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21:嵐の収束
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「やあ、ジュリウス君。さっきぶり」
アリシアが両親と会話し始めたのを見て、挨拶に行こうと思っていたジュリウスに声がかかる。
ジュリウスの従兄弟であるビリー・ラグダンが、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべて肩を組んでくる。
「酷いじゃないか。たった一度、君の婚約者と踊りたいという願いを叶えるのすら嫌だなんて。そんなふうに育てた覚えはないぞ?」
ビリーの友人であるジェームス・ガルバがビリーとは反対に立ち、ジュリウスの背中を抓り上げた。
「うっ」
「そんなに嫌そうな顔をするなよ。俺たちの中じゃないか」
そう、叔母の子である従兄弟のマックス・ジェーンが笑い声をあげる。
ジュリウスは、先ほどまでは感じていなかった恐怖心が湧き上がってきた。彼らは、ジュリウスの家である本家に従う分家の子供で、彼らの親はラグダン家の騎士団に所属しており、彼らもまた、それにならって訓練を積んでいる子達だ。そのため、いつも本家で鍛錬を積んでいる。
そんな三人は、年が近いジュリウスの事が嫌いで、ことある事にこうして絡んでくるのだ。ある時は、「お前は武官の子なのだから、将来剣が握れなければ駄目だ」とジュリウスを木剣で叩きのめし、またある時は「武官一族のくせに、あの出来損ないの搾りかす」「あのラグダン家の汚点がいるから、誇り高いラグダンの価値が貶められる」と言って嘲笑った。
何年も続いた辛苦に、ジュリウスはいつのまにか逆らえないように調教され、暗く沈んだ眼で下を見るしか出来ないようになっていた。
怖い、アリシア様が隣に居た時には感じなかったのに。堂々と胸を張っていられたのに。
ジュリウスは、震えそうになる体を必死で押し殺した。
「病弱で貧弱なジュリウス君には、ダンスはしんどかっただろう? 休憩しに、庭にでも行こうか」
そう言って、ビリーはくつくつと笑った。ジュリウスの返事は聞かない、必要ないからだ。
ジェームスとマックスが、ジュリウスの体を隠すように立った。
彼らは、いつもこうして己の体で凄惨な場面を他人に見せないようにする。痣が出来ない程度、大人からは聞こえない位置、見えない場所で。いつもジュリウスを痛めつけた。
誉高いラグダンが、ジュリウス一人のせいで黒いシミをつけられている。その落ちないシミは、世界で自分一人が不幸だとでも言うような顔をして、まんまと美しい高位令嬢の婚約者に収まっている。
その事が彼らにはひどく腹立たしかった。
「さ、行こうか」
己こそが、黒いシミであると理解せずに、彼らは楽しそうに笑った。
◇
「なあ、ジュリウス。アリシア様を俺にくれよ」
人気の無い庭、奥まった場所でビリーは端的にそう告げた。天使のように美しい令嬢、まだ二次性徴を迎えていないのにこれだけ美しいのだ。妙齢の女性に成長すれば、その美しさはどれほどだろうか。
高位の爵位持ち令嬢。彼女を手に入れるということは、全ての男達の羨望の眼差しを一心に受けることになるだろう。
「アリシア様は、お前のような男にはもったいないよ。男かどうかすら分からないお前じゃなくて、俺に譲るべきじゃないか?」
ジュリウスが、男が羨む体だったなら。アリシアの婚約者がヴァイスやユーリであったなら。きっとビリーはこんな感情すら抱かなかった。
「…………この婚約は、家同士の思惑が絡んだ政略結婚です。僕がどれだけアリシア様の婚約者を辞めたいと言ったところで、無駄だとわかるはずです」
