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これからは貴方と一緒に『いつもの朝』を 4/4 ※
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【Side マリ】
「……あっ……ああっ、っ……あん……んんっ」
ゆっくり……、ズクリ、ズクリと奥を突かれるたびに、声が押し出される。
「……君は声まで甘いのか」
「ん、恥ずか、し……っ。あんっ。ふぁっ。あぅ……んう、っ」
しばらくゆっくりとした律動が続く中、不意に呟かれた言葉が恥ずかしくて口を閉じれば、すぐに唇を舐められ舌で口を割られた。
「……抑えないで。……聞きたい」
「んんっ。……あっ、あっあっあっ、……ああっ」
舌が離れ、息がかかる距離でそう囁かれて。キスを求めて彼の首に腕を回せば軽くキスをされ、それを合図に、律動がズクズクと早いものへと変わる。
「……はっ! ……く、ッ……これは、溺れそうだ……っ」
「んっんっんっ。ア、レク……っ。キス、してっ?」
「……っ! ……っああ」
もっと彼が欲しくてキスをねだれば、それもすぐに深いものへと変わった。
貪られ、口内の弱いところをくすぐられ。
胸を弄られながら奥を突かれる。
「マリ、っ、愛してる。は、ぁっ、すごく……っ」
「んんっ……、わた、ん、んっ! んっ! んぁっ! ぁぁっ!」
逞しい腕に抱かれ、脳に直接流し込むように囁かれて。
全てを奥へ刻みつけるように突かれれば、その瞬間などすぐに訪れた。
急激に奥に熱が渦巻き、つられるように中が締まるのが自分でも分かる。
「イきそっ?」
「ん、う、んっ!!」
――それは、到底抗うことなどできない奔流。
「んっ、イ、……っ!! ひぁっ!! ぁ、ゃぁぁあ!! ~~~ーーーー……ッッ!!!」
「……うあっ! ちょ、……くっ!! ……ああっ!」
それが白く弾けた意識の中、一際強く最奥を穿たれたかと思えば、ブワリと熱いものが放たれたのを感じた。
「……はっ、はぁ、っ、く、……ッ、気持ち良すぎて我慢出来なかった……。……マリ、ちょ、締めすぎ……」
癖なのか、放った後にもゆっくりと何度か抽送を続けた後、彼が言葉を紡ぎながら体重をかけてくる。
「……ん、ふぁ、は、アレク……気持ち、よかった?」
「ああ。すごく。……マリの中、気持ち良すぎてたまんない」
「……よかった……。んん……」
そう言った後は、やはり昨日のように優しくキスをされ、頭を撫でられた。
*
「……昨日よりは辛くない?」
あの後は、互いの息と体温が落ち着くまで抱き締め合って。
落ち着いた後は、やはり昨日のように抱きかかえられて浴室へと来た。
今は、ザァァと湯船にお湯が溜めらる音が響く浴室で、アレクの腕に囲われて支えられながら頭を洗われている。
「はい。……大丈夫みたい」
「体力があるって言っていたしな。……酔いは? 気分は悪くない?」
「そっちも大丈夫」
「そうか」
ザァッとシャワーで頭の泡を流される。
「……アレクも洗ってあげる」
泡が流れた後、髪留めで髪を纏め、後ろを振り仰ぎながらそう声をかけると、すこし驚いた表情をされた。
「……お願いするよ」
その声を受けてアレクに向き合う形で座り直したが、そのままではやりにくかったので、頭を下げてもらった。
シャワーをかけて髪を濡らし、シャンプーを手で少し泡立ててから、優しく洗っていく。満遍なく洗った後にシャワーで流すと、アレクが自分で髪をかき上げながら、上体を起こした。
「ありがとう」
「……いえいえ」
髪が濡れ水が滴るアレクが、なんとも色っぽくてドキドキしてしまう。
「……立って。体、洗ってあげる」
少し視線を逸らしてどこかソワソワする心を抑えていると、アレクがタオルに石鹸をつけてモコモコに泡立ててからそう言うので、二人で立ち上がった。
そうするとすぐに、アレクの手に持たれたタオルが体を優しく擦り始めた。
……何というか。
私は貴族の令嬢で、今や大公夫人である。体を人に洗われるなど日常茶飯の事で、さっきだってサラに洗われた。
