狂った勇者が望んだこと

夕露

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第二章 旅

141.「お願い、お願いお願いお願い」

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この図書室には私とオーズしかいないはずだった。メイド?いや、そんなはずない。図書室にこもり始めた頃はメイドや執事が交互に見回りに来ていたけれど再三の注意にも懲りないでいる私に気を利かせて図書室は自由に使えるようにしてくれた。アルドさんとの話が終わったあとなんてコーリアさんが他の人たちに図書室の立ち入りを禁じたぐらいでライガやジルドたちはともかく私の知らない人が図書室に居ることはありえない。そもそもジルドがこの人の存在に気がつかなったことがおかしい。気がついていたならこんな怪しい人、必ずなにか言っただろうし知り合いなら私になにか言ったはずだ。
顔をすっぽりと覆うフードを被った女性は俯いていて金色の髪がゆらゆら垂れている。ウェーブのかかった髪で思わず触れてみたくなるような輝きだ。そして──ぞっとするぐらい真っ白な手。細い指がなにかを掴もうとするように動いたかと思うとその手に一冊の本が現れる。一体どういうことなのか女性は魔法で出した本を私に差し出してきた。私は震える手を見ることしか出来なくて。

「お願いよ……これ、受け取って頂戴」
「あのこれは」

とてもじゃないが素直に受け取ることが出来なくて立ち上がりながら遠慮すれば図書室なのに風を感じた。閉まった扉、閉まった窓。それなのに目の前の女性の髪はゆらめいていて、違和感。急に寒さを思い出す。違和感。本を持つ女性の手は震え、よく見ればもう片方の手は本を持つ手を自身に引き寄せるように強い力で握っている。違和感。肌が粟立つほどの恐ろしさを目の前の女性に感じてしまう。

「お願い、お願い、お願い」

時々笑い声混じりに同じことを呟き続ける女性はどう見てもおかしくて危険だ。大丈夫ですか?なんて聞く勇気はない。どう見ても大丈夫じゃない。

「早く……お願いよ……じゃないとあなたを殺しちゃうだからお願い早くはやくハヤクねえは「分かった貰う!」

いよいよ危ない女性の声を遮りながら本を奪うように受け取れば女性はピタリと動きを止めたあと笑った。

「ふふ、よかった。ありがとう」
「正直なにがなんだか分からないんですが」
「ありがとう」
「……どういたしまして」

クスクス笑う女性は顔が見えないけれどご機嫌なようだ。口元を隠すように笑っていてその声色は先ほどの地を這うような恐ろしいものじゃなくて可愛らしいもの。
この本は一体……。
なにか呪いでもかかってそうな、とにかく読みたくない本だけど既に女性の視線は私が持つ本に注がれている。さっきのことを思えば今何か聞いても応えてくれないんだろう。諦めて本を読んでみることにする。タイトルはなかった。



--------

私は自由に色んなところに行きたかっただけなの。 
一生閉じ込められる生活は嫌だった。 
私なんて形だけなら私じゃなくてもいいはずなのに、なんで私じゃなきゃ駄目なの。 
  
  
私、恋がしたかった。 
  
  



──……私はもう恋なんてしないわ。 
こんな悲しいものならいらない。私はもう、どこにもいかないわ。  
  

--------



随分悲しい内容だ。どうやらこれは誰かの日記らしい。この女性のだろうか?それはそれで意味が分からないし私はこれをどうすればいいのか。
頼りの綱である女性は胸を抑えて苦しそうに息をしている。ああやっぱりこの人は危険だ。なにせ女性の身体から黒い湯気のようなものが出てきている。森で会ったリヒトくんのときと同じだ。

「お願い、お願いお願いお願い」

痛みの為か身を屈める女性はリヒトくんのように同じ言葉を続けていて終には床にへたりこんでしまう。
ああもう、くっそ。
怖すぎるうえ面倒ごとしか感じさせない。だけど足は重いものの女性に近づけば嗚咽が聞こえてきたし苦しそうだし。


