1 / 1
ケーキのまほう、知ってる?
しおりを挟む
「じゃあ、みんなに聞いてみようか。将来、どんな仕事がしたいですか?」
先生がそう言ったとたん、教室の空気がそわそわしはじめた。
「サッカー選手!」
「声優さん!」
「パン屋さんで、パンの味見係!」
「YouTuber!」
なんだかにぎやかで、楽しそう。
でも、わたしはちょっとだけ考えこんだ。
だって、わたしの夢は、ケーキ屋さんだから。
ちいさいころから、ケーキがだいすきだった。
お誕生日にはいちごのショートケーキ。
クリスマスにはまっ白なホールケーキに、ろうそくを立てて。
合格祝い、じいじの退院祝い、お正月だって、いつのまにかケーキが出てきて。
家族もにっこり、友だちも「おいしそう~!」って笑って。ケーキって、なんだか魔法みたい。
一口で、心がふわっとあたたかくなるんだもん。
だから、わたしはケーキ屋さんになりたいって思った。
自分で作ったケーキで、誰かの「うれしい日」を、もっとすてきにできたらって。
だけど、そのとき。
「ケーキ屋さん? なんか、ふつーすぎない?」
前の席のケンタが、ふり返って言った。
「なんでケーキ屋さん? もっとすごいやつ、ないの?」
なんか、ちょっとショックだった。
わたしの夢って、ふつうなのかな。もっと、すごい夢じゃないとダメなのかな。
その日の帰り道。
ランドセルが、いつもより重く感じた。
それから一日がすぎて、次の日。
わたしは家のキッチンにいた。
ママのとなりで、エプロンをつけて。
今日は弟のたんじょう日。
ママが「ケーキ職人さん、よろしくね」って、わたしにウィンクしてきた。
スポンジにクリームをぬって、いちごをぽんぽんとのせていく。
最後に、チョコレートで「おめでとう」の文字を書いたら、あっというまに完成!
夜。家族みんなが集まって、「いただきます!」って言ったとき。
弟の目が、きらきら光ってた。
パパもママも、ほっぺがゆるんでた。
ケーキのまんなかには、ろうそくがゆらゆらしてて。
なんだか、おうち全体が、あたたかくなったみたいだった。
そのとき、わたしは思ったんだ。
ふつうでいいや。
わたしは、ケーキ屋さんになりたい。
すごい科学者でも、超人気アイドルでもないけど、誰かの「特別な日」をもっとキラキラにできるなら、それって、ちょっとだけ世界を変える魔法かもしれない。
学校の黒板には、みんなの将来の夢が書かれた。
「大工さん」「保育士」「消防士」「パン屋さん」
いろんな夢があって、いろんな思いがある。
わたしのところには、ちゃんとこう書いてある。
「ケーキ屋さん」って。
ふつうって、すごいことかもしれない。
だって、「おいしい」とか「うれしい」とか「ありがとう」って、あたりまえに見えて、じつはとっても大切なことだから。
わたしの夢は、ふつうだけど。わたしにとっては、とっておきの夢。
ケーキの上にのせる、いちごみたいに。
キラッと光る、小さな願いです。
先生がそう言ったとたん、教室の空気がそわそわしはじめた。
「サッカー選手!」
「声優さん!」
「パン屋さんで、パンの味見係!」
「YouTuber!」
なんだかにぎやかで、楽しそう。
でも、わたしはちょっとだけ考えこんだ。
だって、わたしの夢は、ケーキ屋さんだから。
ちいさいころから、ケーキがだいすきだった。
お誕生日にはいちごのショートケーキ。
クリスマスにはまっ白なホールケーキに、ろうそくを立てて。
合格祝い、じいじの退院祝い、お正月だって、いつのまにかケーキが出てきて。
家族もにっこり、友だちも「おいしそう~!」って笑って。ケーキって、なんだか魔法みたい。
一口で、心がふわっとあたたかくなるんだもん。
だから、わたしはケーキ屋さんになりたいって思った。
自分で作ったケーキで、誰かの「うれしい日」を、もっとすてきにできたらって。
だけど、そのとき。
「ケーキ屋さん? なんか、ふつーすぎない?」
前の席のケンタが、ふり返って言った。
「なんでケーキ屋さん? もっとすごいやつ、ないの?」
なんか、ちょっとショックだった。
わたしの夢って、ふつうなのかな。もっと、すごい夢じゃないとダメなのかな。
その日の帰り道。
ランドセルが、いつもより重く感じた。
それから一日がすぎて、次の日。
わたしは家のキッチンにいた。
ママのとなりで、エプロンをつけて。
今日は弟のたんじょう日。
ママが「ケーキ職人さん、よろしくね」って、わたしにウィンクしてきた。
スポンジにクリームをぬって、いちごをぽんぽんとのせていく。
最後に、チョコレートで「おめでとう」の文字を書いたら、あっというまに完成!
