寸止めなんて聞いてない!同棲トレーナーの愛撫は、今日も甘くてズルい!

寸止めの紫陽花

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第1話:執筆中に寸止め愛撫!?誘惑彼氏が原稿を乱してくる〜書けないのはその肉体美のせい!?〜

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「うぅ……また止まった……」

画面に向かって頭を抱える。
光るカーソルは、数分前から点滅するばかりで、先へ進める気配を見せない。

(妄想はあるのに、うまく言葉にならない……)
官能描写の山場。今夜の執筆のキモになる場面。
なのに紫の指先は、ノートパソコンの上でピクリとも動かず、ただ焦燥だけが募っていた。

そんなとき——。

「ただいま。……って、また顔しかめてるな?」

低く落ち着いた声が部屋に届く。玄関のドアが閉まる音と、足音が近づく気配。
ジム帰りの恋人・獅堂カイ。汗を落とすためか、シャワーは後回しにしているらしく、Tシャツの裾が少し湿っていた。
その濡れた布越しに見える、鍛え抜かれた腹筋がいやに目に眩しい。

「また例の濡れ場で詰まってんのか?ほら、見せてみ?」

「あっ、ちょ、だめっ!」

カイは構わず隣に座り、紫のノートパソコンをのぞき込む。
そして、原稿に残された中途半端な台詞にニヤリと笑った。

「“彼の指が、私の——”って、なに?どこ触ろうとしてたんだよ?」

「カイっ!ほんとにやめてってば……!」

「いいって。仕事だろ?俺、資料提供してるつもりなんだけど?」

「……顔がニヤついてる時点で信用できない」

紫が膨れると、カイは愉快そうに肩をすくめた。
そして、ふいに——紫の耳元へ唇を寄せる。

「ほら、リアルにしてやるよ。執筆の参考にさ」

ちゅ、と柔らかく耳たぶに口づけられたかと思えば、舌先が滑る。
ひくんと肩が跳ねた。

「カイ……ちょ、や……」

「どこまで感じたら、執筆止まるんだろうな?」

からかうように囁きながら、カイの手が太ももへと滑る。
紫は言葉を失い、無意識に足を閉じた。

(だめ……これ以上は……)

しかしカイの指先は、まるで測るように紫の反応を楽しみ、内腿ぎりぎりをなぞったところで——ふいに止まった。

「はい、終了。続きは書けたら、な?」

「……っ、ズルい……」

唇を噛みながら睨んでも、カイは悪びれもせず笑うだけ。

「俺もお前の小説、楽しみにしてるから。頑張れ、作家センセ」

そう言って、カイはようやくソファから立ち上がり、シャワーを浴びに行く。
部屋に残された紫は、真っ赤な顔でノートパソコンに視線を戻した。

けれど——

「……書けるわけ、ないじゃん……」

声にならないため息と共に、再びカーソルが瞬き続けた。
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