子供が婚約したくないと駄々を捏ねた所で、当主の決定は変わらない。家を、領地を発展させるため、条件の良い男女が結婚をする。それが貴族というやつだ。
「解ってるよ、そんなことは」
「分からないと思ったのか、馬鹿だなあジュリウス君は」そうビリーは笑う。
「ジェームス、マックス」
顎でしゃくり上げたビリーの指示に従い、二人はジュリウスに迫ってくる。
「うぐ!」
二人はジュリウスを平伏させ、体を起こせないように押さえつける。太陽の光を受けて切っ先が輝いた。
「な、そんな事をして、許されると思っているんですか」
どのような末路を辿ったとしても、ビリーが主犯であることに行きつくのは難くない。ジュリウスの言葉を受けたビリーは、心底愉快そうに笑った。
「やっぱり、ジュリウス君は本当の馬鹿だなあ。そんな事気が付いているに決まっているじゃないか。世界一不幸だと信じているお前が、世界一不幸でいてくれたら。俺はそれでいいんだよ」
「そこの馬鹿どもが理解しているかは分からないけど」と、誰にも聞こえない声でビリーは呟いた。
「まずは、その中身と違って男らしい顔を、もっと男らしくしてあげようね」と短剣を振り上げた。
「私のジュリになにをする!」
「う、うぐ! な、なんだ!?」
ジュリウスへと向けられた切っ先は届くことなく、代わりにビリーのこめかみに激痛が届いた。不意の痛みに、握っていた短剣を思わず落としてしまう。
ジュリウスを発見したアリシアが、迷わずビリーに向かって近くの石を投擲したのだ。風のように姿勢を低くして走り出したアリシアは、混乱が落ち着かぬ間に、両手で拾った砂を三人目掛けて投げつけた。
「う、うわあ!」
「ううぅ」
「ぐぅ!」
流れる動作でビリーが落とした短剣を拾い、一番近くにいたマックスを蹴り上げる。それと同時にジェームスの手を切りつけた。
ビリーが懐へ手をやろうとしたのを、二本目の短剣が出てくると判断したアリシアは、それが表に出てきた瞬間を狙って剣で弾き飛ばし、首筋に剣先を当てる。
「……う、嘘だろう」
アリシアは、力なくへたり込んだビリーへと、口で外した左手袋を顔面向かって投げつける。
「女に簡単に制圧される腕前のくせに、傲慢に私の物に手を出しやがって」
切っ先を向けたまま、そう吐き捨てた。
「は、ははっ。ジュリウス、お前って本当に世界一不幸な奴だったんだな。こんな野蛮な男女と婚約させられて、可哀そうに」
ビリーは乾いた笑みを浮かべて、ジュリウスに憐憫の視線を送った。
「アリシアを馬鹿にするな! 彼女は、誰よりも誠実で、高潔な人なんだ! 彼女の傍に居られる僕は、世界一幸せな男だ!」
彼女を何一つ知らないくせに、知ったような口をきくなと、ジュリウスは憤激した。その様に、アリシアは胸に熱い思いが湧き上がってくる。
誰に馬鹿にされても良い、それでもいいから、大切な物を守れる自分であるように剣を振るいたい。その思い自体は嘘ではない、しかし、周囲からの無理解を耐え続けられるかと言われればそうではない。
ジュリウスが吐露した思いは、アリシアはアリシアのままで良いのだと言われているような気がして、心を強く揺さぶられたのだ。
文字通りの愛執に、ああ、これが恋焦がれる気持ちなのかとジュリウスを見つめた。
「ジュリウス!」
「アリシア!」
突然響いたよく通る声に、ビリーたちはびくりと体を震わせ、ジュリウスは顔を上げ振り返った。
アリシアはそれに気がつかず、この恋草を彼に伝えたいと、短剣をビリーたちに向けたまま隣にいるジュリウスの頬へと唇を落とした。
「え」
「ふむ」
「アリシア!?」
ジュリウス、バルド、ジークの順で声を上げた。特にジークの声には悲惨さが漂っている。
「あ、あああ、アリシアが」
「……騒ぎを聞きつけてみれば、これはいったいどういう事なんだ」
娘の行動を目撃した侯爵ジークは、驚愕と動転に支配され全く役に立ちそうにない。伯爵バルドが事態の収拾に動き始めた。
