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冷えた紅茶
シュタイン伯爵家の長女、エルゼ・フォン・シュタインの朝は、常に一枚の手紙から始まった。
窓の外では、春を告げる小鳥たちが囀(さえず)り、柔らかな陽光が庭園の若葉をキラキラと輝かせている。
本来ならば、希望と喜びに満ちた一日の始まりを予感させる光景だ。
しかし、銀のトレイに乗せられて届けられるその「白い封筒」を目にするたび、エルゼの指先は冬の氷に触れたかのように強張った。
「……また、なのですか」
エルゼは、丁寧にアイロンがけされた純白のテーブルクロスの端を、無意識に指先でなぞった。
目の前には、湯気を立てる最高級のダージリン。香りは芳醇で、淹れたての一杯は美しい琥珀色に輝いている。
そして、彼女が昨夜から自ら厨房に立ち、フィリップの好物であるシトロンのアイシングを施した焼き菓子。
それらは主(あるじ)を失い、ただ静かに、残酷なほど緩やかに温度を失っていく運命にあった。
手紙の主は、アルベルト公爵家の次期当主、フィリップ・フォン・アルベルト。
エルゼの婚約者であり、彼女が十歳の頃から心に決めていた、唯一無二の初恋の相手だ。
エルゼは震える指で封を切り、中に納められた厚手の便箋を取り出した。
そこには、見慣れた、流麗で自信に満ちたフィリップの筆跡が躍っていた。
その文字を見るだけで、かつては胸が弾んだものだが、今はただ、重い石を飲み込んだような圧迫感しか感じない。
『親愛なるエルゼへ。
今日の午後の散歩だが、急遽行けなくなってしまった。本当にすまない。
先ほど、ロゼッタの容態が急変したと連絡があったんだ。
彼女は今、ひどい呼吸困難に陥っていて、譫言(うわごと)で僕の名を呼び続けているという。
君なら、僕が行かなければならない理由を分かってくれるだろう?
君はいつも強くて、賢い。僕がそばにいなくても、一人で立派に過ごせる、誇り高い女性だ。
埋め合わせは必ずする。愛している。』
「……『愛している』、ですか」
エルゼはその一節を、カサついた声でなぞった。
その言葉が、免罪符のように使われることに、彼女はいつからか、喉の奥に苦い塊がせり上がるような不快感を覚えるようになっていた。
フィリップは嘘をついているわけではない。
彼は本気で、ロゼッタという可憐な花を救わなければならないという、英雄的で独りよがりな正義感に駆られているのだ。
ロゼッタ・フォン・クロムウェル。
エルゼの幼馴染であり、公爵家と隣り合う侯爵家の令嬢。
彼女は生まれた時から「硝子の聖女」と呼ばれ、その病弱さゆえに、社交界の寵児(ちょうじ)となっていた。
青白いほどに透き通った肌、折れてしまいそうなほど細い手首、そして何より、見る者の守護欲を激しく掻き立てる、潤んだ榛(はしばみ)色の瞳。
(あの方は、今日、何色のドレスを着て彼を待っていたのかしら)
エルゼはふと思う。
「呼吸が苦しい」と言いながら、きっと最高級のレースに身を包み、フィリップが駆けつける瞬間に合わせて、一番美しく見える角度で枕に頭を沈めているに違いない。
それは、十年間、ロゼッタの傍らにいたエルゼだからこそ分かる直感だった。
「お嬢様……また、アルベルト様はロゼッタ様の元へ向かわれたのですか?」
背後に控えていた侍女のアナが、震える声で尋ねる。
彼女の瞳には、主への深い同情と、フィリップに対する隠しきれない怒りが混じっていた。
アナは、エルゼがこの日のためにどれほど準備をしてきたかを知っている。
昨夜、シトロンの皮を刻みながら、「明日はフィリップ様と、新しく咲いた噴水広場の花を見るの。彼、最近お疲れのようだから、少しでも元気になってほしくて」と、少女のような笑顔を浮かべていたエルゼを知っているからこそ、その拳を握りしめていた。
「ええ。持病の癪(しゃく)が起きたんですって。フィリップ様がいなければ、彼女は夜を越せない……彼はそう信じているわ。いえ、信じ込まされているのかもしれないけれど」
エルゼは、冷めきった紅茶を一口啜った。
すでに茶葉の渋みが抽出されすぎ、舌の奥に不快な後味が残る。
それはまるで、彼女がこの数年間、胃の腑に流し込み続けてきた、泥のような感情の味そのものだった。
思い返せば、この三年、フィリップとの約束が果たされたことは、片手で数えるほどしかない。
劇場の特等席。
湖畔でのピクニック。
エルゼの十九歳の誕生日。