「……お願いってなんですか」


女性には悪いけど本当に怖いから念のため自分に身体強化と防御魔法をかけたうえで声をかける。床に座り込む女性と並んで座る勇気もないから膝をついて顔を覗き込むだけだ。リヒトくんのときは頭を撫でることが出来たけど流石にそれは出来なかった。
黙りこんで私を見続ける女性にゆっくり話す。

「この本を私に渡して、あなたはどうしたいんですか。あなたのお願いを教えてくれないと分からないんです」
「……この本、この本は英雄伝最古のお話”描かれなかった物語”に出てくるお姫様が書いたもの、そうよ。私のお城にあった」
「”描かれなかった物語”に出てくるお姫様……これがあなたのお城に?」
「私?私のお城……ない、ないわ。そんなものもうないのよ私は全部壊した私が、ああ……でもそれでよかったの、私が望んだわ。すべて終わらせたかったの疲れたのよ、なんで私が」

やばい……。普通にこの人やばい……。
今すぐ走って逃げたいのに逃げられないプレッシャーのようなものを感じる。これなら普通に魔物と戦うほうがマシだ。なんならジルド戻ってきてくれないだろうか。

「こんなはずじゃなかったの許してロイ許して許して……っ」
「あの……え、あー、お願いってなんですか?」

聞いているだけで心が引き千切れそうな悲痛な声に女性の名前を呼ぼうとしたけど名前が分からない。代わりに唯一反応があった言葉をもう一度言ってみれば女性はなにも言わなくなって動きを止めた。けれどフードの下からボタボタ涙が落ちてきて水色のワンピースを濡らしていく。

「遅れましたが私はリーシェと言います。あなたの名前を聞いてもいいですか?」
「名前?名前……イメラ」
「イメラさん、”描かれなかった物語”に出てくるお姫様の日記を私にくれるのはなんでですか?」
「イメラ……あなたが一番、私の望みを叶えてくれそうだから、だからよ。これはお礼。あなた色々調べてるからそれは役に立つ、たつわ?英雄伝、本当にあったこと」
「英雄伝は本当にあったことなんですね」
「本当?本当だったあれは現実だったああああ゛ああでもお願い許してゆるっ…………許さないで」

最後の一言は感情のままに叫んでいた今までと違って感情がなくなったような一言だった。ポツリと呟いたイメラさんが顔を上げて私を見据える。伸びてきた手に驚いて身体を起こしたけど追うように伸びてきた手はすぐさま私を捕まえた。防御魔法は潰されてその手は私の服を掴む。
反動でフードがとれてイメラさんの顔がよく見えた。白い肌と対照的な赤い唇が「リーシェ」と動く。涙で濡れた肌に金色の髪がぺたりとくっついていて、金色の眉は苦しみに下がっていた。胸が痛むほど悲しい表情だ。それなのに綺麗だと、いや、美しいと思ってしまう。同性ながら見惚れてしまう美しさを持つイメラさんが私を呼んで涙を流し続ける。真っ赤な瞳からボタボタ、ぼたぼた。
ああやっぱり。

「リーシェ、リーシェ」
「……はい」
「お願い……お願いよ」

泣き続けて同じことしか言わないイメラさんの手は私の服を巻き上げるように握りしめるもんだから首が締まって苦しい。わざとなのかそうじゃないのか分からないけれどとりあえず身体強化をかけておいてよかった。なにせ進藤と戦っていたときと同じぐらい身体強化を重ねているのにこのざまだ。身体強化かけてなかったらこの人さっき縋り付いてくる勢いで私を殺してたんじゃないか……?
ドクドク耳で鳴る心臓の音を聞きながら恐ろしいイメラさんを見下ろせばイメラさんはまだ泣いている。だけど赤い目はまっすぐに私を見ていて、これはもうどうしたって逃がしてはくれなさそうだ。

