【R18・番外編】来世でも一緒に

霜月×ティオ

文字の大きさ
21 / 30

"……今夜は…………" 2/3 ※

しおりを挟む
【Side アレク】


 何故こちらを向いてくれないのか。
 何故眠ったフリをしているのか。
 色々と疑問は湧いてくるが、とりあえず起きているなら顔が見たかった。

「マリ、……起きているならこっちを向いて?」

 同じブランケットに入り、片肘をついて。
 努めて優しく、囁くように声を掛けながら、彼女の艶やかな髪を指で撫で梳く。

「マリ? ……何か怒っているのか?」

 見学を許さず帰したからか。
 早く帰ると言っていたのに遅くなったからか。
 未だこちらを向かないマリの背中に、じわじわと滲み出した不安を感じつつそう尋ねれば、ようやく、マリの体がモゾリと動いた。

「……おかえり、なさい」

 こちらに体を向けてそう小さく言葉を紡いだマリ。けれども、眉を寄せ一度目を合わせた後は、不自然に視線を逸らしてしまう。

 その様子に、私は一瞬、やはり何かに怒っているのだろうかと思った。昼間に会ってから今この瞬間までの間に、きっと怒らせてしまう程の何かをしてしまったのだろうと。

 だが、その頬と耳は色付き、潤んだ瞳には怒り以外のものも感じて。促すために顎へと指を掛ければ、一瞬だけ視線を彷徨わせた後、観念したように再び視線を私へと向けた。

「何に怒っている? ……昼間すぐに帰したこと? 遅く帰ってきたこと? それとも、寝ていたところを起こしてしまった?」

「……っ、いいえ。違うの。それに、……別に怒ってない」

「そう? 怒っていないなら、……拗ねてる?」

「……拗ねてもいないわ。というか本当に、何もないわよ?」

「マリ。……それはさすがに嘘だろう」

 大公夫人の仮面を付けていない時のマリは、愛しい程に分かりやすい。これ程まで顔と態度に出しておいて、今更「何もない」で済ませられると本気で思っているのだろうか。

「……言って? 教えて? 謝るし、次からは気をつけるから」

 触れても嫌がる素振りを見せないので、髪を耳に掛けてやる。頬のその柔肌を撫ぜながらそう尋ねれば、マリが、何故か困ったように更に眉をきゅうぅと寄せた。

「マリ?」

「……騎士団でのことではないの。勝手をしたのは私だし、やっぱりお仕事の邪魔はしてはいけないわよねって思い直したし」

「あー……、まぁ、うん」

「帰りが遅くなったことも、本当に、怒っている訳じゃないのよ。そういうお付き合いが大事だというのも分かってるつもり。それに、……元々起きていたから、起こされた訳でもないの」

「うん」

「ただ……」

「ただ?」

「ただ、……だって、アレクが……」

「ん?」

「……アレクが、そのつもりでって言ったから……」

「??」

「……早く帰るからって。明日は休みだからって。……だから、その、……今夜は…………」

「ああ。"……今夜は、じっくり君を抱かせてほしい"?」

「……っっ」

 たしかに昼間、その言葉を私は言った。
 
 マリの体の事を考えるならば、夜通し抱くのは私の休み前夜ぐらいの間隔でするぐらいがいいのだろうと思っているし、正直なところ、私自身、それを楽しみに次の休みまで頑張っている節もある。

 だから明日に休みを控えていた今日。
 夜になれば、じっくり愛で、ゆっくり味わい、溢れるまで注げるのだと期待して、元々体の奥底にチリチリとした火がついていたのだ。何が何でも早く帰ろうと、その燻りを仕事への原動力に変えて日中を過ごしていた。

 そんな時だったのである。マリが現れ、更にその上で、トドメを刺してきたのは。あの瞬間、確実に。体を動かしたぐらいでは、一度吐精したぐらいでは治まる筈のない火がついていた。

 それでも。

(……私だけだろうと思っていた……)

 こんなにも相手に溺れ、飢え、求めているのは私だけだろう。そう思い、無理強いだけはしないよう抑えるつもりで、息と共に熱を吐き、我慢しようと思っていたのに。

「……ふ、ぁ、っ」

 頬を離れ、首筋を這わせ、そこへと手を滑らせれば、ピクリと体を震わせ吐息を漏らす。
 透けたネグリジェの下。早くもその存在を主張しツンと尖り始めているその頂を、少し擦っただけでも過剰な程に反応を返すその様は、私の胸を期待と狂喜で震わせた。