「あ、アリシア様が攻撃してきたんです!」
「そうだ、石をぶつけてきたんだ!」
ジェームスとマックスが口々に弁論をし始める。ビリーだけは何も言わず、諦めたように沈黙を貫いた。
「アリシアが、何の理由もなく人を害するわけがないだろう!」
行動力に溢れ、感情的で直情的でもある娘だが、理由もなく人に無体を働くような子ではないことは、父親であるジークが一番理解していた。
「ん? おや父上、どうされました?」
ジュリウスしか見えていなかったアリシアが現実に引き戻され、父親がいる事に首を傾げる。
「アリシア! あのキスは一体どういう事なんだ! お父さん、そんなことして良いと言った覚えはないよ!!」
「ああ、見ておられたのですか。不躾な」
別に良いではないか、婚約者との仲が良いことは喜ばしいことだろう、とアリシアは吐き捨てた。
「アリシア!」
「侯爵、気持ちは理解できますが、その話は後に」
息子しかいないため、娘を持つ父親の気持ちなど一ミリも理解できないバルドが事態をどうにか収束させようとする。
「令嬢、何があったのですか」
「ああ、ジュリウス様が居ないことに気が付いたため捜索していた所、ジュリウス様に剣を突きつけようとしていた彼らを発見したので。ちょちょいと制圧しておきました」
アリシアはさらりと返答する。ジュリウスへと視線を移したバルドは、息子が頷いたのを確認して、頭痛を堪えるように眉間に皺を寄せ深いため息をついた。
アリシア自身が襲われたのではないことに喜ぶべきか、はたまたマクミラン家で親戚が問題行動を起こしたことを嘆くべきか。
「ふう、ビリー・ラグダンら三名を拘束。その後、当事者を含め目撃者への事情聴取を行い、事実の解明に勤しむことにする。君達、彼らを拘束してくれ。アリシア、ジュリウス君。申し訳ないが、部屋で待機してくれるかな?」
復活したジークが指示を出す。
「は、はい」
「承りました」
こうして、巻き上がった嵐はひとまずの収束を見せた。
アリシアが両親と会話し始めたのを見て、挨拶に行こうと思っていたジュリウスに声がかかる。
ジュリウスの従兄弟であるビリー・ラグダンが、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべて肩を組んでくる。
「酷いじゃないか。たった一度、君の婚約者と踊りたいという願いを叶えるのすら嫌だなんて。そんなふうに育てた覚えはないぞ?」
ビリーの友人であるジェームス・ガルバがビリーとは反対に立ち、ジュリウスの背中を抓り上げた。
「うっ」
「そんなに嫌そうな顔をするなよ。俺たちの中じゃないか」
そう、叔母の子である従兄弟のマックス・ジェーンが笑い声をあげる。
ジュリウスは、先ほどまでは感じていなかった恐怖心が湧き上がってきた。彼らは、ジュリウスの家である本家に従う分家の子供で、彼らの親はラグダン家の騎士団に所属しており、彼らもまた、それにならって訓練を積んでいる子達だ。そのため、いつも本家で鍛錬を積んでいる。
そんな三人は、年が近いジュリウスの事が嫌いで、ことある事にこうして絡んでくるのだ。ある時は、「お前は武官の子なのだから、将来剣が握れなければ駄目だ」とジュリウスを木剣で叩きのめし、またある時は「武官一族のくせに、あの出来損ないの搾りかす」「あのラグダン家の汚点がいるから、誇り高いラグダンの価値が貶められる」と言って嘲笑った。
何年も続いた辛苦に、ジュリウスはいつのまにか逆らえないように調教され、暗く沈んだ眼で下を見るしか出来ないようになっていた。
怖い、アリシア様が隣に居た時には感じなかったのに。堂々と胸を張っていられたのに。
ジュリウスは、震えそうになる体を必死で押し殺した。
