最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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2話目 初めての獲物

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木の上で気配を消しながら見下ろしているのは、俺の体の何十倍もありそうな巨体を持つ魔物『パウラベア』だ。俺の身体が小さいからというのもあるのだろうが、今まで見てきた中でもかなりの大物である。

パウラベアか……ぼっちゃんの成長配信にお供した時の事を思い出すな。

『ルーウェン……無理だよ、あんなに大きな身体。僕の攻撃が届くわけない……』

『ルーウェンすごい!!さすがルーウェン!!』

『ルーウェンが側にいてくれるから頑張れたんだよ?』

うちのぼっちゃん最強っ!!!!
ルーウェンはぼっちゃんの為なら実力の100倍の力をお出ししますよっ!!

頼りない柔らかく小さすぎる手に体内の魔力を集中させた。

ーーーーーー

転生して初めての狩りはあっけないほど楽勝だった。
攻撃魔法も変わり無く使えた。
血飛沫の上がる攻撃はぼっちゃんが怖がるのでなるべく血を上げさせないように考えた、一瞬で切断面を焼き切る超高温の炎の刃でパウラベアの巨体は地に伏した。

武器を扱うには身体が小さすぎるが魔法で戦う分には問題なし。
魔法だけで対処できない脅威となりそうな魔物の気配は周囲にないから問題なさそうである……が、複数の魔法を使いながら狩ったばかりのパウラベアの解体を進めているが効率が悪い。解体用のナイフと調理用の包丁ぐらいは手の大きさに合わせた物を作ってもいいかもしれない。
オリハルコンやアダマンタイトとまでは言わないが、紅鉄や蒼鋼レベルの鉱石は欲しい。

大きめのパウラベアだったが魔法であっさり首を落とせたのはいい事だ、もう少し魔力消費の少ない魔法でも十分倒せそうである。
体は小さくとも魔力量と威力に問題はないな。ぼっちゃんが初めてパウラベアと対峙した時の涙目を思い出して、気持ちが高揚していたせいで威力の底上げになった可能性もあるが。

四歳でパウラベアを追い詰めることができるなんてやっぱりうちのぼっちゃんは天才。その時の配信は同接数1万を越えて、動画の再生回数は億を超えていた。

流石に留めを刺すには幼過ぎて俺が留めを刺したけれど、初めてのパウラベアを前に泣きじゃくる姿も俺の言葉に冷静さを取り戻してしっかり立ち向かっていった姿も、労いの言葉に照れながら俺が見守ってくれてたから頑張れたとはにかみながら抱きついてきてくれる姿も……全ての行動の尊いが過ぎて何度も鼻血を噴き出しながらリピート再生をしたものだ。

はあぁぁぁぁっ!!またぼっちゃんの配信を観たい!!可愛さを堪能したい!!癒されたい萌えたい推し活したいぼっちゃんの為に生きていきたいっ!!

情報収集と一緒にお金を溜めて『タブレット』の魔導具も買わなければ。ぼっちゃんが配信者として続けていてくれたらぼっちゃんの今の姿を簡単に探せるかも……同じ時代に生まれ変われていたとして、もしも何十年も時が過ぎていて、ぼっちゃんの死後の世界だったら?……絶対的な危機ならお助けもできるだろうが、寿命には誰も逆らう事はできない。ぼっちゃんの墓標の前に立つのも最期を看取ることになるのもどちらも嫌だ。

うぅぅ……直接でなく配信経由で知る事になればダメージも少ないかも……?

とにかく……何はともあれ俺が生きてなければ話にならない。

情報収集にしても、お金を稼ぐにしても、歯も生え揃ってない俺が突然話しかけてもまともに会話はしてもらえないだろう。もし運良く推しと出会えたとしても、今のままではまた守りきれずに死んでしまうだけ……俺はもっともっと強くならなければいけない。

歯のない俺には肉はまだ食べられないのでアイテムボックスへしまい、パウラベアの体内にあった魔石を握りしめて魔力を吸い取った。透明になった石は魔石としての価値はないが魔力を溜めるという特性は残っているので鍛冶屋などにそれなりの金額で売れる。この石に魔力を込めて武器や防具、魔導具に加工できる。ただし、魔石の中身は空っぽなので自ら魔力を込める必要がある。そういった道具は割安なので魔石を買うほどの金はない奴に人気がある。

俺は魔石なんて使わずとも武器に魔法を纏わせ続けられるので俺にとっては不要品。しかし、今は少しでも金になるものは集めておきたい。アイテムボックスに制限はないので溜め込んでも問題なし。

情報収集にも金稼ぎをするにも他者との交流は必ず必要になる……。

あの頃のぼっちゃんと同じ四歳ほどの見た目まで成長したら怪しまれずに情報収集できるかもしれない。この姿で大型の魔物を仕留めたり、大人ほどに言葉が流暢だと魔物や悪魔と間違われてしまいそうだ。それぐらいの常識ぐらいは俺にもある。急がば回れ、それまでに自分をさらに鍛え上げてから推し探しを始めよう。

今度は推しを守りきれるように……。

熱い決意を胸に、パウラベアの革を加工して作ったばかりの靴を履いて鉱石の採れるダンジョンを求めて俺は歩き始めた。
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