ファウスト−FAUST-

藤田吾郎

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第6話 念術の堕天使-コノ世ノ支配-

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午前10時39分。

今、俺のいる部屋の時計の針が指している時間。今日は、店の方は定休日だから、いつもより、ゆっくり寝れたな。

でも、今日は少し出掛ける予定があるから取り敢えず寝巻きから私服に着替える。休日は休むためにあるけど、俺は休みの日は家でゴロゴロと寝てるより、遊びに出掛けて気分をリフレッシュして息抜きする方だからな。

「おはようございます。マスター。」

「おぅ、おはよう。ダビデ。」

ダビデの挨拶した後に色々と準備を進めるとダビデは不思議そうに俺に聞く。

「マスター。今日は、お店の方は休みの様ですが、何処かにお出掛けになるのですか?」

「あぁ。せっかくの休みだからさ。適当に何処かに出掛けて休日を満喫するよ。」

「誰とですか?優菜様ですか?マスター。」

何だか物凄く嬉しそうに聞くダビデ。
またロクでも無いこと考えてるな。

「今日は優菜じゃなくて、祐司と一緒にバイクでツーリングに行くんだ。」

「祐司様とバイクでツーリングですか?」

「あぁ。祐司から昨日、電話が掛かってきて、お互いに休日が合ったからさ。」

「って言うことは。」

なにやらダビデが少し不機嫌になって続けて言った。

「祐司様がいるということは、あの言葉使いも悪く、性格にも品の無いマーレも居るということですね。」

「まぁ、そういう事になるな。」

「……」

更に不機嫌になったよ。どんだけ嫌いなんだよ?あの祐司の付き人のマーレって奴の事。

過去に何かあったのか?ダビデに直接、聞くのが良いかもしれないが。うん。触らぬ神に祟りなしだな。俺がダビデの機嫌を損ねて八つ当たりのトバッチリがくるのはゴメンだからな。


ふと、時計を見てみると時間は午前11時7分を指していた。確か祐司が家に来てくれるみたいだし、予定は11時30分みたいだから少し、まだ予定があるな。

どうするかな?少し軽く飯でも食ってようかなって考えていると窓の外からバイクのエンジン音が聞こえてくる。

俺は窓を開けてみると、そこには祐司がバイクで来たみたいだ。

「よお!祐司。速いじゃねぇか。」

「おはよう。大翔。思ったより早くついちゃったみたいだね。」

祐司はニンマリ笑いながら言い、俺は窓を閉めて、階段で下に降り外へ出ると祐司のバイクはスポーツタイプで色はワインレッドと、まるでアパスルの基本カラーに結びつく色だった。

「祐司。このバイクってまさか……」

「まぁ、支給品だね。大翔のバイクも?」

「まぁな……」

お互いに苦笑いしつつも俺もバイクを出す事にすると俺のバイクはアメリカンのバイクで色は白。ファウストの基本カラーに結びつく色。

「そういや祐司。お前、飯は食ったか?」

「ん~食べてないけど今はそんなに、お腹は空いてないかな。」

「んじゃ走ってる途中で飯屋を見付けたら適当に食うか?」

「そうだね、そうしようか。」


すると家の玄関のドアが開き、出てきたのは優菜である。

「あれ大翔。今日お出掛けするの?」

「まぁ、そうだな。」

優菜は続けて言った。

「あれ~もしかして祐司君!祐司君だよね?!久しぶり!」

「久しぶり~えっーと……」

「私は優菜だよ!」

「あ~優菜ちゃんか!久しぶりだね。元気してた?」

「あ、うん。元気してたかな……?」


少し優菜が元気がない様子だけど俺はその理由を知ってるけど祐司にはまだ話してないからな。今日にでも俺に起こった出来事……いや、優梨の事を……

「祐司、もう行こうぜ。」

「あ、うん。じゃあ行ってくるね優菜ちゃん。」

「いってらっしゃい。大翔に祐司君。」


俺と祐司はヘルメットを被りエンジンをかけて、アクセルを回し走り出してから少し細い路地を抜けて大通りに出てくると俺が先頭を走り、祐司がその後ろを走ってる。

バイクのツーリングは良いもので車でのドライブとはまた違う楽しみがある。車でのドライブはゆっくりと楽しく会話する事が出来るのが良い。

だけどバイクだとゆっくりと楽しく会話を楽しむ事は出来ない会話がエンジンの音や風で話声が聞こえないからな。でもバイクにバイクの良さはある。風を直接、体感に感じられて、まるで今、自分が風になっている感じがまた良い。