「分かった、分かったから」

怖さが一周して麻痺してしまったのかイメラさんの頭を撫でてしまう。しゃっくりを上げるイメラさんは大人の女性に見えていたけどもしかしたら同じぐらいの歳か年下もしれない。外人顔なうえ綺麗すぎる顔だから年齢が読めなくて困る。

「いい、いの?」
「出来ることなら頑張るから」
「わたっ、私を殺して?」
「んー」

いきなり難題を出してきたイメラさんは非常に困ったことに嬉しさのあまり私に抱き着いてくる。こんな細い腕になんでこれだけの力があるんだろう。身体強化を更にかけて、備える。

「ロイさんはいいんですか」

ロイという人の名前は効果的で私を抱きしめるイメラさんの手に力がこもる。聞きたくない音が聞こえてきそうでその身体を押すけど動きやしない。

「ロイ……ロイ?なんであなたがロイのことなんで知ってるのかしら」
「イメラさんがさっき言ってましたよ。許してロイって」
「……許されない。私は、駄目なの」
「ん?」
「リーシェ私を殺してくれないの?私はまだ許されないの?許されたいって思ったのが駄目なのね?やっぱり私が救われるなんておかしいわ。見殺しにしたくせにこの手で殺してしまったのに私だけ駄目よね?あははぁあああ駄目だめ私はやっぱりこのままじゃなきゃ私だけが許されるなんて許さないっ」
「い゛った、イメラさん!イメラ……っう!イメラ!!私を殺したら願いは叶わなくなるぞ!」

肺が圧迫されているのか呼吸がし辛くなって焦りに叫べばイメラが可愛くも怯えたように身体を震わせた。こんなチャンスはもうないだろう。満身の力を込めて身体を引き剥がして──咽る。

「叶わない」
「そう!この馬鹿っ!ゲホッ」
「馬鹿……」
「馬鹿だろっ、あ゛―いったありえねえ普通頼み事してる相手絞め殺そうとするか?」
「……あなたロイみたいに乱暴な口調ね」
「お前は怖すぎるわ」
「ひどいわねえ。私これでもちゃんと料理が出来るようになったのよ」
「なんの話だよ」

ロイさんのことでも思い出しているのかイメラはついさっきまで頭がおかしくなったように泣いて人を殺そうとした同一人物とは思えないほど幸せそうに笑った。コイツ地雷多すぎて最悪だ。

「イメラ、はっきりさせよう。お前は私に願いを叶えてほしいんだよな?」
「ええ、ええ!」
「お前がそう望んだんだ。なのに私を殺したらお前が自分で自分の望みを潰すって決めたことになる。分かるよな?だからことあるごとに私を殺そうとするな」
「私が望んだ?」
「クッソそこからかよって……この音」

殺されかけたうえ進まない話に苛立って舌打ちしていたら破壊音とサイレンのような警報が聞こえた。レオルドのときと同じように魔物に応戦しているみたいだけど前回より苦戦しているらしい。前は警報なんて鳴らなかった。
イメラを見れば殊勝なことに申し訳なさそうな表情をして口を尖らせてやがる。

「ごめんなさい……こうなることは分かってたわ」
「そうですか。だったら尚更そこまでして私に頼み事しにきたってこと忘れず私を殺さないでほしいんですけど。クッソなんで私が」
「だってあなたが一番叶えてくれそうだったんだもの」
「……努力する」
「ええ!あなたは死なないわ!よかったあなたが死ななくて本当に良かった!」
「私も嬉しいですよ」

美しい人でも満面の笑みは可愛らしいものだ。例え私を殺そうとした人でも、図書室に魔物を喚んで現在進行形で私を殺そうとしている人でも、そう思う。

「ごめんなさい私もう人を殺す魔法しか使えないの。でもあなたは死なないから大丈夫よね?」
「いやいやいや」
「リーシェさん!──サバッド!?」
「ああもうややこしい」

ジルドが来てほしいとは思ったけど来たら来たでこの状況の説明をしなきゃいけないことに気がついた。しかも私も私でなんの説明も出来ない。頭を抱えたいけどイメラが喚んだ魔物──闇の者ダーリスが唸り声をあげている。大きな狼の姿だけど真っ黒な身体に真っ赤な瞳をしていて好戦的に涎をボタボタ落としながら3,4,5,6とどんどん増えていく。背後ではジルドが火の魔法でも作っているのか熱い。ダーリスが机にのって本を落とす。
ああもう!