夜。家族みんなが集まって、「いただきます!」って言ったとき。
弟の目が、きらきら光ってた。
パパもママも、ほっぺがゆるんでた。
ケーキのまんなかには、ろうそくがゆらゆらしてて。
なんだか、おうち全体が、あたたかくなったみたいだった。
そのとき、わたしは思ったんだ。
ふつうでいいや。
わたしは、ケーキ屋さんになりたい。
すごい科学者でも、超人気アイドルでもないけど、誰かの「特別な日」をもっとキラキラにできるなら、それって、ちょっとだけ世界を変える魔法かもしれない。
学校の黒板には、みんなの将来の夢が書かれた。
「大工さん」「保育士」「消防士」「パン屋さん」
いろんな夢があって、いろんな思いがある。
わたしのところには、ちゃんとこう書いてある。
「ケーキ屋さん」って。
ふつうって、すごいことかもしれない。
だって、「おいしい」とか「うれしい」とか「ありがとう」って、あたりまえに見えて、じつはとっても大切なことだから。
わたしの夢は、ふつうだけど。わたしにとっては、とっておきの夢。
ケーキの上にのせる、いちごみたいに。
キラッと光る、小さな願いです。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
緑色の友達
石河 翠
児童書・童話
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。
こちらは小説家になろうにも投稿しております。
表紙は、貴様 二太郎様に描いて頂きました。
そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。
桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。
それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。
でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。
そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。
人柱奇譚
木ノ下 朝陽
児童書・童話
ひたすら遣る瀬のない、救いのない物語です。
※デリケートな方は、閲覧にお気を付けくださいますよう、お願い申し上げます。
昔書いた作品のリライトです。
川端康成の『掌の小説』の中の一編「心中」の雰囲気をベースに、「ファンタジー要素のない小川未明童話」、または「和製O・ヘンリー」的な空気を心掛けながら書きました。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユリウスの絵の具
こうやさい
児童書・童話
昔、とある田舎の村の片隅に売れない画家の青年が妻とともに住んでいました。
ある日その妻が病で亡くなり、青年は精神を病んでしまいました。
確か大人向けの童話な感じを目指して書いた話。ガイドラインから児童書・童話カテゴリの異世界禁止は消えたけど、内容・表現が相応しいかといわれると……うん、微妙だよね、ぶっちゃけ保険でR付けたいくらいだし。ですます調をファンタジーだということに相変わらず違和感凄いのでこっちにしたけど……これ、悪質かねぇ? カテ変わってたり消えてたら察して下さい。なんで自分こんなにですます調ファンタジー駄目なんだろう? それでもですます調やめるくらいならカテゴリの方諦めるけど。
そして無意味に名前がついてる主人公。いやタイトルから出来た話なもので。けどそもそもなんでこんなタイトル浮かんだんだ? なんかユリウスって名前の絵に関係するキャラの話でも読んでたのか? その辺記憶がない。消えてたら察して下さい(二回目)。記憶力のなさがうらめしい。こういうの投稿前に自動で判別つくようにならないかなぁ。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる