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5アレックスとギルバート
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アレックスは執務室を出た後、先ほど交代で休憩に出掛けてしまったギルバートを追いかけた。
「多分訓練場にいるだろ、あいつ休憩の仕方を知らない馬鹿だからな」
訓練場に向かうと、案の定ギルバートは額に汗を浮かべて剣を振っていた。
「おい!ギルバート!」
「ちっ、何か用ですかアレックス」
アレックスに気がついたギルバートは、人でも殺せそうなほど力強い舌打ちをした。
「何か用ですかじゃねーよ、用がなかったらお前になんか会いに来るわけねーだろ」
「だったら、早く用件を言ってください」
アレックスとギルバートは、ご覧の通りの水と油だ。
出来ることなら仕事はしたくないし、女性には言葉で愛を囁く軽くて丸いアレックスとは違い、職務に忠実で、想いは行動で示す重く四角いギルバートとはどうあっても馬が合わなかった。
「オスカーの事だ」
その二人が唯一意見が一致することがある。オスカーを主と仰ぎ、オスカーを思い、オスカーの為だけに行動をおこすところだ。アレックスが右腕なら、ギルバートは左腕である。
オスカーだけは裏切らない、その一点だけはお互いに信頼していた。
「オスカー様と言いなさい。早く行きますよ、執務室ですね」
「お前が遮ったんだろうが!」
吠えるアレックスを無視して、ギルバートは足早に去っていく。
「ああもう!」
ギルバートに追い付いたアレックスは、闇魔法で彼を影の中に引きずり込んだ。
炎魔法以外の人間が珍しいこの世界で、人間的な姿をしながら闇魔法が使えるのは彼の父親が魔族のハーフだからである。
平民の身ながら王太子の側近として、彼を支える事が出来ているのには闇魔法による有用性があるからだ。
「魔法を使うなら事前報告して下さい」
「いつもの事じゃねーか」
互いにぎゃんぎゃんと口論を繰り返しながら、オスカーの許へと影移動した。
「多分訓練場にいるだろ、あいつ休憩の仕方を知らない馬鹿だからな」
訓練場に向かうと、案の定ギルバートは額に汗を浮かべて剣を振っていた。
「おい!ギルバート!」
「ちっ、何か用ですかアレックス」
アレックスに気がついたギルバートは、人でも殺せそうなほど力強い舌打ちをした。
「何か用ですかじゃねーよ、用がなかったらお前になんか会いに来るわけねーだろ」
「だったら、早く用件を言ってください」
アレックスとギルバートは、ご覧の通りの水と油だ。
出来ることなら仕事はしたくないし、女性には言葉で愛を囁く軽くて丸いアレックスとは違い、職務に忠実で、想いは行動で示す重く四角いギルバートとはどうあっても馬が合わなかった。
「オスカーの事だ」
その二人が唯一意見が一致することがある。オスカーを主と仰ぎ、オスカーを思い、オスカーの為だけに行動をおこすところだ。アレックスが右腕なら、ギルバートは左腕である。
オスカーだけは裏切らない、その一点だけはお互いに信頼していた。
「オスカー様と言いなさい。早く行きますよ、執務室ですね」
「お前が遮ったんだろうが!」
吠えるアレックスを無視して、ギルバートは足早に去っていく。
「ああもう!」
ギルバートに追い付いたアレックスは、闇魔法で彼を影の中に引きずり込んだ。
炎魔法以外の人間が珍しいこの世界で、人間的な姿をしながら闇魔法が使えるのは彼の父親が魔族のハーフだからである。
平民の身ながら王太子の側近として、彼を支える事が出来ているのには闇魔法による有用性があるからだ。
「魔法を使うなら事前報告して下さい」
「いつもの事じゃねーか」
互いにぎゃんぎゃんと口論を繰り返しながら、オスカーの許へと影移動した。
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