竜のめざめ

関谷俊博

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赤済であるぼくは、黒姫と話している。
「わかっている。黒済と兄じゃを倒すのに、私の力が必要なのだろう」
 黒姫は言った。
「私は僧侶の身。どのみち、おまえの思いに応えることはできぬ」
「それもわかっている。だが私はせめて、おまえの役に立ちたい」

 まばゆい光。
 次の場面で、赤済であるぼくは、ふたたび恵観と向き合っている。
「黒姫というあの娘。天賦の才を持っている。修行もなしに竜を操るとは」
 恵観は言った。
「黒姫は黒涼の妹。実の兄と対峙させるおつもりですか」
「あの娘。おまえを慕っておるな。黙ってはいられないはず」
「それがわかっていて、黒姫を利用するなど、私にはできません」
 赤済であるぼくはきっぱりと言う。
 そのとたん、まばゆい光がふたたびぼくを包む。
 ゆっくりと光はうすれ、ぼくは目を覚ました。
 永済和尚と美波がいる。
「まだだ」
 和尚は首をふった。
「ロバは片目をつぶったままだ」

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