アレクに明るい浴室で体を見られるのは正直まだ恥ずかしいが、まぁ、相手がアレクの事だ。昨日と今日の様子から察するに、慣れていかなければならないだろうなとも思う。
が、しかし。
たしかに彼はいつも優しく私に触れるし、それを嬉しく思うのだが、……今はその優しさが少々困る。
体を洗われているだけなのに、優しくタオルが体を滑っているだけなのに、何故か息が上がり、声が漏れそうになるのだ。
「ありがとう……ございました……」
全身を洗われそう言った時には、思考はもう惚けきっていた。
「……アレクの番」
――洗ってもらったなら、私も洗わねばならないだろう。
それでもそう思ってそう言ったのだが、またもや少し驚いた顔をされた。
無言でタオルを渡されので、アレクの体を洗っていく。
首筋、鎖骨、腕、胸に、後ろに回って背中と、少し屈んでお尻……。
まだほんのりとアルコールが残るトロリとした意識の中、やはり綺麗な体だな……、と思いながら、その肌をタオルで優しく擦る。引き締まった体のその滑らかなそれには、所々に傷跡があって、彼の仕事上仕方がないものとはいえ少し心配になってしまった。
(古そうなものばかりだし。新しいものもないわね……)
そんなことを思ってホッとしながら上体を起こし、前に回って、無意識に続きを洗おうと彼のお腹の部分にタオルを当てたところでハッとした。
思わず顔を見上げると、愉悦を浮かべ妖しく瞳を煌めかすアレクと目が合う。
「……洗ってくれないの?」
そう言いながら、アレクが私のタオルを持つ手に手を添えてきた。
「……恥ずかしいなら、見なくていいから。……洗って?」
続けてキスをされながら手を誘導されて。
タオル越しとはいえ触らされると、すでに熱く硬くなっていて。
その大きさと、熱さと、時折ピクリとする動きに驚くと同時に、じわりと、だが確実に、私の中にも熱が燈る。
私の手を掴み少し上下に動かしてソレを洗った後、アレクの手は離れていき、シャワーのお湯を出した。
「……マリは積極的だな。君から誘われるとは思わなかった」
「えっ、ちがっ」
「とりあえず泡を流そう。……滑ると危ない」
別にそんなつもりはなかった。
いつものようにただ一方的に洗われるのとは違い、夫婦という対等な立場の人間同士で一緒にお風呂に入るという状況に、どうするのが正解なのか分からなかっただけで。そんな中、ふと思い出したのが、本当に幼い頃ユーゴと一緒にお風呂に入った時の記憶だったのだ。
だから、結論的に洗いっこを申し出てしまった訳なのだが、相手が夫、つまりは自分と性的な関係を持つ成人男性であることを失念していた。
今更だが、まだ少し酔っていたのかもしれない、と思っても後の祭。
気付いた時には全身の泡がキレイに流され、壁に背を押し付けられて片足を持たれ、入れられる直前だった。
「ああ、私のが出てきてるな……」
「待っ、アレクっ! まって! まだ……っ!」
「まだ? 何が? ……私のがなくても、グズグズでドロドロだったと思うぞ?」
「えと、あの、あ、お湯が……ッッ、やぁぁあんっ!」
「……ん……ほ、ら。……ッ、すんなり入った」
「あっ、あっ、ああっ、ふ、ッひっ、……や、あっ、あんっ」
「……ああ、ここは声が響いて、いいね。キスをするのが、はっ……もったいない、っ、くらいだ」
「んんっ、あふ、んっ、……んんんっ、ッ、ふぁっ……!」
「何しても気持ちいいって、ふっ、ッ……反則、だなっ」
「で、もっ、お湯がっ……、溢れっ、てるぅ……っ」
先ほどチラと周りを見回した時、湯船からお湯が溢れているのが見えていた。
「ん……? あ、ああ。……マリが、気になるなら、止めようか」
「んぁあっ」
アレクがそう言って一気にモノを引き抜いたので、支えを失った私はガクリとその場に崩れかけたが、私の片足と腰を持つアレクの手に難なく支えられた。
足を下ろされ抱きかかえられて、一緒に湯船の所まで行く。
「……これでいい? ……他には?」
ザバザバと溢れていたお湯が止められ、あとは水が滴る音がするだけとなった浴室に、アレクの声が静かに響く。
正直、もう、何も考えられなかった。
アレクの熱が途中で抜かれた瞬間、その熱を追い求めるように自分の中が締まったのが分かった。
自分がお湯の事を言い出したのに、出て行ってしまった瞬間、止めないでと思ってしまったのだ。
