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「あの二人、お付き合いされているのかしら?」
「そうじゃない? だって、ライカ様があのような笑顔を浮かべているのだから」
「リィン様が婚約者の時は、笑顔を見たことありませんものね。なんて、お似合いなの……」
キャッキャッと女子トークをしているご令嬢達が見ている先には――柔らかな笑みを浮かべたライカ様と、春の妖精のようなアリス様がいた。
「……ははぁ~ん? だから、最近グチグチ言って来なかったのね」
ライカ様はいつもどこから現れるんだというくらいに神出鬼没で、絶対一日一回は私の前に現れていた。
それが3日ほど前からピタリとなくなった。
その理由は、本当に愛する女性が出来たから、私に構っている暇がないということか――。
ライカ様は、私に対しては意地の悪い態度しか向けたことがない。なのにアリス様には、まるで可憐な姫を守る洗練された騎士のようだった。
――あんな顔、私には一度も見せなかったくせに……チッ、くそ野郎。
まぁ、むしろこれは良いことかと思い。その場をさっさと離れた。
◆♢◆
「……」
「リィン、あれさぁ……」
「ああ、いい。もう分かってるから、なんも言わないで」
友人のナティアは、ライカ様とアリス様のキャッキャッうふふを見て、私に教えようとしてくれたのだろう。しかも、聞き覚えのある「やっぱりお似合いだわ~」なんて声まで聞こえてくるから、前に見た取り巻きセットつきである。
学園が休みだから、気晴らしにナティアと買い物にいこうと思ったのに……なんでいるんだよ!
「あっ! リィン様もお買い物ですか?」
アリス様がニコニコとしながら私の方に駆け寄ってくる。
いやいやいや、なんで普通に話し掛けてきた? 私、貴女と一度も話したことありませんが……?
「ええ、まぁ……」
「じゃあ、一緒にお買い物しましょう! ライ、いいですよね?」
はぁ……?
「ふん、仕方がない……許してやる」
ライカ様も、しぶしぶといったように了解する。
いや、お前は断れって。
「遠慮しておきます。お二人の邪魔をしたくないので」
「え? そ、そんな……」
私がキッパリ断ると、アリス様はオロオロとした後にションボリとしてしまった。
「お前は、なんて冷たい女なんだ。まったく、可愛げのない……」
ライカ様は顔をしかめ、冷たく私を見下ろす。
「はっ、冷え冷え代表のような貴方に言われたくありませんけど!? ってか、気安く話し掛けないでくれます?」
「なんだと?」
「なによ、やるつもり?」
私とライカ様の言い合いは、アリス様とナティアが間に入ってくれたお陰で、事が大きくなる前に収まった。
こんなイライラした状態で買い物をしても、まったく楽しくない。ナティアには平身低頭で謝罪し、今日は帰ると言った。
「大丈夫、また今度行こうね」って笑顔で返してくれるナティアは本当にいい友達だ。
これで終わったなら良かったのだけれど――。
「ちょっと、なんでいるのよ」
ライカ様は、何故か私の部屋のソファーにドーンと座っていた。
「お前の態度が気に食わないからだ」
「はぁ……。文句を言うためにわざわざ来たってこと? まさか、勝手に入ったわけじゃないわよね?」
「当主に許可を得た」
「……ぁあ~……」
もう婚約者じゃない男が娘の部屋に入るのを許可するなんて……お父様、なにしてくれてるの?
「じゃあ、もう文句を言ったんだから帰って」
「断る」
「帰れ」
「断る」
「なんなのよ! 帰ってってば!」
「断る」
「本当なんなのよ……。私だけにこんな態度取って、ストレスでどうにかなりそうよ……――もう、土下座して謝ってくれない!?」
「悪かった」
「……」
ライカ様は綺麗に土下座し、私に謝っている。
……また、催眠をかけてしまったようだ。
次の指示を待つためか、私をじっと見上げているライカ様にゾクゾクとしてしまう。
「本当に悪いと思っているなら、これ舐められるわよね?」
スッと足を差し出すと、親指から丁寧にゆっくりと舐められる。
両足がライカ様の唾液でぬるぬるになった頃には、その与えられる快楽に抗えなくなっていた。
「あっ、ライカ様……。身体の方も、いっぱいして」
大きな手で胸をやわやわと優しく揉まれて、気持ちよくて甘い声が出てしまう。
上衣を脱がされ、胸の粒を転がされるようにクリクリと舐められて、気持ち良い。
――ショーツがベタベタに濡れてしまったので、脱ぎ捨てる。
「ここ、口で綺麗にして」
透明な液を滴らせるその場所を綺麗にするように指示すると、ライカ様は舌で掬うように舐めとり始める。
「んんっ……! ライカ様、もっともっと強く……」
私がそう言ってすぐに、ジュルルルと強く吸い付かれ、その強い刺激で一瞬で達してしまう。
「はぁ、はぁ……っ、ライカ様、顔あげて」
まだ絶頂したビリビリとした余韻を残っているが、ライカ様に次の指示を出す。
顔を上げたライカ様は、形のよい唇から私の愛液をタラタラと垂らしている。それを掬ってライカ様の口の中に入れてから、私の唇を合わせた。
舌を激しく擦り合わせ、クチュクチュと絡み合う音がお互いの口から鳴る。
「指も、入れて」
キスの合間にそう言う。
男らしい太い指が、私の柔らかくなったぬかるみにズププと飲み込まれる。
1本、2本、3本と数を増やし、グチュグチュと濡れた音を響かせる。
――ぐるりと指を大きく回され、再び絶頂を迎えた。
その快楽の海に意識まで沈んでいかないように、ライカ様の逞しい身体にギュッとしがみつく。
♢◆♢
――私は自身の服を整えて、私のもので汚れてしまったライカ様の身体を拭いてから、洗脳を解いた。
洗脳の解けたライカ様は、私と言い合っていた『帰れ』『断る』の続きだろう――「茶を出してくれれば帰ってやる」と言ったのだ。
反発したいのをグッと抑える。言う通りにしよう。また、あーだこーだと言い合いになりたくない。
「……お茶出すから、そうしたら帰ってよ」
侍女を呼ぼうとした時、ライカ様に「待て」と止められる。
「リィンが淹れるミルクティーがいい」
「はぁっ!? 嫌よ、めんどくさい!」
「じゃあ、帰らん」
「チッ、不味いとか文句言わないでよね!」
もう、つくづく嫌な男――!
ライカ様は、私が手ずから淹れたミルクティーを冷めるまで飲まないという嫌がらせをして、満足そうに帰って行った。
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