アクセルを回す事でスピードが上がる。そして、スピードが上がる事でちょっとしたスリルを感じるのは俺だけかな?だから俺はバイクでのツーリングは結構好きだな。


暫くしてから都会とは全く別の田舎に着き、辺りの景色は森林で覆われていて都会と比べて何もないが空気が澄んでいる様にも思える。

俺もそろそろ、腹も減ったので近くにあったラーメン屋で一回バイクを止める事にする。続いて祐司もバイクを止めてヘルメットを外した。

「祐司。ここで飯でも食わねぇか?」

「良いね。俺もちょうど腹が減ったから何か食べたかったよ。」

「ここのラーメン屋で良いか?」

「良いよ。」

という事で俺と祐司でラーメン屋に入る事にして俺と祐司は店の扉を開くと中年のおじさんが出てくる。

「いらっしゃい!兄ちゃん達!何にするかい?」

店主の中年のおじさんは元気よく迎え入れてくれる。

「ん~どうするかな。祐司は決まったか?」

「うん。決まったよ。」

「んじゃ俺は味噌ラーメンと餃子で。」

俺が頼んだ後に続けて祐司が頼んだ。

「俺は~チャーシューメンの大盛と炒飯の大盛に餃子を二皿で!」

「お、おう……兄ちゃん達、任しとけ!」


……祐司。相変わらずよく食うな。でも、あのおじさん少し、顔が引きつってたぜ……

さすがに普通、祐司みたいな細い体型であんなに食うとは思わないよな…アイツの高校時代はこんな感じだったな。

まず家で朝飯を食べて、次に俺と学校に行く途中に菓子パンやら、おにぎりを色々買って学校に着いたら食べて、中休みにはこれまた大きい弁当箱を早弁。そして、昼休みには学食で大盛ランチを食べてから学校帰りに寄り道でファミレスで食べて、また家に帰っても夕飯を食べる。って言うの1日の飯が六食という人の倍の食事量。

おまけに一回食べる量も多くためか、俺は最初にあの光景を目にした時は見てるだけでお腹いっぱいになったぜ。

本人曰く体重は全く変わらずとの事。一応、ダイエットやら体型維持を頑張ってる女の子には言わない方が良いぞと注意をしておいた。

だってねぇ、あんなに必死で食事量を抑えてダイエットや体型維持を頑張ってる女の子達に、1日六食でおまけに一回で食べる量も多いのに体重が、変わらないって羨ましく思うじゃん。

むしろ妬まれちゃうじゃん。って思ってる内に俺が頼んだ味噌ラーメンが出来上がる。

「へい!味噌ラーメンと餃子な。もう1人の兄ちゃんはもう少し待っててくれよな。」

「はい。わかりました。大翔は先に食べてて大丈夫だよ。」

「おう。んじゃ先に食べてるぜ。」

俺は先に味噌ラーメンを食べる事にする。ここのラーメンはスープに少しクセがあるけど麺はしっかりとコシがあり、スープと麺の絶妙なバランスがまた良いな。

餃子も1つ口に運んでみると熱々で肉汁が口の中に広がる旨さって思いつつ食べてるとどうやら祐司のも出来上がった様だな。

「へい!チャーシューメンの大盛に炒飯の大盛、餃子が二皿な。」

「ありがとうございます!頂きます!」

すると祐司は美味しそうに食べ始め祐司が食べはじめて30分後には祐司はラーメンのスープを飲み終わった。それだけじゃない。炒飯の大盛もご飯粒を1つも残さず餃子があった皿も綺麗に食べきった。

