしょうか」
「ほんと心配だわ。そんなにうまく事が運ぶかしら」
「まぁやってみよう。エリザベスが間違ったことなんて今まで一度もないんだし」
「まぁウィルさんがそう言うなら」
次の日、僕らは聖都の大道リの中心の広場で着替えていた。それもずっとインベントリに入っていた「ピエロのコスチューム」や執事服、メイドの格好だ。そして近くの売店で仮面を買い皆で仮装をする
因みにピエロのコスチュームを着ているのは僕とアレクサンドラだ。執事の格好をエミリアとレイが、他4人はメイドの格好だ。因みに俺とアレクサンドラはこの後どうしたらいいかは聞いてない。大通りで不思議な格好をした僕らを観ようと次第に人が集まり僕らを中心に円になっていく。もう後戻りはできない。
因みにエヴァンナはもうすぐ死ぬ予定だ。
「さぁ!!皆さま本日は我々「サーカスカンパニー」にお集まりいただきありがとうございます!!本日はこれから様々な演技で皆さまを楽しませてご覧みせましょう!!」
大きな歓声に包まれる中僕とアレクサンドラは冷汗をかいていた。何も聞いてないし、何もできないぞ僕らは。
「まず私達綺麗なメイドがこれから素晴らしい芸をご覧にみせましょう!!」
そう言うとエリザベスは器用に氷の花をいくつも作り空に放つ。それをクリスが魔法の矢で見事全て打ち抜いて見せ、観客は大歓声を上げる、つかみはいいようだ。その後はアイリスが魔法を斬ったりレイが大きな盾をぶん投げてそれにアイリスが乗ってみたりと様々なパフォーマンスをして観客を楽しませていた。
「な、なぁアレクサンドラ。君何か芸できる?」
「で、出来ませんよ。そういうウィルさんはどうなんですか?っていうかこれなんかまずくないですか?」
「まずいね。僕もできない。どんどん僕らのハードルが上がってる気がする」
エリザベス達が一通り芸をした後今度は僕らの番になる。
「さぁ!!本日のメイン!!ピエロの二人による芸です!!」
「「「「うわあああああ!!!」」」」
観客のテンションは最高潮に達し、僕らの不安も最高潮に達した。一体何をすればいいんだ。
「今からこの二人には目隠しをしてもらいます!!そしてその中我々が先ほどみせた魔法や矢を彼らに放ちます!!しかし!!彼らは目隠しをした状態でそのすべてを剣一本で全て叩き落してくれるはずです!!」
つまり無茶ぶりだった。いつもの無茶ぶりだった。僕らが何かを言う前にエリザベス達は僕らに目隠しをし、僕らを中心に輪になり武器を構える。もし僕らが攻撃を止めなければ観客に当たってしまうかもしれない。かといってすべて避けずにいたら僕らに当たって僕らは死んでしまうかもしれない。つまりただのいじめにしか思えないのだが……。
「では始めます!!皆さま!!人間業とは思えない二人の動きをとくとご覧ください!!」
観客が静かに見守る中、僕とアレクサンドラは急いで「空間把握」を発動させる。全ての攻撃を防がないと死ぬ。僕らは本気になるしかなかった。
「「アイスショット」!!」
「ん。「ライトアロー」!!」
「「かまいたち」!!」
「「乱れ切り!!かまいたち」!!」
四人は同時に僕らに攻撃を仕掛けてくる。ちょっと待てレイ、「乱れ切り」と「かまいたち」の同時使用は反則だ。
僕とアレクサンドラは背を合わせて必死に攻撃を叩き落していく。アレクサンドラが打ち漏らしたものは僕が、僕が防ぎきれなかったものはアレクサンドラが。お互いにカバーしあいながら大量の攻撃を防いでいく。
攻撃は1分ほど続き全て防ぎきった後、静寂に包まれていた辺りに大歓声が響きあたる。都かった。誰も死んでない。僕とアレクサンドラは深いため息をついたのもつかの間、今度は僕とアレクサンドラの人間業とは思えない剣の斬りあいが始まるとエリザベスは叫び、僕らは目隠しをしたまま戦うことになった。もう滅茶苦茶だ。
だがこれが思いのほか観客にはウケてピエロの格好をして目隠しをした二人が器用に剣でた戦うという奇妙な芸が始まった。
そんな時ついに事件が起こる。
「エヴァンナ神官長急死!!神官長が急死した!!これより葬儀を行う!!」
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