「病弱で貧弱なジュリウス君には、ダンスはしんどかっただろう? 休憩しに、庭にでも行こうか」
そう言って、ビリーはくつくつと笑った。ジュリウスの返事は聞かない、必要ないからだ。
ジェームスとマックスが、ジュリウスの体を隠すように立った。
彼らは、いつもこうして己の体で凄惨な場面を他人に見せないようにする。痣が出来ない程度、大人からは聞こえない位置、見えない場所で。いつもジュリウスを痛めつけた。
誉高いラグダンが、ジュリウス一人のせいで黒いシミをつけられている。その落ちないシミは、世界で自分一人が不幸だとでも言うような顔をして、まんまと美しい高位令嬢の婚約者に収まっている。
その事が彼らにはひどく腹立たしかった。
「さ、行こうか」
己こそが、黒いシミであると理解せずに、彼らは楽しそうに笑った。
◇
「なあ、ジュリウス。アリシア様を俺にくれよ」
人気の無い庭、奥まった場所でビリーは端的にそう告げた。天使のように美しい令嬢、まだ二次性徴を迎えていないのにこれだけ美しいのだ。妙齢の女性に成長すれば、その美しさはどれほどだろうか。
高位の爵位持ち令嬢。彼女を手に入れるということは、全ての男達の羨望の眼差しを一心に受けることになるだろう。
「アリシア様は、お前のような男にはもったいないよ。男かどうかすら分からないお前じゃなくて、俺に譲るべきじゃないか?」
ジュリウスが、男が羨む体だったなら。アリシアの婚約者がヴァイスやユーリであったなら。きっとビリーはこんな感情すら抱かなかった。
「…………この婚約は、家同士の思惑が絡んだ政略結婚です。僕がどれだけアリシア様の婚約者を辞めたいと言ったところで、無駄だとわかるはずです」
子供が婚約したくないと駄々を捏ねた所で、当主の決定は変わらない。家を、領地を発展させるため、条件の良い男女が結婚をする。それが貴族というやつだ。
「解ってるよ、そんなことは」
「分からないと思ったのか、馬鹿だなあジュリウス君は」そうビリーは笑う。
「ジェームス、マックス」
顎でしゃくり上げたビリーの指示に従い、二人はジュリウスに迫ってくる。
「うぐ!」
二人はジュリウスを平伏させ、体を起こせないように押さえつける。太陽の光を受けて切っ先が輝いた。
「な、そんな事をして、許されると思っているんですか」
どのような末路を辿ったとしても、ビリーが主犯であることに行きつくのは難くない。ジュリウスの言葉を受けたビリーは、心底愉快そうに笑った。
「やっぱり、ジュリウス君は本当の馬鹿だなあ。そんな事気が付いているに決まっているじゃないか。世界一不幸だと信じているお前が、世界一不幸でいてくれたら。俺はそれでいいんだよ」
「そこの馬鹿どもが理解しているかは分からないけど」と、誰にも聞こえない声でビリーは呟いた。
「まずは、その中身と違って男らしい顔を、もっと男らしくしてあげようね」と短剣を振り上げた。
「私のジュリになにをする!」
「う、うぐ! な、なんだ!?」
ジュリウスへと向けられた切っ先は届くことなく、代わりにビリーのこめかみに激痛が届いた。不意の痛みに、握っていた短剣を思わず落としてしまう。
ジュリウスを発見したアリシアが、迷わずビリーに向かって近くの石を投擲したのだ。風のように姿勢を低くして走り出したアリシアは、混乱が落ち着かぬ間に、両手で拾った砂を三人目掛けて投げつけた。
「う、うわあ!」
「ううぅ」
「ぐぅ!」
流れる動作でビリーが落とした短剣を拾い、一番近くにいたマックスを蹴り上げる。それと同時にジェームスの手を切りつけた。
ビリーが懐へ手をやろうとしたのを、二本目の短剣が出てくると判断したアリシアは、それが表に出てきた瞬間を狙って剣で弾き飛ばし、首筋に剣先を当てる。
「……う、嘘だろう」
アリシアは、力なくへたり込んだビリーへと、口で外した左手袋を顔面向かって投げつける。
