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目を覚ますと知らない部屋の知らない布団の上に寝かされていました。まったく知らない部屋の、まったく知らない布団でした。なんだかすごく喉が痛くて、ゴホゴホといっぱい咳き込んで、そこで両手と両足が縛られていることに気が付きました。縄じゃありませんでした。プラスチックでできた……なんて言うんですか……結束バンド? はい、多分その結束バンドとかいうものだったと思います。私びっくりして、どうにか外せないかと思って、そこで顔を起こして初めて、知らない人が私のことを見ていることに気が付きました。その人はしゃがみ込んで私をじっと見ていました。部屋が薄暗かったのもあって、若い、お兄さんのような男の人にその時は見えました。
びっくりして息が止まって、一気に目が覚めました。知らない部屋、知らない布団、私を見下ろす知らない人。私、ものすごく怖くて、怖くて、少しでもお兄さんから距離を取ろうと思いました。でもその時、お兄さんの顔を見上げて、お兄さんがびっくりしたような顔で私を見ていることに気が付いたんです。お兄さんは細かく目を揺らしていて、その目が、なんだか私に怯えているように見えました。お兄さんは視線を怯えさせたまま口を何度か動かして、きゅっと口を結んでから、ようやくこう言いました。
「え……ええと……おはよう。ぐ、ぐあい……具合は……どう?」
変な人だと思いました。私を誘拐しておいて、具合がどうか聞くなんて。そこでハッとしたんです。そうだ、私はこのお兄さんに誘拐された。家に引きずり込まれたんだ。学校から帰る途中、急に後ろから誰かに腕を掴まれて、そのまま抱き付かれるように捕まって、知らない家の中に引きずり込まれていきました。そして……その後のことはその時は思い出せなかったけれど、だから私、このお兄さんに誘拐されたんだと思いました
声を上げようとして、そこで初めて、口を何かで塞がれていることに気が付いたんです。猿ぐつわって言うんですか? あんな感じで、口に布が入っていて、頭の後ろで縛られているみたいに感じました。猿ぐつわをさせておいて、具合がどうか聞くなんてなんだかおかしな話だけれど、でも、誘拐犯のお兄さんは、私にそう聞いたんです。私、具合なんて聞かれてもこれじゃあ返事なんてできないって、そう思って、お兄さんのことをじっと見つめ返したけれど、お兄さんは気付いていないのか、困ったような顔をして私を見ているだけでした。だから私、これじゃあ話せないよって意味で声を上げてみたんです。「んー」とか「うー」みたいな声が喉から漏れて、お兄さんはびくっと肩を跳ねさせました。そして「しーっ!」と言いながら私の口を押さえました。私、殺されるかと思いました。口を押さえ付けられただけだったけど、私は子供で、お兄さんは大人。しかも私は両手両足を縛られて猿ぐつわまでされている。そんな状態で大きな手で強く口を押さえられて、殺されるかもしれないって思って当然じゃないですか? 私怖くて、逃げようと盛大に暴れて、そうしたら頭をお兄さんに殴られたんです。
「静かにしろって言ってんだろ!」
そこでお兄さんはハッとして、「だ、大丈夫? 死んでない?」と私にしがみついてきました。両肩を掴まれたんですけど、それがなんだか、しがみつかれているみたいだって思いました。私、喉の上に頭も痛くて、それ以上にもう怖くて、お兄さんを見上げることしかできませんでした。そうしたらお兄さん、ようやく気付いたみたいに、「あ、ああ、ごめんごめん」と言いました。「口を塞がれているのに、具合がどうなんて言えるわけないよね」
私、お兄さんのことが怖くて仕方ありませんでした。頭のおかしい人になんて会ったことはなかったけれど、頭のおかしい人ってきっと、こんな人のことを言うんだろうなと思いました。お兄さんは私の猿ぐつわを外そうと思ったのか、私の頭の後ろに手を伸ばしかけたけれど、「あっ」と小さく声を漏らして途中で手を止めました。