俺はと言うと祐司に少し遅れて食べ終わったけど明らかにおかしい事がある……

俺の方が先に食べ始めたのに対して、祐司は俺よりも遅く食べ始め尚且つ量も俺よりあったのにかかわらず、俺より先に食べ終わった。答えは簡単。祐司は高校時代より食べる量は変わらないって事だ。

「ご馳走さまでした。これで腹八分目かな。」

訂正しよう高校時代より進化していたよ……

「おぉ!そうかい。旨かったか?」

「凄く美味しかったですよ!また来たいです。」

「おう!また来な!」

そして、俺達は会計を済ませてまた走る事にしたのでヘルメットを被る。

「次にどの辺に行くか?」

「ん~そうだね。あっ!」

祐司が何かひらめいた様なので続けて言う。

「あそこにある山の方の頂上に行ってみない?」

「あぁ。それは良いかもな。」

特に俺も行きたい場所もなかったので祐司の提案に賛成してエンジンをかけて、さっきとは逆に今度は祐司が先頭を走り、俺がその後ろを走る事にする。

周りを見てみると森林が立ち並んで、ちょっと下を見てみると崖としか思えない急な坂道もある。


数十分後。山道をグルグルとバイク回りながら頂上に着いて、どうやらこの山道はドライブコースにもなっている様なので駐車場も広く、ベンチや自動販売機が結構ある。

でも今日は俺達しか来ていないようでとても静かに感じる。俺達はエンジンを止めてヘルメットを外しバイクから降りると俺はベンチで少し休憩し祐司は自動販売機でコーヒーを買うことにする。

ベンチに座ると山の頂上から眺める景色は都会の街並みがはっきりと見える。優梨ともこういう所に来たかったな……もちろん祐司とじゃあ、つまらない出来れば優梨ともっと色んな所に行きたかったな……