「女に簡単に制圧される腕前のくせに、傲慢に私の物に手を出しやがって」
切っ先を向けたまま、そう吐き捨てた。
「は、ははっ。ジュリウス、お前って本当に世界一不幸な奴だったんだな。こんな野蛮な男女と婚約させられて、可哀そうに」
ビリーは乾いた笑みを浮かべて、ジュリウスに憐憫の視線を送った。
「アリシアを馬鹿にするな! 彼女は、誰よりも誠実で、高潔な人なんだ! 彼女の傍に居られる僕は、世界一幸せな男だ!」
彼女を何一つ知らないくせに、知ったような口をきくなと、ジュリウスは憤激した。その様に、アリシアは胸に熱い思いが湧き上がってくる。
誰に馬鹿にされても良い、それでもいいから、大切な物を守れる自分であるように剣を振るいたい。その思い自体は嘘ではない、しかし、周囲からの無理解を耐え続けられるかと言われればそうではない。
ジュリウスが吐露した思いは、アリシアはアリシアのままで良いのだと言われているような気がして、心を強く揺さぶられたのだ。
文字通りの愛執に、ああ、これが恋焦がれる気持ちなのかとジュリウスを見つめた。
「ジュリウス!」
「アリシア!」
突然響いたよく通る声に、ビリーたちはびくりと体を震わせ、ジュリウスは顔を上げ振り返った。
アリシアはそれに気がつかず、この恋草を彼に伝えたいと、短剣をビリーたちに向けたまま隣にいるジュリウスの頬へと唇を落とした。
「え」
「ふむ」
「アリシア!?」
ジュリウス、バルド、ジークの順で声を上げた。特にジークの声には悲惨さが漂っている。
「あ、あああ、アリシアが」
「……騒ぎを聞きつけてみれば、これはいったいどういう事なんだ」
娘の行動を目撃した侯爵ジークは、驚愕と動転に支配され全く役に立ちそうにない。伯爵バルドが事態の収拾に動き始めた。
「あ、アリシア様が攻撃してきたんです!」
「そうだ、石をぶつけてきたんだ!」
ジェームスとマックスが口々に弁論をし始める。ビリーだけは何も言わず、諦めたように沈黙を貫いた。
「アリシアが、何の理由もなく人を害するわけがないだろう!」
行動力に溢れ、感情的で直情的でもある娘だが、理由もなく人に無体を働くような子ではないことは、父親であるジークが一番理解していた。
「ん? おや父上、どうされました?」
ジュリウスしか見えていなかったアリシアが現実に引き戻され、父親がいる事に首を傾げる。
「アリシア! あのキスは一体どういう事なんだ! お父さん、そんなことして良いと言った覚えはないよ!!」
「ああ、見ておられたのですか。不躾な」
別に良いではないか、婚約者との仲が良いことは喜ばしいことだろう、とアリシアは吐き捨てた。
「アリシア!」
「侯爵、気持ちは理解できますが、その話は後に」
息子しかいないため、娘を持つ父親の気持ちなど一ミリも理解できないバルドが事態をどうにか収束させようとする。
「令嬢、何があったのですか」
「ああ、ジュリウス様が居ないことに気が付いたため捜索していた所、ジュリウス様に剣を突きつけようとしていた彼らを発見したので。ちょちょいと制圧しておきました」
アリシアはさらりと返答する。ジュリウスへと視線を移したバルドは、息子が頷いたのを確認して、頭痛を堪えるように眉間に皺を寄せ深いため息をついた。
アリシア自身が襲われたのではないことに喜ぶべきか、はたまたマクミラン家で親戚が問題行動を起こしたことを嘆くべきか。
「ふう、ビリー・ラグダンら三名を拘束。その後、当事者を含め目撃者への事情聴取を行い、事実の解明に勤しむことにする。君達、彼らを拘束してくれ。アリシア、ジュリウス君。申し訳ないが、部屋で待機してくれるかな?」
復活したジークが指示を出す。
「は、はい」
「承りました」
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