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第3部
16年目の真実
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それは、カルバングくらい大きくて、全身が長い綺麗な毛に覆われたもふもふの生き物でした。
それは、森の中でひっそりと暮らしていましたが、ときどき村の近くに現れて、人々の暮らす家々や、栽培されている果物や野菜を眺めていました。
けれど、その姿は誰も目にしたことはありませんでした。もふもふは人間が苦手で、彼らに見られないように慎重に行動していたからです。
ある日、森の奥でお昼寝をしていたもふもふが目を覚ますと、小さな女の子が覗き込んでいました。
女の子は、森の奥に迷い込んでしまい、大きなもふもふを見つけたのでした。
女の子は、もふもふの綺麗な毛並みに心を奪われていました。
女の子は、自分の名前はマルルだと言いました。マルルはもふもふにも名前を聞きました。もふもふは、何のことを言っているのかわらなくて首を傾げました。
マルルは、もふもふに「リングダール」という名前をつけてあげました。リングダールは、自分の名前をリングダールだと思っていないので、マルルが自分に「リングダール」と呼びかけるのが不思議でした。
マルルは、名前をつけてあげたので、リングダールが自分の手下になったような気分でした。
マルルは、毎日リングダールに会いに森に行きました。マルルは、リングダールに色々なことを話して聞かせましたが、リングダールは人間の言葉が理解できないので黙っていました。
リングダールは、人間が苦手なので、マルルが毎日来るのが少し苦痛でした。そろそろ別の森に引っ越そうと思いました。
ある日、マルルの父親が、毎日出かけるマルルを不審に思って後をつけて来ました。そして、マルルのそばにいるリングダールを見つけました。
その頃、村では作物が何度も荒らされていて、村人たちはとても怒っていました。マルルの父親は、その大きさから、自分たちの作物を荒らしていたのはリングダールだと決めつけました。
父親は村に帰り、このことを村人たちに教えました。村人たちは、父親に案内されて森に入ってきました。村人たちは、自分たちが精魂込めて作った作物を荒らしているリングダールを、捕まえて殺すつもりでした。
マルルは、父親や村人たちに、止めてくれるように頼みました。マルルは、リングダールは優しい生き物で、悪いことをしていないと言いました。それにリングダールは自分の友達なのだと言いました。
しかし、村人たちはマルルの言葉を聞き入れませんでした。村人たちは、マルルを無理やり引き離して、リングダールに矢を放ちました。
リングダールーーーーー!
マルルは声をかぎりに叫びました。
リングダールは、マルルの叫び声を聞いて、悲しくなりました。やっぱりマルルが来なければよかったのだと思いました。早く引っ越しをすればよかったと思いました。
リングダールの体に矢がたくさん刺さりました。耐えられないような激痛が走りました。けれどリングダールには心のほうがもっと痛いと感じました。
リングダール、ごめんなさい。
リングダールの耳にマルルの声がとぎれとぎれに聞こえました。
けれど、人間の言葉がわからないリングダールには、マルルの言っていることが最後までわかりませんでした。
ただ、マルルの笑顔は可愛かった。そう思いました。リングダールの意識がだんだんと薄らいでいきました。
リングダールの体からたくさんの血が流れ、ゆっくりと力が抜けていきました。
リングダールぅぅ。
マルルは泣きながらリングダールに駆け寄りました。リングダールは最後の力を振り絞って口を開きました。
ガパァーッッ。
その口は耳が裂けるほど大きく開き、マルルを頭から一飲みにしました。
「えぇぇぇ……」
シーグフリードの寝台の中で、アシェルナオは兄の横に寝ながら、なんともいえない顔をした。
兄がしてくれる話を聞きながら、途中まではリングダールが可哀想だと感じていたアシェルナオだったが、最後の結末になんとも言えない顔をした。
「とある地方の伝承だよ。兄様が作ったものではないんだよ」
愛する弟に胡乱な目で見られ、シーグフリードは慌てて言い訳をした。
アシェルナオの部屋に制服を取りに行ったシーグフリードのメイドが、添い寝に必要だからとテュコに持たせられたいつものリングダールを抱きしめながら、アシェルナオは消化できないものを感じていた。
だが、結末はアレだったが、自分を慰めてくれるために話を聞かせてくれたシーグフリードに感謝した。
「僕のためにお話ししてくれてありがとう、兄様。リンちゃんのイメージが壊れそうになったけど、すごく興味深いお話でした。ね、リンちゃん」
アシェルナオはモフモフの長い毛並みに厚く覆われたリングダールの口らへんを手でさぐり、何気なく上下に開いてみた。
ガパァーッッ。
その口は耳が裂けるほど大きく開き、アシェルナオとシーグフリードの目が真ん丸になる。
アシェルナオはすぐにリングダールの口を閉じた。
「ぼ、僕、今日はちょっと疲れました。もう寝ます。おやすみなさい」
16年目の真実に、アシェルナオの目がうつろになる。
「あ、ああ、おやすみ。アシェルナオ」
本当に伝承されてきた話なのだが、まさか忠実に再現されているとは思っておらず、シーグフリードも少し心をざわつかせながら目を閉じた。