「……ないなら、……もういいだろ?」
「…………え?」
何も考えられず、されるがままに優しく下ろされて。湯船の縁に両手をつく体勢にされ、後ろから腰を掴まれた。
――その事を、知識では知っていたが。
(……まさか)
そう思った時には、後ろから貫かれていた。
「ひっ! やぁぁ! ああっ、あっ! あっ、ん、あ、ああぁ!!」
腰を掴まれ、最初からトップスピードで突かれる。
今までとは違う角度で、今までとは異なる箇所を、押し擦られ、突かれ、中をかき混ぜられる。
初めてに近い感覚の筈なのにそれが妙に気持ちよくて、止められない声を手で抑えることもできず。静かだった筈の浴室は、私の嬌声と、アレクの短い息遣い、濡れた肌がぶつかる淫らな水音で溢れていた。
「……後ろ、気持ちいいの? ……っ、すごく、締まる……!」
「あん! あぁっ、や、わかんなっ、いっ! ぁああっ!!」
「そう? ……す、ご、ココもココも、硬くなってる、ッ……けど?」
ガツガツと突かれながら胸の頂と花芯を捏ねられ、耳に言葉を流し込まれてしまえば、限界はすぐにきた。
縁を掴む手に力が入り、弾ける前の緊張で体が強張り、内腿が震える。
「…………マリ、イッていいよ。ほら、奥、突いてあげるから」
激しい動きとは対照的に、優しく、甘く。
誘うように耳元で囁かれれば、抗うことなどできずに全身にソレが駆け抜けた。
「ふっ! くっ、ぅっ! うぅ……っ! ッ、~~ーーーー!!」
「……く、ぅッ、は……っ…………ああっ! マリ! っ、まだだっ!」
「えっやっっ! も、むりっ!! あっあっ! ひっ、んんんっ!」
ソノ瞬間の、真っ白な視界に火花が散る。
急上昇しているような、はたまた急降下しているような、ゾクゾクとする強烈な感覚に恐怖さえ覚える。
体を支えきれない腕は、後ろに取られ。
倒れそうになる体は、肩を掴まれ引き起こされて。
許して欲しいのに、止まってくれなくて。
許して欲しいのに、止まってほしくなくて。
自分ではもうどうすることもできない感覚に、息を詰め、ただ弾けてぶち撒けられるまで耐えようとして堅く目を閉じれば、自分に渦巻く甘い熱もまた、再び限界に近い事に気付く。
そしてそれが、耐えきれずに再び溢れ、弾けた瞬間。
「……くっ! ……っ、ああっっ!」
最奥に、灼熱が放たれた。
「あッ。はっ……はぁっ……、ん、、んん、ふっ。……あ!」
どぷりと注がれる感覚と、続くゆるい抽送。
ズルリと彼のモノが引き抜かれれば、力が入らなくて床にへたり込んだ。
「……はっ、あ、ああ、すまない。……おいで」
そう言って少し慌てた様子で抱えられて。そのまま二人で寄り添って湯船に浸かり目を閉じれば、気持ちの良い浮遊感に包まれた。
「……マリ」
しばらくそうしていて息が整いだした頃、不意に頬にキスをされた。名前を呼ばれたので目を開けると、そこには目元を染めて嬉しそうにフワリと微笑むアレクの顔があった。
「……なんだかすごく幸せだ。君がずっと腕の中にいるの……」
「ふふっ。……私も幸せです。素敵な人が夫で、その人に愛してもらえて、私もその人を愛する事ができて。……その人の子どもを望む事もできる。…………貴方の妻になれて良かった」
「……可愛い事を言ってくれるね。……ああ明日、仕事行きたくないな。君と離れたくない」
「ふふっ。大丈夫ですわ。……ほら、貴方の薬指には私がいるのでしょう? 私の薬指にも貴方がいるわ。……ちゃんとお屋敷で待っていますから、頑張って下さいませ」
「……ああ。そうしよう。日中はこっちに見守ってもらって、夜になれば君の側に帰ってこられるのだと思って。また明日から頑張るよ。……たくさん愛したいから早く帰ってこられるようにする」
「……お手柔らかにお願いします」
「大丈夫だよ。……君は体力があるんだろう?」
「!!」
「ははは。……さあ、そろそろ上がろうか。上がって、一緒に寝よう」
「……はい」
そう言った後は。
途中アレを掻き出されて二人でシャワーを軽く浴びるというハプニングはあったが、それ以降は昨夜と同じように、お風呂からあがり、同じベッドへ入って。
そして、彼の体温を感じながら意識を手放すその刹那。
