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動き出すアリス、秘密のハーレム計画
第21話 疑惑のラブレター?
しおりを挟む先を行く甘奈に無事追い付き、二人で学校に向かう。
時間的にも何とか学校に遅刻しなくて済みそうだ。
「あんなに遅くまでなるなんて、一体アリスさんと何を話されてたんですか?」
「え? あぁ、別に大した話じゃないよ。
ただ夏葉がちょっと調子悪いらしいから代わりに来たっていうのを言われたぐらい。
あとちゃんと起きれない所は昔から変わりませんねとか色々とな……」
俺はパッと頭に思い浮かんだ言い訳を甘奈に話す。
すると、甘奈も納得したようで、うんうんと頷いた。
「確かに兄さんは昔からそこは変わりませんよね。
まぁだからこそ目覚まし当番を決めた訳ですし」
「あぁ、本当に感謝してるよ……」
俺の言い訳をすんなり受け入れてくれるその純粋さにな……。
甘奈に嘘を付くのはちょっと心が痛むものの、こればかりは仕方ないと自分の中で割り切る事にした。
そんな他愛のない話をしていると、急にドンッと背中を叩かれた。
「まこと! おっすおっす!」
昨日親からの呼び出しで勉強会に最後まで居られなかった巽である。
「あぁ、おはよう」
「南雲さん、おはようございます」
あれ? 甘奈って巽の事、そう呼んでたっけ?
「おいおい、甘奈ちゃぁん! ついこの間まで、巽さんって呼んでくれてたじゃん?
急になんで余所余所しくしちゃう? 俺、悲しくて泣いちゃうよ?」
「すみません、ちょっと異性との距離をもう一度見直そうと思いまして。
それと好きな人に誤解とかされたくありませんから……」
甘奈の好きな人だとぉぉぉぉぉぉぉお!?
一体誰だ⁉ その自殺志願者は! お兄さんは許しませんよ!
まずは付き合う前に、俺に挨拶してからにしないと!
それから俺と話し合いをして、それで認めるかどうかをだな……!
「えっ⁉ 甘奈ちゃんって好きな人いたの⁉ 誰⁉」
「何で私が好きでもない南雲さんに教えないといけないのですか?
それとちょっと距離が近いので、少し離れてください」
何か滅茶苦茶辛辣になってんな……。
一体どうしたんだ? 昨日、甘奈に何かあったのか?
「え、ちょっと甘奈ちゃん、俺に厳しすぎない……?」
流石のメンタルサイコな巽でも傷付いたのか、戸惑ったような声で甘奈に言った。
「…………ふふっ」
「甘奈?」
「甘奈ちゃん……?」
急にくすっと笑う不気味な彼女に、俺達は戸惑いつつも声を掛ける。
「もう、冗談ですよ! ちょっと最近、巽さんの距離が近いと思ったのでちょっとお仕置きでもと思いまして」
甘奈はくすくす笑い、今度は”南雲さん”ではなく”巽さん”と呼び方を変えた。
「よ、良かったぁ……。てっきり甘奈ちゃんに嫌われたかと思った……」
「その……良かったな。巽……」
甘奈の言葉にホッと胸を撫で下ろす巽を安心させるように、俺は彼の肩をポンと叩いた。
いやぁ、それにしても冗談かぁ……。俺の手を血に染めずに済んで良かったぜ……。
「あ、でも、好きな人に誤解されたくないっていうのは本当なので。
そこだけは間違えないでくださいね?」
はい、血染め確定でーす。さて、誰だ? 俺の拳の餌食になりたい好きな人って奴はよぉ!
俺は表面上では穏やかを装いつつ、心の中では可愛い可愛い妹の好きな人に殺意の炎を燃やしていた。
「あっ! いけない! 急がないと! ほら、兄さん! 行きますよ!
あ、巽さんはそのままUターンでも構いませんが……」
「甘奈ちゃん、俺に対して厳しくない⁉ 俺だって学校に行かないと!」
「はぁ……じゃあ付いて来れば良いんじゃないですか? さぁ兄さん! 行きますよ!」
「あぁ、今行く!」
甘奈に急かされ、俺は学校へダッシュで向かう。
甘奈からボロボロに言われた巽も、なんやかんや言いながら俺達の後を追い掛けるように走っていた。
そして俺達は無事、遅刻にならない程度の時間に学校に到着した。
なんとか遅れずに済んだ俺達は校門をくぐり、下駄箱に向かう。
「なんとか遅刻せずに済んだなぁ」
「あぁ、そうだな」
下駄箱は学年とクラスに分かれていて、甘奈の場所とは少し違う。
違うと言っても、並びが少し違うだけだが……。
「そう言えば巽、勉強は出来たのか?」
「それがさぁ! 家に帰っても母さんが、うるさくて全然進まなかったんだよ!」
「そうか、それは残念だったな」
「だから今度時間がある時、勉強教えてくれよ!