すべての思い出の空白には、必ず「ロゼッタの体調不良」という、反論を許さない正当な影が寄り添っていた。
最初は、エルゼも心からロゼッタを心配していたのだ。
「フィリップ様、早く行って差し上げて。ロゼッタ様が心配だわ。私なら大丈夫ですから」
そう微笑んで彼を送り出すのが、物分かりの良い、慈愛に満ちた未来の公爵夫人としての役割だと信じて疑わなかった。自己犠牲こそが美徳であり、彼を支えることこそが愛なのだと。
けれど、ある時、彼女は気づいてしまった。
フィリップの瞳の中に宿る、ある種の恍惚に。
ロゼッタに必要とされ、彼女の運命を左右しているという全能感に酔いしれる彼の姿。
そして、その傍らで「物分かりの良い婚約者」として佇むエルゼを、彼はもはや一人の女性として見てはいなかった。
彼女は、彼の英雄譚を完成させるための、便利な背景に成り下がっていたのだ。
「お嬢様、もうこんな手紙、お捨てになってください。アルベルト様は、お嬢様の献身に甘えていらっしゃるだけです。お嬢様が何をされても怒らない、何をされても待っていると確信しているから……」
「甘え……そうね。甘えだわ。でも、私はその甘えを許すことでしか、彼との繋がりを維持できなかった。……なんて惨めなのかしら」
エルゼは、冷えたシトロンのケーキを指先で崩した。美しく飾られたアイシングが、虚しく粉々になる。
かつて、十歳のエルゼがフィリップに初めて会った時、彼は庭園で迷子になった彼女の手を引き、「泣かなくてもいい、僕が君の騎士になって守ってあげる」と言ってくれた。
その瞬間の、彼の掌の温もりを、エルゼは今も鮮明に覚えている。
その記憶だけを燃料にして、彼女はこの冷え切った十年間を走り抜けてきた。
だが、燃料はもう、底をつきかけていた。
エルゼの脳裏に、数日前の夜会の光景が蘇る。
その日も、ロゼッタは顔色が優れないと言いながら、フィリップの腕を離さなかった。
『エルゼ、ごめんなさい。私がこんな体だから、フィリップ様の時間を奪ってしまって……。貴女は本当に、お優しくて強い方ね。私なら、婚約者が他の女性にかかりきりだったら、きっと耐えられないわ』
潤んだ瞳でそう告げたロゼッタの口元は、微かに弧を描いていた。
それは、同情を誘う言葉の形を借りた、明確な宣戦布告だった。
「貴女はただの婚約者。でも、私は彼の心を支配する弱者なのよ」という、残酷な優越感。
フィリップはその言葉を聞いて、さらにロゼッタを愛おしそうに見つめ、「ロゼッタ、君が謝ることじゃない。エルゼも分かってくれているさ」と、エルゼの顔さえ見ずに答えたのだ。
その瞬間、エルゼの中で何かが「パキリ」と乾いた音を立てて割れた。
それは、彼女が必死に守り続けてきた、フィリップへの盲目的な愛の殻だった。
「アナ。今日の午後の予定、すべてキャンセルして。もう、ドレスを着替える気力も沸かないわ」
「お嬢様……お部屋で横になられますか?」
「いいえ。……私、少し歩きたいの。お父様の書庫へ行くわ。あそこなら、誰にも邪魔されずに、フィリップ様の知らない私でいられるから」
エルゼは立ち上がった。
足取りは重かったが、その瞳には、ある種の決意が宿り始めていた。
それは、愛を乞うことをやめるという、絶望にも似た、清々しい諦念だった。
*
書庫の奥深く、埃の舞う陽だまりの中で、エルゼは古い領地経営の記録や、異国の植物図鑑を捲っていた。
フィリップはいつも言っていた。
「令嬢がそんな難しい本を読む必要はない。君は僕の隣で、ただ微笑んでいればいいんだ」
その言葉を信じて、彼女は自分の知的好奇心を押し殺し、彼が好む「無知で愛らしい小鳥」を演じてきた。
けれど、今、古い羊皮紙の手触りを感じ、難解な数式や美しい異国の風景に触れる中で、エルゼは自分がどれほど自分自身を殺してきたかを痛感した。
(私は、彼のために生きていたのではない。彼に嫌われないために、私を捨てていただけだったのね)
ページを捲る指に力がこもる。
かつて彼に贈られた、重いエメラルドの指輪が邪魔に感じられた。
それは彼の家の象徴であり、彼女を縛り付ける所有印のように見えた。
「……もう、いいわ」
エルゼは、指輪を外し、書庫の片隅にある古い文箱の中に放り込んだ。
カラン、という軽い音が響く。
それは彼女の人生において、最も自由な音だった。
「アナ、お茶を。今度は、冷めたものではなく、一番熱いものを持ってきて」
彼女は窓を開け放った。
そこから吹き込む風は、まだ少し肌寒かったが、エルゼの頬を優しく撫で、彼女の内に眠っていた「自分という名の炎」を静かに燃え立たせた。
