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スライム大冒険
スライム奴隷と化す
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それからアルラウネ師匠の為に早起きして川まで水汲みに向かい朝の水やり、草むしりをして、アルラウネ師匠の子供たちの世話をして、夕の水やりを終えると師匠の体のマッサージをする日々。
「大分上手くなってきたわね……私の体に触れる事を許された幸福に感謝して生きるのよ」
『はい、アルラウネ様』
マッサージをしつつ許容量の範囲で魔力をいただいた。
アルラウネ様から得られる知識は随分偏っていてあまり役に立ちそうにないけれど魔力だけは特級なのでありがたく……しぶしぶご奉仕させていただいている。
今日はお休みを頂いてスキュラ師匠の元へ遊びにやってきた。
喜んでくれるかと期待していたのだが……1日探しても師匠の姿は見つからなかった。
「魔物ですもの、気ままなものよ。海は大きいから何処へ行ったかなんて見当もつかないわね」
アルラウネ様の元に戻って話をしてみたけれど、アルラウネ様は素っ気ない返事をくれただけだった。
それからは休みなくアルラウネ様の元で働かせて頂いている。
「……あなたはスライムのくせに何故ここまでして強くなろうとしているのかしら?スライムならスライムらしくその辺りの草でも食べていれば幸せなんじゃないの?」
『お仕えしたい方がいたからです』
何度もダメ出しを受けて、今ではアルラウネ様をマッサージ中に眠らせてしまうほどになった技でアルラウネ様の疲れを癒していく。
「ふ~ん……その相手があなたに結界を張った相手なの?ならそろそろ戻ったほうが良さそうよ?結界の効果が切れかかっているわ」
アルラウネ様の言葉に一瞬腕が止まった。
結界の効果が切れる日が来ることは前から承知していた事だ。
動揺を隠しマッサージに集中する。
「あなた確か魔王様、魔王様って……まさかその結界を張った主って!!」
『まさか……魔王様がスライムなんて相手にする訳がないです。悪魔貴族の皆さんに笑われてしまいますよ』
「へぇ……私は貴族じゃないし魔王軍に加入しようなんて思った事ないからわからないけど、そんなもんなの?」
『そういうものらしいです』
門番に言われた台詞を自分で言葉にして……自分で傷付く。
「私の弟子のくせになに辛気臭い空気を出してるのよ。あなたはこの私の魔力を吸収して成長しているんだからもっと自身を持ちなさい」
『自信と言われましても……スライムですから……』
「そんな情けない言葉、私の弟子が口に出すんじゃないわよ!!スライムでも私の弟子になったからにはスライム界一の美スライムを目指すのよ!!」
何に興奮したのか寛いだ表情をしていたアルラウネ様は立ち上がると根を伸ばして草の根をかき分けて何かを探し始めた。
根が戻ってくるとその先には草花が握られている。
「よく覚えるのよ。ヒロンロン草とフェロリアの花よ」
言われた通りにじっくりと観察して特徴を覚えた。
「フェロリアの花は私程じゃないけれど他者を魅了する香りを持っているのよ。そしてヒロンロン草の茎から出る液体を肌に塗るとモチモチぷるぷるの瑞々しい肌が……」
そこまで言って俺を見たアルラウネ様がいきなり枝を突き刺してきて俺の体が大きくへこむ。
『何なんですか!?いきなり!!』
「うるさい……なんかムカついたの……とりあえずこのヒロンロン草とフェロリアの花で体質を整えて、あと1番美しさを保つのに必要な物は……自信よ!!自分が1番美しいという自信を持って意識を高め、自分を磨く!!そうよ!!あんな潮風にさらされっぱなしで碌な手入れもしていないスキュラよりも私はずっとずっと美しい!!」
最後にえらく私情を挟まれた。
「あなたに足りないのはその自信!!私のあとに続きなさい!!私はこの世界の誰よりも美しい!!」
逆らうと厄介な事はこの数日で嫌というほど身に染み付いているので渋々復唱する。
『私はこの世界の誰よりも美しい』
「声が小さい!!」
