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守りたい
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※フリード視点
「どうするつもりだ?簡単に会えるわけないだろ」
「…バカかお前は」
「あ?」
「誰が正面から行くんだ?」
本当に呆れたような顔をしたジョーカーに頭にきた。
じゃあどうするつもりなんだ?聞いてみようじゃないか。
ジョーカーを黙って見ていたら上を指差した。
そこにあるのはイリヤの部屋だ。
ジョーカーは何もない場所に手をかざすとそのまま横にスライドするように切りつけた。
何もない筈なのにそこに線が出て来て、線がぽっかりと穴を開けたように向こう側が黒いなにかで塗りつぶされたような空間が現れた。
風魔法で空間を切りつけワープを作る、上級風魔法だ。
俺も出来るが切った空間はずっと穴が開いたままだからいい方法とは言えない。
イリヤの部屋に誰でも入り放題になっているが分かっているのか?
「ワープでイリヤの部屋に入れるだろうがどうするんだ?穴を塞ぐ空間を歪めるなんてそんな力、聖騎士くらいしか無理だろ」
「だから見えにくいところに作ったんだろ?」
確かに大人なら普通に歩いていても気付かないほど下の方に作っているが、子供なら気付くのではないか?
ジョーカーは近くにあったベンチを持ってきて置いた。
ベンチのおかげか目立たなくなっているが、何だか不自然な気もする。
ベンチを押してずらし空間を出す。
ジョーカーは空間を覗き込む。
空間は生み出した相手の行きたい場所にワープするが飛び込むまで何処に繋がっているのか見る事は出来ない。
「学園とか用事がある時はこれで隠れられるがそれ以外なら時間がある時定期的に来るから大丈夫だ」
「…お、俺も行く!見張りは使い魔にやらせる、それだけならいいだろ」
「………空間には近付けさせるなよ」
嫌そうな顔をしているが渋々了承した。
自分が過去に使い魔に襲われたからイリヤも襲われると思っているのだろう。
ただジョーカーが動物に好かれるだけだと思うが俺もイリヤが知らずに襲われたら嫌だから使い魔を召喚した時強く自分の魔力を喰わせるか。
使い魔の主食は召喚した主の魔力だ、喰わせれば喰わせるほど使い魔は主に従順になる。
ジョーカーは先に行こうとしていたが俺は肩を掴み止めた。
ジョーカーは俺の方に目線だけ向けた。
「俺に行かせてほしい、イリヤに謝りたい事がある」
「………謝るような事をしたのか」
ジョーカーの声は低くなり瞳も鋭くなる。
俺が悪い事だから言い訳はしない。
俺は初めてジョーカーに頭を下げた。
プライドが高い俺が頭を下げるとは思ってなかったのかジョーカーは驚いた顔をしていた。
俺だってイリヤのためじゃなかったらこんな事しない。
これが俺のイリヤへの本気の気持ちだ。
「イリヤが好きなんだ!7年間ずっと!お願いだ、行かせてくれ」
「……俺だって」
「ジョーカー」
「明日は俺が行くから邪魔をするなよ」
ジョーカーはそう言い壁に寄りかかり俺から顔を逸らした。
ジョーカーにありがとうとお礼を言い空間の中に入った。
いつかこの借りは返そう、そう心の中で思った。
暗い暗い空間の中に飲み込まれ下へ下へと落ちていく。
内蔵が浮き上がるような何ともいえない感じを感じて、足元に小さな光が見えてだんだん光が大きくなり近付いている事が分かる。
そろそろ着くなと感じると暖かな光に包まれた。
天井に黒い空間が現れ、足が出て…身体を投げ捨てられるように落ちていった。
ワープ魔法は使えるが使った事がなくて着地に失敗してしまい尻を強打した。
慣れなきゃなと思いながらゆっくりと立ち上がる。
俺の目の前には愛しいあの子がいた。
イリヤはベッドに横になって寝ていた。
可愛い寝顔だと眺めていて頬に触れる。
少し濡れていた、泣いていたのか?
誰が泣かせた?…俺、か…
「ごめん、俺は君を守るって言ったばかりなのに君を不安にさせて…ごめんな」
イリヤの肩に触れると俺より二回り以上小さな身体が震えた。
唸り声を上げて目蓋が震えた。
小さく「イリヤ」と声を掛けると目元を擦りイリヤが俺を視界に捉えた。
イリヤはまだ寝ぼけているのか首を傾げてよく分かっていない様子だった。
腕を伸ばして俺の頬に触れて本物か確かめている様子だった。
俺もイリヤの頬に触れて涙を拭う。
「…俺、嫌われたって思った」
「……ごめん、嫌いになるわけないだろ」
「俺、ドルアージュの家の子だよ?」
「俺はイリヤだから好きになったんだ、ドルアージュとか関係ない!」
一番言いたかった事を言えた。
俺が、ホワイト家からもドルアージュ家からも助けてやる!