「待ってるわリーシェ。また会いにくる」
「次は図書室以外にしろ!」
「ええ!そうするわロイ」


笑ったイメラが姿を消して同時にダーリスが飛び掛かってくる。全員、シールドに閉じ込めた。どいつもこいつもシールドを壊そうと身体をぶつけたり噛みついたりしてくる。

「リーシェさん」

息を飲むジルドにこれじゃいけないと何度も何度も自分に言い聞かせてようやく微笑むことが出来た。

「図書室でその魔法を使うのは絶対に止めてください」
「あ……勿論」

ジルドは嬉しそうな顔で頷いてくれるけどなんでこのタイミングでその表情がでるかな。疑問は浮かぶけど考えるのに疲れたから火の球を沢山作っていたジルドを手招きする。ジルドは私の隣でまだダーリスが咆哮を上げているのに気がついていないのかにこにこ顔で私の前に立った。その手をシールドに触れさせる。

「ソレはこの中で使ってください」
「だがそれでは」
「……壊れるとでも?」

ジルドの不安が分かって挑発すれば驚いた瞳がキラキラ輝いた。あ、これはまずい。調子に乗るのが分かってシールドに何重も補強をかける。




「凄い……リーシェさんあなたは凄い!俺の魔法が効かなかった!どうやったんだ?俺は手加減をしなかった」
「本当に……手加減されませんでしたね」




お陰でこっちは疲労困憊だ。ジルドはもうダーリスは死んだだろって状態になっても魔法を打ち続けやがった。言った手前止めるわけにもいかないしシールドを消せば図書室が消し炭になる。大事な本が燃えてなくなってしまうのだけはなんとしてでも避けたかったけどこっちはもう精神的疲労も重なってフラフラだ。
イメラから貰った本をしっかり手に握ってジルドを見上げる。屈辱だ。だけど──

「すみませんジルドさん……部屋まで運んでもらえませんか」
「ッ!勿論」

歩く気力もなくて頼めば快諾してくれたジルドに横抱きされる。そんな現実から目を背けたくて目を瞑れば意識は簡単に遠のいた。今日は朝から色々あり過ぎた……。
『イメラ』
『明日も飯作れよ』
『イメラ』
『お前なら、いい』
『イメラ』
ああでも嬉しいことは沢山あった……ロイ、あなたのこと沢山思い出したのよ。あなたの顔も少し思い出せた。ロイ、ロイ……。


「ごめんなさい、ロイ……あなたを助けられなかった」


嬉しくなれば嬉しくなるほど悲しくてしょうがなくなる。私があのときもっと早くに城に戻っていれば、あの村に守りの魔法をかけていれば、もっともっと──っ!

「いいから寝ろ、リーシェ」
「ロイ……?」

悲しくて悲しくて頭がおかしくなりそうだったのに、優しい声に意識が戻ってくる。ロイを見ようとしたけど辺りは暗くて見えなかった。夜なんだろうか。ああ、それならもう寝ないと。寝る?

「寝とけ」
「あ……ええ分かったわ……分かった。お休み、オーズ」
「お休み」

なんでだろう。返事をすれば笑われてしまった。もう一度目を開けようとしたら頭を撫でられてそれも叶わない。……まあ、別にいいか。もう寝よう。今日は朝から色々あり過ぎた……。
明日に丸投げしても罰は当たらないだろう。もうなにも考えず寝てしまえばいい。
そう思った瞬間どっと睡魔が襲ってきてまた意識が遠くなっていく。静かな夜。頭を撫でる手は優しくて温かい。私が意識を失うまでずっとずっと撫でてくれていて──




「壊れんなよ」




最後にそんなことを言った気がする。







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