すると祐司も来て俺に缶コーヒーを渡す。

「はい、大翔も。微糖コーヒーで良かったよね?」

「あぁ、サンキューな。」

俺に缶コーヒーを渡した後に祐司は缶のミルクティーを開ける。

「ここの景色、良いね大翔。」

「俺もそう思ったよ。」

そう言いながら俺も缶コーヒーを開けて一口飲む。


「大翔。」

「どうした?」

「ちょっと聞きづらいんだけど良いかな?」

「なんだ?」

「あのさ。優梨ちゃんって今、元気?」


やっぱり優梨の事だったか。そうだよな……優菜がいるって事は優梨の事も気になるのは普通だよな……

でも祐司は知らないんだよな……俺も優梨もあの日にべリアルに襲われて、優梨が殺されて俺だけが助かったなんて知ったら軽蔑されるだろうな……

暫くお互いに沈黙が続く。やっぱり祐司には話そう。優梨がべリアルに殺されて、復讐するためにファウストになったんだ。俺が話そうとした時。

「大翔。俺は優梨ちゃんが何かあったのかは解らないけど……でも、大翔や優梨ちゃんに何があっても、俺は大翔の事をダチだと思ってるよ。」

ははは……やっぱり祐司には叶わねぇや。いつもそうだよな……俺が何も言わなくても祐司は誰よりも早く俺の事を気遣ってくれる奴だよ……

お互いに隠し事をしないから、今でもこうやってダチでいられる。ちょっと照れくさいけど、やっぱり祐司に感謝だな。

「祐司。少し話が長くなるけど大丈夫か?」

「大丈夫だよ。勿論、隠し事なしでね。」

祐司は真剣な顔で答えてくれた。俺は、あの日に初めてべリアルに遭遇した時の事……

俺と優梨はべリアルに襲われ、優梨は殺され、俺は普通なら致命傷の傷を危機察知の本能で魔力が発動して、傷が癒えた事。

退院後に前の家から優菜の家に引っ越して今は住み込みで店を手伝ってる事。気を失っている時にゼウスという光の神がべリアルの存在を教えた事。

ヨハネによってファウストの力を授かりべリアルを何体か倒した事。最後に俺は優梨を失った事でファウストの力で復讐を誓った事。


俺が話している間、祐司は真剣な目付きで、ただ黙って俺の話を聞いてくれた。俺が話終わった後に祐司が口を開く。

「そうだったんだ……俺、大翔や優菜ちゃんに無神経な事を聞いちゃったんだね……」

「祐司は悪くねぇよ!仕方ねぇじゃん!だって俺が言わなかったのが悪いし、知らなかったわけだし!」

「でも……」

「大丈夫だよ!優菜にもちゃんと言っておくからさ。」

「そうか……ありがとう大翔。」

「あぁ、こっちこそ、ありがとよ祐司。話を聞いてくれてよ……」

「良いよ。別に、だって俺達はダチだろ?」

「まぁな、ダチでもあり、親友でもあり、悪友でもあるな。」

「でも、今はべリアルを倒す、戦友でもあるんじゃない?」

「まぁな。」

そして、祐司が手を差し出す。

「これからも宜しくね大翔。」

「こちらこそな祐司。」

お互いにがっちりと握手した後に俺の頭に耳鳴りの様な音が響く。俺は祐司を見てみると祐司も頭に耳鳴りの様な音が響いたようだな。

「マスター。べリアルが出現しました。」

「ご主人。べリアルが出てきやがったぜ。」

するとダビデとマーレもべリアルを感知した様子。

「何処にいる?ダビデ。」

「かなり近くにいるようです。マスター。」

「探してみてマーレ。」

「もう目の前にいるみたいですぜ。ご主人。」

俺と祐司は後ろを振り返るとまるで怪しいインド民族の衣装を着たべリアルがいる。俺達が振り返るとべリアル話始めた。

「俺ノ名前ハ、ハヌマーンだ。オ前等ガ、仮面ノ戦士に断罪ノ使徒カ?」

少し薄気味悪く笑いながら問いかけるハヌマーンというべリアル。

「どうやら俺達の事を知ってるみたいだな祐司。」

「有名人になると色々と苦労するんだね大翔。」

「そうそう。有名人は辛いね~。ダビデ来い。」

「正体バレると誤魔化せないし~。マーレ来て。」


俺はファウストグローブを手に嵌めて腹部からファウストバックルを出現させる。祐司もアパスルバックルを腹部から出現させている。

「「行くぞ!べリアル!」」


俺はファウストフォンを開き、CLEARボタンを押し、さらにENTERボタンを押した。

【Standby OK Master】

ダビデの機械音が鳴る。

「変身!」

掛け声と同時にファウストフォンをファウストバックルに入れる。

【Wake Up Change】

ダビデの機械音と同時にファウストに変身する。