「ああ、でも、どうしよう。外したら君、きっと声を上げるよね……外に聞こえるぐらい大きな声を上げるよね……ど、どうしよう。やっぱり、外すわけにはいかないよなぁ……」
独り言の多い人なのか、お兄さんは「どうしよう」「困ったな」とそのままブツブツ呟きながら首を横に傾げました。何もできないので呆然と見上げていると、お兄さんは困ったように笑いながら首を傾げました
「ご、ごめんね? 外してあげたいけれど、外して大声を出されると、僕、すっごく困るんだ。だから、悪いけれどそのままでいて。今、ご飯を出してあげるからね」
お兄さんはそう言って、私を置いて部屋の外、廊下の向こうへ出て行きました。しばらくして、少し遠くの方でガサガサと音が聞こえました。その間に私は私を確認することにしました。やっぱり両手と両足がプラスチックで縛られていて、口には猿ぐつわ。私がいる部屋を見回すと、部屋の隅からあふれるようにゴミ袋が置いてありました。窓から射し込む光の中で、いっぱいに舞い上がったホコリがキラキラしているのが見えました。
そうしているうちにお兄さんが何かを手に戻ってきました。おばあちゃんが食べるようなお菓子の袋を持っていました。お兄さんはお菓子の袋を開けて、ゴミで塞がれていない床の上に袋を置きました。そしてそのまま、私の頭の後ろに手を伸ばそうとしたけれど、途中で手を止めてまたブツブツと独り言を始めました。
「あっ、ええと、やっぱり駄目だな……外したりしたら叫ばれちゃうよな……可哀想だけど、食べるのは我慢してもらうしかないのかな……」
手を引きそうな様子を見て、私はまた呻きました。大声なんて出さないから、という意味のつもりだったけれど、お兄さんは何を思ったのか、急に首を絞めてきました。前にもこんなことがあった気がする。でも何処であったのかその時は思い出せませんでした。
「声を出すなって言ってるだろう! 僕を殺したいのか? 僕を殺したいのか!?」
ギリギリと首を絞められて、息ができなくて、目がぐるんと奥の方に裏返りそうなのを感じました。意識がなくなる直前で、お兄さんが慌てたように手を離したみたいでした。
「あ……ご、ごめんね!? 大丈夫?」
私はゴホゴホと咳き込みました。口に入れられた布のせいで、息を吸おうとする度に口に布が入ってきて、上手く呼吸ができなくて、もっと苦しくなりました。お兄さんはオロオロと私を見下ろしているだけでした。私はせめて布を外したくて首をむちゃくちゃに振りました。あの時は本当に、死んでしまうんじゃないかと思いました。
「こ……これ、外そう……か? お、大声で叫んだりしないでね……」
お兄さんがようやく布を外してくれたので、私は思いっきりゲホゲホと咳き込むことができました。必死に呼吸をしてなんとか息を吸い込んでその度に咳き込んで、そんなことを普通に息ができるまで続けました。ようやく、普通に息ができるようになったのでお兄さんを見上げると、私の首を絞めたくせに、お兄さんがびくっと肩を揺らすのが見えました。これ以上何かされたら本当に死んでしまうかもしれない。そう思って、私は必死にお兄さんに言いました。
「さ、叫んだりしないので……布で口を縛らないでください……」
お兄さんは悩むみたいに目をきょときょとさせました。本当にこれ以上布を口に入れたくないので、私は必死になってお兄さんに頼みました。
「お、お願いです……絶対、絶対、叫ばないから……」
お兄さんはそれでも迷っているみたいだったけど、急に「はい!」と大声を出して後ろを振り返りました。誰の声もしなかったし、何の音もしなかった。けれどお兄さんは私ではない方を振り返って、勢いよく立ち上がったんです。
「ご、ごめんね? ちょっと行ってくる。大声出したりしないでね」
