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第4部
教えなくていい!
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「それで、各地からの報告は?」
ヴァレリラルドの問いに、シーグフリードが反応する。
「精霊の泉と地下水脈で繋がっていると思われるいくつかの水源から瘴気発生の報告があがっている。瘴気だまりも各地で見つかっていて、そこから、あるいは報告のあがっていない地域から魔獣が発生するのも時間の問題だろう」
「その時は先頭をきって討伐に行くぞ、ラル!」
シーグフリードの報告に、ウルリクが血気盛んな声をあげる。
「落ち着け、ウルリク。各領には魔獣の発生が確認できた場合すぐに報告するようにお達しがでている。同時に領兵や騎士たちが対応するだろうが、応援要請があればすぐに動けるように準備をしておくように」
ケイレブが執務室にいる統括騎士団の各隊の隊長たちに指示を出すと、はっ、と威勢のよい返事がいくつもあがった。
「各地の水源についても、瘴気や水の濁りの状況を厳重に監視するように伝えている」
ヴァレリラルドに報告するシーグフリード。
瘴気をおびた水が病気を発生させることがあると聞いていたアシェルナオは漠然とした不安を覚えた。同時に、悲しい最期を迎えた前の愛し子を思うと言い知れぬ悲しみに襲われていた。
「ヴァル、僕、浄化に行ってもいい?」
アシェルナオの思いつめた表情に、ヴァレリラルドはシーグフリードとケイレブの顔を見る。2人が苦渋の顔で頷くと、ヴァレリラルドも頷いた。
「ナオが行かなくても大丈夫だよ、と言いたいが、正直浄化に行ってもらえるとありがたい。報告のあがっている水源は、精霊の泉と地下水脈で繋がっている、この国の屈指の清流なんだ」
「わかった」
「だけどアシェルナオ? これ以上瘴気の浸潤を進めないためにも早急に浄化をしてほしいが、そうなると学園は少しお休みすることになると思う。いいかい?」
愛し子であろうと、可愛い弟には普通の生活を送らせたいシーグフリードは申し訳なさそうに言った。
「愛し子としての公務だ。学園も公休でいいんじゃないか?」
ケイレブの言葉に、アシェルナオは首を振る。
「愛し子の公務じゃないよ? 僕は、僕にできることをしに行くんだよ?」
「それが愛し子様としてのご公務というものでは?」
統括騎士団の団長補佐をしているホルガ―が差し出口を挟む。
「ううん……。前にね、僕がこの世界に来たばかりのときに、家族を思って泣いていた僕に、ヴァルが言ったんだ。僕の家族はみんな音楽に携わっているから、いつか家族の思いが、その音楽が届くよ、って。さっき、精霊の泉で前の世界の家族の音楽が聞こえて来たんだ。みんなの思いが届いたんだ。……みんなに悲しい思いをさせたから、僕も……僕が、家族と離れてこの世界にきたことの意味を届けたい。それは、僕がここでしかできないことをすることだと思うんだ。だから、僕のためにやってるから、それは愛し子の公務じゃないんだ」
言いながら瞳に涙の膜が厚く張っていくアシェルナオに、ヴァレリラルド、ケイレブをはじめ、統括騎士団の執務室にいた面々は庇護欲を掻き立てられた。
「そうだね。ナオはナオだからね」
アシェルナオの肩に手を回し、手のひらで優しく頭を撫でるヴァレリラルド。
うん、と頷くアシェルナオ。
「アシェルナオ、兄様に少し時間をくれないか? アシェルナオがどこに行くのかを決めて、アシェルナオが安全に浄化をできるための護衛や行程について検討したいんだ。アシェルナオが自分のためにやることでも、それがこの国のためになることだから、兄様がちゃんとバックアップするからね」
「ありがとう、兄様」
アシェルナオは涙が零れないように瞳をめいっぱい瞠って、兄に感謝をした。
「ナオ、私は魔獣の対策で同行できない。すまない」
「いいんだ。これは僕が僕のためにやることだから、ヴァルはヴァルのやることをやって。僕のことは兄様がバックアップしてくれるし、テュコは侍従だけどすごい護衛騎士でもあるんだ」
テュコに全幅の信頼を寄せるアシェルナオは、自分のことについて心配していなかった。
「お前たちも気合入れろ! ナオ様だけにこの国を護ることを任せていたら騎士の名折れだぞ!」
ケイレブが活を入れると、騎士たちが「おうっ!」と応じる。