これからはこの人と一緒に迎える朝が『いつもの朝』になるのだなと、思ったのだった。
「……あっ……ああっ、っ……あん……んんっ」
ゆっくり……、ズクリ、ズクリと奥を突かれるたびに、声が押し出される。
「……君は声まで甘いのか」
「ん、恥ずか、し……っ。あんっ。ふぁっ。あぅ……んう、っ」
しばらくゆっくりとした律動が続く中、不意に呟かれた言葉が恥ずかしくて口を閉じれば、すぐに唇を舐められ舌で口を割られた。
「……抑えないで。……聞きたい」
「んんっ。……あっ、あっあっあっ、……ああっ」
舌が離れ、息がかかる距離でそう囁かれて。キスを求めて彼の首に腕を回せば軽くキスをされ、それを合図に、律動がズクズクと早いものへと変わる。
「……はっ! ……く、ッ……これは、溺れそうだ……っ」
「んっんっんっ。ア、レク……っ。キス、してっ?」
「……っ! ……っああ」
もっと彼が欲しくてキスをねだれば、それもすぐに深いものへと変わった。
貪られ、口内の弱いところをくすぐられ。
胸を弄られながら奥を突かれる。
「マリ、っ、愛してる。は、ぁっ、すごく……っ」
「んんっ……、わた、ん、んっ! んっ! んぁっ! ぁぁっ!」
逞しい腕に抱かれ、脳に直接流し込むように囁かれて。
全てを奥へ刻みつけるように突かれれば、その瞬間などすぐに訪れた。
急激に奥に熱が渦巻き、つられるように中が締まるのが自分でも分かる。
「イきそっ?」
「ん、う、んっ!!」
――それは、到底抗うことなどできない奔流。
「んっ、イ、……っ!! ひぁっ!! ぁ、ゃぁぁあ!! ~~~ーーーー……ッッ!!!」
「……うあっ! ちょ、……くっ!! ……ああっ!」
それが白く弾けた意識の中、一際強く最奥を穿たれたかと思えば、ブワリと熱いものが放たれたのを感じた。
「……はっ、はぁ、っ、く、……ッ、気持ち良すぎて我慢出来なかった……。……マリ、ちょ、締めすぎ……」
癖なのか、放った後にもゆっくりと何度か抽送を続けた後、彼が言葉を紡ぎながら体重をかけてくる。
「……ん、ふぁ、は、アレク……気持ち、よかった?」
「ああ。すごく。……マリの中、気持ち良すぎてたまんない」
「……よかった……。んん……」
そう言った後は、やはり昨日のように優しくキスをされ、頭を撫でられた。
*
「……昨日よりは辛くない?」
あの後は、互いの息と体温が落ち着くまで抱き締め合って。
落ち着いた後は、やはり昨日のように抱きかかえられて浴室へと来た。
今は、ザァァと湯船にお湯が溜めらる音が響く浴室で、アレクの腕に囲われて支えられながら頭を洗われている。
「はい。……大丈夫みたい」
「体力があるって言っていたしな。……酔いは? 気分は悪くない?」
「そっちも大丈夫」
「そうか」
ザァッとシャワーで頭の泡を流される。
「……アレクも洗ってあげる」
泡が流れた後、髪留めで髪を纏め、後ろを振り仰ぎながらそう声をかけると、すこし驚いた表情をされた。
「……お願いするよ」
その声を受けてアレクに向き合う形で座り直したが、そのままではやりにくかったので、頭を下げてもらった。
シャワーをかけて髪を濡らし、シャンプーを手で少し泡立ててから、優しく洗っていく。満遍なく洗った後にシャワーで流すと、アレクが自分で髪をかき上げながら、上体を起こした。
「ありがとう」
「……いえいえ」
髪が濡れ水が滴るアレクが、なんとも色っぽくてドキドキしてしまう。
「……立って。体、洗ってあげる」
少し視線を逸らしてどこかソワソワする心を抑えていると、アレクがタオルに石鹸をつけてモコモコに泡立ててからそう言うので、二人で立ち上がった。
そうするとすぐに、アレクの手に持たれたタオルが体を優しく擦り始めた。
……何というか。
私は貴族の令嬢で、今や大公夫人である。体を人に洗われるなど日常茶飯の事で、さっきだってサラに洗われた。
アレクに明るい浴室で体を見られるのは正直まだ恥ずかしいが、まぁ、相手がアレクの事だ。昨日と今日の様子から察するに、慣れていかなければならないだろうなとも思う。
が、しかし。
たしかに彼はいつも優しく私に触れるし、それを嬉しく思うのだが、……今はその優しさが少々困る。
