6 / 45
【第六話】やや不満
しおりを挟む「あっ、だ、駄目……っ、一色さ、ん」
「でも勃ってるよ」
「んっぅ……っ、待っ、あっ……んんっ」
ぐっちゅぐっちゅと必要以上に汁が纏えば、背に走る快感も大きくなる。もう声を抑えることができないのだろう。理人は一色の服を掴み、高められていく射精感に身を捩らせた。
『――セックスの定義とはなにかとご質問いただきましたので、こちらで把握している情報を読み上げますね』
「ちょっ、ちょっと……清水さんっ、どう見ても取り込み中、空気読んで……っ!」
『セックス――セクシャルインターコースとは一般的に、挿入、射精を伴う性行為とされています。現代では愛情表現を目的として行われることが多く、必ずしも生殖に結びつくとは限りません』
「おい、ガン無視か……っ、お客様レビューで『やや不満』つけるぞ!」
『また性の多様化によりセックスの定義が変わりつつあり、挿入のない性行為がセックスと呼べるのかは議論が分かれています』
「個人の見解によるってことか」
「ひあっあ、やっ……だめ、一色さん、それ出ちゃう……っ」
淡々と交わされる会話は一部の人物を除外したまま進められる。その非道さがより理人の背徳感を増長させたのか、ピクピクッと震える亀頭が限界の近さを知らせた。糖度の高い嬌声を発する身体は快楽に蕩け、手の動きに合わせて揺れる腰が絶頂を手繰り寄せていく。
「……じゃあ、クリアかどうかは清水さんが決めていいよ」
「あっぁ、イク……っ、も、出ちゃう……っ」
「出して、理人。君が僕の手にぶっ掛けるところ見てみたい」
「はぁっ、あっんっ、出る、一色さ、ん……イク、んっ、ぁっあっ」
追い討ちをかけるようにグリグリッと先端の穴を弄られ、理人は堪えられずに腰を震わせる。勢いよく吐き出された白濁は一回で終わらず、純白のシーツを派手に湿らせては淫らな行為の痕跡を刻んだ。
「……どうだった、清水さん?」
自身の汚れた指先を舐めながら、一色はスクリーンに視線を投げる。待つべきは温度を感じさせないスピーカからの返答。暫しの沈黙を挟み、緊迫した空気の中で判定が知らされる。
『星三ですね』
「どのへんが原点対象?」
『早漏』
「あー、それは仕方ない」
「はぁっはぁっ、か……身体張ったのに辛辣!」
背を丸め、全身で乱れた呼吸を繰り返す身からすればリアルな評価は手厳しい。素人ものとしてのブースター加点があってもいいのではないかと思う反面、生の声を届けるのがカスタマーサービスの基本。
肩を落とした理人にタオルを手渡し、一色は部屋の中心へと足を向ける。手に取ったのは常温になりつつあるシュークリーム。大口で一つ目を頬張り、二つ目もさほど躊躇いもせずに嚥下した。唇の端についたクリームを舐め取ると、喉を潤すために備え付けのティーカップにまで口を付ける。
「ひいいぃっ、一色さん……っ、大丈夫なんですか……っ」
「んー……? たぶん大丈夫?」
即効性のある毒であるのかは不明だが、演出を考えればその可能性の方が高い。
別段身に不調は感じず、一色は軽く欠伸をした後にベッドの方へと舞い戻った。
「理人、また来週」
ふわりと綻ぶような笑顔が近付き、理人は目を閉じる。意識が落ちる寸前、絡められた指先の温度を感じながら、ふとあることが気になった。
彼はあれが銃だとしても、同じように平気で引き金を引いたのだろうか。
美しい微笑みの裏側に潜んだ狂気に当てられ、少しだけ背の奥で身震いが生じた。
50
あなたにおすすめの小説
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~
液体猫(299)
BL
暫くの間、毎日PM23:10分に予約投稿。
【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸にクリスがひたすら愛され、大好きな兄と暮らす】
アルバディア王国の第五皇子クリスは冤罪によって処刑されてしまう。
次に目を覚ましたとき、九年前へと戻っていた。
巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞る。
かわいい末っ子が過保護な兄たちに可愛がられ、溺愛されていく。
やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな気持ちで新たな人生を謳歌する、コミカル&シリアスなハッピーエンド確定物語。
主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ
⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌
⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる