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スライム大冒険
スライム誕生
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地底湖の中から産まれたばかりの俺は、まだ動く事も出来ずにただ水面にプカプカと浮いていた。
俺に力がついて動けるまでに成長するのが先か、他の魔物に見つかり喰われるのが先かと運命に身を任せていた俺の目の前に現れたのは大口を開けた水竜だった。
だが……怖いという感情すらスライムにはなく、その口が迫って来るのをただ見ていた。
スライムの様な腹の足しにもならない俺を狙ってでは無く、横を通り過ぎて行ったマーマン狙いだったのだろうが、巻き添えをくらい今まさに喰われようとしたその時、水竜の体が空を舞った。
激しい波の間から覗いていると地響きを上げて地面に叩きつけられた水竜の陰から2つの影が現れた。
……キレイ。
年老いた魔物と……その横に立っていた幼い魔物の姿を見て俺は産まれたての小さな核を震わせた。
光の届かない薄暗い洞窟の中でも輝く様な銀色の髪に幼いながらに意志の強そうな紅い瞳……それは、感情を持たない筈のスライムにすら感動を覚えさせる程の光だった。
初めて見る綺麗なものに俺の小さな核は震えっぱなしで、何の心も持ってなかった俺の中に心を植え付けられ、その瞬間に思考が始まった。
「爺、これで良いか?この水竜がこの洞窟の主であろう?」
「はい、坊ちゃま。次期魔王としての第一歩ですな」
「ふん、俺の最初の領地がこんな洞窟とは……親父も俺を舐めたものだ」
「いえいえ……この水竜とて並の魔物なら瞬殺する力の持ち主。坊ちゃまが強過ぎるだけにございます」
水に浮かんだまま、俺は二人の会話に……そんな器官は無いが耳を傾けた。
俺を助けた訳ではなく、水竜を倒す目的の為に図らず俺を助けた形になっただけの様だが俺にとっては命を助けられたも同然。
隙を見ては襲いかかる魔物達を露を払うかの様に斬り捨てる二人。
生まれたてのただ水に浮いているだけのスライムなどは二人の意識にも入れて貰えていない。
水竜……ここの主……その主を倒した魔物が次の主。
この洞窟の主があの魔物ならあの魔物は俺の主だ!!
ぷかぷかと水の揺らぎに揺られながら……俺は去っていくその背中をいつまでも見つめていた。
魔王様はその後も何度かこの洞窟へ現れてはこの地底湖の辺りで爺様と魔法の練習をして行った。
次期魔王となる為の修行……模擬戦とはいえ美しく強大な魔力のぶつかり合いを、運良く魔物に喰われることなく生き延びながらえながら、特等席で俺は眺め続けていた。
未だに言葉も発せられずにいたが、いつか『魔王様』と呼べる日を夢見て俺は洞窟内の魔力をゆっくりゆっくりと自分の体へ吸収させていった。
どれぐらいの時間が経ったか……俺は水を動かす能力を身につけた……と、言っても体を震わせてさざ波を起こすくらいのものだったが漸く俺は自分の意志で動く事が出来るようになったのだ。
水面を右に左にゆら~りゆらりと移動してみる。
強い魔物は魔王様に殺られて居なくなり、残っているのは草食系の生き物や戦闘を好まない魔物だけで……俺の身の安全はかなり確保されているので行動の幅も増えた。
水面をぐるぐる移動していると蒼く光る地底湖の底に小さい赤い光を発見した。
赤い石。
その輝きは魔王様の瞳の様で俺は何とかその石を手に入れたくて、長いことその場で唸っていると……体から細長い腕の様な物を伸ばせる様になった。
ゆっくり腕を伸ばし……その赤い石を大事に丁寧に持ち上げる。
水の中から持ち上げた仄かな赤い光を放つ小さな石はやっぱりキレイで魔王様を初めて見た時の様な感動を覚えた。
爺様と魔王様が前に話していた事を思い出した。
魔王様の配下になりたい魔物は忠誠の証として魔王様に贈り物をするものだとか……これを魔王様にお渡しして俺も魔王様の配下に加えて貰おう。