そう言ってお兄さんは廊下の奥へ行きました。なんだかわかりませんでした。一体何が起こったのか、ちっともわかりませんでした。お兄さんがいない間に、大声を出せば誰かが気付いてくれたかもしれないけれど、出せなかった。怖くてとてもじゃないけれど、声なんて出せませんでした。もしお兄さんに気付かれて、また首を絞められたら。もっと酷いことをされたら。今度こそ殺されたら。前に、テレビで監禁されたという女の人の話を見て、「助けぐらい呼べただろうに」とお父さんが言っていたけど、あの人もきっとこんな気持ちだったんだろうと思いました。
びっくりして息が止まって、一気に目が覚めました。知らない部屋、知らない布団、私を見下ろす知らない人。私、ものすごく怖くて、怖くて、少しでもお兄さんから距離を取ろうと思いました。でもその時、お兄さんの顔を見上げて、お兄さんがびっくりしたような顔で私を見ていることに気が付いたんです。お兄さんは細かく目を揺らしていて、その目が、なんだか私に怯えているように見えました。お兄さんは視線を怯えさせたまま口を何度か動かして、きゅっと口を結んでから、ようやくこう言いました。
「え……ええと……おはよう。ぐ、ぐあい……具合は……どう?」
変な人だと思いました。私を誘拐しておいて、具合がどうか聞くなんて。そこでハッとしたんです。そうだ、私はこのお兄さんに誘拐された。家に引きずり込まれたんだ。学校から帰る途中、急に後ろから誰かに腕を掴まれて、そのまま抱き付かれるように捕まって、知らない家の中に引きずり込まれていきました。そして……その後のことはその時は思い出せなかったけれど、だから私、このお兄さんに誘拐されたんだと思いました
声を上げようとして、そこで初めて、口を何かで塞がれていることに気が付いたんです。猿ぐつわって言うんですか? あんな感じで、口に布が入っていて、頭の後ろで縛られているみたいに感じました。猿ぐつわをさせておいて、具合がどうか聞くなんてなんだかおかしな話だけれど、でも、誘拐犯のお兄さんは、私にそう聞いたんです。私、具合なんて聞かれてもこれじゃあ返事なんてできないって、そう思って、お兄さんのことをじっと見つめ返したけれど、お兄さんは気付いていないのか、困ったような顔をして私を見ているだけでした。だから私、これじゃあ話せないよって意味で声を上げてみたんです。「んー」とか「うー」みたいな声が喉から漏れて、お兄さんはびくっと肩を跳ねさせました。そして「しーっ!」と言いながら私の口を押さえました。私、殺されるかと思いました。口を押さえ付けられただけだったけど、私は子供で、お兄さんは大人。しかも私は両手両足を縛られて猿ぐつわまでされている。そんな状態で大きな手で強く口を押さえられて、殺されるかもしれないって思って当然じゃないですか? 私怖くて、逃げようと盛大に暴れて、そうしたら頭をお兄さんに殴られたんです。
「静かにしろって言ってんだろ!」
そこでお兄さんはハッとして、「だ、大丈夫? 死んでない?」と私にしがみついてきました。両肩を掴まれたんですけど、それがなんだか、しがみつかれているみたいだって思いました。私、喉の上に頭も痛くて、それ以上にもう怖くて、お兄さんを見上げることしかできませんでした。そうしたらお兄さん、ようやく気付いたみたいに、「あ、ああ、ごめんごめん」と言いました。「口を塞がれているのに、具合がどうなんて言えるわけないよね」
私、お兄さんのことが怖くて仕方ありませんでした。頭のおかしい人になんて会ったことはなかったけれど、頭のおかしい人ってきっと、こんな人のことを言うんだろうなと思いました。お兄さんは私の猿ぐつわを外そうと思ったのか、私の頭の後ろに手を伸ばしかけたけれど、「あっ」と小さく声を漏らして途中で手を止めました。
「ああ、でも、どうしよう。外したら君、きっと声を上げるよね……外に聞こえるぐらい大きな声を上げるよね……ど、どうしよう。やっぱり、外すわけにはいかないよなぁ……」
独り言の多い人なのか、お兄さんは「どうしよう」「困ったな」とそのままブツブツ呟きながら首を横に傾げました。何もできないので呆然と見上げていると、お兄さんは困ったように笑いながら首を傾げました
