【完結】賞品は四人目 〜セッ◯スかデスゲームしないと出られない部屋に取引先の社長と閉じ込められたけど、運営が手緩い~ 【衝撃のラスト】

桐ヶ谷るつ

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【第五話】ロシアンルーレット2

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「それで、代わりのゲームは?」

 気怠げな声に反応し、ピピピッと機械的な音が部屋の中心で上がった。テーブルの上に置かれていた回転式拳銃が、3Dプリンターの逆再生を見るように消失していく。じわじわと重苦しい鉄の塊が視界の端から消え――去らず、最後の一パーセントがなかなか終わらない。迎えたお約束の待機時間。やぼったい四十五分間の休憩を挟み、代わりに可愛らしい一口大のシュークリームがお目見えした。

「どうあがいてもロシアンルーレットなんだね」
「まあ、どっちもど定番ですから」
「毒が入ってるタイプ?」
『ご推測の通りです。三つのうち一つだけ致死量の毒薬が入っております』
「的中率爆上がりじゃないですか」
「たぶん細かい計算ができないんだよ」

 人には公平性を強いておき、自分たちは平気で設定を覆す。ITチームだけではなく、どうやらまともなプロジェクトリーダーも揃っていないようだ。理人はやれやれと首を振り、厚みのあるプレートを持ち上げる。直前まで冷蔵庫で冷やされていたのだろうか、ひんやりと微量の冷気を発するシュー生地。鼻腔を擽る甘い匂いに跳ね上がった眉間は僅かに懐疑を示す。

「俺、重度の卵・小麦・大豆アレルギーなんですけど、まさか使用してないですよね」
「清水さん、アレルゲン情報表示できる?」
『卵・乳成分・小麦・大豆です』
「フルコンボだ」
「どれ食べてもアウトかあ」
「死亡率十割のデスゲーム」
「極端すぎる」

 なぜ事前調査に手を抜いたのか。声を大にして言いたいのはこの場にいる誰もが同じはず。カメラの向こうの清水でさえ声をなくし、痛ましい舌打ちがスピーカーを叩いた。企画もろ倒れのデスゲーム。どうりで予算が取れないわけだと、同情の余地もない状況に目も当てられない。

「する?」
「え、なにをですか?」
「セックス」
「ひえっ、無理ですよ……っ!」
「俺としたくない?」
「いやいやいや、なに言ってるんですか」

 お通夜のような空気感を割くように、一色は理人の手を引く。向かう先は豪奢な装飾がありながらも、やはり全てが白に包まれたキングベッド。柔軟なスプリングは沈み込む身体を優しく支え、激しい動作にも耐え得る強靭性を持ち合わせていた。

「お……俺っ、どうせなら経験豊富なドSお姉さんに攻められたいです!」
「似たようなものだって」
「経験豊富なお兄さんの男性器じゃ威力が違います……っ」

 清潔なシーツが真っ赤に染まった顔をより鮮やかに映し出す。待ったを掛けたはずの手は一色の胸板により押し戻され、その距離は徐々に狭まっていった。

「じゃあ僕が二個食べようか。今回は下調べが甘かったみたいだし、それぐらいは許容してくれるんじゃないかな」
「だっ、駄目ですよ! どんぴしゃで当てないと死にますよ!」
「じゃあ、俺とセックスする?」
「セッ…………そもそもセックスってなんですかね」
「概念の話から始めるのかあ」

 じとっと目を座らせて、理人は手に汗を握る状況にシーツを手繰り寄せる。

「俺的にはやらしい気分になったらセックスです、つまり」
「つまり?」
「勃起=セックス」
「清水さん的にはどうなの?」
『はあ……どうします? こいつらヌルいこと言い始めたんですけど』
「マイクが切れてないという痛恨のミス。それに地声が低い、もしかして清水さん男性でしたか?」
『業務範囲外のご質問にはお答えできかねます』
「こわっ……マッチングアプリ使う時は気を付けよう」

 配信終了後のVチューバーさながらの落差に身が震える。ボイスチェンジ機能を使わないでこれなのであれば、今後はなにを信じて生きていけばいいのか。無駄な課金は控えようと決意した理人を引き寄せ、一色はその脚衣に手を掛けた。

「え? な、に……っ、まっ、待って待って待って!」
「待ってたらまた清水さんの退勤時間になっちゃうから」

 後ろから抱き付く形で身を包まれ、ズラされ脚衣の合間から男性器を扱かれる。どうにか押し止めようともがくも、薄く開かれた口すぐさま塞がれてしまった。差し入れられた舌が大きな動きで裏側の血管を舐め上げる。途端に鼻にかかった吐息が漏れ、理人の雄は期待を孕んだ液体を分泌し始めた。



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