君と二人で愛の異世界開拓ごっこ 婚約者に裏切られた悔しさを晴らす為に二人で『人間の始まり』になりましょうって正気ですか?

藤雪たすく

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夢ならどれだけ良かったか

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一通り調べ終わったのか、ガラスの筒が消えた。

「一方的に調べさせてもらってすみませんでした。私はギーベリ星のシェーニエ国から来ました、ナディユ・シェーニエと申します」

丁寧に挨拶をされて、条件反射で頭を下げる。

「あ、金井 克真です。えっと……地球という星の日本という国から来ました?」

こんな自己紹介は初めてだな。

「地球ですか……名前を聞いてもやはり分からないですね。見つけにくい遠く小さな星なのでしょうか……」

「う~ん……太陽系の惑星?」

俺の宇宙に関する知識はかなり浅い。
しかし『太陽』はきっとデカく目立つはず……なんせ燃えてるし。

太陽を説明しても宇宙人は首を横に降るだけだった。

「場所がわかれば一緒に帰る方法を探して差し上げられたのですが……私ではお力になれそうにないですね……この星に来た時の状況は……」

「缶コーヒーを買ってお釣りを取ろうとして……静電気が起こった後、自販機に吸い込まれました」

自分で言っていても訳が分からん。
果たして翻訳機はどの様に訳してくれたのか分からないが、宇宙人は目を閉じて何か頷いている。

「実は……私がこの星へ来る際、亜空間を移動中に時空の乱れで出来る時空ホールを確認しました。もしかすると貴方がここへ連れてこられたのはその時空ホールのせいかもしれません。貴方は時空ホールを通ってやってきたのかもしれませんね」

「へえ~……」

亜空間とか時空ホールとか言われてもなぁ、ワープしてたら時空が乱れていて、その時空の乱れに俺は巻き込まれた?適当に返事しておいた。
今の俺に重要なのはどうやってここに来たのかよりも、どうやってこの地で生き延びるかの方が重要だ。方法が分かっても生きていなければ元の世界へ帰れるもんも帰れないのだから。

「地球という星ではよくある事なのですか?とても落ち着いていらっしゃる。亜空間を通る時、時空ホールという歪みが存在すると昔話に聞いた事はありましたが実際見たのは初めてでした」

落ち着いて見えるか……。

「いえ、そういう時空の歪みだとかは俺も空想の世界だけの話だと思っていました。ただあまりにも現実離れし過ぎていて実感がないというか、もしかしたら夢かなって……頭がついていけてないだけです」

実は夢でしたってのを期待している。
目を覚ますと会社の机に突っ伏しているんじゃないかなって……願望。

そう腕を組んで頭をひねった俺に、宇宙人はくすくすと笑った。

「いきなりリサーチボックスに入れられても暴れもしないので、獣に襲われた恐怖で感情を無くしてしまったかと心配しましたよ」

「ご心配お掛けしてすみません」

騒いで暴れるのが正解だったか。
だが、獣に追い掛けられた時ほどの衝撃じゃ無かったからなぁ……徹夜明けで眠いし。

これでこの宇宙人がタコみたいな見た目だったり、全身シルバーだったりしたら別だったかもしれないけど……普通の……どちらかというとニコニコしてて、ただの良い人に見えるからなぁ。

「面白い人ですね。お茶でも飲みながらお互いの状況を話し合いましょう。えっと……金井さん?克真さん?何とお呼びしたら宜しいでしょうか?」

「どちらでも良いですよ。金井が名字で克真が名前です」

「そうですか、では克真さんで……私の事はナディユとお呼び下さい」

歩き出したナディユさんに続いて、薄暗い部屋から真っ白な部屋へ移動した。

ーーーーーー

「何がお口に合うか分からなかったので……飲めそうな物を飲んで下さい」

ナディユさんはそう言って、テーブルの上にいくつかのコップを並べた。

向かいに座ったナディユさんのコップには紫色の飲み物……。

自分の前に置かれた物の中から同じ紫色の物を選んで一口飲んでみた。

う~ん……仄かに酸味のある温かいお茶?
飲めなくは無いが……次のコップに手を伸ばし、透明な液体を一口飲む……普通に冷たい水。

面白くなってもう一つ。茶色いそれは苦味のあるホットコーヒーに似ていた。ミルクがあったら迷わずこれだが……次のピンク色の飲み物は温かい玄米茶に似た爽やかな香りの中に香ばしさもあり美味しい。
最後の青く冷たい飲み物は甘酸っぱいリンゴジュースの様な味だった。

色はともかくピンクのが1番落ち着くな。
ピンクの玄米茶もどきをもう一口飲んで手元に残した。
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