「ナオ様は、ご自分にできることが何か、わかったんですね」
クランツは穏やかな目でアシェルナオを見た。
アシェルナオはその馬のように優しい目を見て、17年前にクランツと2人でサンノキに相乗りしたことを思い出した。
『僕は愛し子って言われてるけど、僕に何ができるかわからない。でも、きっとわかる時がくると思う。そのときは、誰かのためじゃなく、僕のためにがんばるから』
あれはヴァレリラルドを身をもって護ることを示唆していたともとれる言葉だったが、アシェルナオの今の決意にもあてはまる言葉だった。
「うん。だから、僕のためにがんばるよ。愛し子としてはだめなのかもしれないけど」
「だめじゃないですよ。結果としてそれは国や民のためになることです。そうでないとしても、ナオ様はナオ様の思うように生きることが大事ですから」
「ありがとう、クランツ。さすが馬なみだね」
わかってもらえたことに、アシェルナオは至福の笑みを浮かべる。
だが精霊の愛し子の、たいそう美しくて可憐な口から『馬なみ』という言葉が再び紡がれたことに、執務室にいる者の顔が微妙になる。
「アシェルナオ、人前で馬なみと言うのは……」
どうかと思うよ、と兄として注意しようとするシーグフリード。
「馬なみって、馬のように優しくて、身体能力が高くて、馬とか動物の気持ちがわかる人のことでしょう? クランツにぴったりだよね? フォルは前からクランツのことをそう思っていたんだよね?」
自信満々に答えるアシェルナオ。
「……すみません、あとでナオ様には馬なみの正しい意味をおし……」
言いかけたテュコに、
「教えなくていい!」
ヴァレリラルドやシーグフリードだけでなく、あちこちから強い制止の声がかかった。
アシェルナオに馬なみの本当の意味を教えるという背徳感と、真実を知った時のアシェルナオのショックを思いやってのことと、アシェルナオにはいつまでも純真でいてほしいという阻止だった。
それらの気持ちもわかるが、いたたまれずに詫びるのは自分なのにと思うテュコだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※
いいね、エールありがとうございます。かろうじて生き延びています。
また一週間が始まります。
仕事に行きたくないです……。
ヴァレリラルドの問いに、シーグフリードが反応する。
「精霊の泉と地下水脈で繋がっていると思われるいくつかの水源から瘴気発生の報告があがっている。瘴気だまりも各地で見つかっていて、そこから、あるいは報告のあがっていない地域から魔獣が発生するのも時間の問題だろう」
「その時は先頭をきって討伐に行くぞ、ラル!」
シーグフリードの報告に、ウルリクが血気盛んな声をあげる。
「落ち着け、ウルリク。各領には魔獣の発生が確認できた場合すぐに報告するようにお達しがでている。同時に領兵や騎士たちが対応するだろうが、応援要請があればすぐに動けるように準備をしておくように」
ケイレブが執務室にいる統括騎士団の各隊の隊長たちに指示を出すと、はっ、と威勢のよい返事がいくつもあがった。
「各地の水源についても、瘴気や水の濁りの状況を厳重に監視するように伝えている」
ヴァレリラルドに報告するシーグフリード。
瘴気をおびた水が病気を発生させることがあると聞いていたアシェルナオは漠然とした不安を覚えた。同時に、悲しい最期を迎えた前の愛し子を思うと言い知れぬ悲しみに襲われていた。
「ヴァル、僕、浄化に行ってもいい?」
アシェルナオの思いつめた表情に、ヴァレリラルドはシーグフリードとケイレブの顔を見る。2人が苦渋の顔で頷くと、ヴァレリラルドも頷いた。
「ナオが行かなくても大丈夫だよ、と言いたいが、正直浄化に行ってもらえるとありがたい。報告のあがっている水源は、精霊の泉と地下水脈で繋がっている、この国の屈指の清流なんだ」
「わかった」
「だけどアシェルナオ? これ以上瘴気の浸潤を進めないためにも早急に浄化をしてほしいが、そうなると学園は少しお休みすることになると思う。いいかい?」
愛し子であろうと、可愛い弟には普通の生活を送らせたいシーグフリードは申し訳なさそうに言った。
「愛し子としての公務だ。学園も公休でいいんじゃないか?」
ケイレブの言葉に、アシェルナオは首を振る。
「愛し子の公務じゃないよ? 僕は、僕にできることをしに行くんだよ?」