窓の外では、春を告げる小鳥たちが囀(さえず)り、柔らかな陽光が庭園の若葉をキラキラと輝かせている。
本来ならば、希望と喜びに満ちた一日の始まりを予感させる光景だ。
しかし、銀のトレイに乗せられて届けられるその「白い封筒」を目にするたび、エルゼの指先は冬の氷に触れたかのように強張った。
「……また、なのですか」
エルゼは、丁寧にアイロンがけされた純白のテーブルクロスの端を、無意識に指先でなぞった。
目の前には、湯気を立てる最高級のダージリン。香りは芳醇で、淹れたての一杯は美しい琥珀色に輝いている。
そして、彼女が昨夜から自ら厨房に立ち、フィリップの好物であるシトロンのアイシングを施した焼き菓子。
それらは主(あるじ)を失い、ただ静かに、残酷なほど緩やかに温度を失っていく運命にあった。
手紙の主は、アルベルト公爵家の次期当主、フィリップ・フォン・アルベルト。
エルゼの婚約者であり、彼女が十歳の頃から心に決めていた、唯一無二の初恋の相手だ。
エルゼは震える指で封を切り、中に納められた厚手の便箋を取り出した。
そこには、見慣れた、流麗で自信に満ちたフィリップの筆跡が躍っていた。
その文字を見るだけで、かつては胸が弾んだものだが、今はただ、重い石を飲み込んだような圧迫感しか感じない。
『親愛なるエルゼへ。
今日の午後の散歩だが、急遽行けなくなってしまった。本当にすまない。
先ほど、ロゼッタの容態が急変したと連絡があったんだ。
彼女は今、ひどい呼吸困難に陥っていて、譫言(うわごと)で僕の名を呼び続けているという。
君なら、僕が行かなければならない理由を分かってくれるだろう?
君はいつも強くて、賢い。僕がそばにいなくても、一人で立派に過ごせる、誇り高い女性だ。
埋め合わせは必ずする。愛している。』
「……『愛している』、ですか」
エルゼはその一節を、カサついた声でなぞった。
その言葉が、免罪符のように使われることに、彼女はいつからか、喉の奥に苦い塊がせり上がるような不快感を覚えるようになっていた。
フィリップは嘘をついているわけではない。
彼は本気で、ロゼッタという可憐な花を救わなければならないという、英雄的で独りよがりな正義感に駆られているのだ。
ロゼッタ・フォン・クロムウェル。
エルゼの幼馴染であり、公爵家と隣り合う侯爵家の令嬢。
彼女は生まれた時から「硝子の聖女」と呼ばれ、その病弱さゆえに、社交界の寵児(ちょうじ)となっていた。
青白いほどに透き通った肌、折れてしまいそうなほど細い手首、そして何より、見る者の守護欲を激しく掻き立てる、潤んだ榛(はしばみ)色の瞳。
(あの方は、今日、何色のドレスを着て彼を待っていたのかしら)
エルゼはふと思う。
「呼吸が苦しい」と言いながら、きっと最高級のレースに身を包み、フィリップが駆けつける瞬間に合わせて、一番美しく見える角度で枕に頭を沈めているに違いない。
それは、十年間、ロゼッタの傍らにいたエルゼだからこそ分かる直感だった。
「お嬢様……また、アルベルト様はロゼッタ様の元へ向かわれたのですか?」
背後に控えていた侍女のアナが、震える声で尋ねる。
彼女の瞳には、主への深い同情と、フィリップに対する隠しきれない怒りが混じっていた。
アナは、エルゼがこの日のためにどれほど準備をしてきたかを知っている。
昨夜、シトロンの皮を刻みながら、「明日はフィリップ様と、新しく咲いた噴水広場の花を見るの。彼、最近お疲れのようだから、少しでも元気になってほしくて」と、少女のような笑顔を浮かべていたエルゼを知っているからこそ、その拳を握りしめていた。
「ええ。持病の癪(しゃく)が起きたんですって。フィリップ様がいなければ、彼女は夜を越せない……彼はそう信じているわ。いえ、信じ込まされているのかもしれないけれど」
エルゼは、冷めきった紅茶を一口啜った。
すでに茶葉の渋みが抽出されすぎ、舌の奥に不快な後味が残る。
それはまるで、彼女がこの数年間、胃の腑に流し込み続けてきた、泥のような感情の味そのものだった。
思い返せば、この三年、フィリップとの約束が果たされたことは、片手で数えるほどしかない。
劇場の特等席。
湖畔でのピクニック。
エルゼの十九歳の誕生日。
すべての思い出の空白には、必ず「ロゼッタの体調不良」という、反論を許さない正当な影が寄り添っていた。
最初は、エルゼも心からロゼッタを心配していたのだ。
「フィリップ様、早く行って差し上げて。ロゼッタ様が心配だわ。私なら大丈夫ですから」
