23 / 34
21
しおりを挟む
「どうだ。マリィに会えたか」
佐々木は尋ねた。初めて会った時と同じ接客室で、僕と佐々木は向かい合っていた。
「会えました」
僕は答えた。
「けれどもマリィは私が捜しているのとは別の人物でした」
「そいつは残念だったな」
佐々木は肩を竦めた。
「だけど俺は鈴村が言ったことを、そのままおまえに伝えただけだ。俺の責任じゃないぜ」
「それはわかっています」
僕はふと佐々木に打ち明ける気になった。
「不思議なことがあるんです」
「ほぅ、どんなことだ? おまえに取っちゃ、この世界は不思議だらけだろうけどな。もう少し頭を使えよ」
僕は佐々木の言葉を受け流した。
「黙示録の子羊に関わる全ての事柄がネット上から消えている」
「なに…」
佐々木は僕の話に興味を持ったようだった。
「そんな筈はないだろう」
佐々木はノートパソコンを暫く弄っていたが「なるほど…」と頷いた。
「確かに消えているな…痕跡すら残さずに。見事なものだ」
僕は「黙示録の子羊」に潜入し、そこで体験したことを佐々木に話した。佐々木は黙って僕の話を聴いていたが
「面白い…消えたカルトか…」
口の端を歪めて笑った。
「幸か不幸か最近、仕事が暇でな。坊主にでもなろうかと思っていたところだ。退屈凌ぎにおまえの捜査に協力してやるよ」
「私は刑事ではないので捜査ではありません。それにあなたは元僧侶ではありませんか」
「そうだったな」
佐々木は苦笑した。
「それに依頼人は失踪してしまいましたから無報酬ですよ」
最もそれは僕も同じだったが。
「まあ、いい。俺がタダ働きするなんて初めてだぜ」
佐々木は尋ねた。初めて会った時と同じ接客室で、僕と佐々木は向かい合っていた。
「会えました」
僕は答えた。
「けれどもマリィは私が捜しているのとは別の人物でした」
「そいつは残念だったな」
佐々木は肩を竦めた。
「だけど俺は鈴村が言ったことを、そのままおまえに伝えただけだ。俺の責任じゃないぜ」
「それはわかっています」
僕はふと佐々木に打ち明ける気になった。
「不思議なことがあるんです」
「ほぅ、どんなことだ? おまえに取っちゃ、この世界は不思議だらけだろうけどな。もう少し頭を使えよ」
僕は佐々木の言葉を受け流した。
「黙示録の子羊に関わる全ての事柄がネット上から消えている」
「なに…」
佐々木は僕の話に興味を持ったようだった。
「そんな筈はないだろう」
佐々木はノートパソコンを暫く弄っていたが「なるほど…」と頷いた。
「確かに消えているな…痕跡すら残さずに。見事なものだ」
僕は「黙示録の子羊」に潜入し、そこで体験したことを佐々木に話した。佐々木は黙って僕の話を聴いていたが
「面白い…消えたカルトか…」
口の端を歪めて笑った。
「幸か不幸か最近、仕事が暇でな。坊主にでもなろうかと思っていたところだ。退屈凌ぎにおまえの捜査に協力してやるよ」
「私は刑事ではないので捜査ではありません。それにあなたは元僧侶ではありませんか」
「そうだったな」
佐々木は苦笑した。
「それに依頼人は失踪してしまいましたから無報酬ですよ」
最もそれは僕も同じだったが。
「まあ、いい。俺がタダ働きするなんて初めてだぜ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
先生の秘密はワインレッド
伊咲 汐恩
恋愛
大学4年生のみのりは高校の同窓会に参加した。目的は、想いを寄せていた担任の久保田先生に会う為。当時はフラれてしまったが、恋心は未だにあの時のまま。だが、ふとしたきっかけで先生の想いを知ってしまい…。
教師と生徒のドラマチックラブストーリー。
執筆開始 2025/5/28
完結 2025/5/30
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる