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一章
入学式
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パン屋から歩いた後、クレアーレと俺は「あそこは何屋だ」とか「人が多いですね」と話しながら歩いただけで、何処にも寄り道をせず、学校に戻ってきた。
学校を出たのはほんの2、3時間前なのに、色々な所を巡ってきたせいかなんだか久々に見た感じがした。
そろそろクレアーレともお別れだ。俺は校門の前で立ち止まった。
「クレアーレ、もういいよ。ここまで連れてきてくれてありがとう。助かった」
「いえいえ、こちらこそミゼルさんと一緒に街を廻れて楽しかったです。…………それで、お礼の代わりとしてお願いを、……お願いを一つ聞いて頂けませんか?」
クレアーレは顔を赤らめて、恥ずかしそうにそう言った。
そんなに言いづらいことなのだろうか?
「あ、あのこれからはお友達になって頂けないでしょうか? たとえどんなことがあっても」
……なんだそんなことか。
「ああ。これからもよろしくな」
「はい! ではこれからは私のことはクレアと呼んでくださいね」
「わかったよ、クレア」
そう言うと満足そうに彼女は微笑み、手を振って別れた。
あ、俺あんまり仲良くしないようにしようとか思ってたのに、思いっきり仲良くなっちゃってるじゃん……。
その後、部屋で待っていると俺を探し回ってくれていたのか、ゼイゼイに息を切らしたルースが帰ってきた。
割りと怒っていたが、謝罪と感謝を述べると許してくれた。
でも、その後に同じ入学生の女子に案内してもらったって言うと、もっとぶち切れた。
……なんで?
######
そして、あっという間に入学式の日を迎えた。
俺は支給されていた大鷲の校章がデザインされた紺色のブレザーと紅色のネクタイを着用し、ルースと一緒に寮を出た。
講堂に入ると、全校生徒約3万人もの人が収容されていた。この島の学校には試験がなく、書類を送れば入学出来るため、人の数はどうしても多くなってしまうのだ。
壇の上では教頭と名乗った男が進行を務めている。正直いってこの空気はしんどい。
横に座っているルースは目を輝かせて、おー、おー、としか言わなくなってしまった。
確かに、講堂の装飾は見事だ。頭上のきらびやかなシャンデリアに、壇に輝くオーギュスト学園の紋章、金鷲。どれも美しい。
だが、そんなことよりもさっさと終わらせてほしい気持ちの方が遥かに大きい。
「さて、それでは学園長、セレナ・オーギュスト先生からのお話しです」
すると、紅色の髪に藍色の目をした、女がでてきた。相当な美人だ。
「私はこの学校のOBだ。その先輩からのアドバイスとして一つ。私がいた頃よりも今のこの島のレベルは遥かに高い。だが決して途中で諦めるな。
全ては諸君らの努力次第だ。諸君らの健闘を祈る。以上だ」
そう言って静かに去っていった。
凄いなあれがクール美人っていう奴なのか……。
「えー続きまして、生徒会長、太刀川樒の挨拶です。ではお願いします」
教頭がそう言うと、周囲から歓声が上がった。「あの太刀川樒!」「あのファイナリストの!!」
どうやら有名人らしい。へー、っと思っていると、横のルースも興奮している。こちらが見ていることに気が付いたのか、その熱をぶつけてくる。
「ミゼル! あの太刀川樒やぞ! まさか知らんのか!?」
うんと頷くと、はーっと言いながら頭をやれやれと言った風に振る。
なんかルースにそういう風にされるとちょっと、イラッとするな。
「ええかあ、あの人はな魔法はあんまり得意ではないんやが、その分剣術が圧倒的に凄すぎるんや。この島で、いや歴代で最強の剣術使いとも言われとるくらいや。それで、この島の最強を決める大会ファイナルで、二位に輝いた人なんや。ファイナルは外部のテレビで放送されてたから皆知ってるんや。あの剣術は……」
この勢いで何時までも喋り続けそうなルースを無視して、前を見る。だが、何時まで経ってもそれらしき人は現れなかった。
すると教頭が戻ってきた。
「えー、大変申し訳ありませんが、彼女がまた何処かに行ってしまったので、皆さんにご紹介することができません。ですので、生徒会長からの言葉を飛ばして進めさせて頂きます」
……おいおい、大丈夫かよ。
「続きましては、新入生側からのご挨拶を行います。それでは新入生首席の……」
この島の学園には基本的に高校生の年齢で、願書に基本事項を書き込めば誰でも入学できる。俺のような義務教育を受けていない者でも。
だが、そうすると優秀な人材は弱い人達と同列に扱われてしまい、この島には来てもらえなくなってしまう。
そこで、今までに優秀な成績を修めた者はアドバンテージとして入学時からポイントを与えられることによって、より優位に上位へ上がれるようになっているわけだ。
話を戻そう。つまり今から紹介される人物、新入生首席はその優秀な者の中でも飛び抜けて素晴らしい成績を修めた者であり、尚且つ俺が一位になるためには必ずぶつかる相手、つまり俺が殺さなくてはならない相手ということになるわけだ。
だから俺は教頭がその名前を読み上げた後、固まってしまった。何故なら……。
「クレアーレ・ケレベルさん。お願いします」
その人物はクレアだったのだから……。
学校を出たのはほんの2、3時間前なのに、色々な所を巡ってきたせいかなんだか久々に見た感じがした。
そろそろクレアーレともお別れだ。俺は校門の前で立ち止まった。
「クレアーレ、もういいよ。ここまで連れてきてくれてありがとう。助かった」
「いえいえ、こちらこそミゼルさんと一緒に街を廻れて楽しかったです。…………それで、お礼の代わりとしてお願いを、……お願いを一つ聞いて頂けませんか?」
クレアーレは顔を赤らめて、恥ずかしそうにそう言った。
そんなに言いづらいことなのだろうか?