次に祐司はアパスルフォンを180度に開き織り込んでCLEARボタンと、ENTERボタンを押す。

【Are You Ready? Master】

マーレから機械音がなる。

「変身」

更に銃身を差し込んで、最後にベルトの右脇に入れた。

【Wake Up Change】

マーレの機械音と同時に祐司はアパスルに変身した。

俺は両手の掌を合わせて左の手首の甲を添える。

【Reft Arm Blade】

ダビデの機械音と共に左の手首の甲から剣の刃の部分が出てくる。

祐司は銃のグリップのボタンを押し始める。

【304 Sword Ready】

304とボタンを押し、機械音が鳴った後、銃身を逆手に持ち、銃口から細長い剣が出てきてアパスルは剣を逆手に持った状態にする。


俺はハヌマーンに駆け出し、刃を切り付けた。ハヌマーンは避けたが、かすり傷を負う。

「フゥ~…中々ヤリマスネ…」

余裕の表情のハヌマーン。

「俺が居ることも忘れるなよ。」

ハヌマーンの後ろから祐司が背中に切りつけるとハヌマーンは祐司が攻撃してくるのを解っていた様に軽々と避けた。

「モチロン、オ前ノ事モ忘レテイナイ。」

俺と祐司を挑発している口調で言う。今回のべリアルは本当に薄気味悪い奴だな。こう何だ?今までの連中は血の気が荒くて、自分から俺達を殺す気満々だったのに……

今日のべリアルは自分から仕掛けて攻撃しないのが引っ掛かるな。そんな風に考えていると膠着状態が続く。


「ドウシマシタ?仮面ノ戦士?、断罪ノ使徒?二人ガ来ナイナラ俺カラ攻撃スルゾ!」

俺達はハヌマーンの攻撃を仕掛けるのでお互いに武器を構えると、そして、ハヌマーンは手掌を前に出し何か唱え始める。

「破餌津琉寡摩…波!」

唱えた瞬間に俺はヤバイと思い祐司を突き飛ばす。

「祐司!危ない」

そして、俺も祐司と一緒にダイブして避ける。

「祐司。大丈夫か?」

「あぁ、何とかね。」

そして、立ち上がり、後ろを見るとハヌマーンの衝撃波により森林だった木々が、伐採された様にえぐられる。

「ククク……避ケテ正解ダヨ!仮面ノ戦士。俺ガ、サッキ打チ出シタノハ波動拳トイウ衝撃波。ソシテ、俺ガ唱エテタノハ真言(マントラ)ダ。」

「成るほどね。だから大翔はあの時に気付いて俺を突き飛ばしたわけだね。」

「おまけに波動拳という衝撃波は、空気に急激な衝撃を与える事によりある部分に真空を発生させる鎌鼬の一種だ。」

「そして、急激な衝撃を、与えるるためには、それに伴う急激な力。その力を出すのが集中力を爆発的に上げるのが真言って訳ね。」

「祐司、つまり真言を唱えさせない、又は真言を唱え終わる前に攻撃すれば、ハヌマーンの波動拳は放てない。」

「そう言う事ね。」

「見事ダ、ト言イタイガ……口デ言ウノハ簡単ダガ、果タシテ実戦、出来ルカナ?」

「やってやるさ。」

「俺達を誰と思ってんの?」

「サァナ?」

「「てめぇらべリアルをブッ潰す正義の味方だ!コノヤロオォー!」」

「祐司!バックからの援護射撃を頼む!」

「わかった!」

祐司はグリップのボタンを押し始める。

【486 Gun Ready】

祐司は486とグリップのボタンを押し、銃の様に構え、すると銃口から剣は消えて銃に戻る。俺はハヌマーンに再び攻撃を仕掛けるために走り出す。

「懲リナイ連中ダ……」

ハヌマーンは半ば呆れつつ再び手掌を前に出し真言を唱え始める。

「破餌津琉寡摩……波!」

波動拳を出したが俺の後方から祐司からの援護射撃による火の弾丸が撃たれ、波動拳は相殺される。


「ナルホド…悪クナイケド…波動拳ハ、コンナ使イ方モ」

「させるかよ!」

俺はハヌマーンとの距離をつめて、真言を唱えさせないため切りかかる。
しかし、ヒラリと避けて真言を唱え始める。

「破……」

今度は俺の下段の蹴りを喰らわそうとするがハヌマーンは避けた。

「糞が!」

次は右のストレートのパンチ。ハヌマーンに余裕で避けられた。

「餌……」

「ちっ!」

隙をついて、剣で突き刺すがスンナリ避けられる。

「またか!」

「津……」

「そこだ!」

祐司が隙を見計らい撃ったが、それも避けられてしまう。

「琉……」

「オラッ!」

祐司の攻撃を避けた瞬間に俺の回し蹴りも避けられた。

「寡摩……」

ヤバイ真言を唱え終わりやがった……するとハヌマーンの波動拳は手に溜めたまま俺に向けてきた。

