双子兄弟の歪んだ愛

①

別れ ４

　そのまま優奈の家まで走り続けた。

　それから俺は学校で晴翔を避けることがなくなった。お互いに喋る必要がないから。

　避けることもなく、夜には優奈とセックスをして、そんな生活をしていた李人は喧嘩をすることがなくなった。先生は心変わりしたと思っているようだ。

　だが、そんな生活も終わりを迎えた。

「今日でもうこの生活も終わりね。李人に言ってなかったんだけど私、高校県外のところにしたの。だから今日でおしまいね。」

　少し名残惜しそうに言う優奈。しばらく一緒に暮らしていたからお互い情が湧いてしまった。

「兎に角もう会うことはないわ。じゃあね李人。」

　李人は何も言わずに家を出て行った。それは李人が優奈とお別れがしたくなかったからだ。

　ひとりぼっちだった李人に唯一手を差し伸べてくれたのが優奈だ。

　泣きたくない。泣きたくないけど涙が出てしまう。

　そのまま李人は泣き続けた。