二重生活を楽しむ最強の冒険者 ~英雄+新人として活躍します~

だいのすけ

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夢の羽初めてのクエスト 前編

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 疲れた情報共有会が無事終わった次の日、朝8時に俺はLV3として冒険者ギルドに向かう。皆時間通りに集合していた。時間を守れる、というのは冒険者として重要な要素だと思う。基本的なルールを守れないと命を預けるのも怖いからね。

 まず、冒険者ギルドでチーム登録を行う。
「新しくチームを結成したので、チーム登録を行いたいんだが」
「承知しました。それではこちらの用紙に記入をお願いします」
 この辺りの手続きは全てライエルに任せる。リーダーだからね。

「これでいいか?」
「はい、問題ないです。それではチーム情報を記載するのでギルドカードを預からせていただけますでしょうか?」

 ギルドカードを受付に渡すと、謎の魔道具でチーム情報が記入された。これで正式に夢の羽が冒険者ギルドに登録されたことになる。チームランクは1だ。

 ちなみにチームランクは1からスタートする。依頼を数こなしていくうちにランクが上がるが、冒険者ギルドの差配で決定するため明確な基準は無い。
 チームの割合は大体固定されており、ランク1が60%、ランク2から4が25%、ランク5から8が15%となっている。個人レベルは高いがあまり高難易度のクエストをしないためチームランクが低い冒険者も大勢いる。ギルドとしては、高難易度の依頼をこなせる冒険者をもっと増やしたいようだが、命の危険を回避しようとする冒険者の考えも理解できるということから中々これといった打ち手が出せないようだ。

 登録作業などをしていると午前9時。依頼掲示板に新しい依頼が張り出される時間だ。冒険者達がゾロゾロと掲示板に向かう。難易度が低くて報酬が良い依頼は取り合いになる。基本的には早いもの勝ちになるため、全員目が必死だ。

「よし、クエストを見てくる。希望はあるか?」
 ライエルが皆に問いかける。
「俺は最初だからあまり難しくない依頼がいいな」
「僕は魔物を討伐する依頼ならなんでも!」
「私はお任せするよー」
「わかった、良いのを取ってくるよ」
 ライエルはそう意気込むと颯爽と冒険者の群れに飛び込んでいった。

 15分後、ライエルが戻ってくる。
「良い依頼をゲットしたぞ!これを受領しよう」
 依頼内容は魔物の間引きで、ゴブリン20匹、オーク10匹、オーガ3匹の討伐だった。そこそこの難易度で、報酬も悪く無く、日帰りで余裕を持って行動できる。良いクエストじゃないか。ライエルはセンスがあるな。
「良いね!」
「これならなんとかなりそう!」
「だな」
 ということでこの依頼が最初のクエストに決定する。ゴブリンはLV1程度、オークはLV2程度、オーガはLV3程度の魔物である。チームワークを醸成するには良いクエストだ。
 窓口に依頼受領の旨を伝えると、クエストとして処理された。クエストクリアの証明にはそれぞれ討伐証明部位を必要数確保する必要がある。期限は本日中だ。俺達は早速サクラを飛び出し、魔物の潜む森の中に向かっていった。

「ギギギギ!」
 飛び出てくるゴブリンを各個撃破する。流石にゴブリン程度ではLV3の相手にはならない。剣で切り付ければ一撃だ。
「ふう、いくらゴブリンとはいえ、突然飛び出てくるとドキッするな。神経を使う」
「そうそう、強い敵かと思ってびっくりするよね。強くなったら足音とかで判別できるのかなあ」
「流石に無理じゃない?ゴブリンとオークの足音の違いとか絶対わからないよ。オーガなら足音の大きさでわかるかもだけど」
 俺達はそんな軽口を叩きながら森を進んでいく。ちなみにゴブリンの討伐証明部位は鼻だ。各自倒したゴブリンの鼻を切り取って袋に収納する。

「ギギギギ!」
 お、次はオークが出てきた。ゴブリンよりは少し強いが、魔法を使うほどではない。剣で何発か切り付ければ倒せる。
「ここは私に任せて!」
 しかし、アズサが大声を出す。俺達はアズサがオークを狙えるように道を開ける。
「くらえ、アロー!」
 固有魔法アローが発動した。遠距離から弓矢を飛ばす魔法だ。オークの額に直撃し、一撃でオークは倒れた。
「流石アズサ!遠距離攻撃は助かるよ」
「ああ、助かった」
 俺とマルクはアズサを褒める。アズサも誇らしそうだ。とりあえず討伐証明部位を回収しようとオークに近づく。

「ゴゴゴゴゴ」
 大きな足音が聞こえてくる。木を折りながらこちらに走ってきている魔物がいる。これはオークやゴブリンではないな。
 どんっ。現れたのは2体のオーガだ。LV3相当のオーガが2体。更に2匹とも興奮している。これはまずい展開だ。

「あわわ……」
「リーダーどうする!?」
 マルクがライエルに呼びかけるもライエルも戸惑っている。無理もない。いきなり2匹現れるのはイレギュラーだ。仕方がない。

「よし、二手に別れよう。俺は地元でオーガはよく戦っていたからしばらく時間を稼ぐことができる。その間に3人で一匹倒してくれ。時間がないからこの作戦で行こう。頼むぞ!」
 俺はそうメンバーに言い残すと1匹のオーガに向けて走っていく。
「くらえ、スロウ!」
 オーガの動きを遅くした上で懐に飛び込み足を切り裂いた。
「グググググ」
 少しダメージを受けるオーガ。こちらに注意が向いている。俺は上手く3人と違う方向にオーガを誘導しながら攻撃と回避を行う。

「わかった!すぐ行くから死ぬなよ!」
 ライエルの声が聞こえる。
「おお!お前もな!」
 まあ俺は死にかけると変身の魔法が解けるだけだから問題ない。3人はそうはいかないので上手く倒して欲しいと願いながらオーガを挑発する俺だった。
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