どうせ愛衣もまだ全然進んでないだろ? だから頼む!」
巽が俺を拝むように、両手をあわせて頼み込む。
まぁ本当は昨日やるはずだったし別に構わないけど……。
「まぁ今度な。またその時に連絡するよ」
「助かる! さすが親友だぜ!」
そんな事を言いながら、俺は自分の下駄箱から上履きを取り出す。
すると、上履きの上に何やら手紙らしき物が乗っていた。
「ん? 何だこれ?」
「どうした? ――って、それ!」
俺がそれを怪しみつつ手に持っていると、俺の様子を怪しんだ巽が大声を上げた。
「どうしました、兄さん。それに巽さ――⁉ に、兄さん⁉
その手に持っているのはまさか……ら、らぶ、らぶれ……」
「ん? らぶ? あ、もしかしてこれが俗に言うラブレターか!」
今のこの時代に、ラブレターを書く人って居るんだな。
それにしても俺に? はっ! もしやこの差出人が、最後の一人なのでは⁉
「何で真にばっかりなんだよぉ! 俺だってもらいてぇよ!」
「ちょっと巽さんは黙ってください。に、兄さん! そ、それをどうするおつもりですか⁉」
自分のモテなささを嘆く巽を黙らせ、手紙の処遇を問い詰めるように甘奈は聞いてくる。
何故甘奈がここまで気にするんだ? まぁ別に良いんだけど……。
「どうするって言われてもなぁ……。一応読んでから決めるつもりだけど」
「そ、そうですか……」
「あ、そんな事より、早く行かないと!」
俺は手紙をかばんに仕舞い、教室へ急ごうとその場を後にする。
甘奈も慌てて俺の後を追い、巽も嘆きながら俺の後を付いてきていた。
そして途中で学年が別の甘奈とは別れ、俺と巽は急いで教室へ向かう。
「せぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっふ!!!!!」
俺が教室に入ると、巽は少し遅れて大声で叫びながら教室へ駆け込んだ。
俺はそのまま自分の席へ向い、かばんを置く。
どうやらもっさんはまだ教室に来ていないようだ。
そして俺が一人授業の準備をしていると、夏葉と愛衣が俺の元へやってくる。
しかし夏葉は少し歩きづらそうにして、愛衣が夏葉の様子を窺っていた。
「お、おはよう……まことくん……」
「おはよう、真! 今日は遅かったね」
「あ、あぁ……おはよう」
夏葉の様子を心配しながらも、俺は二人に挨拶を返す。
「それで、夏葉……何かあったのか……?」
「それは、その……」
俺が夏葉に事情を聞くと、彼女は顔を赤くしてもじもじし始めた。
そんな様子を見ていた愛衣が、俺にコソッと一言、俺に耳打ちする。
「ほら、昨日……」
「え……? 昨日って――あっ……」
「ちょ、ちょっと愛衣ちゃん!」
もしかして歩きづらそうにしてるのって――処女を失ったからか……?
漫画とかで読んだ事あるけど、本当だったのか⁉
「そ、そんなに辛いのか……?」
「ちょ、ちょっと股に違和感があるだけで、別にそこまで大変な訳じゃないよ……」
夏葉はそう言ってニコリと笑う。しかしその笑顔は少しぎこちない。
「でも愛衣に心配されるぐらい歩きづらそうにしてるし……」
「大丈夫だよ、だいぶ平気になってきたから……」
「そ、そうか……。もし辛くなったら言えよ? 出来る事があるならやるからさ」
「うん、ありがとう。真くん、大好き❤」
夏葉はそう言って俺の頬に軽くキスをした。
そんな事をしていると、ガラッと扉を開いてもっさんが入ってきた。
「おう、皆席につけ~! おい、南雲何故泣いている?」
「既婚者なもっさんには分からないでしょうねぇ! モテない奴の気持ちなんてねぇ!
何で真ばっかり女子が寄って行くんだよ! 理不尽だろ! もっさんもそう思うよな⁉」
巽が、もっさんに悔し涙を流しながら詰め寄る。
もっさんも巽に詰め寄られ、たじたじになりながら俺をちらっと見る。
おい、もっさん! 俺をそんな目で見るんじゃない!
俺は何も悪くないぞ⁉ まぁ、ヤることはヤッたけどさ!
ていうか、自分で言うのもなんだけど、モテて何が悪い⁉
「まぁ確かに伏見はモテるな。既婚者の俺ですら羨ましく思ってしまうぐらい」
「おい、もっさん⁉ 教師としてそれで良いのか⁉」
俺はもっさんの言葉を聞いて、反射的に言い返してしまった。
「でも事実だろう? えっと小宮に、西城……。あと、大崎といつも一緒にいるじゃないか。
おまけに今年、お前の妹の……名前なんだっけ……」
「伏見 甘奈ちゃんです! もっさん! ちなみにめっちゃ可愛いです!
あとおっぱいも大きいです! ぶっちゃけタイプです!!!!」
取り敢えず、黙れ巽。黙らねぇと、お前の顔面に拳を叩き込まないといけなくなっちまう。
「そうそう、その妹も居て……。あ、何かそう考えたら滅茶苦茶ムカついてきたな。
伏見、お前の成績表、全部1にして良いか? 理由はムカつくからって事で」
「良いはず無いですよね⁉ 完全に職権乱用じゃねぇか!
てか、教師としてその理由は通用するのか⁉ あとあんた、既婚者だろ⁉」
何だこの鬼教師は! 教師として、完全にダメな奴じゃねぇか!
「へっ! ほれ見たことか! ざまぁねぇな、真!」
巽が俺に指を指しながら笑い転がっている。
よし、こいつは後で血祭りだ。息の根を止めてやらねばならぬ。
「おい、巽! これ以上口開くと、もう勉強をみてやらねぇからな!
もっさんも! それ以上言うと、奥さんにチクるからな!」
俺が二人そう言った瞬間、二人は秒で口を閉じる。
その顔色は完全に真っ青だ。
「ま、真……それだけは……」
「伏見……! 頼む! 嫁には黙っていてくれ!」
「だったらそれ以上茶化すんじゃねぇ! 分かったな⁉」
俺が二人に言うと、その場で瞬間で土下座する。
そして二人は続けて口を開いた。
『はいっ! すみませんでした!』
どうやら本気で嫌がっているようだ。
そんな二人を見て、俺は少し溜飲が下がった。
仕方ない。これで許してやるか……。
こうして騒がしい朝は終わった……。
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