体を洗われているだけなのに、優しくタオルが体を滑っているだけなのに、何故か息が上がり、声が漏れそうになるのだ。
「ありがとう……ございました……」
全身を洗われそう言った時には、思考はもう惚けきっていた。
「……アレクの番」
――洗ってもらったなら、私も洗わねばならないだろう。
それでもそう思ってそう言ったのだが、またもや少し驚いた顔をされた。
無言でタオルを渡されので、アレクの体を洗っていく。
首筋、鎖骨、腕、胸に、後ろに回って背中と、少し屈んでお尻……。
まだほんのりとアルコールが残るトロリとした意識の中、やはり綺麗な体だな……、と思いながら、その肌をタオルで優しく擦る。引き締まった体のその滑らかなそれには、所々に傷跡があって、彼の仕事上仕方がないものとはいえ少し心配になってしまった。
(古そうなものばかりだし。新しいものもないわね……)
そんなことを思ってホッとしながら上体を起こし、前に回って、無意識に続きを洗おうと彼のお腹の部分にタオルを当てたところでハッとした。
思わず顔を見上げると、愉悦を浮かべ妖しく瞳を煌めかすアレクと目が合う。
「……洗ってくれないの?」
そう言いながら、アレクが私のタオルを持つ手に手を添えてきた。
「……恥ずかしいなら、見なくていいから。……洗って?」
続けてキスをされながら手を誘導されて。
タオル越しとはいえ触らされると、すでに熱く硬くなっていて。
その大きさと、熱さと、時折ピクリとする動きに驚くと同時に、じわりと、だが確実に、私の中にも熱が燈る。
私の手を掴み少し上下に動かしてソレを洗った後、アレクの手は離れていき、シャワーのお湯を出した。
「……マリは積極的だな。君から誘われるとは思わなかった」
「えっ、ちがっ」
「とりあえず泡を流そう。……滑ると危ない」
別にそんなつもりはなかった。
いつものようにただ一方的に洗われるのとは違い、夫婦という対等な立場の人間同士で一緒にお風呂に入るという状況に、どうするのが正解なのか分からなかっただけで。そんな中、ふと思い出したのが、本当に幼い頃ユーゴと一緒にお風呂に入った時の記憶だったのだ。
だから、結論的に洗いっこを申し出てしまった訳なのだが、相手が夫、つまりは自分と性的な関係を持つ成人男性であることを失念していた。
今更だが、まだ少し酔っていたのかもしれない、と思っても後の祭。
気付いた時には全身の泡がキレイに流され、壁に背を押し付けられて片足を持たれ、入れられる直前だった。
「ああ、私のが出てきてるな……」
「待っ、アレクっ! まって! まだ……っ!」
「まだ? 何が? ……私のがなくても、グズグズでドロドロだったと思うぞ?」
「えと、あの、あ、お湯が……ッッ、やぁぁあんっ!」
「……ん……ほ、ら。……ッ、すんなり入った」
「あっ、あっ、ああっ、ふ、ッひっ、……や、あっ、あんっ」
「……ああ、ここは声が響いて、いいね。キスをするのが、はっ……もったいない、っ、くらいだ」
「んんっ、あふ、んっ、……んんんっ、ッ、ふぁっ……!」
「何しても気持ちいいって、ふっ、ッ……反則、だなっ」
「で、もっ、お湯がっ……、溢れっ、てるぅ……っ」
先ほどチラと周りを見回した時、湯船からお湯が溢れているのが見えていた。
「ん……? あ、ああ。……マリが、気になるなら、止めようか」
「んぁあっ」
アレクがそう言って一気にモノを引き抜いたので、支えを失った私はガクリとその場に崩れかけたが、私の片足と腰を持つアレクの手に難なく支えられた。
足を下ろされ抱きかかえられて、一緒に湯船の所まで行く。
「……これでいい? ……他には?」
ザバザバと溢れていたお湯が止められ、あとは水が滴る音がするだけとなった浴室に、アレクの声が静かに響く。
正直、もう、何も考えられなかった。
アレクの熱が途中で抜かれた瞬間、その熱を追い求めるように自分の中が締まったのが分かった。
自分がお湯の事を言い出したのに、出て行ってしまった瞬間、止めないでと思ってしまったのだ。
「……ないなら、……もういいだろ?」
「…………え?」
何も考えられず、されるがままに優しく下ろされて。湯船の縁に両手をつく体勢にされ、後ろから腰を掴まれた。