「どうするつもりだ?簡単に会えるわけないだろ」
「…バカかお前は」
「あ?」
「誰が正面から行くんだ?」
本当に呆れたような顔をしたジョーカーに頭にきた。
じゃあどうするつもりなんだ?聞いてみようじゃないか。
ジョーカーを黙って見ていたら上を指差した。
そこにあるのはイリヤの部屋だ。
ジョーカーは何もない場所に手をかざすとそのまま横にスライドするように切りつけた。
何もない筈なのにそこに線が出て来て、線がぽっかりと穴を開けたように向こう側が黒いなにかで塗りつぶされたような空間が現れた。
風魔法で空間を切りつけワープを作る、上級風魔法だ。
俺も出来るが切った空間はずっと穴が開いたままだからいい方法とは言えない。
イリヤの部屋に誰でも入り放題になっているが分かっているのか?
「ワープでイリヤの部屋に入れるだろうがどうするんだ?穴を塞ぐ空間を歪めるなんてそんな力、聖騎士くらいしか無理だろ」
「だから見えにくいところに作ったんだろ?」
確かに大人なら普通に歩いていても気付かないほど下の方に作っているが、子供なら気付くのではないか?
ジョーカーは近くにあったベンチを持ってきて置いた。
ベンチのおかげか目立たなくなっているが、何だか不自然な気もする。
ベンチを押してずらし空間を出す。
ジョーカーは空間を覗き込む。
空間は生み出した相手の行きたい場所にワープするが飛び込むまで何処に繋がっているのか見る事は出来ない。
「学園とか用事がある時はこれで隠れられるがそれ以外なら時間がある時定期的に来るから大丈夫だ」
「…お、俺も行く!見張りは使い魔にやらせる、それだけならいいだろ」
「………空間には近付けさせるなよ」
嫌そうな顔をしているが渋々了承した。
自分が過去に使い魔に襲われたからイリヤも襲われると思っているのだろう。
ただジョーカーが動物に好かれるだけだと思うが俺もイリヤが知らずに襲われたら嫌だから使い魔を召喚した時強く自分の魔力を喰わせるか。
使い魔の主食は召喚した主の魔力だ、喰わせれば喰わせるほど使い魔は主に従順になる。
ジョーカーは先に行こうとしていたが俺は肩を掴み止めた。
ジョーカーは俺の方に目線だけ向けた。
「俺に行かせてほしい、イリヤに謝りたい事がある」
「………謝るような事をしたのか」
ジョーカーの声は低くなり瞳も鋭くなる。
俺が悪い事だから言い訳はしない。
俺は初めてジョーカーに頭を下げた。
プライドが高い俺が頭を下げるとは思ってなかったのかジョーカーは驚いた顔をしていた。
俺だってイリヤのためじゃなかったらこんな事しない。
これが俺のイリヤへの本気の気持ちだ。
「イリヤが好きなんだ!7年間ずっと!お願いだ、行かせてくれ」
「……俺だって」
「ジョーカー」
「明日は俺が行くから邪魔をするなよ」
ジョーカーはそう言い壁に寄りかかり俺から顔を逸らした。
ジョーカーにありがとうとお礼を言い空間の中に入った。
いつかこの借りは返そう、そう心の中で思った。
暗い暗い空間の中に飲み込まれ下へ下へと落ちていく。
内蔵が浮き上がるような何ともいえない感じを感じて、足元に小さな光が見えてだんだん光が大きくなり近付いている事が分かる。
そろそろ着くなと感じると暖かな光に包まれた。
天井に黒い空間が現れ、足が出て…身体を投げ捨てられるように落ちていった。
ワープ魔法は使えるが使った事がなくて着地に失敗してしまい尻を強打した。
慣れなきゃなと思いながらゆっくりと立ち上がる。
俺の目の前には愛しいあの子がいた。
イリヤはベッドに横になって寝ていた。
可愛い寝顔だと眺めていて頬に触れる。
少し濡れていた、泣いていたのか?
誰が泣かせた?…俺、か…
「ごめん、俺は君を守るって言ったばかりなのに君を不安にさせて…ごめんな」
イリヤの肩に触れると俺より二回り以上小さな身体が震えた。
唸り声を上げて目蓋が震えた。
小さく「イリヤ」と声を掛けると目元を擦りイリヤが俺を視界に捉えた。
イリヤはまだ寝ぼけているのか首を傾げてよく分かっていない様子だった。
腕を伸ばして俺の頬に触れて本物か確かめている様子だった。
俺もイリヤの頬に触れて涙を拭う。
「…俺、嫌われたって思った」
「……ごめん、嫌いになるわけないだろ」
「俺、ドルアージュの家の子だよ?」
「俺はイリヤだから好きになったんだ、ドルアージュとか関係ない!」
一番言いたかった事を言えた。
俺が、ホワイト家からもドルアージュ家からも助けてやる!
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