しき神つかい

関谷俊博

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ぞっと鳥はだがたった。本気で殺す気なんだ!
そのとき、ひとりの女の子が、かどからとびだしてきた。
「来い!」 
ぼくの手をとったのは、賀茂さんだった。
「神社に逃げこめ」
賀茂さんはさけんだ。
「境内に結界をはった。村の人間は入ってこれない」
ぼくと母さんは、賀茂さんにつれられて、神社の境内に逃げこんだ。

「なんだったんだ、あれ」 
そうたずねても、母さんはだまってうつむいている。かわりにぼくは、賀茂さんに話しかけた。
「あの、賀茂さん」
「美波だ。そう呼べ。さん付けもいらん」
「じゃあ、美波。ぼくらが追われていると、どうしてわかったんだ?」
「おまえにわたした護符さ」 
美波は答えた。
「出してみろ」
ぼくは、ズボンのポケットをさぐって、賀茂さんからもらった魔除けの護符を出してみたんだ。すると、星形の記号が、ほんのり青白く光ってた。
「それは魔除けの護符でもあるが、式神でもある。おまえが何をしているのか、私にはすぐにわかる」
「しきがみって、なに?」
「話は後だ。なかに入ろう。親父が待っている」
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