※※※※※※※※※
なんか、すみません。
次回からはシリアスに戻ります|ω·)
それは、森の中でひっそりと暮らしていましたが、ときどき村の近くに現れて、人々の暮らす家々や、栽培されている果物や野菜を眺めていました。
けれど、その姿は誰も目にしたことはありませんでした。もふもふは人間が苦手で、彼らに見られないように慎重に行動していたからです。
ある日、森の奥でお昼寝をしていたもふもふが目を覚ますと、小さな女の子が覗き込んでいました。
女の子は、森の奥に迷い込んでしまい、大きなもふもふを見つけたのでした。
女の子は、もふもふの綺麗な毛並みに心を奪われていました。
女の子は、自分の名前はマルルだと言いました。マルルはもふもふにも名前を聞きました。もふもふは、何のことを言っているのかわらなくて首を傾げました。
マルルは、もふもふに「リングダール」という名前をつけてあげました。リングダールは、自分の名前をリングダールだと思っていないので、マルルが自分に「リングダール」と呼びかけるのが不思議でした。
マルルは、名前をつけてあげたので、リングダールが自分の手下になったような気分でした。
マルルは、毎日リングダールに会いに森に行きました。マルルは、リングダールに色々なことを話して聞かせましたが、リングダールは人間の言葉が理解できないので黙っていました。
リングダールは、人間が苦手なので、マルルが毎日来るのが少し苦痛でした。そろそろ別の森に引っ越そうと思いました。
ある日、マルルの父親が、毎日出かけるマルルを不審に思って後をつけて来ました。そして、マルルのそばにいるリングダールを見つけました。
その頃、村では作物が何度も荒らされていて、村人たちはとても怒っていました。マルルの父親は、その大きさから、自分たちの作物を荒らしていたのはリングダールだと決めつけました。
父親は村に帰り、このことを村人たちに教えました。村人たちは、父親に案内されて森に入ってきました。村人たちは、自分たちが精魂込めて作った作物を荒らしているリングダールを、捕まえて殺すつもりでした。
マルルは、父親や村人たちに、止めてくれるように頼みました。マルルは、リングダールは優しい生き物で、悪いことをしていないと言いました。それにリングダールは自分の友達なのだと言いました。
しかし、村人たちはマルルの言葉を聞き入れませんでした。村人たちは、マルルを無理やり引き離して、リングダールに矢を放ちました。
リングダールーーーーー!
マルルは声をかぎりに叫びました。
リングダールは、マルルの叫び声を聞いて、悲しくなりました。やっぱりマルルが来なければよかったのだと思いました。早く引っ越しをすればよかったと思いました。
リングダールの体に矢がたくさん刺さりました。耐えられないような激痛が走りました。けれどリングダールには心のほうがもっと痛いと感じました。
リングダール、ごめんなさい。
リングダールの耳にマルルの声がとぎれとぎれに聞こえました。
けれど、人間の言葉がわからないリングダールには、マルルの言っていることが最後までわかりませんでした。
ただ、マルルの笑顔は可愛かった。そう思いました。リングダールの意識がだんだんと薄らいでいきました。
リングダールの体からたくさんの血が流れ、ゆっくりと力が抜けていきました。
リングダールぅぅ。
マルルは泣きながらリングダールに駆け寄りました。リングダールは最後の力を振り絞って口を開きました。
ガパァーッッ。
その口は耳が裂けるほど大きく開き、マルルを頭から一飲みにしました。
「えぇぇぇ……」
シーグフリードの寝台の中で、アシェルナオは兄の横に寝ながら、なんともいえない顔をした。
兄がしてくれる話を聞きながら、途中まではリングダールが可哀想だと感じていたアシェルナオだったが、最後の結末になんとも言えない顔をした。
「とある地方の伝承だよ。兄様が作ったものではないんだよ」
愛する弟に胡乱な目で見られ、シーグフリードは慌てて言い訳をした。
アシェルナオの部屋に制服を取りに行ったシーグフリードのメイドが、添い寝に必要だからとテュコに持たせられたいつものリングダールを抱きしめながら、アシェルナオは消化できないものを感じていた。
だが、結末はアレだったが、自分を慰めてくれるために話を聞かせてくれたシーグフリードに感謝した。
「僕のためにお話ししてくれてありがとう、兄様。リンちゃんのイメージが壊れそうになったけど、すごく興味深いお話でした。ね、リンちゃん」
アシェルナオはモフモフの長い毛並みに厚く覆われたリングダールの口らへんを手でさぐり、何気なく上下に開いてみた。
ガパァーッッ。
その口は耳が裂けるほど大きく開き、アシェルナオとシーグフリードの目が真ん丸になる。
アシェルナオはすぐにリングダールの口を閉じた。
「ぼ、僕、今日はちょっと疲れました。もう寝ます。おやすみなさい」
16年目の真実に、アシェルナオの目がうつろになる。
「あ、ああ、おやすみ。アシェルナオ」
本当に伝承されてきた話なのだが、まさか忠実に再現されているとは思っておらず、シーグフリードも少し心をざわつかせながら目を閉じた。
※※※※※※※※※
なんか、すみません。
次回からはシリアスに戻ります|ω·)
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