寸止めなんて聞いてない!同棲トレーナーの愛撫は、今日も甘くてズルい!

寸止めの紫陽花

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第11話:筋肉エプロンで誘惑なんて、聞いてない!〜ごはんの後も甘やかし寸止め〜

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【前書き】
ほっこり日常回です🍳
いつもの寸止めシリーズですが、今回は“筋肉エプロンでおうちごはん”💪
カイの手料理に甘やかされながら、紫がとろけていく、ほんのりエロ甘な回。
美味しくて、優しくて、ちょっぴり焦らされる愛の味をぜひお楽しみください✨
ーーーーー

タイピングの音だけが響く夕方のリビング。
 膝に乗せたノートパソコンに目を落としながら、紫は自分の集中力が少しずつ霧散していくのを感じていた。

 ──原因は、キッチンに立つ彼の背中だ。

 黒いエプロン一枚。タンクトップすら脱いだカイの背筋が、斜めに走る筋が、音もなく主張してくる。
 肩から腰にかけて流れるようなライン、二の腕の厚みに至るまで、もう芸術の域。

 「……それ、ずるい」
 思わずこぼれた声に、カイがちらりと振り返る。
 「なにが」
 「そんな格好でごはん作られたら、集中できるわけない」

 ふ、とカイが笑う。
 「お前が食べないと意味ないからな。ちゃんと執筆終わらせろよ」
 「言ってることは正論なのに、……もうビジュアルが反則すぎる」

 キッチンに立つ恋人は、料理男子というより、もはや神話の中の戦士が肉じゃがを煮てるような説得力だった。

「ちょっとだけ、手伝ってもいい?」
 パソコンを閉じて立ち上がった紫が、キッチンのカイにそっと近づく。
 湯気の中、彼の背中からはほのかに石鹸と出汁の香りが混じった匂いがして、心なしか顔が熱くなる。

 「これ、味見……していい?」
 カイの手元に目をやると、ちょうど肉じゃがの煮汁をすくいあげていた。
 「……あーん、する?」
 不意に向けられた笑みと、レンゲの先端。

 「ちょ、えっ、それはちょっと……」
 「はい、口開けて。ほら、あーん」
 からかうような優しさに抗えず、紫は観念したように小さく口を開ける。
 「……ん。おいしい」
 「だろ? 料理の才能、俺にもあるみたいだな」
 そう言ってふふんと鼻で笑うカイの表情が、ほんの少しだけ誇らしげで、紫の胸の奥がくすぐられる。

 「味もそうだけど……ね」
 「ん?」
 「さっきから目のやり場に困る。肩とか腕とか、どう見ても料理番組だったら放送できない」
 「筋肉のせいにすんなよ。紫がエロい目で見てるだけだろ」
 「ちがっ……! そういう意味じゃなくて……!」

 どこか嬉しそうに笑うカイに、もうツッコミを入れる気力もない。
 熱気と、肉じゃがの湯気と、彼の体温と。
 全部が絡み合って、紫の脳みそはすでにやや蕩け気味だった。

  「ねえ、それ混ぜていい?」
 紫が豚汁の鍋に手を伸ばそうとすると、後ろからカイがそっと身体を寄せた。
 「危ない、火のそばは俺がやる。……ほら」
 気づけば、紫の背後から腕を伸ばして、お玉を紫の手に添える。

 「……ちょ、近いって」
 「火加減見ながら混ぜないと。ほら、こうやって」
 低い声が耳元に落ちるたび、紫の手も心もぶるっと震えた。

 「あの……完全に抱きしめてるみたいになってるんですけど」
 「してるからな。ついでだ」
 「ついでって……!」

 肩越しに回された腕、背中に感じるぴったりとした胸筋。
 鍋の湯気とカイの体温が混ざって、紫の顔はますます熱くなる。

 「……ごはん作ってるだけなのに、なんでこんなに色っぽいのよ……」
 「筋肉のせい?」
 「もー、それ言いたいだけでしょ……!」

笑い合いながら、幸せな香りと空気で包まれる。

「ありがとう、カイ。……今日、すごく嬉しい」
 背後からそっと、紫がカイの背中に額を預ける。
 エプロン越しでも感じる、温かくて広い背中。

 「どうした、急に」
 「ううん、なんでもない。ただ……甘えたくなっただけ」
 「……へぇ」
 紫の手をそっと取って、手の甲に口づけるカイ。

 「今日はお前、ちょっと素直すぎじゃないか?」
 「筋肉エプロンに負けたってだけ……たぶん」
 「俺の勝ちってことでいい?」
 「うん、今日は……完全降伏。……好き」

片付けくらいまかせて!と紫が食洗機を動かすと
 「ありがとな、んじゃ任せた。」
とカイも素直に受け取り、優しいせっけんの香りがふわっと包み込む。

食器を片付け終えて、ふたり並んで座るソファ。
 紫はまだ、カイの手に触れていたくて、そっと隣に寄りかかった。

 「……ねぇ、今日のごはん、すごく美味しかったよ」
 「ん。おう。気合入れたからな」
 「筋肉だけじゃなくて、料理もできるとか、ちょっとズルいよ」
 カイが笑う。
 「褒めすぎ。……その代わり、もっと甘えていいぞ?」
 「……じゃあ」
 そう言って、紫が自分から彼の膝の上に座る。

 「おお……、大胆だな」
 「……今日はこっちが、甘える番だから」
 カイの胸に頬を押しつけると、心臓の音が少し早く鳴っていた。

カイの手が紫の腰に回る。
 そっと撫でられるたび、心がくすぐったくて、でもそれ以上を求めてしまいそうで――

 「……もっと触れてほしい?」
 低く甘い声が、耳のすぐ近くで囁いた。

 「それとも……今日は、まだ余韻だけで我慢するか?」

 紫が顔を上げると、そこには意地悪そうな笑み。
 ――また、始まった。寸止めの予感。

 「やだ……ずるい、そうやって焦らすの」
 「俺が我慢できないように、仕向けてるのはどっちだと思ってんだ」
 カイの指が、腰骨のラインをなぞる。
 けれどそこから先へは進まない。

 「今日は、腹も心もいっぱいって、言ったのお前だからな」
 「……ん、でも、もうちょっとだけ……甘えても、いい?」

 カイが小さく笑って、紫の髪にキスを落とした。

「……満たされるのも、寸前で止められるのも、
 カイになら全部、許せちゃうのが悔しい」

そう呟いた夜は、心の奥まであったかくて、幸せだった。
ーーーーー
【後書き】

最後まで読んでくださってありがとうございます😊
今回は初の料理シーンでしたが、カイの筋肉エプロン姿、想像していただけましたか?
紫からの“甘え返し”もポイントです💚

引き続き、寸止めシリーズ楽しんでいただけたら嬉しいです!
よければ「いいね」や「感想」も励みになります✨
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