「……波!」

俺はハヌマーンの波動拳を溜めた手掌の掌ていをボディーに直撃する。

「ぐあぁ!」

俺は吹き飛ばされて後ろにいた祐司に背中が、ぶつかり俺と祐司は谷底に落とされた。

「ぐっ」

「つぅ……」

俺と祐司は木々にぶつかり、落下し急な斜面に転がされて、俺達は山頂から遥か下の川の上流に落とされたみたいだな。

「大丈夫か?祐司。」

「うん、大丈夫だよ。大翔は?」

「まぁ、なんとかな。」


「ズイブント余裕ダナ。仮面ノ戦士二断罪ノ使徒。」

意気揚々とステップを踏みながら俺達に近付いて来るハヌマーン。俺は剣を構えて、祐司は銃を向けたが正直、言うと今回は二人がかりでもハヌマーンの相手は厳しい……

さてどうする?俺は辺りを見回し、何かあの動きを封じ込め更に、あの波動拳を使えない様にしたい……

どうする?……ん?これは使えるかもしれない……

「フン!来ナイナラ行クゾ!」

俺の考えは纏まったので実行する事にする。

「言われなくても、こっちから行ってやるよ!」

再び、突進してハヌマーンに切り込みを掛ける。

「おい!大翔!ったく……」

祐司も俺が後先、考えず突っ込むと思い、制止するが、俺は考えがあって突っ込むんだよ。

「破餌津琉寡摩……波!」

ハヌマーンは真言を唱えた後に波動拳を撃つ。俺は波動拳を喰らい森の中に吹き飛ばされる。

「大翔!ちっ!」

祐司は火の弾丸をハヌマーンに撃ち込んだ。

「無駄ダ!……ン?」

ハヌマーンは避けようとしたが避けずに祐司の火の弾丸を喰らった。

「クッ!」

「何で?避けなかったんだ?」

ハヌマーンも祐司も不思議な顔をしていた。

「よぉ……どうだい足を縛りつけられた感想は?」

俺はさっきハヌマーンの波動拳により吹き飛ばされた森の中から出てきて挑発し祐司はハヌマーンの足元を見ると頷いた。

「なるほどね。」

ハヌマーンの足元には俺が森に吹き飛ばされ、俺の錬金術により水草をハヌマーンに絡みつけて動きを封じた訳だよ。

「クソガ!ダガ俺ニハ波動拳ガ……」

「真言は言わさせねぇよ。祐司、川から上がれ。」

祐司は俺の言われた通り、川から上がり、俺は両手の掌を合わせ両手を川に着ける。

「何ヲ、スル気ダ?!」

「こうするんだよ!」

すると徐々に俺の周りから川が凍りついてきた。そして、ハヌマーンも全身に氷付けにされ、身動きも話す事も出来なくなる。俺は左手首の甲にある剣の刃を構え、ファウストフォンを開きCLEARボタンを押す。

【Left Arm Energy Charge】

ダビデの機械音と同時に右足にエネルギーが溜まり始め、祐司も銃を構えてグリップのCLEARボタンを押す。

【Gun Energy Charge】

マーレの機械音と同時に銃にエネルギーが溜まり始める。

「「終わりだ…ハヌマーン…」」

お互いに言った瞬間に俺は左手首を構えて、ENTERボタンを押す。

【Crusher Open……】

ダビデの機械音と同時に口元から牙が出てくる。

【……Assault Slash】

アサルトスラッシュを発動しエネルギーを溜めた左手をハヌマーンに向かって星形の六角形を描く様に斬り込み、祐司も銃を向けてグリップのENTERボタンを押す。

【Fire Launcher】

マーレの機械音と同時にトリガーを引き大きな火の弾が銃口から発射されハヌマーンは見事に粉々になり消滅し、俺と祐司はハヌマーンが倒されるのを確認すると変身を解いた。

「お疲れ様です。マスター。」

「お疲れー!ご主人!」

ダビデとマーレが互いの、ご主人に話し掛けてくれる。

「今回は結構きつかったぜダビデ。」

「でも、流石ですマスター。」

「有り難うよ、ダビデ。」

「結構、危なかったよマーレ。」

「何を言ってやがんでぇ!ご主人!」

「そうか。」

「これからでぇ!ご主人!」

「そうだね。マーレ。」

お互いに励まし合い俺は祐司に話し掛ける。

「祐司、取り合えず登らね?バイク頂上だし。」

「そうだね、あっ!そうだ!」

「何だ?」

「帰りに温泉でも寄ろうよ大翔!」

「おっ!良いねぇ~。」

俺達は談笑しながら頂上に行く。だけど、数日後に俺達は戦う事になる。そう、1人のべリアルによって俺達の運命を変えたらべリアルと戦う事に……



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