――その事を、知識では知っていたが。
(……まさか)
そう思った時には、後ろから貫かれていた。
「ひっ! やぁぁ! ああっ、あっ! あっ、ん、あ、ああぁ!!」
腰を掴まれ、最初からトップスピードで突かれる。
今までとは違う角度で、今までとは異なる箇所を、押し擦られ、突かれ、中をかき混ぜられる。
初めてに近い感覚の筈なのにそれが妙に気持ちよくて、止められない声を手で抑えることもできず。静かだった筈の浴室は、私の嬌声と、アレクの短い息遣い、濡れた肌がぶつかる淫らな水音で溢れていた。
「……後ろ、気持ちいいの? ……っ、すごく、締まる……!」
「あん! あぁっ、や、わかんなっ、いっ! ぁああっ!!」
「そう? ……す、ご、ココもココも、硬くなってる、ッ……けど?」
ガツガツと突かれながら胸の頂と花芯を捏ねられ、耳に言葉を流し込まれてしまえば、限界はすぐにきた。
縁を掴む手に力が入り、弾ける前の緊張で体が強張り、内腿が震える。
「…………マリ、イッていいよ。ほら、奥、突いてあげるから」
激しい動きとは対照的に、優しく、甘く。
誘うように耳元で囁かれれば、抗うことなどできずに全身にソレが駆け抜けた。
「ふっ! くっ、ぅっ! うぅ……っ! ッ、~~ーーーー!!」
「……く、ぅッ、は……っ…………ああっ! マリ! っ、まだだっ!」
「えっやっっ! も、むりっ!! あっあっ! ひっ、んんんっ!」
ソノ瞬間の、真っ白な視界に火花が散る。
急上昇しているような、はたまた急降下しているような、ゾクゾクとする強烈な感覚に恐怖さえ覚える。
体を支えきれない腕は、後ろに取られ。
倒れそうになる体は、肩を掴まれ引き起こされて。
許して欲しいのに、止まってくれなくて。
許して欲しいのに、止まってほしくなくて。
自分ではもうどうすることもできない感覚に、息を詰め、ただ弾けてぶち撒けられるまで耐えようとして堅く目を閉じれば、自分に渦巻く甘い熱もまた、再び限界に近い事に気付く。
そしてそれが、耐えきれずに再び溢れ、弾けた瞬間。
「……くっ! ……っ、ああっっ!」
最奥に、灼熱が放たれた。
「あッ。はっ……はぁっ……、ん、、んん、ふっ。……あ!」
どぷりと注がれる感覚と、続くゆるい抽送。
ズルリと彼のモノが引き抜かれれば、力が入らなくて床にへたり込んだ。
「……はっ、あ、ああ、すまない。……おいで」
そう言って少し慌てた様子で抱えられて。そのまま二人で寄り添って湯船に浸かり目を閉じれば、気持ちの良い浮遊感に包まれた。
「……マリ」
しばらくそうしていて息が整いだした頃、不意に頬にキスをされた。名前を呼ばれたので目を開けると、そこには目元を染めて嬉しそうにフワリと微笑むアレクの顔があった。
「……なんだかすごく幸せだ。君がずっと腕の中にいるの……」
「ふふっ。……私も幸せです。素敵な人が夫で、その人に愛してもらえて、私もその人を愛する事ができて。……その人の子どもを望む事もできる。…………貴方の妻になれて良かった」
「……可愛い事を言ってくれるね。……ああ明日、仕事行きたくないな。君と離れたくない」
「ふふっ。大丈夫ですわ。……ほら、貴方の薬指には私がいるのでしょう? 私の薬指にも貴方がいるわ。……ちゃんとお屋敷で待っていますから、頑張って下さいませ」
「……ああ。そうしよう。日中はこっちに見守ってもらって、夜になれば君の側に帰ってこられるのだと思って。また明日から頑張るよ。……たくさん愛したいから早く帰ってこられるようにする」
「……お手柔らかにお願いします」
「大丈夫だよ。……君は体力があるんだろう?」
「!!」
「ははは。……さあ、そろそろ上がろうか。上がって、一緒に寝よう」
「……はい」
そう言った後は。
途中アレを掻き出されて二人でシャワーを軽く浴びるというハプニングはあったが、それ以降は昨夜と同じように、お風呂からあがり、同じベッドへ入って。
そして、彼の体温を感じながら意識を手放すその刹那。
これからはこの人と一緒に迎える朝が『いつもの朝』になるのだなと、思ったのだった。
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