「あ、あのこれからはお友達になって頂けないでしょうか? たとえどんなことがあっても」
……なんだそんなことか。
「ああ。これからもよろしくな」
「はい! ではこれからは私のことはクレアと呼んでくださいね」
「わかったよ、クレア」
そう言うと満足そうに彼女は微笑み、手を振って別れた。
あ、俺あんまり仲良くしないようにしようとか思ってたのに、思いっきり仲良くなっちゃってるじゃん……。
その後、部屋で待っていると俺を探し回ってくれていたのか、ゼイゼイに息を切らしたルースが帰ってきた。
割りと怒っていたが、謝罪と感謝を述べると許してくれた。
でも、その後に同じ入学生の女子に案内してもらったって言うと、もっとぶち切れた。
……なんで?
######
そして、あっという間に入学式の日を迎えた。
俺は支給されていた大鷲の校章がデザインされた紺色のブレザーと紅色のネクタイを着用し、ルースと一緒に寮を出た。
講堂に入ると、全校生徒約3万人もの人が収容されていた。この島の学校には試験がなく、書類を送れば入学出来るため、人の数はどうしても多くなってしまうのだ。
壇の上では教頭と名乗った男が進行を務めている。正直いってこの空気はしんどい。
横に座っているルースは目を輝かせて、おー、おー、としか言わなくなってしまった。
確かに、講堂の装飾は見事だ。頭上のきらびやかなシャンデリアに、壇に輝くオーギュスト学園の紋章、金鷲。どれも美しい。
だが、そんなことよりもさっさと終わらせてほしい気持ちの方が遥かに大きい。
「さて、それでは学園長、セレナ・オーギュスト先生からのお話しです」
すると、紅色の髪に藍色の目をした、女がでてきた。相当な美人だ。
「私はこの学校のOBだ。その先輩からのアドバイスとして一つ。私がいた頃よりも今のこの島のレベルは遥かに高い。だが決して途中で諦めるな。
全ては諸君らの努力次第だ。諸君らの健闘を祈る。以上だ」
そう言って静かに去っていった。
凄いなあれがクール美人っていう奴なのか……。
「えー続きまして、生徒会長、太刀川樒の挨拶です。ではお願いします」
教頭がそう言うと、周囲から歓声が上がった。「あの太刀川樒!」「あのファイナリストの!!」
どうやら有名人らしい。へー、っと思っていると、横のルースも興奮している。こちらが見ていることに気が付いたのか、その熱をぶつけてくる。
「ミゼル! あの太刀川樒やぞ! まさか知らんのか!?」
うんと頷くと、はーっと言いながら頭をやれやれと言った風に振る。
なんかルースにそういう風にされるとちょっと、イラッとするな。
「ええかあ、あの人はな魔法はあんまり得意ではないんやが、その分剣術が圧倒的に凄すぎるんや。この島で、いや歴代で最強の剣術使いとも言われとるくらいや。それで、この島の最強を決める大会ファイナルで、二位に輝いた人なんや。ファイナルは外部のテレビで放送されてたから皆知ってるんや。あの剣術は……」
この勢いで何時までも喋り続けそうなルースを無視して、前を見る。だが、何時まで経ってもそれらしき人は現れなかった。
すると教頭が戻ってきた。
「えー、大変申し訳ありませんが、彼女がまた何処かに行ってしまったので、皆さんにご紹介することができません。ですので、生徒会長からの言葉を飛ばして進めさせて頂きます」
……おいおい、大丈夫かよ。
「続きましては、新入生側からのご挨拶を行います。それでは新入生首席の……」
この島の学園には基本的に高校生の年齢で、願書に基本事項を書き込めば誰でも入学できる。俺のような義務教育を受けていない者でも。
だが、そうすると優秀な人材は弱い人達と同列に扱われてしまい、この島には来てもらえなくなってしまう。
そこで、今までに優秀な成績を修めた者はアドバンテージとして入学時からポイントを与えられることによって、より優位に上位へ上がれるようになっているわけだ。
話を戻そう。つまり今から紹介される人物、新入生首席はその優秀な者の中でも飛び抜けて素晴らしい成績を修めた者であり、尚且つ俺が一位になるためには必ずぶつかる相手、つまり俺が殺さなくてはならない相手ということになるわけだ。
だから俺は教頭がその名前を読み上げた後、固まってしまった。何故なら……。
「クレアーレ・ケレベルさん。お願いします」
その人物はクレアだったのだから……。
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