 堪らず、ついていた片肘を外しマリへと腕を広げる。すると、彼女がおずおずと体を寄せてきたので、私はそのままキュッと抱き込んで。

「んっ、……んん、っ」

「……もしかして、期待してくれてた?」

 熱くなっている耳にキスをして、耳殻を喰み舐めつつそう囁けば、マリが恥ずかしそうに私の肩口へと額を押し付けた。

「……アレクのせいよ……」

「ん?」

 絞り出すように紡がれた言葉。
 その言葉にマリの顔を覗き込むと、困惑と羞恥、そして恨みがましさが混じった顔で見つめ返されてしまう。

 そして。

「……貴方が毎晩抱くから、こんな体になってしまったわ」

「っ?!」

「……抱かせてほしいと言われれば、期待して。欲情して……」

 口にしている内容が恥ずかしいのか、声を発する度に滲む涙と更に染まる頬が私を煽り。

「……貴方に抱かれないと眠れない体になってしまったじゃない……」

 ――その言葉に、息が止まった。


「…………マリ。……君は私をどうしたいんだ?」
 
「え?」

「これ以上私を惑わせてどうする?」

「アレ、んっ?! んんっ、ん、……っ、ふ、ぅ」

「君は、私がどれだけ君を愛しているか知っている筈だ」

「んぁ、んんんっ」

「私がどれだけ、君を抱きたいと思っているのかも……っ」

 体勢を変えて組み敷いて。
 舌を捻じ込み、その甘い口内を貪りながら。その扇情的な姿を愉しむ余裕もないまま、裾から手を這わして下着の紐を解き取る。

「あの、アレク?! あっ、や、っ」

 慌てるマリを横目に上体を起こし、ブランケットを剥ぎ取りその白く細い脚を割り開けば、ライトの明かりを拾い、とろりとヌラめき光る秘裂が見えた。

「……はっ、マリ、君は……。私に抱かれることを期待して、触る前からこんなに……?」

「ぁ、ふ、んぁぁ……っ」

 指を挿し込めば、締め付けながらもすんなりと咥え込むソコ。
 その指先に感じた奥の熱さに、あの瞬間から、マリの中にもずっと火が燻っていたのだと私は理解した。

「もしかして、自分で触ったりしたかい?」

 そう尋ねれば、驚きに僅かに目を見開かせた後、首を横に振られて。

「では、想像は? ……ベッドに入り、私を待っていた間。ココに私が入ってくる想像は、した?」 

 次にそう尋ねながら大きく指を動かせば、卑猥な水音が耳朶を打ち、マリが羞恥に顔を歪めた。

「……んぅ、ふ……っ」

「……ね、マリ?」

「んあっ、やっ、お願いよ。……っ、聞かないでっ」

 手で顔を覆いそう言うも、締め付けるナカと隠しきれない顔の火照りが答えだろう。

 ソコを押し撫でれば脚を跳ねさせ、甘い声を漏らすその様に、堪えきれない愉悦とゾクリとするほどの快感が私を襲う。

 私が開いた体。
 私が教え込み、快感を刻み込んできた体。
 どうすればイイのかなど、知り尽くしているのだ。

 ましてや、これ程火がついていれば……。

「マリ。……想像の中の私と、現実の私、どっちがイイ?」

「あっ、ああっ、や、アレ、クっ! ……ひ! っ、やぁ、ん、んんんーーーーっっ!!」
 
「嗚呼、マリ。……そんな簡単にイッて。こんなにココをヒクつかせて。……そんなに煽られたら、歯止めが利かなくなってしまうじゃないか」

 そう言い放ちながらツプリと指を引き抜き、絡みつく甘い蜜を舌を絡めて舐め上げる。

 荒い息を吐くマリを見下ろせば、その蕩けた瞳、乱れた姿から薫り立つ色香に当てられて。自身が着ているガウンの紐を解き、前を寛げ、すでに勃ち上がっているペニスをソコに擦り付けるだけで、快感に肌が粟立った。

「アレク……、あ。ちょっと、待っ……」

「何故? ……眠れない程、欲しかったんだろう?」

「んん……」

「……私だって、抱きたくて堪らなかったんだ……」

 そう。脳内で犯しただけでは、ただ余計に欲を募らせただけ。

「あ、入っ、……んあぁっ! っ、…………んんっ、……んっ、……ぁぁ」

 渇望していた快感に襲われながら、私は、殊更ゆっくり押し入り数度優しく奥を突く。

「あっ、……ふぁっ、……っ、…………んん……」

 腕の中には、気持ち良さげに目を細め、甘い吐息を漏らし、腰を揺らして私を誘うマリ。ネグリジェも着たまま、下着も片脚に引っ掛かけたまま。私の所有印をその身に散らし、私のモノを咥え込んで喜悦の声をあげている。

 この、昼間の彼女からは想像もつかない程の痴態が、私だけのものであると思えば。

(私の。……私だけの女)
 
 そう思えば。
 満たされる雄としての支配欲と独占欲に視界が霞み、脳が溶けそうな程の快感にのまれて。次の瞬間には、私は衝動のまま動物的に腰を振り、音がする程打ち付けていた。

「……っっ!! ひ、んっっ! んんっ! ん、あっ! アレク、待っ!! あっあっああっ!」

「っ、は、無理。待てない。……っっ、く、こんなの、待てるわけないだろっ」

「んんんっ、んんっ、……ふ、っ!!! ぁ、ぁあっ!」

 首筋を伝う汗が、その身へと滴り落ちる。

 指を絡めて縫い止めて、抉るように挿抜しながら奥を突き。

 その口内を、そのナカを。
 かき混ぜ、貪り、強弱と緩急をつけ攻めたてて。

「あっ、も、ほんとダメっ! ふぁっ、ん! アレクっ!」

「ああ、いいよ。イッて。…………はっ、……く、ほら。奥の、ここだろっ?」

「それっ、あっ、やっっ!! んああっ! っっーーー~~……ッッ!!!」

(……ああ、本当に。…………おかしくなりそうだ)

 きぅきぅと締め付けてくるナカを尚も攻めたて。零れる涙と噴き出す汗を舐め上げ、理性を手放し、ただただマリに溺れて。

(優しくしたいんだがな……)

 そんな気持ちとは裏腹に。
 前から犯し、背後から犯し、壊れるまで。
 その声が枯れるまで鳴かしたいという欲が膨らむ。

(……嗚呼、マリ。……これからだよ……)

 夜通し抱いて、余す事なく味わって。
 その先の未来、立つ事もできずにベッドで過ごす明日の君を想像する。
 
(フラフラのマリを甘やかす時が一番愉しいと言ったら、流石に怒らせてしまうだろうか……?)

 そしてそんな事を考えながら。

「……は、ッッ、ぐ、……く、ぁっ、ーーーーー……!!!」
 
 こじ開けるように押しつけて、私はその最奥へと吐精したのだった。
 
 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...