「ご、ごめんね? 外してあげたいけれど、外して大声を出されると、僕、すっごく困るんだ。だから、悪いけれどそのままでいて。今、ご飯を出してあげるからね」
お兄さんはそう言って、私を置いて部屋の外、廊下の向こうへ出て行きました。しばらくして、少し遠くの方でガサガサと音が聞こえました。その間に私は私を確認することにしました。やっぱり両手と両足がプラスチックで縛られていて、口には猿ぐつわ。私がいる部屋を見回すと、部屋の隅からあふれるようにゴミ袋が置いてありました。窓から射し込む光の中で、いっぱいに舞い上がったホコリがキラキラしているのが見えました。
そうしているうちにお兄さんが何かを手に戻ってきました。おばあちゃんが食べるようなお菓子の袋を持っていました。お兄さんはお菓子の袋を開けて、ゴミで塞がれていない床の上に袋を置きました。そしてそのまま、私の頭の後ろに手を伸ばそうとしたけれど、途中で手を止めてまたブツブツと独り言を始めました。
「あっ、ええと、やっぱり駄目だな……外したりしたら叫ばれちゃうよな……可哀想だけど、食べるのは我慢してもらうしかないのかな……」
手を引きそうな様子を見て、私はまた呻きました。大声なんて出さないから、という意味のつもりだったけれど、お兄さんは何を思ったのか、急に首を絞めてきました。前にもこんなことがあった気がする。でも何処であったのかその時は思い出せませんでした。
「声を出すなって言ってるだろう! 僕を殺したいのか? 僕を殺したいのか!?」
ギリギリと首を絞められて、息ができなくて、目がぐるんと奥の方に裏返りそうなのを感じました。意識がなくなる直前で、お兄さんが慌てたように手を離したみたいでした。
「あ……ご、ごめんね!? 大丈夫?」
私はゴホゴホと咳き込みました。口に入れられた布のせいで、息を吸おうとする度に口に布が入ってきて、上手く呼吸ができなくて、もっと苦しくなりました。お兄さんはオロオロと私を見下ろしているだけでした。私はせめて布を外したくて首をむちゃくちゃに振りました。あの時は本当に、死んでしまうんじゃないかと思いました。
「こ……これ、外そう……か? お、大声で叫んだりしないでね……」
お兄さんがようやく布を外してくれたので、私は思いっきりゲホゲホと咳き込むことができました。必死に呼吸をしてなんとか息を吸い込んでその度に咳き込んで、そんなことを普通に息ができるまで続けました。ようやく、普通に息ができるようになったのでお兄さんを見上げると、私の首を絞めたくせに、お兄さんがびくっと肩を揺らすのが見えました。これ以上何かされたら本当に死んでしまうかもしれない。そう思って、私は必死にお兄さんに言いました。
「さ、叫んだりしないので……布で口を縛らないでください……」
お兄さんは悩むみたいに目をきょときょとさせました。本当にこれ以上布を口に入れたくないので、私は必死になってお兄さんに頼みました。
「お、お願いです……絶対、絶対、叫ばないから……」
お兄さんはそれでも迷っているみたいだったけど、急に「はい!」と大声を出して後ろを振り返りました。誰の声もしなかったし、何の音もしなかった。けれどお兄さんは私ではない方を振り返って、勢いよく立ち上がったんです。
「ご、ごめんね? ちょっと行ってくる。大声出したりしないでね」
そう言ってお兄さんは廊下の奥へ行きました。なんだかわかりませんでした。一体何が起こったのか、ちっともわかりませんでした。お兄さんがいない間に、大声を出せば誰かが気付いてくれたかもしれないけれど、出せなかった。怖くてとてもじゃないけれど、声なんて出せませんでした。もしお兄さんに気付かれて、また首を絞められたら。もっと酷いことをされたら。今度こそ殺されたら。前に、テレビで監禁されたという女の人の話を見て、「助けぐらい呼べただろうに」とお父さんが言っていたけど、あの人もきっとこんな気持ちだったんだろうと思いました。
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