ウェントス

関谷俊博

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音楽番組収録から数日後、俺は自宅マンションで倉田とチェスに興じていた。オフは別行動、というバンドは多いが、俺たちはプライベートでも仲がいい。
インターフォンが鳴った。
「僕だよ。白井」
「ああ、上がってこいよ」
部屋に入ってきた白井は、血相を変えていた。
「ジェフが捕まったよ」
「どうしてだ?」
俺は聞き返した。
「薬物だ」
白井の声は暗かった。
「大麻の不法所持」
「いいんじゃね。捕まったって」
倉田は素っ気なかった。もはやジェフに興味はないらしい。
「ジェフがパクられても俺たちは困らないだろ」
「それが困るんだよ」
白井は悲痛な面持ちで言った。
「ジェフが口を割って、杉浦も捕まったんだ」

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