単調な夢と黒い羊

Qoz

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中毒

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 「私信じられないよ」
そんなことを呟いたのは、ある事が起きてからだった。僕はこの出来事を境に彼のことを信用することが出来なくなってしまった。元よりというかのような曖昧な温度の中で生きてた僕らは常に不安定だった。不安とかいうちょっとした刺激があれば崩れて形が無くなるような脆さでもあった。
そんな中起きた、例の事というのは、僕らを深めた「ゲーム」であった。たかがされどそんな僕達はきっと関係はそんなものでも気持ちは恋人であった。日常の1部であった通話の時間になるまで僕はいつもと変わらずTwitterをスクロールしていた。僕は知ってた、彼には仲のいい女の子がいることを。恋人じゃないから干渉はできない、けれど、異性絡みは程々に。そんなことを約束していた僕達は、ゲームする時はお互い連絡して確認すれば安心するんじゃないか、そんな提案を承認していた。
僕が見た世界はきっと異世界だったのだろう。僕たちが交した契約は無効化されていたのだ。要は、彼はゲームをしていたのだ、例の女の子と。僕はそれを目の当たりにしてしまった瞬間、頭から足にかけて瞬時に世界が白くなって冷たくなるのが感じた。「ああ、そうか」そんなことしか言えないくらい心が凍てついたのだ。当然聞くこと問い詰めることなんて出来ずに、信頼というものだけが形を消していくのを実感した。
 「中毒」だったのだろう。きっと。
それに呑まれているんだ、ゲームのことなら全てを忘れられるそんな人なのだと思った。僕の体感時間は止まっていて、気づいた頃には彼から着信が着ていた。心がザワついて、憎しみ、悲しみ、絶望、幻滅。様々な負の感情が僕を支配している。そんな状況で話せるわけが無かった。いつもと違う僕に気がついて彼は何度も「通話をかける」ボタンを押していた。無心で出ることが今の僕には難易度が高すぎた。電話には出たものの、口が針で縫われたように開くことが出来ず、心が痛くて、それ以外の情報がシャットダウンしていた。
 「どうしたの?何かあった?」
彼は何も知らない声で問いかけてきていた。それすらも憎く感じて、泣くか怒るか、感情が二極化していた。僕は泣いて、ただただ泣いて、時を過ごした。「話さなきゃ分からないじゃん。」冷徹な声で話す彼に僕は心が冷めたのであった。恋愛的な意味ではなく、泣いている自分に。そこから感情は二極化の怒りの方へと移った。
自分の目で確認しろと言わんばかりにTwitterを開けと指示を出した。僕の指示に合わせて全て行動している彼。僕の声は彼の冷徹な声よりも冷たく、冷静で、全てを諦めた声であった。そこから彼が気づくまでの時間は多くは要らなかった。
 「「ごめん単純に言い忘れた」」
世の中にこんなに人を殺せる言葉があるのだろうか、と感じた。そういうのも、そのたった11文字に、僕の存在がないということを示しすぎてるからだ。
誘われたその時、僕に言うという気持ちよりもゲーム中毒なのか、あの女の子中毒なのか分からないが、その人に対する返事ばかり考えていたということだろう。
そこから絶望の第2弾と言わんばかりに黙る彼。きっと期待していたのは、少しでも信じていたのは僕だけだったのだろう。
僕の存在価値を消したと同時に僕の信頼を消したことを、きっと彼は知らないであろう。そのまま僕は冷たい心で眠りに落ちた。
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