そう微笑んで彼を送り出すのが、物分かりの良い、慈愛に満ちた未来の公爵夫人としての役割だと信じて疑わなかった。自己犠牲こそが美徳であり、彼を支えることこそが愛なのだと。
けれど、ある時、彼女は気づいてしまった。
フィリップの瞳の中に宿る、ある種の恍惚に。
ロゼッタに必要とされ、彼女の運命を左右しているという全能感に酔いしれる彼の姿。
そして、その傍らで「物分かりの良い婚約者」として佇むエルゼを、彼はもはや一人の女性として見てはいなかった。
彼女は、彼の英雄譚を完成させるための、便利な背景に成り下がっていたのだ。
「お嬢様、もうこんな手紙、お捨てになってください。アルベルト様は、お嬢様の献身に甘えていらっしゃるだけです。お嬢様が何をされても怒らない、何をされても待っていると確信しているから……」
「甘え……そうね。甘えだわ。でも、私はその甘えを許すことでしか、彼との繋がりを維持できなかった。……なんて惨めなのかしら」
エルゼは、冷えたシトロンのケーキを指先で崩した。美しく飾られたアイシングが、虚しく粉々になる。
かつて、十歳のエルゼがフィリップに初めて会った時、彼は庭園で迷子になった彼女の手を引き、「泣かなくてもいい、僕が君の騎士になって守ってあげる」と言ってくれた。
その瞬間の、彼の掌の温もりを、エルゼは今も鮮明に覚えている。
その記憶だけを燃料にして、彼女はこの冷え切った十年間を走り抜けてきた。
だが、燃料はもう、底をつきかけていた。
エルゼの脳裏に、数日前の夜会の光景が蘇る。
その日も、ロゼッタは顔色が優れないと言いながら、フィリップの腕を離さなかった。
『エルゼ、ごめんなさい。私がこんな体だから、フィリップ様の時間を奪ってしまって……。貴女は本当に、お優しくて強い方ね。私なら、婚約者が他の女性にかかりきりだったら、きっと耐えられないわ』
潤んだ瞳でそう告げたロゼッタの口元は、微かに弧を描いていた。
それは、同情を誘う言葉の形を借りた、明確な宣戦布告だった。
「貴女はただの婚約者。でも、私は彼の心を支配する弱者なのよ」という、残酷な優越感。
フィリップはその言葉を聞いて、さらにロゼッタを愛おしそうに見つめ、「ロゼッタ、君が謝ることじゃない。エルゼも分かってくれているさ」と、エルゼの顔さえ見ずに答えたのだ。
その瞬間、エルゼの中で何かが「パキリ」と乾いた音を立てて割れた。
それは、彼女が必死に守り続けてきた、フィリップへの盲目的な愛の殻だった。
「アナ。今日の午後の予定、すべてキャンセルして。もう、ドレスを着替える気力も沸かないわ」
「お嬢様……お部屋で横になられますか?」
「いいえ。……私、少し歩きたいの。お父様の書庫へ行くわ。あそこなら、誰にも邪魔されずに、フィリップ様の知らない私でいられるから」
エルゼは立ち上がった。
足取りは重かったが、その瞳には、ある種の決意が宿り始めていた。
それは、愛を乞うことをやめるという、絶望にも似た、清々しい諦念だった。
*
書庫の奥深く、埃の舞う陽だまりの中で、エルゼは古い領地経営の記録や、異国の植物図鑑を捲っていた。
フィリップはいつも言っていた。
「令嬢がそんな難しい本を読む必要はない。君は僕の隣で、ただ微笑んでいればいいんだ」
その言葉を信じて、彼女は自分の知的好奇心を押し殺し、彼が好む「無知で愛らしい小鳥」を演じてきた。
けれど、今、古い羊皮紙の手触りを感じ、難解な数式や美しい異国の風景に触れる中で、エルゼは自分がどれほど自分自身を殺してきたかを痛感した。
(私は、彼のために生きていたのではない。彼に嫌われないために、私を捨てていただけだったのね)
ページを捲る指に力がこもる。
かつて彼に贈られた、重いエメラルドの指輪が邪魔に感じられた。
それは彼の家の象徴であり、彼女を縛り付ける所有印のように見えた。
「……もう、いいわ」
エルゼは、指輪を外し、書庫の片隅にある古い文箱の中に放り込んだ。
カラン、という軽い音が響く。
それは彼女の人生において、最も自由な音だった。
「アナ、お茶を。今度は、冷めたものではなく、一番熱いものを持ってきて」
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そこから吹き込む風は、まだ少し肌寒かったが、エルゼの頬を優しく撫で、彼女の内に眠っていた「自分という名の炎」を静かに燃え立たせた。
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