「それが愛し子様としてのご公務というものでは?」
統括騎士団の団長補佐をしているホルガ―が差し出口を挟む。
「ううん……。前にね、僕がこの世界に来たばかりのときに、家族を思って泣いていた僕に、ヴァルが言ったんだ。僕の家族はみんな音楽に携わっているから、いつか家族の思いが、その音楽が届くよ、って。さっき、精霊の泉で前の世界の家族の音楽が聞こえて来たんだ。みんなの思いが届いたんだ。……みんなに悲しい思いをさせたから、僕も……僕が、家族と離れてこの世界にきたことの意味を届けたい。それは、僕がここでしかできないことをすることだと思うんだ。だから、僕のためにやってるから、それは愛し子の公務じゃないんだ」
言いながら瞳に涙の膜が厚く張っていくアシェルナオに、ヴァレリラルド、ケイレブをはじめ、統括騎士団の執務室にいた面々は庇護欲を掻き立てられた。
「そうだね。ナオはナオだからね」
アシェルナオの肩に手を回し、手のひらで優しく頭を撫でるヴァレリラルド。
うん、と頷くアシェルナオ。
「アシェルナオ、兄様に少し時間をくれないか? アシェルナオがどこに行くのかを決めて、アシェルナオが安全に浄化をできるための護衛や行程について検討したいんだ。アシェルナオが自分のためにやることでも、それがこの国のためになることだから、兄様がちゃんとバックアップするからね」
「ありがとう、兄様」
アシェルナオは涙が零れないように瞳をめいっぱい瞠って、兄に感謝をした。
「ナオ、私は魔獣の対策で同行できない。すまない」
「いいんだ。これは僕が僕のためにやることだから、ヴァルはヴァルのやることをやって。僕のことは兄様がバックアップしてくれるし、テュコは侍従だけどすごい護衛騎士でもあるんだ」
テュコに全幅の信頼を寄せるアシェルナオは、自分のことについて心配していなかった。
「お前たちも気合入れろ! ナオ様だけにこの国を護ることを任せていたら騎士の名折れだぞ!」
ケイレブが活を入れると、騎士たちが「おうっ!」と応じる。
「ナオ様は、ご自分にできることが何か、わかったんですね」
クランツは穏やかな目でアシェルナオを見た。
アシェルナオはその馬のように優しい目を見て、17年前にクランツと2人でサンノキに相乗りしたことを思い出した。
『僕は愛し子って言われてるけど、僕に何ができるかわからない。でも、きっとわかる時がくると思う。そのときは、誰かのためじゃなく、僕のためにがんばるから』
あれはヴァレリラルドを身をもって護ることを示唆していたともとれる言葉だったが、アシェルナオの今の決意にもあてはまる言葉だった。
「うん。だから、僕のためにがんばるよ。愛し子としてはだめなのかもしれないけど」
「だめじゃないですよ。結果としてそれは国や民のためになることです。そうでないとしても、ナオ様はナオ様の思うように生きることが大事ですから」
「ありがとう、クランツ。さすが馬なみだね」
わかってもらえたことに、アシェルナオは至福の笑みを浮かべる。
だが精霊の愛し子の、たいそう美しくて可憐な口から『馬なみ』という言葉が再び紡がれたことに、執務室にいる者の顔が微妙になる。
「アシェルナオ、人前で馬なみと言うのは……」
どうかと思うよ、と兄として注意しようとするシーグフリード。
「馬なみって、馬のように優しくて、身体能力が高くて、馬とか動物の気持ちがわかる人のことでしょう? クランツにぴったりだよね? フォルは前からクランツのことをそう思っていたんだよね?」
自信満々に答えるアシェルナオ。
「……すみません、あとでナオ様には馬なみの正しい意味をおし……」
言いかけたテュコに、
「教えなくていい!」
ヴァレリラルドやシーグフリードだけでなく、あちこちから強い制止の声がかかった。
アシェルナオに馬なみの本当の意味を教えるという背徳感と、真実を知った時のアシェルナオのショックを思いやってのことと、アシェルナオにはいつまでも純真でいてほしいという阻止だった。
それらの気持ちもわかるが、いたたまれずに詫びるのは自分なのにと思うテュコだった。
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仕事に行きたくないです……。
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