『私はこの世界の誰よりも美しい!!』
「いいわよ!!もう1度!!」
『はい!!私はこの世界の誰よりも美しい!!』
こうして意味があるのか無いのかわからない特訓が三日三晩続いた。
「大分上手くなってきたわね……私の体に触れる事を許された幸福に感謝して生きるのよ」
『はい、アルラウネ様』
マッサージをしつつ許容量の範囲で魔力をいただいた。
アルラウネ様から得られる知識は随分偏っていてあまり役に立ちそうにないけれど魔力だけは特級なのでありがたく……しぶしぶご奉仕させていただいている。
今日はお休みを頂いてスキュラ師匠の元へ遊びにやってきた。
喜んでくれるかと期待していたのだが……1日探しても師匠の姿は見つからなかった。
「魔物ですもの、気ままなものよ。海は大きいから何処へ行ったかなんて見当もつかないわね」
アルラウネ様の元に戻って話をしてみたけれど、アルラウネ様は素っ気ない返事をくれただけだった。
それからは休みなくアルラウネ様の元で働かせて頂いている。
「……あなたはスライムのくせに何故ここまでして強くなろうとしているのかしら?スライムならスライムらしくその辺りの草でも食べていれば幸せなんじゃないの?」
『お仕えしたい方がいたからです』
何度もダメ出しを受けて、今ではアルラウネ様をマッサージ中に眠らせてしまうほどになった技でアルラウネ様の疲れを癒していく。
「ふ~ん……その相手があなたに結界を張った相手なの?ならそろそろ戻ったほうが良さそうよ?結界の効果が切れかかっているわ」
アルラウネ様の言葉に一瞬腕が止まった。
結界の効果が切れる日が来ることは前から承知していた事だ。
動揺を隠しマッサージに集中する。
「あなた確か魔王様、魔王様って……まさかその結界を張った主って!!」
『まさか……魔王様がスライムなんて相手にする訳がないです。悪魔貴族の皆さんに笑われてしまいますよ』
「へぇ……私は貴族じゃないし魔王軍に加入しようなんて思った事ないからわからないけど、そんなもんなの?」
『そういうものらしいです』
門番に言われた台詞を自分で言葉にして……自分で傷付く。
「私の弟子のくせになに辛気臭い空気を出してるのよ。あなたはこの私の魔力を吸収して成長しているんだからもっと自身を持ちなさい」
『自信と言われましても……スライムですから……』
「そんな情けない言葉、私の弟子が口に出すんじゃないわよ!!スライムでも私の弟子になったからにはスライム界一の美スライムを目指すのよ!!」
何に興奮したのか寛いだ表情をしていたアルラウネ様は立ち上がると根を伸ばして草の根をかき分けて何かを探し始めた。
根が戻ってくるとその先には草花が握られている。
「よく覚えるのよ。ヒロンロン草とフェロリアの花よ」
言われた通りにじっくりと観察して特徴を覚えた。
「フェロリアの花は私程じゃないけれど他者を魅了する香りを持っているのよ。そしてヒロンロン草の茎から出る液体を肌に塗るとモチモチぷるぷるの瑞々しい肌が……」
そこまで言って俺を見たアルラウネ様がいきなり枝を突き刺してきて俺の体が大きくへこむ。
『何なんですか!?いきなり!!』
「うるさい……なんかムカついたの……とりあえずこのヒロンロン草とフェロリアの花で体質を整えて、あと1番美しさを保つのに必要な物は……自信よ!!自分が1番美しいという自信を持って意識を高め、自分を磨く!!そうよ!!あんな潮風にさらされっぱなしで碌な手入れもしていないスキュラよりも私はずっとずっと美しい!!」
最後にえらく私情を挟まれた。
「あなたに足りないのはその自信!!私のあとに続きなさい!!私はこの世界の誰よりも美しい!!」
逆らうと厄介な事はこの数日で嫌というほど身に染み付いているので渋々復唱する。
『私はこの世界の誰よりも美しい』
「声が小さい!!」
『私はこの世界の誰よりも美しい!!』
「いいわよ!!もう1度!!」
『はい!!私はこの世界の誰よりも美しい!!』
こうして意味があるのか無いのかわからない特訓が三日三晩続いた。
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