そう思うと楽しい気持ちになって、俺は爺様と魔王様がいつも現れる辺りで二人がやって来るのを今か今かと待ち続けた。
俺に力がついて動けるまでに成長するのが先か、他の魔物に見つかり喰われるのが先かと運命に身を任せていた俺の目の前に現れたのは大口を開けた水竜だった。
だが……怖いという感情すらスライムにはなく、その口が迫って来るのをただ見ていた。
スライムの様な腹の足しにもならない俺を狙ってでは無く、横を通り過ぎて行ったマーマン狙いだったのだろうが、巻き添えをくらい今まさに喰われようとしたその時、水竜の体が空を舞った。
激しい波の間から覗いていると地響きを上げて地面に叩きつけられた水竜の陰から2つの影が現れた。
……キレイ。
年老いた魔物と……その横に立っていた幼い魔物の姿を見て俺は産まれたての小さな核を震わせた。
光の届かない薄暗い洞窟の中でも輝く様な銀色の髪に幼いながらに意志の強そうな紅い瞳……それは、感情を持たない筈のスライムにすら感動を覚えさせる程の光だった。
初めて見る綺麗なものに俺の小さな核は震えっぱなしで、何の心も持ってなかった俺の中に心を植え付けられ、その瞬間に思考が始まった。
「爺、これで良いか?この水竜がこの洞窟の主であろう?」
「はい、坊ちゃま。次期魔王としての第一歩ですな」
「ふん、俺の最初の領地がこんな洞窟とは……親父も俺を舐めたものだ」
「いえいえ……この水竜とて並の魔物なら瞬殺する力の持ち主。坊ちゃまが強過ぎるだけにございます」
水に浮かんだまま、俺は二人の会話に……そんな器官は無いが耳を傾けた。
俺を助けた訳ではなく、水竜を倒す目的の為に図らず俺を助けた形になっただけの様だが俺にとっては命を助けられたも同然。
隙を見ては襲いかかる魔物達を露を払うかの様に斬り捨てる二人。
生まれたてのただ水に浮いているだけのスライムなどは二人の意識にも入れて貰えていない。
水竜……ここの主……その主を倒した魔物が次の主。
この洞窟の主があの魔物ならあの魔物は俺の主だ!!
ぷかぷかと水の揺らぎに揺られながら……俺は去っていくその背中をいつまでも見つめていた。
魔王様はその後も何度かこの洞窟へ現れてはこの地底湖の辺りで爺様と魔法の練習をして行った。
次期魔王となる為の修行……模擬戦とはいえ美しく強大な魔力のぶつかり合いを、運良く魔物に喰われることなく生き延びながらえながら、特等席で俺は眺め続けていた。
未だに言葉も発せられずにいたが、いつか『魔王様』と呼べる日を夢見て俺は洞窟内の魔力をゆっくりゆっくりと自分の体へ吸収させていった。
どれぐらいの時間が経ったか……俺は水を動かす能力を身につけた……と、言っても体を震わせてさざ波を起こすくらいのものだったが漸く俺は自分の意志で動く事が出来るようになったのだ。
水面を右に左にゆら~りゆらりと移動してみる。
強い魔物は魔王様に殺られて居なくなり、残っているのは草食系の生き物や戦闘を好まない魔物だけで……俺の身の安全はかなり確保されているので行動の幅も増えた。
水面をぐるぐる移動していると蒼く光る地底湖の底に小さい赤い光を発見した。
赤い石。
その輝きは魔王様の瞳の様で俺は何とかその石を手に入れたくて、長いことその場で唸っていると……体から細長い腕の様な物を伸ばせる様になった。
ゆっくり腕を伸ばし……その赤い石を大事に丁寧に持ち上げる。
水の中から持ち上げた仄かな赤い光を放つ小さな石はやっぱりキレイで魔王様を初めて見た時の様な感動を覚えた。
爺様と魔王様が前に話していた事を思い出した。
魔王様の配下になりたい魔物は忠誠の証として魔王様に贈り物をするものだとか……これを魔王様にお渡しして俺も魔王様の配下に加えて貰おう。
そう思うと楽しい気持ちになって、俺は爺様と魔王様がいつも現れる辺りで二人がやって来るのを今か今かと待ち続けた。
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